子ども保険(学資保険)とは?必要性や注意点、そのほかの保険も紹介
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子ども向けの保険にはいくつかの種類があり、教育資金や医療、傷害、損害賠償責任などの備えたい目的に応じて、学資保険や医療保険、傷害保険、個人賠償責任保険などから選ぶ必要があります。
一般的に、「子ども保険」とは子どもの教育資金を準備するための貯蓄型保険で、学資保険とも呼ばれます。これまで、子どもが幼稚園から大学まで通うには、公立で一貫しても800万円以上の教育費を用意しなければならないといわれてきました。一方、昨今は幼児教育や高校・大学などにおいて、幅広く教育費の無償化が進められています。
子ども保険は、保障を得ながら子どもの教育資金を計画的に用意できる保険商品ですが、実際に必要かどうかわからず迷っている方もいるでしょう。
この記事では、子ども保険の必要性と注意点、選び方、教育費の目安を解説します。
INDEX
子ども向けの保険にはどんな種類がある?
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まずは、子ども向けのおもな保険に加入するタイミングとあわせてご紹介します。
子ども向けの保険の種類
保険の種類 | 目的 | 加入を検討したいおもなタイミング |
---|---|---|
子ども保険(学資保険) | 子どもの教育資金に備える | 子どもが生まれる前や子どもが生まれてすぐの時期 |
医療保険 | 病気やケガに備える | 子どもが生まれてすぐなど、なるべく早い時期 |
傷害保険 | 入院・通院やケガで死亡したとき、日常生活におけるケガに備える | 保育園・幼稚園に入るときやスポーツを始めるときなど、活発に動き始める時期 |
個人賠償責任保険 | 日常生活で他人にケガをさせた、他人のものを壊して損害賠償責任を負ったときに備える | 保育園・幼稚園に入るときやスポーツを始めるときなど、活発に動き始める時期 |
上記のような子ども向けの保険について、それぞれみていきましょう。
子ども保険(学資保険)
子ども保険(学資保険)とは、子どもの教育資金に備える貯蓄型保険です。子どもの成長にあわせて、祝金や満期保険金を受け取ることができます。
入学(小学校、中学校、高校、大学)のタイミングで祝金や満期保険金を受け取ることができるものや、大学入学時と在学中に毎年祝金(学資年金)を受け取ることができるものなど、タイミングは保険やプランによってさまざまです。
また、子ども保険(学資保険)には配当金のあるタイプと配当金のないタイプの商品があります。なお、配当金とは、運用成果による剰余金が生じた際、契約者に支払われるお金のことです。
一般的に、親や祖父母などの保護者が契約者として子ども保険(学資保険)に加入し、保険料を払込みます。
契約者(一般的には被保険者の親)が死亡したときや高度障害状態になったとき、または不慮の事故で一定の期間内に所定の障害状態になったときは、以後の保険料の払込みが免除される特約や特則を付加できる商品もあります。
医療保険
医療保険は、病気やケガで入院や手術、通院をした際に給付金を受け取ることができる保険です。
一般的に、子どもが病気やケガで病院にかかったときは、自治体による助成(子ども医療費助成制度)が受けられるため、医療費が高額になることはあまりありません。
しかし、各自治体が子どもの医療費に関して助成をおこなっているものの、(公財)生命保険文化センターの調査によれば、58.1%と半数以上の方が医療費を保障する保険に加入したいと考えていることがわかります※1。
通常、健康保険適用外の先進医療費や差額ベッド代、入院時の食事代などは助成対象となりません。また、自治体によって、助成対象となる子どもの年齢の上限が異なります。また、子どもの付き添いで親が一緒に入院するケースもありますが、親が付き添いで仕事を休むことになれば収入が減ってしまったりする可能性があります。遠方の病院での治療が必要になるなど、交通費の負担がかさむこともあるでしょう。
このような場合に、医療保険に加入しておけば、公的医療保険でまかなえない費用に備えられます。
傷害保険
傷害保険とは、日常生活のケガに備える保険です。ケガで死亡したときや、後遺障害、入院・通院したときに保険金が支払われます。以下は補償対象となる一例です。
【傷害保険の補償対象例】
- 交通事故に遭い死亡した
- 自転車で転んでケガをした
- スポーツ中にケガをした
- 部活動や学校の行事でケガをした
傷害保険で補償されるのは急激、偶然、外来の事故によるケガの場合で、病気は対象にはなりません。
子どもの不慮の事故による死亡は、病気を含む死因のなかでも上位を占めます。子どもが保育園・幼稚園に通い始めた、スポーツや部活動を始めたなどのタイミングで、傷害保険への加入を検討すると良いでしょう。
