猫の結膜炎ってどんな状態のこと?考えられる原因や治療法を解説

猫の結膜炎ってどんな状態のこと?考えられる原因や治療法を解説
公開日:2024年1月23日

猫の眼の病気でよくみられる「結膜炎」。愛猫が目をしょぼしょぼしていたり、目をつむったままだったりすると、もしかして結膜炎かな?と思う飼い主さんも多いと思います。この記事では、「結膜炎」とはどういう状態のことをいうのかわかりやすく解説します。原因や治療法、予防法についても触れますので、かかりつけの先生とお話しする際の参考にしてみてください。

猫の結膜炎とは

猫の結膜炎とは

猫の結膜炎とは、瞼(まぶた)の裏側の粘膜である結膜が炎症を起こしていることをいいます。痛みから、目をしょぼしょぼすることもあります。

どんな症状?

結膜が赤く充血していたり、腫れぼったくなったりするため、愛猫のお顔を日頃からよくみている飼い主さんならすぐに気づいてあげられる症状です。
普段より目脂(めやに)が多くなっていたり、涙が流れていたりすることも多いです。

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猫の結膜炎の原因

猫の結膜炎の原因

結膜炎の原因にはさまざまなものがあげられます。どんな症状でもいえることですが、愛猫に異変があったら飼い主さんが自己判断したりせずに動物病院を受診しましょう。

異物が入った

ほこりやゴミ、愛猫自身の被毛などが目に入り、物理的な刺激により結膜炎になることがあります。花粉をはじめ何らかの物質にアレルギー反応を起こしている場合もあります。シャンプーが目に入ったなどもありえます。

一時的な症状であることが多いですが、違和感や痛みが気になり掻いてしまったことで悪化する場合や、角膜にも傷をつけてしまうこともあります。
鼻が低い猫はほかの猫と比べて日常生活で目が物に当たりやすいため注意してみてあげましょう。

目の周囲の被毛の生え方によっては目に被毛が入りやすかったり、まぶたが眼球の方に折れ込んでしまうことによって被毛が常に目を刺激していたりすることもあるため、結膜炎を繰り返しやすい猫の場合は慎重に目を診察してもらうことも大切です。

感染症

結膜炎は呼吸器感染症によって起こることも多いです。くしゃみや鼻水などの症状がないかもあわせて確認しましょう。

おもな原因といわれる感染症は下記です。

  • 細菌感染(マイコプラズマ、ブドウ球菌など)
  • ウイルス感染(ネコヘルペスウイルス、ネコカリシウイルス)
  • ネコクラミジア

結膜や目脂(めやに)をぬぐい、細胞診をしたり培養検査をしたり遺伝子検査をすることで原因を探すこともできますが、混合感染をしていることが多いので、診断が難しい場合があります。

その他

アレルギー反応を含め、自己免疫疾患があったり、流涙症という涙が多く出てしまう状態だったりと、ほかの病気の影響で結膜炎になっている場合があります。

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目脂(めやに)に注目

目脂(めやに)に注目

受診する際、目脂(めやに)は拭き取らずに、そのままの状態を獣医師に診てもらいましょう。

どんな目脂(めやに)が出ているのかも診断材料となります。いつ頃から、どんな目脂(めやに)が出てたのか、どのくらい出ているのか(朝拭いたら1日綺麗か、拭いてもすぐに目の周りが汚くなるかなど)も飼い主さんから獣医師にお話しできると良いです。

大まかに分けると、以下のような目脂(めやに)があります。混合していることもあります。

  • とろっと粘液性があって白っぽい目脂(眼に刺激があったときに多い)
  • 黄色や緑色で粘液性のある目脂(炎症や細菌感染があるときに多い)
  • さらさらと涙のような水っぽいもので、赤褐色なときもある目脂(ウイルス感染のときに多い)

