犬はキウイフルーツを食べられる?量の目安や与え方、注意点も紹介

鮮やかな黄緑色が特徴的なキウイフルーツは、さっぱりとした酸味と甘みが魅力の果物です。その美味しさから、愛犬にも食べさせてあげたいものの、犬にキウイフルーツを食べさせても良いのかどうか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
犬に果物を与えるときは、食べさせても良い果物かどうかを事前に把握しておく必要があります。
この記事では、犬はキウイフルーツを食べられるのか、犬に与えるキウイフルーツの量の目安、与える際の注意点などを詳しく解説します。
犬はキウイフルーツを食べても大丈夫

結論、犬にキウイフルーツを与えても基本的には問題ありません。
キウイフルーツには、犬の体に良くない成分は含まれていないため、適量であれば与えることができます。また、キウイフルーツには「グリーンキウイ」や「ゴールデンキウイ」など複数の種類がありますが、どの種類のキウイを食べても問題ありません。
ただし、「与え過ぎは良くない」「アレルギー反応に注意する必要がある」など、キウイフルーツを与える際はいくつか注意すべき点もあります。キウイフルーツを与える際の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
キウイフルーツは犬の健康維持に役立つ栄養素を含む

キウイフルーツはさまざまな栄養素を含んでおり、犬に与えることで健康維持に効果的です。摂取できる栄養素の量は種類によって異なります。たとえば、代表的なキウイフルーツである「グリーンキウイ」や「ゴールデンキウイ」には、以下のような栄養素が含まれています。
キウイフルーツに含まれている代表的な栄養素(100gあたり)
代表的な栄養素 | グリーンキウイ | ゴールデンキウイ |
---|---|---|
ビタミンE | 1.3mg | 2.5mg |
ビタミンC | 71mg | 140mg |
食物繊維 | 2.6g | 1.4g |
ナトリウム | 1mg | 2mg |
カリウム | 300mg | 300mg |
カルシウム | 26mg | 17mg |
リン | 30mg | 25mg |
鉄 | 0.3mg | 0.2mg |
亜鉛 | 0.1mg | 0.1mg |
出典:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(キウイフルーツ・緑肉種)」(文部科学省)(https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07054_7)、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(キウイフルーツ・黄肉種)」(文部科学省)(https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07168_7)をもとに当社作成
また、キウイフルーツは全体の約85%が水分であり、豊富な水分量が特徴です。犬に食べさせると栄養素の摂取と同時に水分補給もおこなえます。
キウイフルーツを与えれば、水を飲むのが苦手な犬でも効率的な水分補給が期待できます。運動後や熱中症対策をしたい場合にもキウイフルーツはおすすめです。また、豊富な水分により、さっぱりとしていて食べやすく、夏バテで食欲がない場合に与えるのも良いでしょう。
以下で、犬の健康維持に期待できる、代表的な栄養素の効果を紹介します。
アクチニジン
アクチニジンとは、キウイフルーツに含まれている消化酵素のことで、タンパク質を分解する作用があります。
タンパク質が含まれている肉や魚などと一緒にキウイフルーツを食べたり、肉や魚などを食べた直後にキウイフルーツを摂取したりすることで、食事に含まれるタンパク質を分解し、消化吸収を促してくれます。
ビタミン群
キウイフルーツには、ビタミンCやビタミンEなどのビタミン群も含まれています。ビタミンCやビタミンEは、活性酸素の酸化反応をおさえる抗酸化作用があり、摂取することで老化の予防が期待できます。
また、ビタミンCは免疫力を向上させる効果があるため、病気の予防にも役立つでしょう。ちなみに、ビタミンCはグリーンキウイよりもゴールデンキウイの方に多く含まれています。
さらに、キウイフルーツは免疫機能のサポート、皮膚や視力、毛並みの維持に役立つビタミンAも含んでいます。
なお、健康な犬であれば体内で十分な量のビタミンCを生成できるため、そこまで意識して摂取する必要はありません。しかし、老犬(シニア犬)の場合は、ビタミンCを積極的に摂取した方が良いケースもあります。摂取量に悩む場合は、動物病院に相談しましょう。
食物繊維
キウイフルーツは食物繊維が豊富な果物です。食物繊維は腸の健康に良いとされており、便通の促進や便秘の予防に期待できます。とくにグリーンキウイには、ゴールデンキウイに比べて約2倍の食物繊維が含まれています。
なお、キウイフルーツには、以下2種類の食物繊維が含まれています。
食物繊維の種類と特徴
食物繊維の種類 | 特徴 |
---|---|
不溶性食物繊維 |
|
水溶性食物繊維 |
|
いずれもさまざまな健康効果に期待できますが、摂り過ぎると便秘や下痢の原因となるおそれがあるため注意しましょう。
カリウム
キウイフルーツには、余分なナトリウムの排泄を促して血圧を下げてくれるカリウムが多く含まれています。ナトリウムの排泄が促されることで、体内の余分な塩分を排出し、血圧を下げる効果が期待できます。
ただし、腎臓病や腎不全を患っている犬がカリウムを摂取すると「高カリウム血症」を引き起こす恐れがあり、命の危険に関わることもあるため、与える際には十分な注意が必要です。詳しくは後述します。
犬に与えるキウイフルーツの量の目安

