資産運用の基礎知識を初心者向けに解説!成功のポイントや注意点も紹介
これから資産運用を始めたいと思いながら、なかなか最初の一歩を踏み出せないという方も多くいるのではないでしょうか?「失敗しないだろうか」「何から手をつければよいのかわからない」など、不安に感じることもさまざまでしょう。
この記事では、資産運用が初心者の方に向けて、始める前に知っておきたい基礎知識とさまざまな金融商品、初心者の方におすすめの投資方法についてわかりやすく解説します。また、注意点やポイントもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
初心者が知っておきたい資産運用の基礎知識
ものやサービスの価格、社会保険料、税金などが年々増加傾向にあるなかで、私たちの生活に必要なお金も今後ますます増加していくことが想定されます。このような状況のなかでできるだけ手元にのこるお金をのこしながら、経済的にゆとりのある生活を送るために「資産運用」を始める方が増えています。
資産運用とは、手持ちの資金を預貯金や金融商品への投資に配分して、効率的に増やしていくことです。実際に、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)の加入者数も年々増加しています※。
資産運用には、貯めることを目的とする「預貯金」と増やすことを重視する「投資」がありますが、投資の場合には「元本が保証されていない(増えるとは限らない)」「資産を増やすには時間がかかる」など、注意するべきポイントもあります。
初心者の方が資産運用を始めるためにはまず基本的な知識を知っておくことが大切です。ここからは、資産運用に関する基本をわかりやすく解説します。
基礎知識①運用方法
前述のように、資産運用の方法にはおもに「預貯金」と「投資」の2つがあります。
「預貯金」は、金融機関にお金を預けて貯めることを目的とします。元本が保証されていることが特徴で(各金融機関で元本1,000万円までとその利息)、普通預金や定期預金などがあります。
一方、「投資」は株式や債券、投資信託などの金融商品でお金を増やすことを目的とします。運用のしくみは金融商品によって異なりますが、たとえば株式であれば配当金や譲渡益(売買益)などの利益が期待できます(金融商品による運用のしくみの違いは後述します)。
資産運用は、さまざまな金融商品のなかから「安全性」「収益性」「流動性」の3つの点に注目し、運用の目的にあわせて選ぶのが基本です。「安全性」「収益性」「流動性」の全てを満たす金融商品はありません。そのため、それぞれの長所・短所を比較し、ご自身がどのポイントを重視するのか考えることが重要になります。
金融商品を選ぶときの基準
安全性 | 元本が減らないかどうか |
収益性 | どのくらい利益を期待できるか |
流動性 | お金を引き出しやすいかどうか |
なお、金融商品は一般的に証券会社や銀行など、金融機関を通して購入します。金融機関によっては、インターネットや電話でも購入することが可能です。
基礎知識②リスクとリターン
資産運用におけるリターンとは、「運用によって得られる成果(利益・損失)」の意味です。一方、リスクは「リターンが不確実であること」で、利益と損失、両方向のリターンの振れ幅を意味します。
リスクとリターンは表裏一体、比例関係にあり、一般的にリスクが低いとリターンは小さく、リスクが高いとリターンも大きくなります。つまりリスクの大きな投資(金融商品)は、大きな利益を得られる可能性がある反面、大きな損失を出すおそれもあるのです。
資産運用をおこなう際は、リスクとリターンのバランスを考慮して、ご自身の目的に合った運用方法を選ぶことが大切です。
基礎知識③複利効果
複利効果とは、資産運用で得た利益を元本に組み入れて運用することで、利益がさらなる利益を生み出してくれる効果のことです。一般的に運用期間が長くなるほど元本が膨らんで、複利効果も大きくなる傾向があります。
たとえば、元本300万円で運用し、1年後に10万円の利益を得られたとしましょう。この10万円を元本に組み入れると、2年目は合計で310万円の金額に対して利子がつきます。2年目の利回りが1年目と同じだったとしても、運用する金額が増える分、より多くの利益を得られます。