個人賠償責任保険
個人賠償責任保険は、日常生活で他人にケガをさせた、あるいは他人のものを壊したなどで、法律上の損害賠償責任を負ったときに補償される保険です。ただし、他人から借りたものを破損した場合や、業務中の事故など、補償の対象とならないケースもあります。
補償対象、補償対象外の事故の例
補償対象となる事故 |
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補償対象とならない事故 |
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日常生活で起こり得るトラブルは、さまざまです。たとえば、子どもが自転車事故で歩行者などにケガをさせてしまった場合、保護者が高額な損害賠償責任を負う可能性があります。過去には、9,000万円を超える賠償金支払いを命じられた事例も複数起きています。
自転車対歩行者事故(自転車が第1当事者※2)の年齢層の内訳を見てみると、19歳以下が3割以上を占めており、子どもが当事者になる可能性はけっして低くないことがわかります※3。いざというときに備え、個人賠償責任保険への加入も検討しましょう。なお、個人賠償責任補償は、自転車保険に加入することで備えることもできます。自転車保険は賠償責任を補償する「個人賠償責任保険」と、ご自身や家族のケガを補償する「傷害保険」が組み合わさった保険であるためです。
個人賠償責任保険は、自動車保険や傷害保険、火災保険など、さまざまな保険の特約として付加できます。また、単独での加入やクレジットカードに付帯させられる場合もあります。
ただし、複数の保険に加入していても補償内容が重複している場合、実際の損害額までしか補償されないため、重複加入に注意しましょう。
※2 第1当事者とは、もっとも過失の重い者のことです。
子どもにかかる教育費はいくら?
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子どもが公立と私立のどちらに進学するかによって大きく変わりますが、教育費は生涯でもとくに大きな支出のひとつです。
文部科学省の調査をもとに、幼稚園から高校まで全て公立に通った場合と、全て私立に通った場合の教育費の目安を計算し、下表にまとめました。高校を卒業するまでの学費の目安は、公立の場合で約576万円、私立の場合で約1,840万円かかる計算です。
幼稚園~高校までの教育費の目安
区分 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園 | 49万5,378円 | 92万6,727円 |
小学校 | 211万5,396円 | 1,000万1,694円 |
中学校 | 161万6,397円 | 430万9,059円 |
高校 | 153万8,913円 | 316万3,332円 |
合計 | 576万6,084円 | 1,840万812円 |
また、大学の入学・在学にかかる費用の目安はそれぞれ以下のとおりです。
大学教育費の目安
①初年度納付金 | ②2年目以降納付金 | 合計(①+②×3または5) | |
---|---|---|---|
国立大 (4年間) |
81万7,800円 | 53万5,800円 | 242万5,200円 |
公立大 (4年間) |
91万562円 | 53万6,191円 | 251万9,135円 |
私立大文系 (4年間) |
127万5,749円 | 97万973円 | 410万7,759円 |
私立大理系 (4年間) |
160万8,576円 | 129万5,694円 | 541万7,532円 |
私立大医歯系 (6年間) |
628万5,110円 | 374万4,279円 | 2,354万3,099円 |
単純に計算すると、幼稚園から大学まで全て公立に通った場合で820万円~830万円程度、全て私立に通った場合は2,250万~2,380万円程度(私立大医歯系の場合は4,190万円程度)の教育費がかかることがわかります。
前述のように、教育費は幼稚園から大学までの期間でみると、まとまった金額が必要になります。しかし昨今、教育費を取り巻く環境は大きく変わってきています。
具体的には、幼児教育・保育の無償化、高校・大学の授業料などの無償化が進められるなか、家計における教育費の負担は軽減されつつあります。しかし、習い事など授業料とは別に子どもにかける費用は増えている現状があります。また、無償化制度が始まっても世帯所得の高い家にとってはさまざまな所得制限もあるでしょう。
そのため、子どもの将来の選択肢を広げるためにも、教育資金は計画的に備えておくことが望ましいといえるでしょう。
子ども保険(学資保険)の必要性は?