キウイフルーツは健康維持に役立つ果物ですが、与え過ぎには注意が必要です。キウイフルーツは水分量が多く、食べ過ぎるとお腹を壊す可能性があります。そのため、基本的にはおやつとして与えましょう。
また、キウイフルーツを与えても良い量の目安は、1日に必要なカロリーの10%程度です。以下を参考に、適量を与えるようにしてください。
1日に与えても良いキウイフルーツの量の目安
犬の体格 | キウイフルーツの量の目安 |
---|---|
超小型犬 | 4分の1 |
小型犬 | 2分の1 |
中型犬 | 1個 |
大型犬 | 2個 |
犬へのキウイフルーツの与え方

犬にキウイフルーツを与える際は、以下3つのポイントを意識して与えましょう。
【犬にキウイフルーツを与える際のポイント】
- 未熟なものではなく、よく熟したものを選んで与える
- 消化不良の原因となる恐れがあるため、皮は剥き、可能な範囲で種も取ってから与える
- 喉に詰まらないよう、小さくカットしてから与える
キウイフルーツが喉に詰まらないか心配な場合は、カットだけでなく、すりつぶしたりピューレやスムージー状にしたりしてから与えるのもおすすめです。
また、キウイフルーツの食べ過ぎには注意が必要です。果物に含まれている果糖は、血糖値を上昇させるおそれがあるだけでなく、過剰に摂取すると肥満の原因にもなります。
先述した目安をもとに、ほかの食事とのバランスを考えて適量を与えましょう。
犬にキウイフルーツを与える際の注意点

犬にキウイフルーツを与える際は、いくつか注意すべきポイントもあります。以下で、犬にキウイフルーツを与える際の注意点を詳しく解説します。
丸ごとではなくカットして与える
キウイフルーツは丸ごとではなく、小さくカットしてから与えるようにしましょう。そのままの大きさで与えてしまうと、先述のとおり、喉に詰まらせてしまう危険があるため注意してください。
また、キウイフルーツの種には、犬にとって有益な「食物繊維」や、脳・目の機能をサポートする「オメガ3脂肪酸」が含まれていますが、種は硬いため、消化に適さないこともあります。そのため、キウイフルーツを与える際は、消化に悪いとされる種も可能な範囲で取り除くことが望ましいです。
とくに、子犬や老犬(シニア犬)は消化器官が未発達であったり、低下していたりするため、消化に悪いものを食べると消化不良を引き起こす可能性があります。キウイフルーツの種を取り除くのが難しい場合は、消化しやすいように種をすりつぶしましょう。
キウイフルーツは皮を剥いてから与える
犬がキウイフルーツの皮を食べると、消化不良を引き起こす場合があります。もし皮を食べてしまった場合は、消化不良による下痢・嘔吐などの症状がでるおそれがあるため、注意が必要です。
また、皮は農薬残留のリスクがある点からも与えるべきではありません。キウイフルーツの皮は厚めに剥き、食べやすいサイズにカットしてから与えましょう。
アレルギー反応に注意する
キウイフルーツに含まれる「アクチニジン」は犬の健康維持に役立つ反面、アクチニジンに含まれているタンパク質が原因となり、食後に食物アレルギーを引き起こす場合があります。アレルギー反応が起きると、体のかゆみや嘔吐、下痢などの症状があらわれます。
そのため、初めて犬にキウイフルーツを与える場合は、まず少量を与え、アレルギー反応を起こさないか確認してください。体調に問題がなければ、次回から与える量を少しずつ増やしていきましょう。
また、犬にキウイフルーツを与えた後、アレルギー反応による症状があらわれた場合は、動物病院にすぐ相談してください。
キウイフルーツの加工食品は与えない
キウイフルーツは、より美味しく食べられるようにジュースやドライフルーツなど、加工食品としても販売されています。
しかし、人間用の加工食品には砂糖や添加物が豊富に含まれているため、犬のおやつには適していません。砂糖や添加物が含まれたキウイフルーツの加工食品を与えてしまうと、肥満のリスクが高まります。
また、砂糖不使用のドライフルーツであっても、食べ過ぎると胃の中で膨張し、嘔吐などを引き起こすおそれもあります。
このような健康面への悪影響を考えると、キウイフルーツの加工食品は犬に与えない方が良いでしょう。
犬にキウイフルーツを食べさせてはいけないケース

