犬はブルーベリーを食べていい?メリットや与え方、注意点を解説

ブルーベリーが盛られた皿と犬
公開日:2025年5月21日

ブルーベリーは、豊富な栄養素を含む人気の果物で、さまざまな健康効果が期待されています。しかし、愛犬にブルーベリーを与えても良いのか、疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、犬がブルーベリーを食べることができるかどうか、ブルーベリーを与える際のメリットや適切な与え方、注意すべきポイントについて詳しく解説します。

ブルーベリーは犬も食べられる

飼い主にブルーベリーやラズベリーを食べさせてもらう犬

ブルーベリーには、犬の健康に害を及ぼす有毒成分は含まれていないため、犬が食べても問題ありません。実際、犬はブルーベリーのような甘味のある食べ物を好む傾向があり、犬用おやつの原料としてもよくブルーベリーが使われています。

なお、ブルーベリーと見た目が似ている果物にブドウがありますが、ブドウは中毒症状を引き起こす危険があるため犬に与えてはいけません。ブドウから作られたレーズンもNGです。

ブルーベリーとブドウは混同されることもありますが、ブルーベリーは「ツツジ科」の果物、ブドウは「ブドウ科」の果物と、それぞれ全く異なる食べ物です。

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犬にブルーベリーを与えることで期待できる健康効果

木皿に盛られたブル―ベリー

ブルーベリーには、ビタミン群や食物繊維などさまざまな栄養素が含まれています。以下は、ブルーベリーに含まれている栄養素の代表例です。

生のブルーベリーに含まれている代表的な栄養素(100gあたり)

栄養素の種類 含有量
ナトリウム 1mg
カリウム 70mg
マグネシウム 5mg
カルシウム 8mg
リン 9mg
食物繊維 3.3g
ビタミンA
(βカロテン)
55μg
ビタミンE
(αトコフェロール)
1.7mg
ビタミンC 9mg

出典:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(文部科学省)(https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07124_7をもとに当社作成

以下では、犬の健康に役立つ栄養素と健康効果を紹介します。

アントシアニン

アントシアニンとは、自然界に5,000種類以上存在するとされるポリフェノールの一種です。ポリフェノールは、多くの植物に含まれる渋味や苦味、色素の成分であり、ブルーベリーの色素には豊富なアントシアニンが含まれています。

アントシアニンは強い抗酸化作用を有しており、摂取することで老化の防止や免疫力の向上が期待できるうえ、犬の目の疲れにも効果が期待できる成分です。
とくに、ブルーベリーの品種「ビルベリー」には、多くのアントシアニンが含まれており、その含有量は一般栽培種のブルーベリーに比べて、約5倍もあるといわれています。

ビルベリーは、ブルーベリーより比較的小ぶりな粒と、果肉の柔らかさが特徴の品種です。爽やかな酸味を楽しめるため人気が高く、ブルーベリー風味の犬用おやつにも使われています。

なお、アントシアニンは摂取後の効果が短いため、一度に多く摂るよりも日々継続して摂る方がおすすめです。ブルーベリーからアントシアニンを効率良く摂取したい場合は、過度な加熱を避ける、または生の状態で皮と果肉を一緒に摂ると効果的です。

ビタミン群

ブルーベリーには、ビタミンCやビタミンE、ビタミンAなどのビタミン群が含まれており、それぞれ摂取することで以下のような健康効果が期待できます。

ブルーベリーに含まれるビタミン群を摂取することで期待できる健康効果

ブルーベリーに含まれているビタミン群 期待できる健康効果
ビタミンC
  • 犬の皮膚や皮膜、粘膜の健康維持
  • 老化の予防
  • 免疫力向上
ビタミンE
  • 高血圧や動脈硬化の予防
  • 血行促進
ビタミンA
  • 健康な目の維持
  • 皮膚の健康維持

ビタミンCは、眼精疲労の予防や視力の改善に効果的なアントシアニンとの相性が良い栄養素です。また、ビタミンCとアントシアニンの相乗効果により、多くの病気や体の老化の元となる過剰な活性酸素の働きを抑制する高い抗酸化作用が期待できます。

ルテイン

ルテインは「カロテノイド」と呼ばれる天然色素の一種です。アントシアニンと同様に強い抗酸化作用を有しているのが特徴で、愛犬の老化防止に期待ができます。また、光の刺激から目を守ったり、白内障を予防したりする効果も期待できます。