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子どもの教育費を早くから計画的に準備したいと考えつつも、子ども保険は必要か迷っている方もいるかもしれません。そこで、子ども保険(学資保険)の必要性を解説します。
【子ども保険(学資保険)の必要性】
- 万が一のときの保障がある
- 教育資金を計画的に貯められる
- 払込んだ総額よりも多い金額を受け取ることができる可能性がある
- 生命保険料控除が受けられる
万が一のときの保障がある
子ども保険(学資保険)の大きな特徴は、預貯金とは違い、死亡時や高度障害状態など万が一のときの保障がある点です。
保険会社によっては、契約時に特約や特則を付加することにより親などの契約者が死亡や所定の高度障害状態となった場合、以降の保険料の払込みが免除される商品もあります。また、保険料の払込みが免除されても、祝金や満期保険金は予定どおり支払われます。
同様のことが起こった場合、預貯金では貯蓄を継続できなくなるため、教育資金を用意できない可能性があります。しかし、子ども保険(学資保険)なら、保険料の払込みが免除された後も、払込みがあったものとして教育資金を受け取ることができるため安心です。
教育資金を計画的に貯められる
子ども保険(学資保険)は、一定額の保険料を口座振替などで払込めるため、必要な教育資金を着実に貯められます。
なかには、教育資金を準備する手段として、終身保険を検討している方もいるのではないでしょうか。終身保険は、保障が一生涯続く死亡保険で、死亡または所定の高度障害状態になった場合に保険金が支払われます。
終身保険の活用方法としては、保険料払込期間を一定の年齢までに設定し、保険料払込期間満了後の解約返戻金によるリターンを期待する、という方法があります。したがって、保険料払込期間終了後、払込保険料の総額より多くの解約返戻金を受け取ることができるタイミングで終身保険を解約し、教育資金にあてることもできます。
ただし、保険料払込期間中に解約すると、解約返戻金は既払い保険料の総額よりも少なくなってしまう点に注意が必要です。また、商品やプランによっては保険料払込期間満了後に解約しても解約返戻金が既払い保険料の総額を超えないこともありますので、加入・解約の際は契約プランをしっかりと確認するようにしましょう。
なお、当然ですが保険は解約してしまうとその後の保障はなくなります。年齢、既往症や持病などが理由で新たな保険への加入が難しいケースもありますので、解約の検討は慎重におこないましょう。
終身保険の解約返戻金は老後資金などさまざまな準備に活用できるため、教育資金以外の用途で必要となる可能性もあるでしょう。
払込んだ総額よりも多い金額を受け取ることができる可能性がある
子ども保険(学資保険)で受け取ることができる祝金や満期保険金の総額は、一般的に払込保険料総額よりも大きくなります。また、子ども保険(学資保険)の返戻率は、預貯金の金利よりも高い傾向にあり、預貯金としておいておくよりも多くの教育資金を用意できる可能性があります。
なお、返戻率とは、払込保険料の総額に対する受け取り総額の割合をパーセンテージで示したものです。以下が返戻率の算出方法です。
【返礼率の算出方法】
- 返戻率=受け取り総額÷払込保険料総額×100
返戻率が100%を超えると、払込んだ保険料以上の保険金を受け取ることができます。ただし、保険料払込期間中に解約した場合など、受け取り総額が払込保険料の総額を下回るケースもあります。
生命保険料控除が受けられる
子ども保険(学資保険)で払込んだ保険料は、年末調整や確定申告で手続きすると、「生命保険料控除」が受けられます。
生命保険料控除とは、所得控除のひとつです。契約者(保険料負担者)の払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額がその年の所得から差し引かれるため、税率を掛ける前の所得が低くなることにより所得税、住民税の負担が軽減されます。
生命保険料控除は、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つに区分されますが、子ども保険(学資保険)で払込んだ保険料は「一般生命保険料控除」に該当します。
ただし、生命保険料控除が適用されるケースでも、いくらでも控除を受けられるわけではありません。生命保険料控除には、「生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」それぞれについて、適用できる限度額が決められており、一般生命保険料は、子ども保険(学資保険)で払込んだ保険料の金額に応じて、4万円(住民税は2万8,000円)までを控除できます。ただし、子ども保険(学資保険)だけでなく、終身保険や定期保険など契約している保険がほかにもあれば、それらの保険料も合算して控除額を算出する必要があります。
また、3つの生命保険料控除の合計にも控除限度額が設けられており、所得税は上限12万円、住民税は上限7万円と決まっています※4。
なお、子ども保険(学資保険)に医療保障特約などを付帯している場合には、一定の条件を満たせば、生命保険料控除に加え、介護医療保険料控除も適用できる場合があります。
※4 2012年1月1日以降に契約した場合です。
子ども保険(学資保険)にはいつから入るべき?
