犬にかぼちゃを食べさせても大丈夫?適量や注意点も解説

かぼちゃは犬の健康維持に役立つ栄養素を豊富に含んでおり、愛犬に与えても基本的に問題ありません。かぼちゃを与えることで、食欲増進や免疫力向上といった効果が期待できます。ただし、与えすぎには注意が必要です。栄養バランスが偏り、肥満やアレルギーの原因となる可能性があります。また、かぼちゃの皮は消化しにくいため、工夫が必要です。
この記事では、犬にかぼちゃを食べさせる際のメリット、注意点、適切な量、そして与え方について詳しく解説します。愛犬の体格に合わせた目安量もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
犬はかぼちゃを食べていい?

前述のとおり、かぼちゃには犬にとって毒となる成分はとくに含まれていないため、犬に与えても問題ありません。かぼちゃは可食部の約20%が炭水化物といわれており、エネルギー補給に役立ちます。また、かぼちゃに含まれるβ-カロテンは皮膚や被毛、歯や目の健康維持をサポートし、食物繊維は便秘解消効果が期待できます。
また、かぼちゃはビタミン類が豊富で、アミノ酸のひとつであるGABAも含まれています。GABAは、脳の興奮を鎮めるリラックス効果がありますが、加齢により減少するため、必要に応じて補いましょう。
かぼちゃに含まれる栄養素と効果
かぼちゃに含まれる栄養素 | 期待できる効果 |
---|---|
β-カロテン | 皮膚や被毛、歯の健康維持 |
食物繊維 | 便秘解消 |
GABA | リラックス |
犬が食べていいかぼちゃの量とは
かぼちゃは栄養価が高い野菜ですが、カロリーも比較的高めです。生の日本かぼちゃ100gに含まれるエネルギーは41kcal、西洋かぼちゃは78kcalあります(ゆでた状態では日本かぼちゃ55kcal/100g、西洋かぼちゃ80kcal/100g)。与えすぎると肥満や下痢、消化不良の原因になるため、適量を守るようにしましょう。
犬に与えて良いかぼちゃの量の目安
犬の体格 (体重の目安) |
かぼちゃの1日の目安量 (1切れ25gとしたときの目安量) |
---|---|
超小型犬 (4kg以下) |
25g以下 (1切れ程度) |
小型犬 (4kg~10㎏) |
50g以下 (2切れ程度) |
中型犬 (10㎏~25㎏) |
75g以下 (3切れ程度) |
大型犬 (25㎏~) |
100g以下 (4切れ程度) |
また、ドッグフードやおやつにかぼちゃが含まれている場合もあるため、かぼちゃを追加で与える際は量に注意が必要です。
犬も甘みを感じることができるため、かぼちゃは嗜好性も高い野菜です。ただし、かぼちゃは茹でただけで十分な甘みがあるので、大量に与えるとお腹がいっぱいの状態になり、主食を食べられなくなるかもしれません。
栄養が偏る原因となるため、ドッグフードを主食とし、かぼちゃはおやつやご褒美として与えるようにしましょう。
子犬や老犬もかぼちゃを食べられるのか
生まれたばかりの子犬は、消化器官が十分に発達していません。また、子犬によっては歯が乳歯で未発達なこともあります。子犬にかぼちゃを与える際は、最低限、乳歯が生え変わってから少しずつ与え、不安な場合には1歳を超えてから与えるようにしましょう。
なお、老犬にかぼちゃを与えるときは、消化不良を起こすことがないよう、かぼちゃを加熱して柔らかくすることが大切です。犬が肥満気味、あるいは消化トラブルを起こしやすい場合は、かぼちゃを与える前に動物病院に相談しましょう。
犬にかぼちゃを与えるときの注意点とは?