なお、犬用の目のサプリメントとして、ブルーベリーに含まれるルテインを使用した商品も販売されています。目の健康維持を目的に、ルテインを効率的に摂取させるなら、サプリメントの購入を検討しても良いかもしれません。

食物繊維

ブルーベリーは食物繊維が豊富に含まれている果物です。食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類がありますが、ブルーベリーに含まれる食物繊維の多くは不溶性食物繊維となっています。

不溶性食物繊維とは、水に溶けない食物繊維のことです。体内で水分を吸収して排便を促進する作用があり、下痢の改善などの効果が期待できます。

ただし、不溶性食物繊維を過剰摂取すると便の水分が吸い取られて硬化するだけでなくカサが増し、便秘を悪化させる場合があるため、摂り過ぎに注意してください。

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ブルーベリーは1日何粒まで犬に与えて良い?

ブル―ベリーを飼い主の手から食べようとしている犬

1日に与えても良いブルーベリーの量は、犬の体格によって異なります。チワワやトイプードルなどの小型犬から、秋田犬やゴールデンレトリバーなどの大型犬まで、犬の体格ごとによるブルーベリーの摂取量の目安は、以下のとおりです。

1日に与えても良いブルーベリーの量の目安

犬の体格 量の目安
超小型犬(~2kg) 約3粒
小型犬(~10kg) 約6~8粒
中型犬(~20kg) 約10~12粒
大型犬(20kg~) 約15~20粒

なお、ブルーベリーには水分や糖分が多く含まれているため、与えすぎるとお腹を壊す可能性があります。過剰摂取によってお腹を壊してしまうのを避けるためにも、おやつとして少量ずつ与えましょう。

また、消化機能が未発達な子犬や、消化機能が低下している老犬(シニア犬)は、消化器官の働きが十分ではない場合があるため、ブルーベリーを与えるのはなるべく控えた方が良いです。与える際は、健康状態を確認し、少量ずつ様子を見ながら与えてください。

子犬の場合は、生後2〜3ヵ月ほど経ち、消化器官が十分に発達してきた頃から少量ずつ与えましょう。

なお、初めてブルーベリーを与える際は、アレルギー症状などが出たときに備え、すぐに動物病院へ行けるようにしましょう。

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生でも大丈夫?犬へのブルーベリーの与え方

ブル―ベリーを摘んでいる人

ブルーベリーは、生の状態で皮がついたまま与えても問題ありません。ただし、犬に与える際は、消化器官に詰まるのを避けるために細かくカットしたり、ペースト状にすり潰したりして与えると良いでしょう。無糖のヨーグルトに混ぜるとより美味しく食べられるのでおすすめです。

また、犬は生のブルーベリーだけでなく、加熱したブルーベリーも食べられます。ただし、ブルーベリーに含まれる栄養素は熱に弱いため、健康効果を期待するなら加熱するよりも生で与えた方が良いでしょう。

なお、ブルーベリーを冷凍させたものや乾燥させたものを犬に与えても問題ありません。冷凍したブルーベリーについては以下で解説します。

冷凍したブルーベリーを犬に与えるのもおすすめ

栄養素の吸収のしやすさを重視するなら、冷凍したブルーベリーを犬に与えるのもおすすめです。ブルーベリーを冷凍すると水分が膨張して皮の細胞が壊れ、栄養素をより効果的に吸収できます。

ただし、冷凍のブルーベリーをそのまま犬に与えると、お腹を冷やして下痢をしてしまう場合もあるため、解凍してから与えるなど、注意してください。

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犬にブルーベリーを与える際の注意点

エクスクラメーションマークが書かれた黒板を持つ人

犬にブルーベリーを与える際は、いくつか注意すべき点もあります。愛犬の健康を損なわないよう、以下の注意点をおさえておきましょう。

丸ごと与えない

犬にブルーベリーを丸ごと与えてしまうと、消化器官に詰まらせてしまう可能性があります。そのため、ブルーベリーは食べやすいように細かくカットしたり、ペースト状にすり潰したりしてから与えましょう。

先述のとおり、細かくカットしたりすり潰したりしたブルーベリーを、無糖ヨーグルトと混ぜてあげると犬がより美味しく食べられます。

過剰摂取を避ける

ブルーベリーには、植物由来の有機酸である「シュウ酸」が含まれています。

シュウ酸は、過剰に摂取することで結石の元になることがあるため、結石になりやすい犬や腎臓に疾患のある犬にブルーベリーを与える際は、量に注意してください。

なお、健康な犬でもブルーベリーを食べ過ぎると、シュウ酸カルシウム結石ができてしまう場合があるため、与えすぎないよう注意が必要です。心配な場合は、与えても良い量を動物病院に相談しましょう。

