iDeCo(イデコ)とは?個人型確定拠出年金のしくみや始め方などを解説

老後資金の準備に向けた資産形成の方法のひとつとして、iDeCo(イデコ)に注目する人が増えています。
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことです。公的年金に上乗せして任意で加入できる私的年金制度で、掛金と運用益は60歳以降に年金などとして受け取ることができるため、老後の生活費として活用できるとされています。しかし、iDeCoの詳しいしくみについてはあまりご存じない方も多いかもしれません。
この記事では、注目されるiDeCoの概要、利用するメリットや始め方を初心者にもわかりやすく解説します。
INDEX
iDeCo(イデコ)とは個人型確定拠出年金のこと

iDeCoとは、正式には個人型確定拠出年金といい、老後資金への備えを目的として任意で加入する私的年金制度のひとつです。
加入者がご自身で選んだ金融商品を、ご自身で設定した掛金でコツコツと積み立てて運用します。拠出した掛金とその運用益は、原則として60歳以降に老齢給付金(年金または一時金)として受け取ることができます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)のイメージ

そもそも、日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金保険の「2階建て」構造となっています。そこへ、私的年金であるiDeCoをプラスして「3階建て」構造とすることで、公的年金の不足分を補い、より豊かな老後生活を実現できる方法のひとつとされています。
公的年金とiDeCo(イデコ)の違い
iDeCoを正しく理解するために、まずは公的年金である国民年金・厚生年金と、私的年金であるiDeCoについて、具体的にどのような違いがあるのかを確認しておきましょう。
国民年金・厚生年金・iDeCoのおもな違い
国民年金 | 厚生年金 | iDeCo | |
---|---|---|---|
年金の種類 | 基礎年金 20歳以上60歳未満の国民全てが加入する |
基礎年金の上乗せ制度 会社員や公務員らが加入する |
確定拠出年金 任意で加入し、掛金の拠出や運用をご自身でおこなう |
掛金(保険料)金額 | 加入者全員が定額 月1万6,980円 (2024年時点) |
給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の18.3%を労使で折半した金額 | 月額5,000円以上(1,000円単位) 上限は職業により異なる |
掛金(保険料)の控除 | 社会保険料控除 | 小規模企業共済等掛金控除 | |
年金の受け取り開始時期 | 65歳以降 | 原則65歳以降※1 | 60~75歳※2 |
年金の給付方法 | 終身年金 | 有期年金または一時金 | |
掛金の運用指示 | なし | あり |
※1 国民年金・厚生年金の受け取り開始年齢は当初60歳でしたが、段階的に引き上げられています。厚生年金は男性が2025年、女性が2030年から65歳以降となります。
※2 加入期間によって異なります。
公的年金には、20歳以上60歳未満の国民全員が加入する基礎年金である国民年金と、国民年金に上乗せする制度で会社員や公務員らが加入する厚生年金があります。
公的年金の原資となる保険料(国民年金保険料・厚生年金保険料)は、国民年金は全員定額、厚生年金は賃金(標準報酬月額)に応じた保険料率により求められる金額です。一方、iDeCoの原資となる掛金は、一定の範囲内でご自身が決めた金額を拠出します。
また、公的年金は国が運用する強制加入の制度です。国民年金は保険料の納付期間に応じた年金を、厚生年金は国民年金に上乗せするかたちで、保険料の納付期間と働いていたときの賃金(標準報酬月額)に応じた年金を受け取ることができます。
なお、iDeCoは個人が任意で加入する制度で、利用するにはご自身で申込んで掛金を拠出し運用する必要があります。ただし、掛金と運用益との合計額を年金または一時金として受け取ることができますが、運用成績によって受け取る金額が変動します。
iDeCo(イデコ)のしくみとやり方