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子ども保険(学資保険)にいつから加入すべきか、迷っている方もいるのではないでしょうか。
子ども保険(学資保険)によっては、0歳や出生前(出生予定日の140日前など)から加入できる場合もあります。早く加入するほど保険料払込み期間が長くなり、保険料をおさえられるため、子ども保険の加入は早い段階で検討するのがおすすめです。また、契約時の年齢が若いほど、一般的に保険料は低くなります。
さらに、「5歳まで」「7歳まで」 など、加入できる子どもの年齢に上限が設けられているため注意しましょう。
子ども保険(学資保険)の注意点
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子ども保険(学資保険)に加入すると、子どもの成長にあわせて必要なタイミングで教育資金を用意できます。ただし、いくつか注意点もあります。以下で詳しく解説します。
【加入にあたって注意するポイント】
- 預貯金と違って気軽に引き出せない
- 途中解約すると払込んだ金額を返戻金が下回る場合がある
- インフレに対応しにくい
預貯金と違って気軽に引き出せない
子ども保険(学資保険)は、保障を受けながら、満期時にお金を受け取ることができる貯蓄型保険のひとつですが、預貯金のようにいつでも自由に引き出せるわけではありません。
満期まで使わないお金として無理のない金額で契約し、想定外の支出が生じたときも対応できるように子ども保険(学資保険)と預貯金で分けて備えるなどの方法を検討しましょう。
気軽に引き出せないことは、安易に取り崩してしまわない点では安心です。また、保険期間の途中でお金が必要になった場合には解約せず、「自動振替貸付」や「契約者貸付」を利用する方法もあります。
自動振替貸付と契約者貸付の内容
自動振替貸付 | 保険料を払込まないまま猶予期間を過ぎた際、解約返戻金の一定範囲内で保険会社が自動的に保険料を立て替えてくれる制度 |
契約者貸付 | 資金が必要になった際、解約返戻金の一定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度 |
※上記の制度の取り扱いは保険会社・商品によって異なります。
ただし、利息がかかる、元利の合計が解約返戻金を上回っても返済しない場合に契約が失効するなどの注意点もあるため、利用には慎重な検討が必要です。
途中解約すると払込んだ金額を解約返戻金が下回る場合がある
子ども保険も含めて、保険はいつでも請求によって解約でき、途中で解約するとそれまでに払込んだ保険料総額に応じて解約返戻金が支払われます。
しかし、払込んだ保険料の一部は、保険金の支払いや契約の締結、維持に必要な経費にあてられるため、解約返戻金は一般的に払込んだ保険料の総額よりも少なくなります。
なお、解約返戻金とは、保険契約を解約した際などに保険会社から契約者に払い戻されるお金です。とくに、契約後間もないときに解約すると、解約返戻金がまったくない、またはごく少額となります。
子ども保険(学資保険)に加入する際は、保険料払込期間中に保険料を払込み続けられるかをよく検討し、無理のない保険料で契約することが大切です。
インフレに対応しにくい
インフレが起きると、受け取る満期保険金の価値は相対的に下がります。
インフレとは、商品やサービスの値段(物価)が上がり、相対的にお金の価値が下がることです。たとえば、財布に100円が入っている場合、100円のジュースを1本購入できます。
しかし、ジュースの値段が2倍(1本200円)に上がると、100円で同じジュースを購入できません。これは、インフレによって相対的にお金の価値が下がってしまったためです。
子ども保険(学資保険)では、あらかじめ決めた祝金や満期保険金を受け取ることができます。ただし、こども保険(学資保険)は契約時の予定利率(保険会社が運用する際に約束する利率)で長期的に運用する商品が一般的であるため、インフレによって金利が上がってもその恩恵は受けられません(なお、一部商品には、予定利率を定期的に見直す利率変動型の子ども保険(学資保険)もあります)。
