犬にブロッコリーを食べさせても大丈夫?注意点も解説

ブロッコリーには、ビタミンCやミネラル、食物繊維など多様な栄養素が含まれ、「野菜の王様」とも呼ばれています。2026年以降は、日本の食生活において重要な野菜である「指定野菜」に認定され、日々の食卓に欠かせない野菜として注目されています。
近年では、栄養価の高いブロッコリーの新芽「ブロッコリースプラウト」なども身近になり、犬が食べられる野菜のひとつです。ただし、体質や病歴によっては不向きな場合もあるため、与える際は注意が必要です。
この記事では、犬にブロッコリーを与える効果や体格別の目安量、与え方や注意点を解説します。
INDEX
犬はブロッコリーを毎日食べていい?

ブロッコリーは、ビタミンCやミネラル、食物繊維などの健康に良いとされる多様な栄養素が含まれており、犬が食べても問題ない野菜です。犬は雑食動物のため、主食にブロッコリーのような野菜を加えることでより健康的な食事内容になります。
また、ブロッコリーに含まれるβ-カロテンは、がん予防効果が期待でき、近年では解毒作用や抗酸化作用なども期待できる「スルフォラファン」が含まれることでも注目されています。
ただし、ブロッコリーのようなアブラナ科の野菜や芋類、豆類などは食物繊維が豊富で、体内でガスを発生させるため、少しおならが出やすくなる可能性があります。後述しますが、甲状腺の機能低下を起こすこともあるため、与える量には注意が必要です。
また、毎日ブロッコリーを食べさせるのも避ける方が良いでしょう。ブロッコリーは犬が食べても大丈夫な野菜ですが、栄養バランスが偏る恐れがあります。
子犬はブロッコリーをいつから食べられるのか
ブロッコリーは食物繊維を多く含んでいるため、消化器官が未発達な子犬に与えると、負荷をかける恐れがあります。子犬にブロッコリーを食べさせるときは、少なくとも生後2~3ヵ月になってから与えるようにしましょう。
また、子犬によっては歯が乳歯から永久歯に生え変わる生後6~12ヵ月までは、消化機能が未発達なこともあります。歯が生え変わってから少しずつ与え、不安なときは、1歳を超えてから与えるようにしてください。
与える際は、細かくカットしたり、すりつぶしたりして、食べさせる量にも注意しましょう。老犬に与える場合も、消化機能が弱っている恐れがあるため、細かく刻んで与えるようにしてください。
食べさせるブロッコリーの量は、犬の体格や普段の運動量、体質などで異なります。とくに、チワワなど超小型犬に与えるときは量を調整するようにしてください。
また、犬に初めてブロッコリーを食べさせるときは、アレルギー反応が出ないか確認しながら与えましょう。ごく少量を与えて様子を見ながら食べさせ、異常があればすぐに食べるのを止めてください。
ブロッコリーを食べたことで下痢や嘔吐、かゆがるなどの反応があった場合、食物アレルギーの疑いがあるため、動物病院を受診しましょう。
ブロッコリーの茎やブロッコリースプラウトを犬が食べても大丈夫か
ブロッコリーの茎には、食物繊維・カルシウム・ビタミンCなどの栄養素が多く含まれています。ただし、ブロッコリーの茎は消化しにくく、食道で詰まりやすいため注意が必要です。
とくに、小型犬や子犬は食道も細いため、与える際は調理を工夫しましょう。ブロッコリーの茎は厚めに皮をむき、茹でて小さく刻んだり、ミキサーにかけたりすると消化されやすいです。茎以外にも、ブロッコリーの花芽や葉を与えても問題ありません。
また、ブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトは、栄養に優れたスーパーフードとして注目を集めています。食物繊維が豊富で、β-カロテンやスルフォラファンを含み、ブロッコリーよりもカロリーが低い点が特徴です。
ただし、ブロッコリースプラウトは細長いため、喉に引っかかる可能性があります。茹でて小さく刻んだり、ミキサーにかけたりしてから与えるようにしましょう。
なお、スルフォラファンは抗酸化作用が期待される注目の成分ですが、多量に摂取すると消化管に刺激を与える点に注意が必要です。ブロッコリーは、主食のフード以外に与える食材やおやつとあわせて、目安量の範囲を超えない程度に食べさせましょう。
犬にブロッコリーを与えるときの注意点は?

