犬の熱があるサインとは?測り方や原因、対処法を解説

体温計と犬
公開日:2025年6月11日

熱中症やそのほかの病気などが原因で、愛犬が発熱することがあります。適切に対応するためにも熱があるときにみせるサインを知り、早めに発熱に気づくようにしましょう。

この記事では、熱があるときに犬がみせるサインや発熱の原因、対処法を解説します。また、体温を測る方法も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

犬の体温はどのくらい?

肛門による犬の体温測定

犬の平熱は、38.0℃程度と人間よりも高めです。ただし、個体差があるため、普段から計測して愛犬の平熱を知っておくことが大切です。

平熱よりも0.5℃以上高い、あるいは37.5℃よりも低くなったときは、何らかの原因で発熱や低体温症を発症している恐れがあります。

なお、39.0℃を超えても発熱しているとは限りませんが、体温以外の異常がある場合や不安な場合は動物病院を受診し、獣医師に相談しましょう。

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犬が発熱した際にみせるサインとは?

床で寝ている犬

こまめに体温測定をして愛犬の体温を調べるだけではなく、様子を観察することで、熱があるかどうか見極めることも可能です。

以下で熱があるときに犬がみせるサインを紹介するため、ぜひチェックしてみましょう。少しでも気になる様子がみられる場合や、見極めが難しい場合は、体温を測定してみてください。

なお、不安な場合や発熱以外の症状がある場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

ぐったりとしている、動くのを嫌がる

愛犬の様子が普段と違うときは注意が必要です。

ぐったりとしている、涼しいところで伏せている、散歩に行きたくなさそうにする、目に生気がないなどの状態がみられる場合は、発熱している可能性があります。

呼吸が荒い・速い

呼吸が荒い・速いときは、発熱している恐れがあるため、体温を測定してみましょう。また、発熱と呼吸の荒さの両方がみられるときは、熱中症も考えられます。

ただし、運動直後に呼吸が荒いのは基本的に問題ありません。平常時に息が荒いときは、注意深く観察してください。

食欲がない、嘔吐・下痢をする

食欲がないときや元気がないときは、発熱している可能性が考えられます。また、嘔吐や下痢をする場合も、熱がある可能性があります。

普段よりも舌の色が赤い

発熱の可能性があるときは、愛犬の舌の色も観察してみましょう。普段よりも赤い場合は熱があるサインかもしれません。どの程度の赤さが普通でないのかを判断するためにも、普段から舌の色をチェックするようにしてください。

陰部から膿が出ている

陰部から膿が出ているときも、発熱している可能性が考えられます。また、メス犬の場合は子宮蓄膿症を疑われる恐れもあります。

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犬が発熱する原因として考えられる病気とは?

犬の体温測定後のチェック

犬に熱があるときは、何らかの原因が潜んでいる可能性があります。また、場合によっては原因不明の発熱が生じることや、重大な病気が隠れていることもあります。よくある原因を以下で紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

気になる症状がある場合は早めに動物病院に相談しましょう。

熱中症

熱中症になると、体温調節機能が働かなくなり、高体温や脱水症状がみられます。犬は全身に汗腺があるわけではないため、熱中症にかかりやすいといわれています。

息が苦しそうなときや、大量のよだれが出ているとき、歯茎や目に充血がみられるときは熱中症の可能性があります。症状が悪化すると嘔吐や下痢をすることもあるため、すぐに涼しいところで休ませるなどの対処をして体温を下げましょう。

感染症

感染症とは、ウイルスや細菌が体内に入り込み増殖することです。感染症に疾患すると、発熱のほかにも、目やにや鼻水といった症状がみられることがあります。

発熱や目やに、鼻水がみられるときは、犬ジステンパーや犬伝染性肝炎、犬伝染性喉頭気管炎、犬パルボウイルス感染症などに罹患した可能性が考えられます。いずれも、成犬だけでなく子犬もかかりやすい感染症です。

免疫介在性疾患

免疫介在性疾患とは、免疫機能が自分自身の細胞に対する抗体を作り、体の組織や細胞を攻撃・破壊する疾患です。免疫介在性疾患は、発熱などの症状をともなうこともあります。

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犬に熱があると思われるときの対処法とは?