個人型確定拠出年金のiDeCoは、掛金の拠出金額や運用方法をご自身で決める、任意加入の私的年金制度です。公的年金とは異なる点が多いため、しくみをしっかり理解してから始めることが大切です。
そこで、以下についてそれぞれ解説します。
【iDeCoの仕組みと運用方法】
- 加入資格・掛金の限度額
- 運用商品
- 運用方法
- 年金の受け取り方法
iDeCoのしくみとやり方をさらに詳しく紹介します。
iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金の限度額
iDeCoは、原則として20歳以上65歳未満の方が加入対象です。会社員や派遣社員、公務員、自営業、パート・アルバイト、専業主婦(主夫)など、職業の違いや仕事の有無は関係なく、国民年金保険料を納める方であればほとんどの方が加入できます。
当初は対象外だった専業主婦(主夫)なども2017年から加入できるようになり、2022年からは年齢条件に関しても対象が一部拡大されています。ただし、職業などによって加入資格の条件が異なるため、ご自身の状況と照らしあわせておきましょう。
iDeCoの掛金は、月5,000円から1,000円単位で自由に設定できます。ただし、掛金の上限額は、加入資格と同じく職業などにより異なるため、あらかじめ把握しておきましょう。
iDeCoの加入資格と拠出限度額

※1 企業型DCとは、企業型確定拠出年金のことをいう。
※2 DB等とは、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度をいう。
※3 企業年金等(企業型DC、DB等)に加入している場合 月額5.5万円-事業主の拠出額 (各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)(ただし、月額2万円を上限)
※4 任意加入被保険者(国民年金に任意で加入した方:60歳以上65歳未満の方、または、20歳以上65歳未満の海外居住者の方で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方)も含む。
上記のとおり、自営業の配偶者や学生、専業主婦(夫)など、働いておらず所得控除の恩恵を受けることができる収入がない方でも加入できるなど、幅広い方が活用できる年金制度です。
しかし、国民年金保険料を払っていない、保険料の免除や納付の猶予を受けている、公的年金を65歳前に繰り上げ受給している、iDeCoの老齢給付金をすでに受給している場合は加入できないため、注意しましょう。
掛金の拠出は1年単位で考え、年1回以上任意に決めた月にまとめて拠出することも可能です※5。また、掛金額も1年(12月分の掛金から翌年11月分の掛金の間)に1回のみ変更できます。
※5 企業型DCに加入している会社員は、年単位ではなく、毎月定額で拠出しなければなりません。
iDeCo(イデコ)の運用方法・運用商品
iDeCoでは、拠出した掛金をご自身で選んだ金融商品で運用します。運用する商品は、iDeCoを運営する金融機関(運営管理機関)の提示する金融商品(3~35商品ほど)のなかから、数や組み合わせなどをご自身で考えて指定します。
iDeCoで取扱われる運用商品は大きく2種類に分かれています。
【iDeCoで取扱う運用商品】
- ① 元本が保証される「元本確保型」:定期預金や保険商品
- ② 元本保証はないものの大きなリターンも期待される「価格変動型」:投資信託
元本確保型を中心にして安全性を重視する、元本確保型の商品と価格変動型の商品を組み合わせてバランスを重視する、多少リスクをとってもリターンを増やすなど、運用方針をご自身で決められるのがiDeCoの特徴です。家計の状況や将来設計を見据えて運用商品を選びましょう。
ただし、iDeCoは60歳以降に受け取る老後資金の準備を目的としているため、長期運用が前提になります。長い年月の間に、運用成績やご自身の状況、家計が変化することもあるでしょう。そのため、運用方針はこまめに見直し、必要に応じて運用商品の変更をおこないましょう。
なお、運用商品の変更は「スイッチング」と「配分変更」の2種類があります。スイッチングとは、これまでに購入・運用してきた商品を売却して別の商品を購入すること、配分変更とは毎月の掛金で購入する運用商品の割合を変更することを指します。
iDeCo(イデコ)で積み立てたお金の受け取り方
iDeCoで拠出した掛金や運用益は、老齢給付金として60歳から75歳になるまでの間に、ご自身の決めたタイミングと方法で受け取ることができます。受け取り方は次の3パターンです。
iDeCoの掛金や運用金を受け取る方法
年金 | 60歳から75歳になるまでの間で開始時期を選び、5年以上20年以下の有期年金として受け取る。金融機関によっては一生涯受給できる終身年金を選べる場合もある。 |
一時金 | 60歳から75歳になるまでの間で時期を選び、一時金として一括で受け取る。 |
年金と一時金 | 受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達した時点で一部の資産を一時金として、のこりを年金として受け取る。金融機関によっては取扱いがない場合もある。 |
なお、iDeCoの通算加入期間が60歳時点で10年未満だと、受給開始年齢が段階的に引き延ばされます。一方、60歳以上で初めてiDeCoに加入した場合は、通算加入期間にかかわらず、加入から5年で受給できるなど、加入期間や加入時期による違いがある点に注意が必要です。
もし75歳までに受け取り方法を選択しなかった場合には、自動的に現金化され、一時金として支給されます。
また、iDeCoの老齢給付金を年金で受け取る場合、受給するタイミングは次の6パターンがあり、受け取り期間5年以上20年以下の期間から1年単位で選べます。
- ① 年1回(12月)
- ② 年2回(6・12月)
- ③ 年3回(4・8・12月)
- ④ 年4回(3・6・9・12月)
- ⑤ 年6回(2・4・6・8・10・12月)
- ⑥ 年12回(毎月)
加入者が75歳を迎える前に一定以上の障害状態になり、かつ一定期間が経過した場合や、加入者がお亡くなりになった場合には、障害給付金や死亡一時金の給付を受けることができます。その際支払われる金額は、障害給付金を請求するとき、もしくはお亡くなりになった時点の元本と運用益です。障害給付金は一時金だけでなく、年金として受け取ることもできます。
iDeCo(イデコ)で受けられる税制面のメリット

