犬がアボカドを食べた場合にみられる症状や対処法を解説

アボカドはクスノキ科ワニナシ属の果物で、果肉の約20%が脂肪分という特徴から「森のバター」とも呼ばれています。栄養価の高さ、食味の良さからも多くの人々に親しまれているアボカドですが、犬には食べさせてはいけない食べ物です。犬がアボカドを食べてしまうと、最悪の場合中毒症状を引き起こす危険があります。
この記事では、犬にアボカドを食べさせてはいけない理由や食べた場合にあらわれる症状、誤ってアボカドを食べてしまった場合の対処法などを解説します。
犬にアボカドを食べさせるのはNG!その理由は?

前述したように、健康上の理由から犬にアボカドを食べさせてはいけません。おもな理由として以下の3つがあげられます。
【犬にアボカドを食べさせてはいけない理由】
- 「ペルシン」で中毒症状を引き起こす可能性がある
- アボカドの種が喉や腸に詰まる可能性がある
- 高脂肪かつ高カロリーのため、さまざまな健康被害を引き起こす可能性がある
以下で、犬にアボカドを食べさせてはいけない理由を詳しく解説します。
「ペルシン」で中毒症状を引き起こす可能性がある
ペルシンとは、アボカドに含まれる殺菌作用を持つ成分のひとつで、アボカドの葉や皮、種に多く含まれている成分とされています。なかでも、日本で多く出回っている品種「グアテマラ系」のアボカドは、ペルシンの含有量がとくに多い傾向にあります。
犬を含む多くの動物にとって中毒を引き起こす可能性があるペルシンを摂取すると、その中毒性が原因で下痢や嘔吐、呼吸困難などの症状がみられることがあり、アボカドを食べたことによる中毒で犬が死亡した例もあります。
ただし、どれだけの量のアボカドを食べると中毒を引き起こすのかは個体差があり、犬がアボカドを食べた場合の致死量も解明されていません。
アボカドの果肉部分にも含まれている可能性があるとされているペルシンですが、不明瞭な部分があるため健康に影響を及ぼす量や危険性については意見がわれています。実際に、アボカドのペルシンを含まない部分のみを原料として使用したドッグフードも販売されています。なかには、「ごくわずかに果肉部分を食べた程度だと害はないのでは」という意見もあるようです。
なお、ペルシンによる中毒への抵抗性は動物によって異なり、犬は比較的抵抗性がある方だといわれています。しかし、中毒症状を引き起こす可能性がある以上、犬にとって安全な食べ物とはいえません。愛犬の健康を考えるなら、アボカドを与えるのは避けましょう。
アボカドの種が喉や腸に詰まる可能性がある
アボカドなど植物の種は、犬の胃で消化されません。
そのため、犬がアボカドの種まで食べてしまうと、胃の中に残り続けてしまいます。また、仮に種が胃を通過しても腸内で詰まってしまい、腸閉塞を引き起こす可能性も考えられます。種を誤食した場合の治療法はさまざまですが、状況によっては開腹手術をして摘出しなければいけないケースもあります。
また、アボカドの種が喉(気道)に詰まると窒息する危険もあります。
高脂肪かつ高カロリーのため、さまざまな健康被害を引き起こす可能性がある
アボカドは高脂肪かつ高カロリーな果物です。たとえば、犬がよく好んで食べるリンゴは100gあたり約56kcalであるのに対し、アボカドは100gあたり約176kcalもあります。
高脂肪かつ高カロリーな食事は犬の肥満につながり、さまざまな病気の原因となる可能性があります。たとえば、人間の場合は高脂肪かつ高カロリーな食事が糖尿病などの原因となるように、犬も糖尿病などのリスクが高まります。
また、体重が増加すると関節や四肢への負荷が増し、椎間板ヘルニアや関節炎に罹患する可能性もあります。
犬がアボカドを食べてしまった場合にみられる症状は?