ただし、運用益がマイナスになることによって複利効果が得られないこともあるため注意しましょう。
何から始める?初心者の資産運用におすすめの金融商品5つ
金融商品には数多くの種類がありますが、資産運用初心者の方は、まず次の5つをおさえておきましょう。
【初心者におすすめの金融商品】
- ① 預貯金
- ② 株式
- ③ 投資信託
- ④ 債券
- ⑤ 外貨預金
以下では各金融商品の概要や特徴を詳しく解説します。
①預貯金
預貯金とは金融機関にお金を預け、定期的に受け取る利子で資産の増加を目指す運用方法です。
預貯金による資産運用は、原則として元本割れはありません。また、万が一金融機関(預金保険制度の対象となる金融機関)が破綻しても元本1,000万円までと破綻日までの利息は保護されるため、安全性が高く、確実に準備したい資金の運用に適しています。
ただし、現在は金利が低いため、資産を増やす効果はほとんど期待できません。資産を積極的に増やす目的で運用に取り組むなら、後述する株式や投資信託など、ある程度リターンの期待できる金融商品への投資を検討する必要があるでしょう。
②株式
株式は金融商品のひとつです。株式を購入するメリットは、購入した株式が値上がりして購入時よりも高く売れれば、売却益を受け取ることができること、さらに配当金や株主優待などを受け取ることができる場合もあることです。
そもそも株式は、株式会社が必要な資金を調達する手段のひとつです。企業が事業を続けるためには、人件費、オフィスの維持費、開発費などさまざまな資金が必要となります。そこで、株式会社では株を発行することで出資者を募り、株の購入を通して集まった資金を事業に活用します。株の購入者は「株主」と呼ばれ、保有した株に応じた配当金を受け取る権利が付与されます。
株式には元本保証がないため、売却時の価格が購入時の価格より値下がりすることもあります。また、投資した会社が破綻すれば株式の価値がゼロになってしまう可能性もあります。これらのリスクに対応するためには、一度に買わずタイミングを何度かに分けて買う、複数の会社や業種に分散してバランスよく買う、短期的ではなく長期的な成長に期待するなどの方法があります(詳しくは後述します)。
株式投資はいくらからできる?
株式投資はリスクをともなう投資のため、いきなりまとまった金額を投資せず、少額から始めてみるのがよいでしょう。国内株式の場合、取引は通常100株単位ですが、証券会社によっては「単元未満株」や「株式ミニ投資」などを用意しているところもあり、これらを利用すれば1株単位の取引や通常の10分の1の株数で投資できるため、少額で株式投資をおこなえます。初心者の方でも挑戦しやすいでしょう。
ただし、単元未満株取引は売買手数料が割高になりやすいため、コスト管理も大切です。
③投資信託
投資信託は、投資家から集めたお金を資産運用の専門家が代わりに運用し、利益を投資家に還元する金融商品です。投資先の選択や売買のタイミングの判断などをプロに任せられる点が魅力です。
投資信託には基準価額という価格があり、原則として毎日変動します。売却時の基準価額が購入時よりも高ければ利益をあげることができるほか※決算がおこなわれる際に分配金を支払うしくみもあります。
※販売手数料などは考慮していません
ただし、投資信託は売却時の基準価額が購入時の価格より値下がりすれば元本割れするおそれがあります。
基準価額に影響を及ぼす要因として代表的なものが以下の3つです。
投資信託の基準価額に影響を及ぼす要因
価格変動リスク | 投資信託に組み入れられている株式や債券の価格が値下がりする可能性がある |
信用リスク | 投資信託に組み入れられている株式や債券の発行体が破綻する可能性がある |
為替変動リスク | 外国の株式や債券で運用する投資信託は為替レートの変動によって、基準価額(投資信託の値段)が下がる可能性がある |
※外国の株式や債券に投資する投資信託の場合には、カントリーリスクもあります。
なお、投資信託はそもそも株式や債券など複数の金融商品、あるいはさまざまな地域に資金を分散して投資します。投資先を分散することで、個々の投資先の価格変動の影響を受けにくくなり、資産運用にともなうリスクが軽減される点は投資信託の大きなメリットでしょう。
投資信託はいくらから投資できる?
