犬はにんじんを食べられる?栄養や適量、注意点を解説

にんじんをくわえている犬
公開日:2025年5月21日

にんじんは、犬にとって有害な物質を含まない野菜です。β-カロテンやカリウム、食物繊維など、犬の健康に役立つ成分を含み、カロリーも低いため、安心して与えられます。
愛犬のおやつやフードのトッピングにも使えますが、与え過ぎは栄養の偏りにつながり、食物アレルギーの原因となる可能性もあるため注意しましょう。
この記事では、犬ににんじんを食べさせることで得られる効果や体格別の与えても良い量の目安、与え方を解説します。

犬ににんじんを与えても大丈夫?おやつやトッピングに使える?

にんじんをみつめている犬

にんじんには犬にとって有害な成分は含まれていないため、食べさせても大丈夫な野菜です。健康に良い成分を多く含み、皮も食べられます。ただし、表面には土や農薬が付いている場合があるため、しっかり洗ってから与えましょう。

また、犬の食事は栄養バランスが重要です。体に良い成分が摂れるからといってにんじんばかりを与えず、おやつやドッグフードのトッピングとして与えましょう。にんじんを使った市販のおやつや手作りフードのレシピもあるため、必要に応じて取り入れてください。

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にんじんに含まれる成分と犬に与える効果

ざるに盛られたにんじん

にんじんは、ほかの野菜と比べてβ-カロテンが多く、カリウムや食物繊維など犬の健康維持に役立つ栄養を含んでいます。

にんじんに含まれる成分と量の目安

100gあたりのおもな成分 皮付き・生 皮付き・茹で
カロリー 35kcal 29kcal
水分 89.1g 90.2g
β-カロテン 6,900μg 6,900μg
カリウム 300mg 270mg
食物繊維 2.8g 3.0g

出典:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(皮付き・生)」(厚生労働省)(https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06212_7)、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(皮付き・ゆで)」(厚生労働省)(https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06213_7)をもとに当社作成

にんじんに含まれる食物繊維は犬の体内で消化されませんが、加熱すると食物繊維が柔らかい状態になります。また、犬に与えるときはすり潰したり細かく刻んだりすると、より食べやすいです。

にんじんに含まれる成分を摂取するとどのような効果を得られるか、以下で解説します。

β-カロテン

生のにんじんには、100gあたり6,900μgのβ-カロテンが含まれ、茹でても成分が損なわれません。

【β-カロテンを多く含むほかの野菜

  • 茹でた小松菜3,100μg
  • 茹でた西洋かぼちゃ2,500μg
  • 油で炒めた赤ピーマン980μg

数値は100gあたりのβ-カロテンの含有量です。

小松菜は栄養価が高い緑黄色野菜であり多くのβ-カロテンを含む、犬に与えて良い食材です。犬に小松菜を与える際は、消化しやすくするために、必ず茹でてから与えるようにしましょう。

ただし、小松菜には少量のタンパク質が含まれているため、アレルギーを引き起こす可能性があります。犬が、下痢や嘔吐、痒みなどの症状を引き起こす場合には与えないようにしてください。

西洋かぼちゃもβ-カロテンが多く、犬が食べられる食材ですが、にんじんよりもカロリーが高いため注意しましょう。同じ量を食べさせる場合、にんじんの方がカロリーをおさえて、β-カロテンを多く摂取できます。

ピーマンも犬が食べられる野菜のひとつであり、完熟した赤ピーマンは緑ピーマンより栄養価が高まります。ただし、ピーマンには植物性自然毒のアルカロイドが含まれており、犬に与え過ぎると体調不良につながるため注意が必要です。

ほかの野菜と比較しても、にんじんはβ-カロテンが豊富です。なお、β-カロテンには抗酸化作用があり、摂取すると免疫力向上や老化防止などの効果が期待できます。

また、β-カロテンは、体内でビタミンAに変換される成分です。ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち、犬の視力維持にも効果があります。