犬の状態によっては、キウイフルーツを食べさせてはいけないケースもあります。以下で、キウイフルーツを食べさせてはいけないケースを3つ紹介します。
腎臓の機能が弱っている、または腎臓病に罹患している
高齢で腎臓の機能が弱くなっている犬や、腎臓病に罹患している犬には、キウイフルーツを与えてはいけません。
腎臓病とは、腎臓の機能が低下してしまい、老廃物が排泄できずに体内に溜まってしまう病気のことです。腎臓病に罹患している場合は、食事療法や点滴療法で治療をおこなうのが一般的で、腎臓の状態によってはカリウムの制限が必要になることがあります。
先述のとおり、腎臓病の犬がキウイフルーツを食べてカリウムを摂取し過ぎると、カリウムを十分に排出できず「高カリウム血症」を引き起こす可能性があります。キウイフルーツにはカリウムが多く含まれているため、腎臓に問題がある犬に与えるのは避けましょう。
尿石症に罹患した経験がある
尿石症とは、尿道や尿路に尿石が形成されてしまう病気のことです。
尿石は、ミネラルの過剰摂取や体内pHのバランスの乱れなどさまざまな原因で形成されますが、キウイフルーツに含まれる「シュウ酸」も原因のひとつです。シュウ酸によって形成された尿石は食事で溶かすことが難しく、外科手術で取り除く必要があります。
そのため、尿石症に罹患している犬や、これまで尿石症に罹患した経験がある犬にキウイフルーツを与えるのは避けた方が良いでしょう。
なお、尿石症に罹患した経験がない犬でも、キウイを食べ過ぎると尿石ができるリスクもあるため、キウイフルーツを与えるのは少量にしましょう。
下痢をしている
キウイフルーツには多くの食物繊維が含まれており、腸内環境を整える効果が期待できます。
ただし、記事前半でも紹介したように、食物繊維を摂り過ぎると下痢の原因になる可能性があります。また、下痢をしている犬にキウイフルーツを与えると、症状が悪化する場合もあるため、お腹の調子が悪い犬には与えないようにしましょう。
犬にキウイフルーツを与えても大丈夫?迷ったら動物病院に相談しよう

愛犬の体調が良くない場合や病気に罹患している場合、犬にキウイフルーツを与えても大丈夫かどうか悩むこともあるでしょう。このような場合はご自身で判断するのではなく、信頼できる動物病院に相談するのが確実です。動物病院は相談のみの来院も受け付けているため、気軽に利用しましょう。
また、動物病院の診療費が気になる場合はペット保険に加入しておくのがおすすめです。
ペットには、人間のように公的な健康保険制度がないため、動物病院の診療費は全額自己負担です。しかし、ペット保険に加入しておけば、補償割合に応じて自己負担額が減り、より気軽に動物病院を利用できるようになります。ペット保険の補償内容や保険料は各商品によって異なるため、愛犬の種類や経済的な負担を考慮して選びましょう。
なお、ペット保険を選ぶ際は保険の比較サイトが役立ちます。保険の比較サイトでは、複数のペット保険の情報を一覧で見比べることができ、愛犬やご自身にとって理想的な保険を効率的に探せます。
まとめ

犬はキウイフルーツを食べても基本的には問題ありません。キウイフルーツにはさまざまな栄養素が含まれており、与えることで愛犬の健康維持の効果が期待できます。
ただし、与え方や与える量には注意が必要です。与え方によってはキウイフルーツを喉に詰まらせてしまう可能性もあり、また与え過ぎるとお腹を壊す場合があります。
愛犬が特定の病気に罹患している場合や、お腹を壊している場合も与えないようにしましょう。キウイフルーツを与えても良いか悩む場合は、動物病院に相談したうえで判断することが大切です。
なお、動物病院の診療費が気になる場合は、ペット保険への加入も検討すると良いでしょう。保険の比較サイトでは、複数のペット保険の情報を一覧で見比べることができます。

- ペット保険
-
ペット保険の見積(無料)・比較
詳しく見る
監修者情報
井上ひとみ

獣医師。住之江公園南トート動物病院副院長。幼少期から動物が好きだったため小学校では飼育委員をし、自宅では犬や猫、ハムスター、フェレット、うさぎ、ラットなどたくさんの動物たちと暮らす。大学在学時には一時的にタヌキを保護していた経験もある。大阪府立大学農学部獣医学科(現:大阪公立大学獣医学部・獣医学研究科)を卒業後は大阪府内の動物病院での勤務を経て友人と動物病院を開業。現在は保護犬5匹、保護猫2匹と一緒に暮らす。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2025年5月21日)
2504192-2604