扇風機の前に座る犬

犬が発熱のサインをみせる場合は、動物病院への相談も必要ですが、まずは家庭での対処もおこないましょう。

以下では、発熱のサインがみられた場合に家庭でも簡単にできる対処法を紹介するため、ぜひ実施してみてください。ただし、高熱の場合は症状悪化を防ぐためにも、すぐに動物病院を受診しましょう。

熱を測る

発熱が疑われるときは、体温計で熱を測り、平熱からどの程度上がっているかを確認してください。

犬の平熱には個体差がありますが、平均約37.0~39.2℃といわれています。発熱かどうか判断するためにも普段から計測し、平熱を把握しておきましょう。

なお、犬の体温は肛門に体温計を挿入して測ることが一般的ですが、耳で測ることもあります。警戒心が強い犬や緊張している犬には、耳で測る方法が良いでしょう。

身体を冷やす

愛犬が発熱しているときに冷やす場所は、首や足の付け根、わきの下などの太い血管がある部分です。涼しい風をあてたり、濡れたタオルで身体を覆ったりすることで効果的に身体を冷やせるでしょう。

ただし、急激に冷やすことで体の表面のみが冷たくなり、熱が体にこもり逆効果になることがあります。冷やす際には触って少し冷たく感じる程度のものを犬の首や足の付け根に当てましょう。

水分を補給する

発熱しているときは、熱により体内から水分が失われます。水分不足に陥らないよう適度に水分を補給しましょう。

また、下痢をしているときも水分を多く失っていることがあるため、適度に水分を与え、脱水症状にならないようにしてください。水分不足を解消する救急時の方法として、スポーツドリンクは吸収がよく、スムーズな水分補給に適しています。ただし、人間用のスポーツドリンクは糖分が多いため、水で2~3倍に薄めてから飲ませるようにしてください。

発熱以外の症状をチェックする

愛犬に異常がみられた際は、迅速に対応するためにも発熱以外に気になる症状が出ていないかチェックしてください。たとえば、痙攣(けいれん)や嘔吐、下痢などの異変がみられる場合があります。

動物病院を受診する

発熱しているときや嘔吐・下痢といった気になる症状がみられるときは、動物病院を受診しましょう。熱を下げたいからといって人間用の解熱剤は飲ませず、動物病院で適切な薬を処方してもらってください。

なお、犬の平熱にもよりますが、安静時体温が39.5℃以上は発熱とされます。なお、愛犬が辛そうにしている場合は、熱が高くなくても動物病院を受診してください。

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愛犬の様子をこまめに観察しておこう

犬の様子を観察する飼い主

普段から愛犬をこまめに観察することで、早く異変に気づけるでしょう。平熱や舌の色などを調べておくことはもちろんのこと、元気そうにしているか、食欲はあるか、しっかりと水分補給できているかなど、丁寧にチェックしましょう。

変わった様子や気になる症状があるときは、すぐに動物病院で相談することが大切です。気になる症状の原因が病気だった場合、早期に治療を開始することで重症化を防ぎやすくなります。

ただし、病状によっては、治療が長引くことや入院・手術が必要になることもあります。その際、ペット保険に加入していれば、診療費の負担を軽減できることがあるため安心です。

どのペット保険に入るか迷ったときは、比較サイトの利用がおすすめです。愛犬の種類や年齢、補償内容などによってニーズに合ったペット保険を絞り込めます。


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まとめ

犬の体温をチェックする獣医師

犬の発熱サインを知っておくことで、病気などの早期発見につながる可能性があります。飼い主さんによる日常的な健康チェックはもちろんのこと、定期的に動物病院で健康診断を受けることが大切です。愛犬の健康管理のため、異変に早く気づけるよう常日頃から観察しておくようにしましょう。

また、治療が長引くときや、入院・手術が必要になったときは、想定以上の診療費がかかるかもしれません。そんな場合に備えてペット保険に加入しておくことで、万が一のときにも診療費の負担を軽減できることがあります。比較サイトなどを活用すると、ご自身に合う保険を効率的にみつけられるでしょう。

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監修者情報

丸田まるた香緒里かおり

丸田香緒里

Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2025年6月11日)
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