カリウム

生のにんじんには、100gあたり300mgのカリウムが含まれ、茹でた場合も270mgとあまり変化しません。

カリウムは、細胞内液の浸透圧を調整する働きやナトリウムを排出する作用がある成分です。そのため、にんじんは筋肉の働きを正常にし、夏バテの予防や下痢症状が続くときのカリウム補給にも役立つでしょう。

なお、カリウムが不足すると低カリウム血症を引き起こし、運動能力の低下や食欲不振、高血圧になるなど、犬の健康を損なう可能性があります。

しかし、カリウムは過剰摂取にも注意しなければなりません。腎臓病や腎機能の衰えがある高齢犬は、余分なカリウムを排出しにくくなるため、カリウムの過剰摂取にも注意しましょう。

食物繊維

生のにんじんには100gあたり2.8g、茹でた場合は100gあたり3.0gの食物繊維が含まれています。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類がありますが、にんじんは不溶性食物繊維の割合が多い野菜です。

水溶性食物繊維は水に溶ける性質があり、胃腸内をゆっくり移動して糖質の吸収をおだやかにする働きがあります。食後の血糖値上昇をおさえ、コレステロール排出を助けてくれる存在です。

一方、不溶性食物繊維は水に溶けず、水分を吸収して便のかさを増やすことで大腸を刺激し、排泄を促します。また、満腹感が得やすいため、肥満の犬には減量効果も期待できます。

食物繊維はどちらの種類も腸内環境を整えて排泄を促す働きがあるため、便秘予防に効果があります。ただし、食物繊維は消化しにくい成分です。与え過ぎるとかえって便秘の原因になる可能性があるため、注意しましょう。

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犬がにんじんを食べるメリット・デメリット

スケッチブックに書かれたメリット、デメリットの文字

ここまで、にんじんは犬に与えて良い野菜であること、にんじんのおもな成分を解説してきました。しかし、にんじんを与える際には飼い主として気をつけなければいけない点もあります。そこで犬ににんじんを与えるメリットとデメリットに分けて、紹介します。

犬がにんじんを食べるメリット

犬がにんじんを食べるメリットは、健康に良いβ-カロテンやカリウム、食物繊維などの成分を摂取でき、カロリーもおさえられることです。

栄養バランスを考えて主食にはドッグフードを与え、おやつやトッピングににんじんを取り入れれば、栄養を補強できます。また、にんじんは季節を問わず手に入りやすい野菜であり、日々の食事にプラスして与えることができます。

犬がにんじんを食べるデメリット

一方で、犬がにんじんを食べるデメリットは、与え過ぎによる栄養の偏りやアレルギー反応を示す可能性があることです。

にんじんを与え過ぎると、カリウムの過剰摂取で肝臓や腎臓に負荷がかかったり、食物繊維の取り過ぎで消化不良から便秘を引き起こしたりします。

食物アレルギーの多くはタンパク質に反応して起こりますが、にんじんにもごく少量のタンパク質が含まれています。そのため、にんじんを食べた犬がアレルギー反応を起こす可能性もあります。

愛犬ににんじんを食べさせて良いか不安がある方は、かかりつけの動物病院に相談してから与えるかを決めましょう。

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犬が1日に食べていいにんじんの量とは

大量のにんじん

犬が1日に食べても良いおやつは、必要カロリーの10%程度です。おやつやフードのトッピングでにんじんを与えるときは、以下の目安を参考にしましょう。

犬に与えて良いにんじんの量の目安

犬の体格 にんじんの量
超小型犬(体重4kg未満) 5~15g
小型犬(体重4~8kg程度) 15~30g
中型犬(体重9~20kg程度) 30~60g
大型犬(体重21~30kg程度) 60~90g

1日の必要カロリーは、犬の運動量や年齢、体質によっても変化するため、あくまで目安です。加えて、にんじんは茹でた状態で100gあたり29kcalと、低カロリーな食材である点も留意しましょう。