投資信託は少額から始めることが可能です。具体的な購入金額は投資信託によって異なりますが、なかには月々100円から購入できる投資信託もあります。
ただし、投資信託によっては購入時手数料が必要な場合があるほか、運用期間中には運用管理費用などのコストがかかるため注意してください。投資信託を購入する際は、どのくらいのコストがかかるのか事前に把握しておきましょう。
④債券
債券とは、国や企業などの発行体が投資家からお金を借りるために発行する借用証書のようなものです。
債券による資産運用では、債券の保有中に定期的に受け取ることができる利子によって資産の増加を目指します。また、満期日を迎えたときは、元本または事前に約束していた額面金額を受け取ることができます。安定した収益が期待できるため、資産運用初心者の方向きの運用方法といえるでしょう。
債券には政府が発行する「個人向け国債」や民間企業が発行する「社債」など、さまざまな種類があります。債券によって利率や満期日までの期間は異なり、複数の債券を組み合わせて運用することも可能です。
ただし、債券の発行体が倒産・財政難などを理由に債務不履行に陥った場合は、決められた利子や満期時の額面金額を受け取れなくなるおそれがあります。発行体によって安定性が左右されるため、債券による資産運用を始める場合は発行体の財政状況、経営状況などを見極めることが重要です。
債券はいくらから投資できる?
債券の種類によって必要な投資額は異なります。たとえば、個人向け国債であれば最低1万円から始められますが、社債(事業債)は10万円単位、100万円単位で購入できます。
また、利用する金融機関によっては、口座を維持するための手数料が必要です。
⑤外貨預金
外国の通貨でおこなう預金のことを「外貨預金」といいます。外貨預金はその通貨(国)の金利で運用されるため、通貨によっては日本円で預金する場合よりも受け取ることができる利子が増える可能性があります。
また、外貨を日本円に戻すときの為替レートが円安になっていれば、為替差益も得られます。ただし、預金した時点より円高になっていると為替差損が生じて、利子を含めても損失となることもあります。このような為替リスクは円預金にはないリスクであり、注意が必要です。このほか、円と外貨の交換時には為替手数料がかかります。
知っておきたい!投資の税制優遇制度
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、税制上の優遇を受けながら投資ができる制度のことです。いずれも国による公的な制度で、資産形成の支援や福祉の向上に寄与することを目的に設立されました。前述したように資産運用の重要性が広まっている昨今、それぞれの制度に注目が集まっており、NISA、iDeCoの加入者数は増加傾向にあります。
NISAとiDeCoには、それぞれ次のような特徴があります。
NISAとiDeCoの違いと特徴
NISA(2024年~) | iDeCo | |||
---|---|---|---|---|
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |||
対象年齢 | 18歳以上 | 原則20~65歳未満 | ||
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 | 14.4~81.6万円 | |
非課税保有限度額 | 1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円まで) |
制限なし | ||
対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式・投資信託など | 投資信託・保険・預貯金など | |
税制メリット | 積立時 | ー | 全額所得控除の対象 | |
運用時 | 運用益は非課税 | 運用益は非課税 | ||
受取時 | 上場株式の配当金等は非課税(株式数比例配分方式を選択している場合) | 退職所得控除・公的年金等控除の対象 | ||
引出制限 | 制限なし | 原則60歳到達まで引出不可 |
(2024年7月時点)
※上記のNISAは2024年1月から開始した制度の概要です。
NISAとiDeCoの大きな特徴は税金の負担をおさえることができる点です。
本来、投資で生じた利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAやiDeCoの投資によって得られた利益は非課税となります。
なお、NISAとiDeCoは税金に関するメリットがある部分は共通しているものの、それぞれしくみが異なる別の制度です。そのため、ご自身の目的に応じて使い分けると良いでしょう。以下ではNISAとiDeCoがどのような制度なのか、具体的な特徴を解説します。
NISA(少額投資非課税制度)
NISAは、金融商品への投資によって得られる利益が非課税になる制度です。税金がかからない分、より多くの資産を手元にのこせます。金融機関によっては最低投資額100円から始められるため、投資を始めるハードルの低さもNISAのメリットです。