iDeCoが老後資金の準備金として注目を集める理由は、節税効果があるためでしょう。そこで、実際にどのようなメリットがあるのか、iDeCoで受けることができる税制面の3つの優遇を解説します。
【iDeCoの3つの税制面の優遇】
- 拠出した掛金は全額所得控除される
- 運用中の利益が非課税で再投資される
- 受け取るときにも控除される
拠出した掛金は全額所得控除される
iDeCoで拠出する掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、課税所得から差し引かれます。つまり、積み立てた拠出金額をそのまま所得控除額として課税所得を減らせるため、所得税・住民税の軽減につながります。
たとえば、月1万円、年間12万円の掛金をiDeCoに拠出していた場合、当年の課税所得を12万円減らすことができます。仮に所得税を10%、住民税を10%とすると、年間で2万4,000円の税負担が軽減される計算です。
掛金の所得控除に関する手続きは、会社で年末調整がおこなわれる会社員なら、特別な手続きは不要です。しかし、自営業やフリーランスなどは確定申告が必要なため、忘れずに手続きしましょう。
運用中の利益が非課税で再投資される
通常、株式や投資信託などの金融商品で運用益を出すと、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金が課され、利益が出ても約2割は税金として差し引かれます。しかし、iDeCoの運用中に生じた利益は全て非課税です。
たとえば、iDeCoに加入している方と一般的な金融商品を運用している方で、どちらも10万円の運用益が出たケースで考えてみます。
- iDeCoの場合:運用益は非課税のため、10万円に税金はかからない
- 一般的な金融商品の場合:運用益に20.315%が課税されるため、10万円から2万315円が差し引かれる
iDeCoは長期運用が前提のため、非課税の効果は年々積み重なっていきます。仮に毎年10万円の運用益が20年続いたとすると、[2万315円×20年]で40万6,300円の税金を軽減できます。
受け取るときにも控除される
iDeCoで受け取る老齢給付金は所得として課税対象となりますが、税制面での優遇を受けられます。
老齢給付金の受け取り方による税制面の違い
年金 | 一時金 | |
---|---|---|
所得の区分 | 雑所得 | 退職所得 |
対象となる控除 | 公的年金等控除 | 退職所得控除 |
iDeCoの老齢給付金は、年金として受け取るときは「公的年金等控除」、一時金として受け取るときは「退職所得控除」、2つを組み合わせるときは両方の控除の対象となります。どの受け取り方を選んでも控除の対象となり、一定額までは税金がかからないため、税金をおさえながらの受給が可能です。
また、老齢給付金のほかに、運用中に一定以上の障害状態となった場合に受け取ることができる「障害給付金」、亡くなった場合に遺族が受け取る「死亡一時金」があります。
iDeCo(イデコ)の障害給付金と死亡一時金
障害給付金 | 加入者が75歳までに一定以上の障害状態になり、一定期間(1年6ヵ月)を経過した場合、加入年数にかかわらず障害給付金を年金または一時金として受け取る。 |
死亡一時金 | 加入者がお亡くなりになったときに、掛金と運用益(もしくは老齢給付金の残額)をご遺族が「死亡一時金」として一括で受け取る。 |
障害給付金は年金・一時金ともに所得税・住民税が非課税となりますが、死亡一時金はみなし相続財産として相続税の対象となります。ただし、障害給付金を受け取り始めたら、加入者ではなく「運用指図者」となるため、その後の掛金の拠出ができなくなる点に注意しておきましょう。
iDeCo(イデコ)を始めるときのポイント