ただし、おやつの目安となるカロリーを全てにんじんに置き換えると、大量のにんじんを食べる結果になってしまいます。にんじんでお腹がいっぱいの状態になり、主食を食べられなくなると栄養が偏る原因になるため、カロリーだけでなく量も考えて与えましょう。

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犬に与えるにんじんを加工・調理するときのポイント

包丁で刻まれたにんじん

犬ににんじんを与えるときは、カロリーや量のほか、加工・調理にも気をつけるべきポイントがあります。にんじんを与えるときのポイントをおさえて、安全に食べさせるようにしましょう。

皮は食べさせて良いがよく洗う

市販のにんじんは、収穫後に洗浄され、薄皮がむかれた状態です。したがって、表面の皮をむかずに食べても問題ありません。にんじんは中心部よりも外側にβ-カロテンを多く含むため、皮ごと食べた方が栄養を多く摂れます。

ただし、にんじんの表面に付いた土には細菌が、葉には農薬がのこっている可能性もあるため、しっかり洗ってから調理しましょう。土に含まれている細菌が感染症の原因になったり、付着した農薬が原因で中毒を引き起こしたりと、犬に悪影響をおよぼす恐れがあります。

犬が食べやすい大きさに加工する

犬は習性や歯の構造から、食べものをよく噛まず丸飲みにしています。

そのため、にんじんを食べさせるときは、犬がのどに詰まらせない大きさに加工してから与えましょう。小さくカットしたり細かく刻んだりするほか、すりおろす、すり潰す、ミキサーにかけると食べやすくなります。

にんじんは茹でてから冷ましたものを与える

犬ににんじんを与えるときは、生の状態よりも加熱して与える方がおすすめです。にんじんに含まれる栄養成分のβ-カロテンやカリウムは、加熱してもあまり損なわれません。食物繊維が柔らかくなって食べやすい状態になります。なお、最適な茹で時間や蒸し時間は、にんじんの量・カットした大きさによって変わります。

また、加熱調理したにんじんを与えるとき、温度が高過ぎると犬が舌や口の中を傷める恐れがあります。加熱後は人肌に冷ましてから与えましょう。

有害な食材や調味料は使用しない

にんじんとほかの食材を一緒に与える場合は、組み合わせる材料にも注意しましょう。人間には無害でも、犬が食べると毒になる食材があります。

【犬にとって有害な食材の例】

  • ぶどうやレーズン
  • アルコール
  • カフェイン
  • ねぎ類(玉ねぎ、にら、にんにくなど)
  • チョコレート
  • アボカド
  • 未熟なトマト

ご自身が食べる食事と愛犬の食事を、途中まで一緒に調理する際も注意しましょう。たとえば、玉ねぎや長ねぎなどのねぎ類と一緒ににんじんを茹でると、煮汁に溶け出したねぎ類の成分がにんじんに付着する可能性があります。犬にとって有毒な成分を食べる結果を招いてしまうため、分けて調理する必要があります。

また、犬の食事は基本的に味付けが不要です。犬に有害な成分を含む調味料もあるため、手作りフードやおやつを作るときは使わないようにしましょう。

塩分の過剰摂取は高血圧や内臓に負荷をかけるリスクを高め、糖分の過剰摂取は肥満につながります。香辛料は犬の内臓を刺激して負荷をかける恐れがあり、アレルギーを引き起こすものもあります。

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犬ににんじんを与える際に注意すること

ペットのお皿に盛られた細かく刻んだにんじん

にんじんは犬が食べても問題ありませんが、与えるときには注意したい点があります。以下を踏まえて、にんじんを安全に食べさせましょう。

主食ではなくおやつに適した食材として与える

にんじんは、β-カロテンをはじめ栄養豊富で入手しやすい食材ですが、カロリーは低いため主食ではなくおやつに適しています。

主食は年齢や体調にあわせて栄養バランスの取れたドッグフードを与え、おやつやトッピングににんじんを使いましょう。

加工品は添加物や一緒に使われている材料を確認する

にんじんの加工品を犬に与えるときは、添加物や一緒に使用されている食材を確認しましょう。市販の加工品には糖分や塩分、保存料などが含まれていることがあるため、犬に与えても問題ないものを選んでください。