NISAにはいくつか種類があり、2023年時点では「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA(2023年で終了)」と呼ばれる3種類の制度がありました。2024年からは一般NISA、つみたてNISAがそれぞれ「成長投資枠」「つみたて投資枠」として一本化され、新しいNISAとして再スタートしています。
2024年からスタートした新しいNISA制度では、つみたて投資枠で年間120万円まで、成長投資枠では年間240万円まで非課税で投資が可能です。また、非課税保有期間が無期限になり、金融商品を売却すると翌年には非課税投資枠が復活するため、目的に合わせた運用期間でより柔軟な運用が可能になりました。
なお、NISAで投資できる金融商品は投資信託や上場株式です。運用次第で損失が出る可能性もあることをよく理解してから利用しましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは任意で加入できる私的年金制度で、公的年金に上乗せする形で老後資金を準備するための制度です。
公的年金とはしくみが異なり、iDeCoはご自身で運用方法を選び、掛金を拠出して運用します。掛金と運用による利益は、原則60歳以降に年金または一時金で受け取ります。
iDeCoで拠出した掛金は全額所得控除の対象となり、運用で得た利益は非課税で再投資されます。最終的に受け取る年金や一時金は課税対象になりますが、受け取り方法に応じた控除が適用され、税負担を軽減するしくみがあります。
iDeCoを始めるために必要な掛金は月々5,000円からの少額となっています。ただし、加入後は毎月手数料がかかるため、掛金や運用資産額が少ない場合は相対的に運用コストが割高になる点に注意が必要です。
運用商品は、運営管理機関が提示する金融商品のなかから選択し、複数の金融商品を組み合わせることもできます。
なお、iDeCoで形成した資産は原則として60歳になるまで受け取ることができません。60歳までに必要となる資金の運用には、別の方法を検討しましょう。
初心者が資産運用をする際の注意点
資産運用に取り組む際は、金融商品の購入や保有にかかるコスト(手数料)を忘れず把握しておきましょう。コストを考慮していない場合、「想定していたよりも資産が増えない」といった事態が発生し、資産運用の計画に支障をきたす可能性があります。
このほか、投資初心者の方が始める場合には、次の4点にも注意してください。
【初心者が投資を始めるときの注意点】
- 投資は少額から始める
- 投資は余裕資金(余剰資金)でおこなう
- 積立投資・分散投資によってリスクをおさえる
- 長期的な視点で資産運用に取り組む
以下でそれぞれの注意点について解説します。
資産運用(投資)は少額から始める
投資で得られるリターンは投資額に比例します。そのため「なるべく大きな金額を投資して効率よく資産を増やしたい」と考える方もいるでしょう。
しかし、投資の経験があまりない段階でいきなりまとまった金額を投資するのは危険です。まとまった金額を投資した場合、より多くのリターンを期待できますが、損失が出た場合のダメージも大きくなってしまいます。
価格変動による損失をできるだけおさえるためにも、株式や投資信託などリスク資産への投資は少額から始め、慣れてから少しずつ投資額を増やしていくと良いでしょう。
資産運用(投資)は余裕(余剰)資金でおこなう
リスクをともなう投資は必ず余裕(余剰)資金でおこないましょう。余裕(余剰)資金とは、当面使う予定がないお金のことです。
投資には元本保証がありません。そのため、家計がどのくらいの損失に耐えられるかを把握して、それを超えない範囲のリスクで運用する必要があります。生活費や医療費、近いうちに必要な教育費など流動性が求められるお金は、預貯金での準備・運用が基本です。
なお、家計の収支が赤字、あるいは病気やケガなど急な出費や収入の減少に備えるには、生活費の3〜6ヵ月程度の預貯金があると良いとされています。このように、生活を送るうえで生じるリスクに備える資金を「緊急予備資金」と呼びます。緊急予備資金が不足している場合は、投資よりも家計の黒字化、緊急予備資金の確保が優先です。
すぐに必要なお金まで投資してしまうと、運用できる期間は限られ、投資がうまくいかなかったときにはお金が足りなくなるおそれがあります。とくにリスクの高い金融商品は大きい利益に期待できる分、損失を出すリスクも大きくなるため注意が必要です。
積立投資・分散投資によってリスクをおさえる
安定した資産運用をおこなうには、「積立投資」や「分散投資」を実践し、できるだけリスクをおさえていくことが大切です。
積立投資とは?
「積立投資」とは、定期的に金融商品を購入していく投資方法です。
なかでも、一定金額を定期的に購入していく積立投資は「ドル・コスト平均法」と呼ばれ、購入価格を平準化する効果があります。
一定金額を定期的に購入していくと、価格が安いときは相対的に多く購入し、価格が高いときには相対的に少なく購入するため、高いところで買ってしまったり、安いところで買いそびれたりする失敗を減らせます。決まったタイミングで機械的に購入していくため、投資するタイミングを判断しなくて良い点も初心者の方には大きなメリットです。
分散投資とは?
