猫も胃腸炎になる?何が原因?症状や治療法についても解説

猫も胃腸炎になる?何が原因?症状や治療法についても解説
公開日:2024年1月23日

猫にも胃腸炎があります。猫が胃腸炎になると、下痢や嘔吐などの症状がみられることがありますが、人と同じように「胃腸炎」といっても食事、感染症、誤飲、ストレスなど考えられる原因はさまざまです。ひとくくりに呼ばれているだけですので、症状がみられたら愛猫がどういう状態なのかしっかり観察しましょう。

猫の胃腸炎とは

なんらかの原因によって胃や腸に炎症が起きている状態を「胃腸炎」といいます。嘔吐や下痢などの症状がみられる際の総称です。急性胃腸炎と慢性胃腸炎に大きく分けられます。

猫の胃腸炎の症状

猫の胃腸炎の症状

急性胃腸炎

突発的に嘔吐や下痢の症状が出た場合、急性胃腸炎と呼ばれます。
1日~2日で自然と回復するような軽度のものから、よだれが流れたり何度も吐いたり、水様性の下痢を1日に何回もするなど激しい症状のものもあります。

慢性胃腸炎

食欲不振や下痢や嘔吐といった消化器症状が2週間ほどの長期間続く場合、慢性胃腸炎と呼ばれます。改善したようでも、一定期間をあけて同じような症状が出ることもあります。

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猫の胃腸炎の原因として考えられるもの

猫の胃腸炎の原因として考えられるもの

胃腸炎とひとくくりに呼ばれても、その原因はさまざまです。原因がわからないまま改善することもあれば、原因を特定してぴったりの治療にたどり着くまでに時間がかかることもあります。かかりつけの獣医師と一緒に状態を把握しながらの経過観察が大切です。

食事

与えている食事が愛猫に合わない、与えている量が多すぎるなど、食事内容が原因で胃腸炎を起こしている場合があります。
日常的に与えているものはもちろん、トッピングやおやつやサプリメントについても考える必要があります。

受診の際は愛猫にどんなものをどの量で与えているのかしっかり説明できるようにメモしていきましょう。

愛猫をお家に迎えた記念日などに普段与えていない特別な食事内容にすることも、嘔吐や下痢の原因になってしまうことがあります。

異なるメーカーのものや、同じメーカーでもシリーズが異なるなど食事内容を変更したときにも、消化器症状は起こりやすいです。突然変更した場合に気をつけてあげるのはもちろんですが、治療目的で食事内容を変更する場合にも影響を受けることがあります。食事の切り替えは少しずつ新しいものを加えながら、だんだんと新しいものの比率が多くなるように、ゆっくり丁寧におこなうことを基本としながら、かかりつけの獣医師に指示を仰ぎましょう。

感染症

細菌やウイルスをはじめ寄生虫に感染したことで胃腸炎を起こしている場合もあります。
糞便検査を何度もやってようやく原因が特定されることもあるので、お家にお迎えする前やお迎え直後の結果にとらわれずに、症状が出た場合は糞便検査が必要になると考えて受診の際は便も一緒に持っていくことをおすすめします。

誤飲

猫じゃらしをはじめとした玩具を出したまま飼い主さんが就寝してしまい、起床時に玩具の一部がなくなってしまっているなど、猫の誤飲はとても多いです。

異物が消化管内にあることで、炎症の原因になっている場合があります。異物はもちろんですが、猫自身の被毛が消化管内に溜まってしまっていることもあります。

その他、植物など猫にとって中毒を起こす物質を口にしたことが原因で胃腸炎になっている場合もあります。愛猫の生活スペースに猫にとって危険なものがないか確認しましょう。物質によっては亡くなる原因にもなります。

洗剤や消臭スプレーなどは、猫が直接口にせずとも、猫は全身を毛づくろいするので、猫の体表に付着したものは最終的に舐めとられる可能性があることまで考えましょう。アロマオイルや芳香剤は猫の生活エリアでの使用はやめましょう。

さまざまな食べ物があるキッチンに猫が立ち入らないようにエリア分けすることも予防策のひとつです。

ストレス

来客があった、近隣で工事をしているなど、ストレスがかかったことで消化器症状を起こすこともあります。
愛猫がどんなことが苦手で、どんな工夫をすると乗り越えられるか、気持ちを落ち着かせてあげられるのかを把握しておくことも飼い主さんの大切な役割のひとつです。日頃から、愛猫の好きなこと嫌いなことをしっかり見極めておく必要があります。

その他

自己免疫疾患や、腫瘍の影響など、何らか病気が隠れている場合があります。
嘔吐や下痢はさまざまな病気にみられる症状です。安易に考えずに症状がみられた場合は動物病院を受診し、状態に応じて必要な検査をかかりつけの獣医師の判断のもと実施してもらい、原因や治療法を探していく必要があります。

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猫の胃腸炎には対症療法をしながらそれぞれの治療を

原因に応じて治療が異なるのはもちろんですが、脱水している場合の点滴など症状に応じた治療をしていくと結果的に治療が同じようになることもあります。

何度か受診を経験すると、検査に必要性を感じなくなってしまう飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、その都度状態を把握することは治療するうえでとても大切なことです。かかりつけの獣医師とよく相談しながら、愛猫の状態をしっかり診察してもらったうえで治療をすすめてもらいましょう。

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まとめ

日頃から愛猫をよく観察し記録を残しておくことはとても大切

嘔吐や下痢の症状を具体的に獣医師に伝えることができるように、日頃から愛猫をよく観察し、記録を残しておくことはとても大切です。

動物病院を苦手な猫が多いため、嘔吐や下痢の際は受診のタイミングを悩まれる飼い主さんも多いですが、獣医師にその時その時の状態を診てもらうようにしましょう。

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ライター情報

獣医師笹尾ささお美香みか(旧姓:濵口)

濵口 美香
所属
猫の診療室モモ 勤務医
略歴
1988年 鹿児島県に生まれる 牛舎と鶏舎がご近所で動物に囲まれて育つ
1991年~2007年 長崎に引っ越し 猫との生活を始める
2007年~2013年 麻布大学獣医学部獣医学科卒 在学中ツシマヤマネコの普及啓発活動に取り組む
2013年~2016年 千葉県の犬猫動物病院にて勤務
2016年 動物保険会社へ転職 動物病院での診察業務・ペットショップの子犬子猫の往診・イベントでの健康相談業務・動物看護専門学校での講師を務める
2017年 子育てに専念
2018年~現在 品川区の猫の診療室モモにて勤務
2022年~Luna spay clinic 開業
資格
獣医師免許、JSFM CATvocate認定プログラム修了

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(掲載開始日:2024年1月23日)
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