まずは加入条件、掛金や運用商品のしくみ・特徴、税制面の優遇など、基本的な知識を正しく理解することが大切です。それを踏まえ、手順を追ってiDeCoを始めるときのポイントを解説します。
【iDeCo(イデコ)を始めるときのポイント】
- ① 加入要件を満たしているか
- ② 毎月の掛金をいくらにするか
- ③ iDeCo専用口座をどこで開設するか
- ④ 運用商品はどれにするか
上記について、それぞれみていきましょう。
ポイント① 加入要件を満たしているか
前述したように、原則として20歳以上65歳未満の方が加入対象になります。また職業ごとに加入資格が異なるので、事前に確認しましょう。
ポイント② 毎月の掛け金をいくらにするか
加入資格ごとに掛金の上限額が決まっているため、ご自身の加入資格に沿った限度額の範囲内で決定します。また、iDeCoは長期運用が前提のため、毎月の掛金は無理なく続けられる金額に設定しましょう。掛金の変更は可能ですが、年1回までのため注意してください。なお、家計の急変などの事情から、掛金の拠出を途中で停止することも可能です。月額5,000円以上(1,000円単位)が基本となります。
ポイント③ iDeCo専用口座をどこで開設するか
iDeCoに加入する場合、iDeCoを取り扱う金融機関(運営管理機関)を通して加入の申出を行っていただくことになります。iDeCoは、国内に約160ある「運営管理機関」と呼ばれる金融機関(銀行や証券会社、保険会社など)で取扱われています。金融機関ごとに取扱う運用商品、サービス内容、手数料などに違いがあります。一人1口座しか開設できないため、ご自身の希望に合う金融機関で口座を開設しましょう。
ポイント④ 運用商品をどれにするか
口座の開設が済んだら、金融機関の取扱う商品からご自身で運用商品を選んで運用を開始します。金融機関ごとに取り扱っている運用商品(元本確保商品や投資信託など)は異なりますので、ご自身が運用したい商品があるかどうか、商品ラインナップを比較検討することが大切です。
また、近年は金融機関のサービスが多様化しています。商品のラインナップだけではなく、サービスにも魅力を感じて金融機関を選んだ場合は、利用条件も確認しておきましょう。
iDeCo(イデコ)のデメリット(注意点)は?

