犬にぶどうを与えてはダメ?食べた際の症状や対処法とは

ぶどうは、ジュースやジャムなどの加工品にもよく使われている人気の果物ですが、犬にとっては危険な食べ物です。犬がぶどうを食べてしまうと、中毒による症状を引き起こす危険性があります。
この記事では、犬にぶどうを与えてはいけない理由や中毒を引き起こす理由、ぶどうを食べてしまった場合の対処法などを解説します。
犬にぶどうを与えるのがダメな理由

犬にぶどうを与えるのがダメな理由は、犬にとってぶどうが毒物であるためです。犬がぶどうを食べると中毒を引き起こし、食後約24時間以内に嘔吐や下痢、腹痛、食欲不振などの症状があらわれるといわれています。
ただし24時間以内に上記のような症状があらわれなくても、中毒を起こしていないとは限りません。
ぶどうが原因で急性腎障害を引き起こす可能性も
ぶどうは、犬の腎臓にも悪影響を与える果物です。犬がぶどうを食べてしまうと、急性腎障害を引き起こす可能性があります。
ぶどうを食べてすぐに急性腎障害の症状が出なくても、少なくとも72時間は注意が必要です。急性腎障害を引き起こした場合、食欲不振や嘔吐、下痢に加え、元気の喪失や脱水などの症状があらわれます。
また、急性腎障害が進行すると痙攣(けいれん)や意識障害を引き起こし、死亡する可能性もあります。
犬がぶどうを食べて中毒を引き起こすのはなぜ?

犬がぶどうを食べて中毒症状を引き起こす原因は、今のところ解明されていません。
近年では、「ぶどうの果肉に含まれている酒石酸が原因物質ではないか」と考えられています。ほかにも、「農薬やカビ毒などに原因があるのでは」とも疑われています。
また、ぶどうによる中毒には個体差があります。ぶどう1粒であっても、愛犬にとっては致死量となる場合もあるため、与えないことが重要です。
なかには、ぶどうを食べても無症状の犬もいることから、ぶどうによる中毒はデマだと疑われる場合もあるようです。こうした話を聞くと、「犬にぶどうを与えても大丈夫なのでは」と思う方もいるかもしれません。
ぶどうによる毒性には個体差があるため、ある程度食べても大丈夫な場合もあれば、ほんの少量でも急性腎障害を起こし致死的な状況になる場合もあります。命に関わるため、たとえ少量でも犬に与えるのは絶対に避けましょう。
ぶどうの加工品は犬に与えても大丈夫?
ぶどうジャムやぶどうゼリーなど、ぶどうを使って作られた食べ物や飲み物には、ぶどうの成分だけでなく塩分や糖分も多く含まれているため、犬に与えるのは避けましょう。
レーズン(干しぶどう)も、ぶどうに含まれる成分が凝縮されているため、たとえ少量でもけっして与えないようにしてください。
犬がぶどうを食べた場合の対処法

犬がぶどうを食べてしまった場合、残念ですが自宅で実践できる対処法はありません。すぐに動物病院へ連絡し、獣医師の指示にしたがって行動しましょう。
なお、動物病院へ連絡するときは、ぶどうを食べた際の状況を細かく伝えると良いでしょう。たとえば、食べた時間、ぶどうの種類や量、食後にみられる症状、犬の状態などの情報を伝えると、獣医師が現状を把握しやすくなり、より適切な対処をおこなえます。
また、その場で中毒による症状が確認できずとも、犬がぶどうを食べた際は必ず動物病院に連絡してください。
動物病院ではどんな治療がおこなわれる?
犬がぶどうを食べた場合、動物病院ではどんな治療がおこなわれるのでしょうか。具体的な治療方法は犬の状態によってもさまざまですが、一般的におこなわれる治療方法は以下のとおりです。
【ぶどうを食べた場合の治療方法】
- 薬を投与して吐かせる
- 活性炭の投与
- 胃洗浄
- 点滴治療
- 腎機能のモニタリングなど
なお、犬がぶどうを食べたことで急性腎障害を引き起こすおそれがある場合、入院が必要になるケースもあります。
犬が危険な食べ物を口にするのを防ぐポイント

犬が危険な食べ物を口にするのを防ぐには、その食べ物を犬の届く場所に置かないことが重要です。たとえば、テーブルやキッチンなどにそのまま置いている場合、犬が登って食べてしまう可能性があります。
一見届かなさそうに思える場所でも、犬がジャンプしたり台に登ったりして、届いてしまう可能性があるため注意してください。
また、家族がいる場合は、与えてはいけない食べ物だと知らずに、家族が犬に食べさせてしまう可能性も考えられます。あらかじめ犬に与えてはいけない食べ物の種類を周知しておきましょう。
なかには、ストレスが原因で危険な食べ物を口にしてしまう犬もいます。そのため、誤食を防ぐべくストレスのない環境を整えてあげたり、ストレス発散をさせてあげたりすることも大切です。
また、しつけが不足していることも、犬が危険な食べ物を口にしてしまう原因のひとつです。ケージ内など特定の空間で留守番をさせる、おもちゃなど咥えたものを放すように覚えさせるなど、犬の誤食を避けるためのしつけもおこないましょう。
ペット保険に加入して動物病院の医療費に備えよう

犬が、ぶどうなどの危険な食べ物を食べて動物病院で治療を受ける場合、高額な医療費が発生することが考えられます。たとえば、胃洗浄の処置だけでも5,000円〜1万5,000円ほどかかるケースがあります。
動物病院にかかる際の医療費の負担が心配なら、ペット保険に加入すると安心です。ペット保険に加入しておけば、決められた補償割合に応じて自己負担額を減らせます。なお、ペット保険の補償内容や金額は各保険で異なるため、愛犬の状態や経済的な負担を考えて選びましょう。
ペット保険選びの際には、保険の比較サイトを利用するのがおすすめです。保険の比較サイトでは、複数のペット保険の内容を一覧で比較でき、愛犬に適した保険をスムーズに探せます。
まとめ

犬がぶどうを食べると中毒を引き起こし、嘔吐や下痢、腹痛、食欲不振などの症状があらわれる可能性があります。最悪の場合は死亡する危険性もあるため、犬にはぶどうを絶対に与えてはいけません。
犬が誤ってぶどうを食べるのを防ぐためには、犬が届かない場所に保管することが重要です。自宅にぶどうがある場合はテーブルに出しっぱなしにせず、すぐに冷蔵庫にしまいましょう。もし、犬がぶどうを食べてしまったら、すぐに動物病院に連絡してください。

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監修者情報
井上ひとみ

獣医師。住之江公園南トート動物病院副院長。幼少期から動物が好きだったため小学校では飼育委員をし、自宅では犬や猫、ハムスター、フェレット、うさぎ、ラットなどたくさんの動物たちと暮らす。大学在学時には一時的にタヌキを保護していた経験もある。大阪府立大学農学部獣医学科(現:大阪公立大学獣医学部・獣医学研究科)を卒業後は大阪府内の動物病院での勤務を経て友人と動物病院を開業。現在は保護犬5匹、保護猫2匹と一緒に暮らす。
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(掲載開始日:2025年6月11日)
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