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ほかの眼疾患がないかあわせて検査することも大切

ほかの眼疾患がないかあわせて検査することも大切

結膜炎がみられる場合、ほかの眼の病気が一緒に起きていることも多いです。傷がついていないか、涙の量はどうか、眼圧はどうかなど眼についてのさまざまな検査が必要になることもあります。

結膜炎のようだと、飼い主さんが自己判断することは危険です。しっかりと受診しましょう。原因がわからず経過観察をする場合ももちろんありますが、受診した上で獣医師と一緒に経過をみていくことが大切です。

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猫の結膜炎のおもな治療

猫の結膜炎のおもな治療

状態に応じて点眼薬や内服薬を使います。診断によって、抗生剤の種類や炎症を抑える薬など処方が異なります。
点眼の回数など薬剤によって異なるので獣医師の指示を守りましょう。猫の飼い主さん同士での目薬や抗生剤のやり取りは絶対に止めましょう。猫のためになりません。

眼の周囲の被毛によって刺激されているなど、原因が特定された場合は原因の除去も大切です。瞼(まぶた)の形など構造に問題がある場合は手術をすることもあります。

治療によっては、目を猫自身が掻いてしまわないようにエリザベスカラーの着用が必要になる場合もあります。こうしたときに備えて、おやつを食べながらエリザベスカラーを着用するなど着用に慣れておくと、いざ治療で必要になった際にストレスなく取り入れられるため、治療に専念することができます。

点眼するときのポイント

もし点眼の指示が出た場合は、1日3回などのタイミングだけでなく、猫にどうやって点眼するのかもレクチャーしてもらうことをおすすめします。点眼薬を目に入れることに注目しがちですが、レクチャーしてもらう際は、スタッフが猫の身体のどんな所を支えているか、姿勢はどうかを観察すると良いです。

ポイントとして、正面から目薬を持っていくと怖がる猫が多いので、猫を背後から抱え込むスタイルで飼い主さんの全身をピッタリくっつけた状態で、軽く顔を支えて、反対側の手で目薬を滴下します。

目薬をしたことで、気になって目を掻いてしまう猫もいます。点眼後は食事にしたり、しばらく撫でたりして15分間くらいは気をそらせるよう工夫しましょう。その後も良く様子をみてあげましょう。

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猫の結膜炎の予防法は?

猫の結膜炎の予防法は?

さまざまな原因によって結膜炎は起こるため、完璧に予防することはできません。

感染症については、完全室内飼養はもちろんですが、網戸越しでも外にいる猫と接触して感染する機会がないようにしっかり管理しましょう。
猫の混合ワクチンには原因であげたネコカリシウイルス、ネコヘルペスウイルス、ネコクラミジア(※クラミジアは5種のみ)が含まれています。定期的な混合ワクチンの接種が予防につながることもあります。

接種するワクチンの種類や接種間隔については、猫自身や飼育環境についてよくお話の上、かかりつけの獣医師と相談しましょう。

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まとめ

結膜炎は、何歳の猫でも、どんな猫でもなりえます。また眼の病気は急速に悪化することも多いです。異変に気づいたら早めに受診しましょう。

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ライター情報

獣医師笹尾ささお美香みか(旧姓:濵口)

濵口 美香
所属
猫の診療室モモ 勤務医
略歴
1988年 鹿児島県に生まれる 牛舎と鶏舎がご近所で動物に囲まれて育つ
1991年~2007年 長崎に引っ越し 猫との生活を始める
2007年~2013年 麻布大学獣医学部獣医学科卒 在学中ツシマヤマネコの普及啓発活動に取り組む
2013年~2016年 千葉県の犬猫動物病院にて勤務
2016年 動物保険会社へ転職 動物病院での診察業務・ペットショップの子犬子猫の往診・イベントでの健康相談業務・動物看護専門学校での講師を務める
2017年 子育てに専念
2018年~現在 品川区の猫の診療室モモにて勤務
2022年~Luna spay clinic 開業
資格
獣医師免許、JSFM CATvocate認定プログラム修了

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(掲載開始日:2024年1月23日)
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