高齢のせいだけではない!シニア期の愛猫に見逃されがちな病気とは?

高齢のせいだけではない!シニア期の愛猫に見逃されがちな病気とは?
公開日:2024年1月23日

年齢に伴い、筋力が衰えてくるのは猫もおなじ。「うちの猫も年とったからな~」と異変を感じても年齢のせいにしてしまっていませんか?問題ないようにみえていても、実は病気が隠れている可能性があります。
加齢が影響しているとしても、より穏やかに過ごしてもらうためにできることがたくさんあります。愛猫がシニア期に入ったときに気をつけてあげたいことをお話しします。

いつから高齢?猫は7~8歳くらいからシニアさんに

猫の平均寿命は15歳くらいといわれるように長生きする猫さんが増えてきたとはいえ、7~8歳くらいからはシニアに仲間入りです。
キャットステップの高さを見直したり、食事内容を見直したり、好みの変化がないか、苦手なことが増えていないか丁寧に観察してあげましょう。

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シニア(高齢)猫の行動範囲が減っていないか

まどろむシニア猫

動く機会が少なくなっていたり、階段の上り下りをしたりする姿をみないようになると、「年を取ったな~」といわれがちですが、どこかに痛みがある場合が多いです。レントゲン撮影などによって痛みの発生しやすい場所が特定されることもありますが、とくにみつからないこともあります。

かかりつけ医と相談の上、関節を保護するサプリメントを試してみたり、愛猫の様子によって痛み止めを利用したりしながら、行動範囲が広がるかなどを確認することで痛みの有無を確認してあげることもできます。
寝ている時間が増えたのは、体調が悪いせいかもしれません。よく様子を観察しましょう。

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シニア(高齢)猫のお口の中のチェックを

歯をチェックされる猫

愛猫の歯の様子、確認されたことはありますか?歯石がかなり付着していたり、ぐらついている歯があったり、歯肉が腫れていたりとシニア期はお口のトラブルも増えてきます。

歯の根本で炎症が起きていて、頬や鼻の方まで腫れることもあります。膿が破裂して頬に傷ができてから気づく場合もあります。吐血や鼻血などの症状の原因になることもあります。

歯の状態が悪く、痛みで食事がしにくいものの、シニアのため麻酔が心配で歯科処置ができない、腎機能が低下しているため痛み止めが使いづらいというケースも多いです。

無理だと最初からあきらめられていることの多いデンタルケアですが愛猫が高齢になったときに習慣づけておけばよかったと後悔される飼い主さんが多いです。子猫じゃないから無理なんてことはありません。毎日少しずつ、まずは口周りを触らせてもらうことからはじめましょう。

もちろん定期的にかかりつけ医に確認してもらうことも大切です。

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シニア(高齢)猫の飲水量のチェックを

水を飲む猫

1日どのくらいの水分を摂れているのかも気にしてあげましょう。あたたかいお湯の提供や、ウェットフードを活用することもおすすめです。

腎機能の低下や、糖尿病など病気の影響で飲水量が増えることがあります。たくさん飲んでいるから大丈夫と考えずに、1日の飲水量が体重×100ml程の場合やお水を与えると空っぽになるのが早いなと感じる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

異常に増えた場合でなくても、日々の飲水量からの変化によって早期的に異変に気づいてあげることができるので、ぜひ、日頃からチェックしてあげてください。

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シニア(高齢)猫が元気にみえるのは甲状腺機能亢進症かも?

おもちゃでじゃれる猫

食欲旺盛だし、以前より食に執着しているし、お水もたくさん飲むし、よく部屋を走り回るし、大きな声で鳴くし、年齢の割にはとても活発で元気だと思われている猫の中には甲状腺機能亢進症になっている猫もいます。

一見すると調子が良くみえることもありますが、心臓をはじめ全身に負担がかかるものです。たくさん食べているのに痩せてしまうのも症状のひとつです。

腎機能が低下していることが、甲状腺機能亢進症によって隠されてしまっていることもあるので、定期的なチェックが必要になります。

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シニア(高齢)期の猫は半年に1回の健康診断を

診察される猫

元気なときにするのが健康診断です。気になることが何もなくても、シニア期には半年に1回は健康診断に連れていきましょう。

高齢になってから受診の頻度が増えるようになり、受診のたびに採血や注射などをされれば、動物病院もキャリーも嫌になることは当たり前です。若いうちから病院にいって体重を計ったり、おやつを食べたりして帰るなど動物病院を好きなところにしておき、定期受診が必要になっても、体重だけ計る日を設けてもらう等、動物病院を毎回嫌なことがある場所にしない工夫も必要です。

かかりつけ医と長いお付き合いをしながら、愛猫がつらい受診ばかりの日々にならないように元気なうちから準備しておきましょう。

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猫のシニア(高齢)期には日頃の記録が大切

飼い主と戯れる猫

便秘が当たり前になっていて何日排便していないか把握できていなかったり、食事量がじわじわ減ってはいたものの完全に食べなくなるまで受診のタイミングを見逃していたりと、シニア期は小さな変化が続くことが多いので飼い主さんもそれを当たり前にしてしまいがちです。

カレンダーにちょっと記入するだけでも、いつ頃からどんな様子なのか振り返ったり、そろそろ受診しようというきっかけになったりするので、日々の記録はとても大切です。

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まとめ

痛みやつらさをじっと隠していることが多いのが猫です。薬やサプリメントで症状を緩和することで穏やかなシニアライフを提供できることもあります。
まずは飼い主さんが異変に気づいてあげることが重要です。日頃からよく観察し、定期的に受診して愛猫に必要なケアを動物病院スタッフと一緒に考えていきましょう。

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ライター情報

獣医師笹尾ささお美香みか(旧姓:濵口)

濵口 美香
所属
猫の診療室モモ 勤務医
略歴
1988年 鹿児島県に生まれる 牛舎と鶏舎がご近所で動物に囲まれて育つ
1991年~2007年 長崎に引っ越し 猫との生活を始める
2007年~2013年 麻布大学獣医学部獣医学科卒 在学中ツシマヤマネコの普及啓発活動に取り組む
2013年~2016年 千葉県の犬猫動物病院にて勤務
2016年 動物保険会社へ転職 動物病院での診察業務・ペットショップの子犬子猫の往診・イベントでの健康相談業務・動物看護専門学校での講師を務める
2017年 子育てに専念
2018年~現在 品川区の猫の診療室モモにて勤務
2022年~Luna spay clinic 開業
資格
獣医師免許、JSFM CATvocate認定プログラム修了

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(掲載開始日:2024年1月23日)
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