ハムスターの目が開かない原因は?考えられる病気や対処法を解説

ハムスターは、片目や両目を閉じていたり、目の周りをこすったり、両目を開きにくそうにしていたりすることがあります。寝起きや目を閉じているだけなら問題ありませんが、結膜炎や角膜潰瘍、マイボーム腺腫といった病気に罹患している恐れもあります。
病気やケガの症状として目が開かないと疑われる場合は、動物病院を受診して処置を受けましょう。また、飼育環境や目の周りを清潔にし、ハムスターがストレスなく過ごせる環境作りを心がけましょう。
この記事では、ハムスターの目が開かない原因や考えられる病気、対処法について解説します。目の病気を防ぐために普段からできることも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ハムスターの両目・片目が開かないときに考えられる原因

ハムスターの両目が開かないとき、または片目がおかしいときがあるかもしれません。片目が半開きになっていたり、目を開けて動かないとき、目が開かない状態で元気がないとき、よたよたしていたりする場合などは、寝起きの可能性だけでなく、目の病気の可能性もあります。
また、がんや皮膚病、外傷などの目以外の疾患によって脱水症状や栄養障害が生じて目に症状が出ていることや、寿命が近づいてきたために目が開かない・開きにくくなっていることも考えられます。
まずは、目の周りにかぶれや傷がないかチェックしてみましょう。また、こまめに体重測定することで、がんなどの病気を早期発見できることもあります。
なお、目が開かない症状として現れるハムスターの病気には、感染症やアレルギー、結膜炎などさまざまな種類があります。ハムスターの目やにがひどい、目が赤いなど、目に異常があると感じたときは動物病院を受診し、適切な処置を受けましょう。
以下で、ハムスターが罹患する恐れがある病気とその症状、原因などについて解説します。
結膜炎
結膜炎は、ハムスターが罹患しやすい病気のひとつです。
結膜炎には、眼に細菌が入り込んで発症する細菌性結膜炎のほかに、床材・プラスチック製品などが原因物質となるアレルギー性結膜炎、眼に外傷が生じたことで起こる外傷性結膜炎などがあります。
結膜炎に罹患すると、涙の量が増えたり目やにが出たり、目やににより片目もしくは両目が開けられなくなることもあります。それ以外にも、目の周囲が赤く腫れたり周辺の毛が抜けたりするなどの症状がみられます。
結膜炎が疑われるときは、すぐに動物病院を受診してください。基本的には点眼薬で、場合によっては内服薬で治療します。
角膜潰瘍
角膜潰瘍とは、黒目を覆う角膜に潰瘍が生じる病気です。角膜に損傷が生じて膿が出るため、目が開きにくくなることがあります。
損傷による痛みが原因でハムスターが目をこすってしまうと、症状が悪化する恐れがあります。早めに動物病院を受診し適切な処置を受けましょう。
マイボーム腺腫
マイボーム腺腫とは、炎症や感染などが原因で皮脂成分を分泌するマイボーム腺からの分泌液がうまく排出されずに蓄積し、まぶたが腫れる疾病です。マイボーム腺に分泌物が過剰に蓄積することにより、目の開閉がしにくくなり、瞼に白っぽい粒状のものが生じているときは、マイボーム腺腫が疑われます。
マイボーム腺腫は痛みやかゆみがほとんどないため、詰まりが解消されれば自然に治ることがあります。しかし、腫瘍ができている場合の自然治癒は困難です。レーザーで取り除く方が良い可能性もあるため、動物病院に相談してください。
脱水症状
脱水症状とは、皮下組織に十分な水分が蓄積されていない状態のことです。水分不足から脱水症状になると、涙の粘性が高くなり、目が開きにくくなることがあります。
皮膚にしわがあるときや食欲がなくなっているときは、脱水症状が疑われます。水入れの水量をチェックするなど、必要な水分を摂取できているか確認しましょう。
目の外傷
ハムスター同士の喧嘩やケージに引っかかったなどの理由で、目に外傷を負う可能性が考えられます。
外傷が生じると、不快感や痛みから目が開かなくなることがあります。また、外傷部分から膿が生じることで、まぶたがくっついて目が開きにくくなることもあるため、外傷を負っているのに気づいたら動物病院に相談しましょう。
アレルギー
アレルギー反応により、かゆみや涙が生じ、目が開きにくくなることもあります。
たとえば、針葉樹の床材や食べ物、不衛生な環境による細菌感染やカビ感染、ダニ寄生、内分泌疾患などによりアレルギー反応が生じます。アレルギーの原因となりそうなホコリなどがないか、飼育環境を確認してみましょう。
ハムスターの目が開かないときの対処法