かぼちゃには健康に良い成分が多く含まれているため、犬の健康維持に役立ちますが、与えるときには注意したい点があります。以下の内容を理解し、かぼちゃを安全に食べさせましょう。
腎臓病・心臓病の犬にはかぼちゃを与えない
かぼちゃはカリウムが豊富に含まれる野菜です。心臓、腎臓に持病のある場合は、カリウムがうまく排出されずに突然死につながることがあるため注意が必要です。
また、腎臓や肝臓などに病気があり療法食を勧められている犬も、かぼちゃに含まれるカリウムが体に負荷をかける可能性があるため、与える前に必ず獣医師に相談してください。
加熱調理してから与える
かぼちゃは、β-カロテンをはじめ栄養豊富な食材ですが、生のかぼちゃは硬く、消化不良を起こす恐れがあります。犬に与える際は、加熱して柔らかくしてから食べさせてください。
茹でたり電子レンジで調理したりして柔らかくなったかぼちゃは、塩や砂糖などの調味料を使用しなくとも十分な甘味があり、おいしく食べられるのも魅力です。塩分過多や糖分過多を避けるためにも、調味料を使わずに与えましょう。また、与える際は、火傷をしないような温度まで冷ますことも大切です。
犬にかぼちゃの種や皮、わたは与えない
かぼちゃの種は有毒ではありません。ただし、食べる際に喉に詰まらせたり、犬にとっては消化が難しく、胃腸の中で異物として残ったりする可能性があるため、取り除いてから与えるようにしてください。
また、かぼちゃの皮は硬く消化されにくいため、腸閉塞を起こすこともあります。そのため、基本的には取り除くことをおすすめします。ただし、皮にも栄養が豊富に含まれているため、与えたい場合は十分柔らかくなるまで加熱し、さらに細かく切って与えると消化しやすくなります。
種や皮だけでなく、かぼちゃのわたも消化しにくい部分です。消化管に詰まったり、口の中や消化管を傷つけたりする恐れがあるため、極力取り除くようにしましょう。
少量から与えてアレルギー反応が出ないか様子を観察する
かぼちゃは、玉ねぎやチョコレートのような中毒物質を含んでいませんが、人間と同じく犬にも個体差があり、かぼちゃが身体に合わない場合があります。
また、かぼちゃには少量ですがタンパク質が含まれており、アレルギーの原因になる可能性もゼロではありません。 とくに、じゃがいもなどのイモ類にアレルギーを持っている場合は、注意が必要です。
初めてかぼちゃを与える際は、身体に合わない可能性も想定し、まずは少しだけ食べさせて様子を観察しましょう。異常があれば食べるのを止めさせます。かぼちゃを食べたことで下痢や嘔吐、かゆがるなどの反応や、いつもと違う様子があった場合、食物アレルギーの疑いがあるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
かぼちゃの加工品は与えない
かぼちゃを原料とした人用の加工品には、糖分や塩分、保存料などの添加物が多く含まれていることがあるため、犬に与えないようにしましょう。たとえば、市販のスープやかぼちゃクッキー、かぼちゃケーキなどがあげられます。
犬にも塩分は必要ですが、人間用に加工された製品を与えると過剰摂取になる恐れがあります。カロリーの過剰摂取は肥満の原因になり、糖尿病や関節炎などの病気を引き起こすリスクが考えられます。
ただし、犬用として販売されているおやつであれば、与えても問題はありません。犬にかぼちゃを与えるなら、必ず犬用のものを用意し、量に注意して与えましょう。
かぼちゃのおやつは適量を与える
かぼちゃは口あたりがよく甘いため、犬がつい食べ過ぎてしまう恐れがあります。与えすぎは栄養の偏りにつながり、肥満の原因や、糖尿病・関節炎になるリスクも高めるため注意が必要です。また、カロリーオーバーにならないように、かぼちゃを与えた分、主食を減らすようにしてください。
犬の食事は栄養バランスが重要です。体に良い成分が摂れるからといってかぼちゃばかりを与えず、おやつやドッグフードにトッピングして与えましょう。
犬にかぼちゃを与えるメリットとは?