犬がアボカドを食べてしまうと、中毒症状や呼吸困難、アレルギーによる症状があらわれる場合があります。以下では、犬がアボカドを食べてしまった場合にみられる症状を詳しく解説します。
中毒症状
前述したように、犬がアボカドを食べるとペルシンによる中毒症状を引き起こす可能性があります。ペルシンのおもな中毒症状としては嘔吐や下痢、軟便などがあげられ、中毒症状が重い場合には呼吸困難や痙攣(けいれん)があらわれるケースもあります。
なお、ペルシンによる中毒症状が出るまでの期間の目安は、アボカドを食べてから3日以内です。この期間内に上記の症状がみられる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
呼吸困難
犬がアボカドの種を誤飲・誤食した場合、のどに詰まるおそれがあります。
食後すぐに苦しそうに呼吸している、または唾液が絶えず出ている場合は、食道に種を詰まらせている可能性があるため注意が必要です。食道に種を詰まらせると、呼吸困難に陥って窒息する危険があります。
なお、アボカドの種が喉を通過したとしても、その後腸に詰まって食欲不振や嘔吐、便秘、下痢、腹痛などの症状があらわれる場合もあります。
これらの症状がみられる場合は、早急に動物病院を受診してください。
アレルギー
ラテックスアレルギーの犬は、アボカドを食べることでアレルギー症状を引き起こす可能性があります。ラテックスアレルギーとは、天然ゴムに含まれるラテックスタンパク質によって引き起こされるアレルギーのことです。
アボカドと天然ゴムは全くの別物ですが、アボカドに含まれるタンパク質はラテックスタンパク質に成分が似ていることから、交差反応を起こすことがあります。そのため、ラテックスアレルギーの犬がアボカドを食べると、アボカドに含まれるタンパク質に対してもアレルギー反応を起こしてしまう場合があります。
なお、ラテックスアレルギーの犬は、バナナやメロンにもアレルギー反応を起こすおそれがあるため注意してください。
犬がアボカドを食べてしまった場合の対処法は?

犬がアボカドを舐めたり食べたりした場合は、すぐに動物病院に連絡してください。中毒症状があらわれるまでに時間がかかることもあるため、食後の時点では元気そうに見えても安心はできません。
動物病院への連絡時に、アボカドを食べた時間や量、現在の体調を伝えると受診が必要かどうかを獣医師が判断しやすくなります。その際、獣医師から応急処置の指示がある場合はそれにしたがいましょう。
また、動物病院を受診する際、可能であれば食べたアボカドと同じものや、便を持っていくことをおすすめします。より多くの情報を動物病院に提供することで、獣医師が適切な診断をしやすくなります。
犬がアボカドを誤って食べた場合、動物病院では血液検査やレントゲン、超音波検査、胃に残ったアボカドを吐かせるための催吐処置、症状緩和のための点滴や薬での処置をおこなうのが一般的です。アボカドを全て吐き出せない場合や種が消化器官に詰まっている場合は、胃洗浄や開腹手術が必要となる可能性もあります。
犬がアボカドを食べてしまったなどのトラブルに備えたい場合は、いつでも動物病院を頼れるように、夜間診察をおこなう病院を事前に調べておくと良いでしょう。
自己判断で応急処置をおこなうのは避けよう
愛犬がアボカドを食べてしまった場合、「早くなんとかしなければ」という焦りから、自己判断で応急処置をしようと考えることもあるでしょう。
しかし、飼い主さんの自己判断による応急処置は避けてください。誤った方法の応急処置は、かえって状態を悪化させてしまうリスクがあります。また、飼い主さんの手でアボカドを吐かせる行為も危険です。
なお、インターネット上には誤飲や誤食時の応急処置方法が掲載されていることもありますが、専門的な知識がない限り、その方法が愛犬の状態に適切かどうかは判断できません。そのため、インターネットで得た知識で応急処置をおこなうのも避けましょう。
まずは動物病院に連絡し、適切な対処法や受診の必要性を確認してから行動することが大切です。
動物病院の医療費に備えたいならペット保険に加入しよう

犬を飼っている以上、動物病院を受診する機会は少なからずやってきます。アボカドを食べたとき以外にも、ケガをしたときや病気に罹患したとき、何日も食欲がないときなどは、動物病院で愛犬を診てもらう必要があるでしょう。
しかし、動物は人間のように公的な保険がないため、動物病院の受診時にかかる医療費は全額自己負担です。動物病院を受診する回数や治療内容によっては、医療費が経済的な負担になることがあるかもしれません。
このような場合に役立つのが、保険会社が取扱うペット保険です。あらかじめペット保険に加入すると、決められた補償割合に応じて医療費の自己負担額を減らすことが可能です。
なお、ペット保険にはさまざまな商品がありますが、たくさんの選択肢からご自身や愛犬にあう保険を探したい場合は、保険の比較サイトが便利です。保険の比較サイトでは、複数のペット保険の情報を一覧で比べることができ、愛犬に適した保険を効率的に探せます。
まとめ

犬がアボカドを食べてしまうと、ペルシンによる中毒症状や種が詰まることによる呼吸困難など、さまざまな危険が生じる可能性があります。飼い主さんが自宅でアボカドを食べる際は、犬が誤って食べないように注意しましょう。
もしも犬がアボカドを食べてしまった場合、自己判断での応急処置はせず、事態を悪化させないためにも、まずは動物病院に連絡してください。その際、医療費の支払いに備えてあらかじめペット保険に加入していれば、費用負担をおさえられて安心です。
また、犬が食べてはいけない食べ物はアボカドだけではありません。注意すべき食べ物の種類を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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監修者情報
丸田香緒里

Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2025年6月11日)
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