体に良い栄養成分が多いブロッコリーですが、過剰に摂取すると、かえって健康を損なうこともあるため注意が必要です。
また、愛犬に持病があるときや体調が優れないときは、ブロッコリーを食べさせない方が良いでしょう。ブロッコリーを食べたことで症状が悪化する恐れもあるため、以下で紹介する判断基準を参考に、ブロッコリーを安全に食べさせてください。
犬に腎臓病があるときや甲状腺機能低下時はブロッコリーを与えない
ブロッコリーは、犬の健康に良いカリウムを含んでいますが、腎臓や心臓、甲状腺の機能が低下している犬や、腎臓病の犬には注意が必要です。余剰なカリウムを排泄できないと、高カリウム血症を引き起こす原因になります。
また、腎不全の治療のため、カリウム制限をおこなっている場合は、とくに生のブロッコリーは与えないでください。愛犬にブロッコリーを食べさせて良いか不安がある場合は、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
尿路結石の既往歴がある犬や消化機能が衰えている犬には与えない
生のブロッコリーにはシュウ酸が多く含まれています。シュウ酸とは食べ物のアクの原因である成分で、カルシウムや鉄分の吸収を阻害する働きがあります。
シュウ酸の摂り過ぎは、尿路結石の原因ともなるため、犬が尿路結石症を患っている場合や、過去に尿路結石症を患ったことがある場合には、与えないようにしましょう。
とくにオスは、尿道が細く結石が詰まりやすいため、尿毒症を引き起こして命に関わるケースもあります。愛犬がブロッコリーを好んで食べる場合は、普段からスムーズに排尿できているか確認しましょう。
アレルギーがあるとき
犬に初めてブロッコリーを食べさせるときは、アレルギー反応が出ないか確認しながら与えましょう。ごく少量を与えて様子を見ながら食べさせ、異常があれば食べるのを止めさせましょう。ブロッコリーはアブラナ科の野菜なので、愛犬にアブラナ科アレルギーがあるときも避けてください。
ブロッコリーを食べたことで下痢や嘔吐、かゆがるなどの反応があった場合、食物アレルギーの疑いがあるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
犬にブロッコリーを与えるときのポイントとは?

栄養価が高く、犬におすすめのブロッコリーですが、愛犬においしく安全にブロッコリーを食べてもらうためには、カロリーや量のほか、加工・調理にも気をつけたいポイントがあります。ブロッコリーを与えるときのポイントをおさえて、安全に食べさせるようにしましょう。
犬の身体に合わせた適量を与える
犬に野菜を与えるときは、一日に必要なカロリーの10%ほどを目安としましょう。ただし、ブロッコリーは比較的カロリーが低いため、一日に必要なカロリーの10%をブロッコリーだけで補うと量が多くなりすぎてしまう点にも留意してください。
犬に与えて良いブロッコリーの量の目安
犬の大きさ | 1日に与えるブロッコリーの目安 |
---|---|
超小型犬 (体重3kg以下) |
20g以下(1房程度) |
小型犬 (体重3kg~8kg) |
45g以下(3房程度) |
中型犬 (体重8kg~20kg) |
80g以下(5房程度) |
大型犬 (体重20kg~) |
80g~100g程度(6~7房程度) |
また、いつもの主食に加えてブロッコリーを与えてしまうと、ブロッコリーでお腹がいっぱいの状態になり、主食を食べられなくなる場合があります。栄養が偏る原因となるため、ブロッコリーはトッピング程度にするなどカロリーだけでなく量も考えて与えましょう。
調理方法を工夫する
生のブロッコリーは、細菌が繁殖しやすく食中毒になる恐れもあるため、茹でる、蒸す、電子レンジを使用するなど加熱してから食べさせるようにしてください。また、小さく刻んだり、ミキサーにかけたりしてから与えると、喉に詰まる心配がなく、消化もよくなります。
茎の部分は、厚めに皮を剥いてから茹で、小さく刻んで与えるようにしましょう。ブロッコリーは自然のうまみがあるため、塩や油を入れず、お湯だけで茹でるのがポイントです。
なお、ビタミンCは水に溶けやすい成分です。ブロッコリーは電子レンジで加熱したり、せいろ蒸しにしたりする方が、茹でた場合と比べてビタミンCを多くキープできるためおすすめです。
犬がブロッコリーを食べることで得られる効果は?