かぼちゃにはビタミンやミネラル、食物繊維など、愛犬の健康維持に役立つ栄養成分が多く含まれています。かぼちゃを与えるときのメリットをおさえて、適量を食べさせるようにしましょう。
食欲増進
個体差はありますが、一般的に犬は甘味を好む傾向がみられます。かぼちゃは甘味が強いため、食欲低下がみられる愛犬や食事量が落ちてきた老犬に与えれば、食欲増進が期待できます。
ただし、日本かぼちゃはゆでた状態で100gあたり55kcalと、高カロリーな食材である点に注意しましょう。通常の食事をしっかり食べている場合はカロリー過多にならないよう、適量を与えるようにしてください。
免疫力の向上
かぼちゃには多くの食物繊維が含まれています。食物繊維は腸内環境を整える働きをするため、免疫力の向上や病気に対する抵抗力強化などが期待できます。また、かぼちゃに含まれるビタミンCは、身体を酸化ストレスから守る働きがあり、食物繊維と同じく免疫力を高める作用があります。
さらに、かぼちゃに含まれるβ-カロテンも抗酸化作用を持つため、免疫力維持を期待できます。またβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換される成分です。ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち、犬の視力維持にも効果があります。
便秘解消
生のかぼちゃには100gあたり3.5g、茹でた場合は100gあたり4.1gの食物繊維が含まれています。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、かぼちゃは不溶性食物繊維の割合が多い野菜です。
水溶性食物繊維は、糖質の急激な吸収をおさえて食後の血糖値上昇を抑制する働きや、コレステロールを排出する効果が期待できる成分です。一方、不溶性食物繊維は腸内細菌のバランス改善や便秘予防効果を期待できる成分です。
食物繊維はどちらも腸内環境を整えて排泄を促す働きがあるため、便秘予防に効果があります。さらに、不溶性食物繊維は水分を吸収して胃腸内でかさが増し満腹感が得られるため、肥満の犬には減量効果も期待できます。
血圧や神経系の機能を正常に保つ
かぼちゃに含まれるビタミンB1やカリウムは、神経伝達物質の合成と関係があるといわれており、犬の神経系の機能を正常に保つ効果を期待できます。
なかでもカリウムは、神経系の働きに重要な役割を持つミネラルで、細胞内液の浸透圧を調整する働きやナトリウムを排出する作用がある成分です。そのため、過剰な塩分を排出し、血圧を安定させる効果を期待できます。
しかし、カリウムは過剰摂取に注意しなければなりません。カリウムの過剰摂取は、高カリウム血症を引き起こす原因です。高カリウム血症になると、心機能の異常や体の衰弱が起こり、心停止の恐れもあります。
腎臓病や腎機能の衰えがある場合は、余分なカリウムを排出しにくくなり、心臓にダメージを与えてしまうこともあります。カリウムの過剰摂取には注意し、獣医と相談のうえ与える量を調整しましょう。
ペット保険を選ぶときは比較サイトを活用しよう

犬を飼っていると、日々の食事から気になる症状が見つかり、動物病院にかかることもあるでしょう。たとえば、アレルギー症状がみられたり、食欲が減退したりするときは、早めに動物病院に相談することが大切です。
症状によっては治療が長引いたり、手術・入院が必要になったりすることもあるかもしれません。しかし、ペット保険に加入していれば、治療による経済的な負担をおさえられるため、動物病院も受診しやすくなります。
なお、何かあったときに備えてペット保険に加入したくても、どのペット保険を選べばよいのか悩んでいる方は、比較サイトを活用しましょう。犬種や年齢、求める補償内容などからペット保険を絞り込めるため、検討に役立ちます。
まとめ

かぼちゃはβ-カロテンやGABAなどを含む栄養価の高い野菜のため、愛犬の健康維持におすすめです。かぼちゃは犬が食べられる野菜ですが、栄養の偏りには注意し、おやつや食事のひとつとして与えましょう。ただし、かぼちゃは高カロリーのため、与える際は犬の体格をふまえ適量を心がけましょう。
また、犬によってはアレルギー反応が生じることもあるので注意が必要です。初めて与えるときは少量のみにとどめ、様子を見ながら与えましょう。
生のかぼちゃよりも加熱した方が消化しやすいため、茹でたり、蒸したりしたものがおすすめです。皮を食べさせる際は、喉に詰まらせないよう小さく切り、犬が食べやすいように工夫しましょう。種やわたに有毒な成分は含まれていませんが、消化不良を引き起こすこともあるため、取り除いてください。
もしも、犬にかぼちゃを食べさせた際の反応や、食べさせても大丈夫か気になる症状があるときは、動物病院を受診して相談しましょう。医療費の支払いに備えてペット保険に入っていれば、費用をおさえられて安心です。

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監修者情報
丸田香緒里

Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2025年6月11日)
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