したがって、インフレが起こると、祝金や満期保険金の価値が当初想定していたよりも相対的に低くなってしまう可能性があります。
このように、インフレに対応しにくい点には注意が必要ですが、前述したとおり子ども保険(学資保険)の返戻率は普通預金の金利と比べると一般的に高めであるため、さまざまなことを考慮して加入を検討しましょう。
子ども保険(学資保険)を選ぶ際のポイント
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多くの保険会社が子ども保険(学資保険)を扱っており、祝金・満期保険金を受け取るタイミングは保険会社やプランによって異なります。そこでご自身にあった子ども保険(学資保険)を選ぶのが難しい方に向けて、選ぶ際のポイントを解説します。
【加入前に確認すべきポイント】
- 加入する目的を明確にする
- 保険料、払込期間を決める
- 返戻率を確認する
- 祝金や満期保険金の受け取り時期を決める
加入する目的を明確にする
まずは子ども保険(学資保険)に加入する目的を明確にしましょう。
子ども保険(学資保険)は、一般的に子どもの教育資金に備える保険ですが、死亡保障や医療保障を付けられる場合や、総合保障型(個人賠償責任補償も含む)の保険商品もあります。
ご自身の有事に備えたいなら育英年金特約などの死亡保障、子どもの病気やケガに備えたいなら医療特約を付加するのも手段のひとつです。なお、育英年金とは、契約者が病気やケガをした場合、祝金や満期保険金に加えて毎年受け取ることができる年金です。
ただし、特約を付加すると保障は幅広くなりますが、保険料も高くなり、返戻率が低くなる場合があります。契約しているほかの保険の保障内容も踏まえ、目的に応じたものを選びましょう。
保険料・払込期間を決める
子ども保険(学資保険)に加入するときは、保険料払込期間にわたって払込み続けられる保険料での契約設定にすることが大切です。
保険料の払込みが難しくなった場合、途中解約すると解約返戻金が支払われますが、払込んだ保険料を下回る可能性があります。
また、学資保険の保険料払込期間には、「全期払い」と「短期払い」があります。
学資保険の保険料払込期間
全期払い | 保険期間の全期間にわたって保険料を払込む方法 |
短期払い | 保険期間より短い期間で保険料を払込む方法 |
全期払いは、短期払いと比べて毎月の保険料が低くなるのが一般的です。一方、払込期間中に払込む保険料の総額は、短期払いの方が低くなる場合があります。
いつまでに払込みを終えたいのか、無理なく払込み続けられるかなどを踏まえて検討しましょう。
返戻率を確認する
返戻率とは、払込保険料の総額に対する受け取り総額の割合をパーセンテージで示したものです。前述しましたが、以下が返戻率の計算式です。
【返戻率の計算式】
- 返戻率=受け取り総額÷払込保険料総額×100
たとえば、払込保険料総額が100万円、祝金や満期保険金などの受け取り総額が103万円だった場合、返戻率は103%です。返戻率が高いほど、払込んだ保険料に対してより多くの祝金や満期保険金を受け取ることができます。返戻率を高くしたい場合に検討できるおもな方法は、以下のとおりです。
【返戻率を高くする方法】
- 保険料の払込期間を短くする
- 祝金や満期保険金の受け取り時期を遅らせる
- 保険料をまとめて払込む
- 早めに保険へ加入する
- 保障を必要なものだけにする
保険料の払い込み期間を短くすると返戻率は高くなりますが、加入年齢が早く払込期間が長いほど、保険料は安くなります。ご自身の資金と保険料とのバランスを確認し検討しましょう。
祝金や満期保険金の受け取り時期を決める
保険商品やプランによって、祝金や満期保険金を受け取るタイミングはさまざまです。
【受け取り時期の例】
- 小、中、高の入学時に祝金、大学入学時に満期保険金を受け取る
- 大学入学時にまとまった満期保険金を受け取る
- 大学入学時、在学中に学資年金を受け取り、卒業時に満期保険金を受け取る
たとえば、入学のたびに祝金を受け取ることができるタイプは、入学時の経済的な負担を軽減できます。