ブルーベリーの加工食品は与えない

ブルーベリーは、ジュースや缶詰、ジャムなど、人間用に作られた加工食品が数多く販売されています。しかし、ブルーベリーの加工食品には、甘味料、着色料、防腐剤、香料などの添加物が含まれているため、犬に与えないようにしてください。加工食品は糖質を多く含んでおり、肥満の原因にもなります。

また、犬が加工食品ならではの濃い味付けに慣れてしまうと、普段のドッグフードを食べなくなる可能性も考えられます。

食物アレルギーに注意する

食物アレルギーとは、おもに食物に含まれるタンパク質に対して過剰な免疫反応が起こる現象のことで、さまざまな症状を引き起こします。

少量ではありますが、ブルーベリーにも食物アレルギーの原因となるタンパク質が含まれています。犬によってはブルーベリーが体質に合わず、アレルギーを起こす可能性があるため注意が必要です。体質に合わないと嘔吐や下痢、発疹などのアレルギー症状があらわれる場合があります。

そのため、初めてブルーベリーを与える際は、まず少しずつ与え、アレルギー症状が起きないかどうか様子をみましょう。ブルーベリーを与えた後にアレルギーの症状がみられる場合は、すぐに動物病院を受診してください。

犬の健康状態に問題があればブルーベリーを与えてよいか動物病院に相談を

犬の健康状態によっては、ブルーベリーを与えるのは避けた方が良い場合もあります。

よくある例としては、腎臓に問題がある場合や消化機能が弱い場合、病気治療のために療法食を与えている場合などがあげられます。このような状態でブルーベリーを与えてしまうと、健康に悪影響を及ぼしかねません。

ブルーベリーを与えても良いかどうかの判断に悩む場合は、動物病院に相談しましょう。

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ペット保険に加入するとより気軽に動物病院を受診できる

獣医と犬

愛犬の食事の悩みを解消するには動物病院で相談するのが確実ですが、相談する機会が多い場合、受診費用が経済的な負担になる可能性もあります。もっと気軽に動物病院を頼りたいものの、経済的な理由から受診を悩む場合もあるでしょう。

そのような方には、保険会社が取扱っているペット保険への加入がおすすめです。ペット保険に加入すると決められた補償割合に応じて自己負担額を減らすことができ、より気軽に動物病院を頼れるようになります。
ペット保険の補償内容や金額は各保険で異なるため、愛犬の状態や経済的な負担を考えて選びましょう。

また、ペット保険選びの際は、保険の比較サイトを利用すると便利です。保険の比較サイトなら複数のペット保険の情報を一覧で見比べることができ、愛犬に適した保険をスムーズに探せます。


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まとめ

カップに入ったブル―ベリーを食べようとしている犬

ブルーベリーは犬も食べられる果物です。ビタミン群をはじめとしたさまざまな栄養素を豊富に含むブルーベリーを与えることで、老化の防止や免疫力の向上などの健康効果が期待できます。

また、ブルーベリーを与える際は、「生のままペースト状にする」「細かくカットする」など、喉に詰まらないように工夫してあげましょう。

ただし、ブルーベリーの与えすぎや食物アレルギーには注意してください。中毒を引き起こすおそれもあるため、ブルーベリーを与えるうえで不安や疑問がある際は、動物病院に相談しましょう。

なお、経済的な負担から動物病院への受診を悩む方は、ペット保険の加入がおすすめです。ペット保険選びの際は、保険の比較サイトを利用すると、複数のペット保険の情報を一覧で見比べることができます。

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監修者情報

井上いのうえひとみ

井上ひとみ

獣医師。住之江公園南トート動物病院副院長。幼少期から動物が好きだったため小学校では飼育委員をし、自宅では犬や猫、ハムスター、フェレット、うさぎ、ラットなどたくさんの動物たちと暮らす。大学在学時には一時的にタヌキを保護していた経験もある。大阪府立大学農学部獣医学科(現:大阪公立大学獣医学部・獣医学研究科)を卒業後は大阪府内の動物病院での勤務を経て友人と動物病院を開業。現在は保護犬5匹、保護猫2匹と一緒に暮らす。

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2025年5月21日)
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