ブロッコリーは、ビタミンCやβ-カロテンなどのビタミン、カリウムやカルシウムなどのミネラル、食物繊維が豊富に含まれる緑黄色野菜です。
また、便秘解消効果や抗酸化作用のあるビタミンC、皮膚を守り再生を促す効果のあるβ-カロテンは、犬の老化症状を穏やかにする効果が期待できます。犬の健康を維持し、病気を予防するのに役立つため、日頃の食事に取り入れるようにしましょう。
便秘解消効果
生のブロッコリーには100gあたり5.1g、茹でた場合は100gあたり4.3gの食物繊維が含まれています。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2つがあり、ブロッコリーは不溶性食物繊維の割合が多い野菜で、便通を良くする働きがあります。
水溶性食物繊維は食後血糖値の急激な上昇をおさえたり、血中コレステロール濃度を低下させたりなどの効果が期待できます。一方、不溶性食物繊維は水に溶けず、水分を吸収して便のかさを増やすことで腸を刺激し、排泄を促します。
どちらの食物繊維も腸内環境を整えて排泄を促す働きがあるため、便秘予防に効果があります。さらに、不溶性食物繊維は水分を吸収して胃腸内でかさが増し満腹感が得られるため、肥満の犬には減量効果も期待できます。
ただし、食物繊維は消化しにくい成分です。与えすぎるとかえって便秘の原因になったり、下痢をおこしたりする可能性があるため、注意しましょう。
抗酸化作用
ブロッコリーに含まれるスルフォラフォンやビタミンC には抗酸化作用があり、活性酸素からのダメージを防ぎ、病気の予防や老化防止に役立つといわれています。そのため、激しい運動や加齢などによる酸化ストレスを軽減するのに役立ちます。
また、ブロッコリーはβ-カロテンや葉酸が豊富です。β-カロテンには抗酸化作用があり、摂取すると免疫力向上や老化防止などの効果が期待できます。また、β-カロテンは体内でビタミンAに変換される成分です。ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保ち、犬の視力維持にも効果があります。
葉酸は、赤血球の産生を促す効果や病気予防効果があるとされているため、愛犬の健康維持・増進を期待できます。
健康維持効果
ブロッコリーは犬の健康維持に役立つ栄養を多く含んでいます。ブロッコリーに含まれるミネラルは、神経や筋肉の働きを正常に維持する効果を期待でき、ビタミンは健康な骨や歯の発育にも役立ちます。
ただし、犬は体内でビタミンCを生成することが可能です。ブロッコリーなどのビタミン豊富な野菜やフルーツを与えすぎると、過剰摂取になることもあるため注意しましょう。
ペット保険を選ぶときは比較サイトを活用しよう

犬の健康に良いと思って与えた食べ物が、アレルギーを誘発したり、病気を悪化させたりすることもあり、動物病院にかかることもあるでしょう。
体調不良から動物病院を受診した際、ペット保険に加入していると、医療費をおさえられます。しかし、なにかあったときの備えとしてペット保険への加入を考えていても、さまざまな種類があるため、判断が難しいと感じる方もいるでしょう。
ペット保険選びに悩んでいる方は比較サイトの活用がおすすめです。犬種や年齢、求める補償内容などからペット保険を絞り込めるため、検討する際に役立ちます。
まとめ

ブロッコリーは、犬の健康に役立つ栄養成分が豊富に含まれ、抗酸化作用や免疫力向上などが期待できる野菜のため、愛犬のごはんに取り入れると良いでしょう。
ただし、犬の体質や病歴によっては、アレルギー反応を起こす可能性があるため注意が必要です。またブロッコリーを与える際は、茹でたり、蒸したり、小さく刻んだりなどして喉に詰まらせないように配慮することも大切です。
ブロッコリーを与えるときは、主食のフード以外に与える食材やおやつとあわせて、愛犬のサイズに応じた目安量の範囲を超えない程度に食べさせましょう。
もしも、犬にブロッコリーを食べさせた際の反応や気になる症状があるときは、動物病院を受診して相談しましょう。医療費の支払いに備えてペット保険に入っていれば費用をおさえられて安心です。

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監修者情報
丸田香緒里

Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2025年5月21日)
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