ラブラドールレトリバーの特徴とは?なりやすい病気についても解説

ラブラドールレトリバーの特徴とは?なりやすい病気についても解説
公開日:2023年12月12日

ラブラドールレトリバーは、友好的な性格と学習能力の高さで家庭犬としてだけではなく警察犬や盲導犬などでも活躍する犬種です。
この記事では、ラブラドールレトリバーの特徴となりやすい病気について詳しく解説します。

ラブラドールレトリバーはどんな犬?

ラブラドールレトリバーはどんな犬?

ラブラドールレトリバーの性格

ラブラドールレトリバーは、飼い主の指示に献身的に取り組み、温和で優しい性格の犬種です。しかし、幼犬~2歳くらいの時期までは元気いっぱいのやんちゃな性格で、成犬時の穏やかさとはイメージが異なるかもしれません。

この時期には、極端に甘やかすことなく基本的なしつけをおこなうことや、運動と遊びなど犬と向き合う時間を多くとることが大切です。学習能力が高くしつけしやすい犬種ですが、力が強いため飛びつきやリードの引っ張りに対しては、制止できるようにとくにしっかりしつける必要があります。

ラブラドールレトリバーのルーツ

レトリバーとは、狩猟の際などに獲物を回収すること(retrieveレトリーブ;回収する、取り戻す)を得意とする犬種です。
同じレトリバーでも、水陸両用の鳥猟犬として作られたゴールデンレトリバーとはルーツが異なり、16世紀頃に北欧やイギリスの漁船に同乗してカナダのラブラドル半島に渡った犬がラブラドールレトリバーの起源だとされています。
当初は網からこぼれた魚を海中から拾うという使役犬でしたが、19世紀初頭にイギリスに送られて水鳥を回収する犬として改良されたといわれています。

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ラブラドールレトリバーの身体的特徴

ラブラドールレトリバーの身体的特徴

被毛はダブルコート(オーバーコートと保温や保湿の役割をするアンダーコート)で、被毛の長さは短めですが1年を通して抜け毛が多い犬種です。

体重は25kg~34kg、体高は56㎝前後の大型犬で、筋肉が発達したがっしりした体型です。大型犬なのでかなりの運動量が必要で、日々のお散歩以外にも広い場所でのボール遊びやレトリバーが得意とする宝探しの遊びを加えることをおすすめします。

泳ぎも得意で、舵の役割をするオッターテール(カワウソの尾)という尾の形も特徴的です。

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ラブラドールレトリバーがなりやすい病気

ラブラドールレトリバーがなりやすい病気

ラブラドールレトリバーが他犬種と比較してなりやすい病気は、変形性関節症や股関節形成不全などの関節疾患や耳血腫などの耳の疾患、さらに脂肪腫や全身性の腫瘍です。

関節疾患

ラブラドールレトリバーの関節疾患はおもに以下の2つです。

変形性関節症

変形性関節症とは、関節軟骨(関節の中の骨の骨端の表面にある軟骨)が徐々に損傷される疾患です。前肢・後肢ともに他の整形外科疾患がおもな原因で起こることが多く、中~老齢期の犬に多いといわれていますが、若い犬でも発症することがあります。
おもな症状は、痛みによる跛行(はこう:足をひきずってあるくこと)で、病状によって跛行の程度は異なります。
治療方法は、痛みの緩和による対症療法やリハビリ、体重管理が一般的です。

股関節形成不全

股関節形成不全は、股関節を形成する寛骨の関節窩が浅い、大腿骨の骨頭が平たいなどの原因で、骨盤の骨と後肢の骨がかみ合わなくなる疾患です。
股関節形成不全は、発育障害のひとつで初期症状は生後4ヵ月~12ヵ月齢でみられることが多く、遺伝的な要因が大きいといわれています。
治療は、痛みの緩和による対症療法やリハビリ、体重管理などの内科療法が一般的ですが、年齢と病状によっては外科手術をおこなうケースもあります。

耳の疾患

次に、耳の疾患の中でもとくに多い外耳炎と、ラブラドールレトリバーに多い耳血腫について解説します。

外耳炎

外耳炎とは、鼓膜の手前の耳道(外耳)に炎症が起こることをいいます。
かゆみや痛みが生じる場合が多く、耳の後ろをいつも掻いている、頭を振るなどの症状がみられます。
外耳炎の原因は、真菌や細菌感染、耳ヒゼンダニなどの寄生虫、アトピーやアレルギー疾患、内分泌疾患、異物、腫瘍などさまざまです。

また、過剰な耳洗浄や綿棒を用いたセルフケアが原因となる場合もあります。
外耳炎の治療は原因によって異なりますが、基本的には点耳薬や抗生剤、消炎剤などの内服薬、駆虫薬の投薬など内科治療をおこないますが、耳道を切除する全耳道切除手術をおこなうケースもあります。

耳血腫

耳血腫は、耳介(耳たぶ)内にある血管が破れ、皮膚と耳介軟骨の内側に血液や漿液が貯まる疾病です。耳介の内側がぷっくり膨らむため、耳を頻繁に掻く、頭を振るなどの症状がみられます。

外耳炎などに伴い、耳を掻く、頭を激しく振るなどの耳介への外的な刺激がおもな原因ですが、外耳炎だけではなく、自己免疫疾患やアレルギー疾患などにより耳血腫になりやすい犬もいます。

耳血腫を放置しておくと耳が萎縮したり変形したりしてしまうため、治療が必要です。治療は、耳介に針を刺して溜まっている液体を抜きステロイド等を投与する方法、内服薬の投薬が一般的ですが、外科治療をおこなう場合もあります。

腫瘍

腫瘍は、正常な細胞が変異することが原因で起こります。腫瘍には良性と悪性があり、ラブラドールレトリバーに多い脂肪腫は、大きくなることや多発することはありますが、脂肪細胞由来の良性腫瘍です。

また、ラブラドールレトリバーは他犬種に比較して良性よりも悪性の腫瘍の方が多く、中でも皮膚とその周辺組織の悪性腫瘍が多いというデータがあります。

皮膚の悪性腫瘍は扁平上皮がん、肥満細胞腫、悪性黒色腫、皮膚型リンパ腫、肛門周囲腺がん、アポクリン線がんなどさまざまで、治療は基本的には外科手術をおこない、病理診断を実施します。また、腫瘍によって異なりますが、必要に応じて抗がん剤等の治療をします。

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まとめ

ラブラドールレトリバーは海や山などにお出かけして楽しめる犬

ラブラドールレトリバーのルーツは漁師を手伝う使役犬で、学習能力が高い上に人間に対して友好的な犬種です。
関節疾患と歳を重ねてからの腫瘍が気になる犬種ですが、ラブラドールレトリバーは、海や山など色々なところに一緒にお出かけして楽しめる理想的な家庭犬になれる犬種です。

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ライター情報

獣医師大熊おおくま真穂まほ

大熊 真穂

動物病院で臨床獣医師として勤務しながら、専門知識や経験を活かして各種メディアや個人サイトでライターとして情報を発信しています。ライフワークは「ペットと飼い主様がより元気で幸せに過ごすお手伝いをする」ことです。

ドリトルけいのいぬねこ健康相談室

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(掲載開始日:2023年12月12日)
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