ただし、受け取り総額が同じ場合、大学入学時に受け取ることができる金額は入学時の祝金がないタイプと比べて少なくなります。また、途中で祝金があるタイプの保険は、受け取り総額が同じ場合、祝金がないタイプと比べて返戻率は低くなるのが一般的です。
満期保険金を一括で受け取るか、祝金も含めて複数回にわたって受け取るかによって税金の種類が変わる点にも注意しましょう。一括で受け取る場合は「一時所得」、年金のように祝金を複数回にわたって受け取る場合は「雑所得」として課税対象になります。
一時所得は、受け取った保険金の総額から既払込保険料の額を差し引き、さらに特別控除額50万円を差し引いた金額となります。
一時所得の金額=受け取った保険金の総額-既払込保険料-特別控除額(最高50万円)※
※満期保険金以外に一時所得がない場合
また、課税の対象になるのは一時所得の金額をさらに2分の1にした金額です。
一方、雑所得は、1年間に受け取った祝金の額からその金額に対応する払込保険料の額を差し引いた金額で、一時所得のような特別控除はありません。
一般的に、祝金・満期保険金の受け取り時期は予定より前に変更することはできません。ただし、保険会社によっては、利息をつけて受取金額を据え置きして保険会社に預けておき、受け取り時期を後にずらすことはできます。保険料や返戻率の違いも踏まえ、ご家庭のライフプランにあわせて受け取るタイミングを検討しましょう。なお、一般的にもっとも費用がかさむのは、大学入学の時期です。
子ども保険を選ぶときは保険の比較サイトがおすすめ
子ども保険にはさまざまな種類があり、祝金や満期保険金を受け取るタイミングも異なります。選択肢が多く、ご家庭のライフスタイルにあった保険を選びきれない方もいるでしょう。
子ども保険(学資保険)選びに迷ったときは、保険の比較サイトの活用がおすすめです。保険の比較サイトを利用すれば、複数の子ども保険(学資保険)の商品の払込期間や月額の保険料、満期保険金額などを比較できます。
医療保険や傷害保険など、子ども保険(学資保険)以外の子ども向け保険の比較・検討にも役立つため、ぜひご活用ください。
まとめ
子ども向けの保険には、教育費に備える「子ども保険(学資保険)」のほかに、医療保険や傷害保険、個人賠償責任保険などがあります。
一般的に子ども保険(学資保険)とは、子どもの教育費を計画的に用意するための貯蓄型保険です。教育資金を計画的に貯められるだけでなく、契約者である親に万が一のことがあった場合に備えることができます。
具体的には、契約者が死亡または所定の高度障害状態になると保険料の払込みが免除され、以降も予定どおりの祝金や満期保険金を受け取ることができます。
また、返戻率が高いほど、払込んだ保険料に対してより多くの祝金や満期保険金を受け取ることができます。一方、途中で解約すると、解約返戻金が払込んだ保険料を下回る可能性がある点に注意が必要です。
なお、子ども保険(学資保険)を検討するときは、保険の比較サイトを活用すると便利です。比較サイトを利用すれば、契約者の契約年齢や子どもの年齢などを入力することで月額の保険料や満期保険金額などを比較することができます。
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監修者情報
ファイナンシャルプランナー新井智美
![新井 智美](/uploads/img/column/fp/img_profile-02.png)
ファイナンシャルプランナー。2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定※を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談および提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。これまでの執筆・監修実績は3,000本以上。
- 資格情報
- 日本FP協会会員(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年12月19日)
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