ハムスターの目が開かなくなったとき、生理現象の範囲なら優しく拭き取りましょう。もしも、病気やケガが疑われる目の異常なら、適切な対処や治療が必要です。ハムスターが快適に暮らすためにも、こまめに様子を観察し、体調の変化に注意しましょう。
ここからは、ハムスターの目が開かなくなったときや、目に異常が見られるときに実施したいことを解説します。
定期的にハムスターの目の周りを拭く
こまめに目の状態をチェックし、目やにが出ているときは定期的に拭いてあげましょう。目やにが固まっているときは、こすらずに濡れたタオルで目の周りを優しく拭いてください。とくに、高齢のハムスターは目やにが出やすいので、定期的に拭くように心がけましょう。
濡れタオルでも取れないときは、綿棒やタオルをぬるま湯で濡らし、目元に数分間当てて、くっついた目やにをほぐしてください。溜まった目やにをこまめに取り除くことで、目やにが固まりにくくなり、まぶたがくっつくのも防ぎやすくなります。
ただし、火傷や目を傷つける恐れもあるため、熱過ぎないお湯で綿棒やタオルを濡らしましょう。また、目に赤みや腫れが見られるとき、目やにや涙が増えているときは、早めに動物病院を受診してください。
動物病院を受診する
涙や目やにが増える、かゆみや痛みを感じているなど目に異常がみられるときは、早めに動物病院を受診し原因を特定してもらい、早期に必要な治療を受けましょう。
たとえば、結膜炎なら点眼薬を、難しい場合は内服薬での治療が可能です。なお、点眼薬は指示された用法(回数、点眼量)を正確に守り、目薬の容器の先が目に触れないように注意してください。
また、複数の点眼薬を処方されたときは、特別な指示がない限り、間隔を5〜10分ほど空けましょう。点眼後は、ハムスターが目をこすらないか、10分ほど様子を見るようにしてください。
なお、人間用の目薬は使用せず、動物病院で処方されたものを使用し、自己判断で治療を止めないでください。
飼育環境を見直す
不衛生な環境がアレルギーの原因となることもあるため、予防としてこまめな掃除が大切です。トイレ砂や床材、ケージの底などは少なくとも1週間に1回交換し、ケージは1ヵ月に1回掃除するようにしましょう。
また、ケガをしやすい環境でないかも確認しましょう。金網ケージはハムスターが網を噛んだ際に、前歯(切歯)が欠けてしまったり、不正咬合を起こす可能性があります。また、網の場合はよじ登って落下するとケガをすることもあるため注意が必要です。安全性を重視するなら、水槽タイプのケージなどを選びましょう。
動物病院の受診が必要な際は、ハムスターの状態だけでなく生活環境を十分に把握することも大切です。把握することで、ハムスターが病気やケガをした際の動物病院での診療もスムーズに受けられます。
床敷きをシートに交換する
床材やプラスチック製品によって、アレルギー性結膜炎を起こしたり、目をこすりつけて角膜を傷つけたりする可能性があります。とくに、木材のチップは目をこすりつけて傷つける可能性があるため、クッション性の高い紙製のものに換えましょう。
紙製の床材は、細かく切ったものが一般的ですが、アレルギーを起こしにくい無漂白の低アレルゲンのものもあります。また、針葉樹のチップは過敏反応を起こして皮膚炎やかゆみが生じるケースがあるため、使用を避けてください。
爪を切る
ハムスターの爪が伸びていると、爪で角膜を傷つける恐れがあります。とくに前足の爪が伸びていると、目をこすったときに角膜を傷つけやすくなるため、定期的に確認し伸びている場合は切るように心がけましょう。
爪を切る際は、ハムスターの背中を片方の手でつまんでおさえ、もう片方の手でハムスターの手を持ち、血管の少し上あたりの爪の先端を切るようにしてください。
爪切りをおこなっている動物病院もあるため、難しい場合はカットしてもらうと良いでしょう。
ストレスがかからないように配慮する
大きな音や光、新しい環境がストレスになり、病気の原因になることもあります。また、精神的なストレスにより、食欲不振や異常行動を引き起こすこともあるため、静かで安全な環境づくりを心がけましょう。
日常から、以下のような環境を作り、ハムスターが穏やかに暮らせるように工夫してください。
【ハムスターのための環境づくりの一例】
- ハムスターがいる部屋ではテレビや音楽の音量を絞る
- 掃除機はハムスターが起きている夜間にかける
- ケージの近くでは急に手や体を動かさないようにする
- ハムスターのケージに直射日光や室内灯の光が直接あたらないようにする
- ケージ内に小屋やトンネルなどの隠れ場所や活動場所を数箇所設置する
ペット保険を選ぶときは比較サイトの活用がおすすめ

ハムスターは、片目を閉じていることや両目を開きにくそうにすることがあります。その場合、病気や外傷、脱水症状などが疑われるため、症状が続いているときは動物病院を受診するようにしてください。
原因によっては、治療が長引くことや手術・入院が必要になることもあります。万が一に備えるためにも、ペット保険に加入しておくと安心です。
しかし、ペット保険にもさまざまな種類があり、保険選びに迷って決められない場合もあるでしょう。そのようなときは保険の比較サイトを活用し、ハムスターの種類や年齢、求める補償内容など希望条件から複数の保険を見比べると、効率良く探せます。
日頃からハムスターの病気やケガを予防しつつ、具合が悪いときは安心して動物病院を受診できるようにペット保険への加入をご検討ください。
まとめ

ハムスターが目を開きにくそうにしている場合、寝起きなどの生理現象の範囲なら問題ありません。ただし、目の病気の可能性や、ほかに原因があり目に症状が出ている場合もあるため、注意が必要です。また、目に異常がみられるときには、爪切りができているか、最適な床敷きを使用できているかなど飼育環境も確認しましょう。
ハムスターの目に涙や目やにが出ていれば優しく拭き取り、投薬治療の際は病院で処方された薬を適切に与えましょう。予防方法として、床材やケージ素材などの飼育環境の見直しや、定期的な爪切り、ストレスのかかりにくい飼育環境を作るなどがあげられます。
ただし、目やにが増えたり、目が赤くなったりなど、ハムスターの様子に異常がみられるときは、早めに動物病院を受診しましょう。日頃から丁寧に観察し、早期に動物病院にかかり適正な治療を開始することで、症状の悪化を防ぎ、ハムスターの健康を守りやすくなります。
また、気になる症状があるときも動物病院の受診を検討しましょう。医療費の支払いに備えてペット保険に加入していれば、費用をおさえられて安心です。

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監修者情報
丸田香緒里

Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2025年6月11日)
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