猫の骨折の症状や見分け方、原因は?費用や予防法まで解説

猫の骨折の症状や見分け方、原因は?費用や予防法まで解説
公開日:2023年11月27日

運動神経が良いとされる猫ですが、まれに骨折することがあります。猫が骨折するとどのような症状がみられるのでしょうか?また、骨折が疑われるときにはどのように見分ければよいのでしょうか?この記事では、猫の骨折の症状や原因、見分け方、治療法などをわかりやすく解説します。さらに、骨折の治療費や愛猫の骨折を予防する方法についてもご紹介します。

猫の骨折とは?

骨折の定義は骨が損傷することを指します。骨組織が完全に離断された状態だけが骨折ではなく、亀裂が入っていたり、一部が欠けていたりしている場合も骨折と呼びます。猫でも人と同様に骨折することがあります。

骨折にはさまざまな分類があり、皮膚表面に骨の一部が露出している状態か否かで開放骨折、閉鎖骨折に分けられます。また、骨と骨が完全に離断されている骨折を完全骨折と呼び、折れた方向により、横骨折、らせん骨折、斜骨折、粉砕骨折、分節骨折などに分類されます。亀裂骨折などのいわゆる骨にヒビが入ったような状態の骨折は不完全骨折と呼ばれます。

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猫の骨折の原因は?

猫の骨折の原因は?

猫の骨折の原因は、「ケガによるもの」と「病気によるもの」に分けられます。

猫の骨折の原因

ケガによるもの
  • 交通事故などによる骨折(直達外力)
  • テーブルやソファから飛び降りた際の骨折(介達外力)
病気によるもの
  • 栄養不足で骨が脆くなる場合
  • 骨の腫瘍などで脆くなって骨折を起こす場合

ケガによる骨折は直達外力(直接骨に伝わる外力)や介達外力(間接的に骨に伝わる外力)により起きます。直達外力の代表例として、交通事故などがあげられます。介達外力の代表例としてはテーブルやソファから飛び降りた際の骨折などがあげられます。

病気によるものとしては、栄養不足で骨が脆くなる場合や、骨の腫瘍などで脆くなって骨折を起こす場合などがあります。

猫の骨折の原因で多いものとしては飼育方法により異なり、室内外で飼っている猫はベランダなどの高いところから飛び降りた際に骨折することが多く、室外で飼っている猫では交通事故などによる骨折が多いです。

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猫の骨折の見分け方は?

猫が骨折した場合の一般的な症状として、痛めた脚を挙上(地面につかないようにする)して歩く姿がみられることが多いです。四肢の骨折(とくに大腿骨や上腕骨など)が起きた場合には体重を支えることができないため、罹患した脚を引きずって歩いたり、着かずに歩いたりします。

また、患部に腫れや内出血が認められることもあります。骨折が生じた場合にはその周囲の軟部組織にもの損傷が起きている可能性が高く、内出血を起こし皮膚が紫色に変色したり、炎症で腫れ上がったりすることがあります。一般的には患部を触ると顕著に痛がる様子がみられることが多いですが、猫では折れた部位を気にしてしきりに舐めるしぐさがみられることもあります。

逆に丸まってしまって動こうとしない場合も、どこか骨折している可能性を考えなくてはいけません。

こんなときは要注意!猫が骨折している場合のしぐさ

こんなときは要注意!猫が骨折している場合のしぐさ

これらの症状がみられ、いつもと比べ様子がおかしいなどがあれば動物病院を受診して、身体検査や必要があればX線検査を実施してもらいましょう。状況によってはCT検査等が必要になることもありますが、細かな骨折でないかぎりはX線検査でみつけられることが多いです。

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猫の骨折の治療法は?

猫の骨折の治療法は?

治療法には大きく分けて「内固定」と「外固定」があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、年齢や骨折の分類、本人の性格などから固定法を組み合わせて治療にあたります。創外固定や外副子固定などは気にしてしまう猫が多いため、内固定が選択されることが多いです。

手術後は1~2ヵ月ごとにX線検査を実施し、骨癒合の状態を確認して少しずつスクリューを抜いたり、プレートを外したりしていきます。また、例外的に指先の骨の骨折などの小規模の骨折の場合は治療をせずに自然治癒を待つこともあります。

骨折した部位を固定する「内固定」

内固定とは、鋼線やプレート、スクリューなどを用いて身体の中で直接骨折した部位を固定する方法です。

直接固定する(内固定)の種類

プレート 金属製のプレートを骨折部位に当て、スクリューで骨に止めて固定する方法。
髄内ピン Kワイヤー(キルシュナー鋼線)という先の尖った針金を骨に刺し、折れたところをつなげて固定する方法。
サークラージワイヤー 骨折部位にワイヤーを巻き、骨を固定する方法。
インターロッキングネイル 回転性および軸性の負荷に対して抵抗力を持つロッキングメカニズムを備えるようにデザインされた髄内ピンを用いる方法。特殊なロッキング装置(髄内ピンに噛み合うようにスクリューを数本設置)により皮質骨に固定されます。

ギプスなどで皮膚の外から固定する「外固定」

外固定とは、ギプスなどで皮膚の外から固定する方法です。

皮膚の外から固定する(外固定)の種類

外副子固定 金属製のプレートを骨折部位に当て、スクリューで骨に止めて固定する方法。
創外固定法 Kワイヤー(キルシュナー鋼線)という先の尖った針金を骨に刺し、折れたところをつなげて固定する方法。

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猫の骨折の治療にかかる費用は?

猫の骨折の治療にかかる費用は?

骨折の治療にかかる費用は病院によって異なりますが、まずX線検査を実施して骨折を診断するのに1万2,000円程度の費用がかかります。猫が暴れてしまう場合や痛がってしまう場合などは麻酔をかけてX線検査をする必要があるのでその際にはプラスアルファの費用がかかります。

手術は固定法の選択によって費用が大きく異なります。単純な骨折で髄内ピンなどの比較的簡単な手術では数日の入院を含めて20~30万円、プレートを使って手術をする場合は使用するプレートの種類によっては25〜50万円と幅があります。複雑骨折でいろんな固定法を組み合わせたり、入院期間が長くなったりするとさらに費用がかかることが予想されます。

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猫の骨折の予防法は?

猫の骨折の予防法は?

交通事故を防ぐために外には出さないのが理想でしょう。極力ベランダには出さないようにすることも重要です。なかにはフローリングで脚を滑らせる子もいるので、滑り止めを敷いたり、足裏の毛を短くしたりするなどの日々のお手入れも大事です。爪が長いと不自然に爪が引っかかってしまい、捻挫や骨折を起こす猫もいますので爪切りもこまめにしてあげましょう。

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ライター情報

獣医師小林こばやしたくみ

小林 巧
所属
Sho Animal Clinic(しょう動物病院)
略歴
1989年 静岡県浜松市に生まれる
2008年 宮崎大学 農学部獣医学科に入学
2014年 獣医師国家資格取得
2014年 東京都内の動物病院に勤務
2018年 埼玉県内の動物病院に勤務
2022年 Sho Animal Clinic に勤務
所属学会
獣医麻酔外科学会、日本獣医がん学会
資格
獣医師免許

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(掲載開始日:2023年11月27日)
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