iDeCoは、税制面で恩恵を受けながら、老後資金を効率良く備えるために適した制度です。しかし、加入前にはいくつか注意しておきたいポイントがあります。
【iDeCoの注意点】
- ① 原則60歳までは資産を引き出せない
- ② 運用成績によっては元本割れのリスクがある
- ③ 運用中は手数料が発生する
- ④ 加入期間によっては受給が遅れる
それぞれについて解説します。
【注意点①】原則60歳までは資産を引き出せない
iDeCoは確定拠出年金法にもとづく私的年金制度です。老後生活に向けての資産形成を目的とした制度だからこそ、税制面での優遇もあります。そのため、運用中は原則として60歳まで資産を引き出せません。
ただし、途中でiDeCoを解約して、脱退一時金を受け取ることができるケースもあります。しかし、一定の要件を満たす場合に限られており、あくまで例外的な扱いです。また、ご自身からの申し出で任意に解約できる規定はなく、「中途解約は困難」と考えておいた方が良いでしょう。
iDeCoは長期運用が前提のため、運用中に家計の変化などがあったとしても資産を引き出せないということを念頭に置きながら、無理のない金額を拠出することが重要です。
なお、運用中にご自身の都合で資産を引き出すことはできませんが、先述のとおり、加入者が60歳を前に一定以上の障害状態となったときは障害給付金、お亡くなりになったときは死亡一時金として受け取ることはできます。
【注意点②】運用成績によっては元本割れのリスクがある
iDeCoでは、運用商品の数や組み合わせなど、運用方針や運用商品をご自身で決めて投資します。
ただし、必ずしもご自身が期待するような受給額になるとは限りません。運用成績によっては大きなリターンを得られる可能性もありますが、反対に資産が元本割れするリスクもあります。運用結果は自己責任であり、受給額や元本の保障はありません。
金融機関(運営管理機関)の取扱うiDeCoの運用商品は、長期・積立・分散投資を前提としているため、リスクをある程度おさえることも可能ですが、普通預金などの預貯金とは異なり、損失リスクをともなうことは必ず理解しておきましょう。
そのため、ご自身の状況を踏まえながら、定期的に運用商品の見直しをおこなうことも大切です。
【注意点③】運用中は手数料が発生する
一般的に、iDeCoには実施機関である国民年金基金連合会、金融機関(運営管理機関)などへ手数料の支払いが発生します。
【iDeCo運用中に発生するおもな手数料】
- 国民年金基金連合会への手数料
- ① 加入・移管時手数料(初回のみ)2,829円
- ② 加入者手数料(掛金を拠出する都度)105円
- ③ 還付手数料(還付が発生する都度)1,048円※6
- 加入者へサービスを提供する金融機関(運営管理機関)への運営管理手数料
- 資産を管理する信託銀行(事務委託先金融機関)への事務手数料
なお、金融機関や信託銀行へ支払う手数料の金額や有無は、金融機関によって異なります。
また、投資信託の管理や運用にかかる経費として、保有中は「信託報酬」が毎日発生します※7。
iDeCoは積立期間の長期化が前提のため、手数料の負担が運用成績に想定外の影響をもたらす可能性もあります。
金融機関のなかには運営管理手数料を0円とするところもあるため、金融機関を決めるときは手数料や信託報酬を必ず確認しておきましょう。
※6 国民年金基金連合会へ支払う還付手数料とは、国民年金の未納があるとわかった場合など、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金を加入者に返金(還付)することになったときに還付金から差し引かれる手数料です。
※7 投資信託にかかる信託報酬は、運用会社・信託銀行・販売会社に対して支払われる手数料で、投資信託ごとに金額の設定が変わります。
【注意点④】加入期間によっては受給が遅れる
原則60歳以降で資産を受け取ることができるiDeCoですが、通算加入期間が10年に満たない場合は、65歳まで受給年齢が段階的に繰り下げられます。そのため、50歳以上で加入すると、60歳から受け取ることができない場合があります。
通算加入期間に応じた受給開始年齢
通算加入期間 | 受給開始年齢 |
---|---|
10年以上 | 60歳 |
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
1月以上2年未満 | 65歳 |
なお、長期の運用を前提とするiDeCoですが、会社を退職するタイミングや国民年金への任意加入などによっては、60歳以降も加入できます。その場合、加入から5年を経過した日(60歳で加入した場合は65歳)から受給できます。
まとめ
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、公的年金の不足分に上乗せすることによって補い、老後資金に備える目的で任意加入する私的年金制度です。公的年金である国民年金や厚生年金とは異なり、ご自身で加入し、掛金の金額や運用商品もご自身で決めます。
60歳までは資産を引き出せない、運用成績によっては元本割れのリスクがあるなどの注意点もありますが、税制面での優遇を受けられるため、老後生活に向けて効率良く資産形成できる可能性があります。
2022年の制度改正によって、原則20歳から65歳までのほとんどの方が加入対象となったため、まずはご自身が加入対象者かどうか確認するところから始めると良いでしょう。
監修者情報
ファイナンシャルプランナー新井智美

ファイナンシャルプランナー。2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定※を受けると同時に、国家資格である1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談および提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。これまでの執筆・監修実績は3,000本以上。
- 資格情報
- CFP®(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
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(掲載開始日:2025年3月17日)
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楽天インシュアランスプランニング株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第1049号