犬にも塩分は必要ですが、人間用に加工された製品を与えると過剰摂取になる恐れがあります。無添加のにんじんを100%使ったストレートジュースなどを選ぶと良いでしょう。なお、ジュースを与えるときも、量には注意してください。

おやつ用のにんじんチップスは、人間用に加工された製品だと、調味料や油を多く使っていることがあります。犬のおやつとして与えるなら、必ず犬用のものを用意しましょう。

添加物のほかに、犬が食べてはいけない食品が材料に含まれていないかも確認が必要です。

アレルギー症状が出ないか確認する

少量ですが、にんじんにもタンパク質が含まれています。そのため、にんじんを食べた際に、タンパク質への過剰な免疫反応からアレルギーが出ることもあります。

犬に初めてにんじんを食べさせるときは、アレルギー反応が出ないか確認しながら与えましょう。ごく少量で様子を見ながら食べさせ、異常があれば食べるのを止めさせます。

もし、にんじんを食べたことで下痢や嘔吐、かゆがるなどの反応があった場合、食物アレルギーの疑いがあるため、動物病院を受診しましょう。

また、初めての食材を同時に複数食べさせると、食物アレルギーが出た場合の原因特定が難しくなります。初めての食材は複数のものを一緒に与えず、ひとつずつ様子を見ながら与えましょう。

消化器官が未発達・腎機能が弱っている犬には注意して与える

にんじんは犬の健康に良いβ-カロテンやカリウム、食物繊維を含んでいますが、消化器官が未発達な子犬に与えると、負荷をかける恐れがあります。子犬に与えるときは乳歯が生え変わってからを目安とし、細かくカットしたり、すりつぶしたりして少しずつ与えましょう。また、不安な場合には1歳を超えてから与えるようにしてください。

そのほかにも、腎臓病や腎機能の衰えがある老犬も、にんじんの成分が体に負荷をかけないか注意しましょう。腎臓病や腎機能の衰えから余剰なカリウムを排泄できないと、高カリウム血症を引き起こす原因になります。

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ペット保険を選ぶときは比較サイトを活用しよう

えさが与えられるのを待つ犬

犬を飼っていると、日々の食事量や食べたときの反応や様子が気になり、動物病院にかかることもあるでしょう。体調不良から動物病院を受診した際、ペット保険に加入していると、医療費をおさえられます。しかし、ペット保険への加入を考えていても、さまざまな種類があるため、どの保険を選ぶべきか判断が難しいと感じる方もいるでしょう。

ペット保険選びに悩んでいる方は、比較サイトの活用がおすすめです。犬種や年齢、求める補償内容などからペット保険を絞り込み、ご自身に適した保険選びの検討に役立つでしょう。


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まとめ

にんじんを与えられている犬

にんじんは犬に有害な成分を含まず、β-カロテンやカリウム、食物繊維といった健康に役立つ成分が摂れる野菜です。にんじんは犬が食べられる野菜のひとつですが、栄養の偏りには注意し、おやつやトッピングに使いましょう。

与えるにんじんの量は、犬の体格や普段の運動量、体質などで異なります。おやつは1日に必要なカロリーの10%程度までが目安です。にんじんは、主食のドッグフード以外に与える食材やおやつとあわせて、目安量の範囲を超えない程度に食べさせましょう。

また、生よりも加熱したにんじんの方が消化しやすいため、与えるときは茹でたり、蒸したりしたものがおすすめです。のどに詰まらせないよう小さく切る、すり潰すなど、犬が食べやすいような工夫もしましょう。

もしも、犬ににんじんを食べさせた際の反応や気になる症状があるときは、動物病院を受診して相談してください。また、医療費の支払いに備えてペット保険に入っていれば、費用をおさえられて安心です。

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監修者情報

丸田まるた香緒里かおり

丸田香緒里

Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2025年5月21日)
2504193-2604