「分散投資」とは、投資先や投資するタイミングを分散させる投資方法を指します。
たとえば、ひとつの資産や銘柄だけに投資した場合、それが値下がりすると資産全体が減ってしまいます。
しかし、特性の異なる複数の資産や複数の地域などに投資対象を分散していれば、そのうちのひとつのが極端に値下がりしても、ほかのものの値上がりでカバーされ、資産全体の変動が穏やかになります。
したがって、「資産(銘柄)の分散」や複数の地域や通貨を組み合わせる「地域の分散」や、投資する時間(タイミング)をずらす「時間の分散」により価格の変動をおさえつつ、積立投資によって購入価格を平準化することで、資産運用におけるさまざまなリスクがおさえやすくなります。
投資対象となる資産や、株式等の銘柄にはさまざまなものがありますが、それぞれの資産・銘柄は、常に同じ値動きをするわけではありません。たとえば、一般的に、株式と債券とでは、経済の動向等に応じて異なる値動きをすることが多い(株式が値上がりするときには債券が値下がりする等)といわれています。
こうした資産や銘柄の間での値動きの違いに着目して、異なる値動きをする資産や銘柄を組み合わせて投資をおこなうのが「資産・銘柄の分散」の手法です。このような手法を取り入れることで、たとえば特定の資産や銘柄が値下がりした場合には、ほかの資産や銘柄の値上がりでカバーする、といったように、保有している資産・銘柄の間で生じる価格変動のリスク等を軽減することができます。
なお、投資信託のなかには、投資信託の運用者(ファンドマネージャー)が、さまざまな資産や地域を対象に投資をおこなう「バランス型」のものもあります。投資信託は、ファンドマネージャーにお金を預けて、その運用を任せるしくみですので、こうした種類の投資信託を購入すると、さまざまな種類の資産を選択して自分で投資をおこなわなくても、購入した投資信託のファンドマネージャーを通じて、「資産・銘柄」や「地域」を分散させることができます。
長期的な視点で資産運用に取り組む
資産運用のリスクを軽減するためには、長期投資を前提とすることも大切です。
長期投資は、投資信託や株式などの金融商品を長期間にわたって保有し、資産を形成する方法です。
仮に投資で短期的に大きな利益を期待すると、それだけリスク(価格変動)の大きな金融商品に投資しなければなりません。たまたまうまくいけば短期間で大きな利益を得られるかもしれませんが、そのぶん損失が出る可能性も高まります。
一方、長期投資では、短期的な値動きに一喜一憂することなく資産運用ができることが特徴です。長期的に値上がりが期待できる商品を選んで投資しているなら、価格が一時的に下がったとしてもあわてる必要はなく、値上がりするのを気長に待つだけです。
また、日々値動きをチェックしたり、頻繁に売買したりする必要がないため、初心者や仕事などで忙しい方でも無理なく始められ、続けやすいこともポイントです。
とくに、初心者の方が投資を始めるにあたっては、リスクの管理は重要です。前述の積立投資と分散投資も踏まえ「長期・積立・分散」を意識した投資をおこなうことで、できるだけリスクをおさえながら資産運用をおこなうことができます。
初心者が資産運用を成功させるためのポイント
ここからは、初心者の方が資産運用を成功させるためのポイントをご紹介します。
目的や目標を明確にすると資産運用に取り組みやすい
資産運用を始めるときには、「なぜ資産形成をするのか」「資産を形成して何を達成したいのか」など、目的やゴールをある程度明確にしておくとよいでしょう。
資産運用のゴールが明確になっていると、必要となる利回り(=どのくらいのリスクをとる必要があるか)やいくら投資するべきかイメージしやすくなり、よりご自身に適した方法で資産運用がおこなえます。
たとえば、老後資金準備が目的であれば、株式や投資信託への長期・積立・分散投資が選択肢になり、NISAやiDeCoといった非課税制度の活用が効果的です。数年以内に子どもの学費準備が目的の場合は、必要に応じて資産を引き出せる流動性の高い金融商品が必要となるでしょう。
このように、目的を定めておくことによりご自身に適した運用方法や金融商品をみつけやすくなります。
不安や疑問点などは必要に応じて専門家に相談する
資産運用をするうえで不安や疑問がある場合は、資産運用の専門家に相談することもひとつの方法です。
資産運用の初心者がさまざまな不安や疑問を自力で解消するのは、どうしても時間がかかるものです。場合によっては、時間をかけても不安や疑問を解消できないこともあるでしょう。そのような場合には、経験豊富な専門家に相談したり、お金に関するセミナーを受講したりすることもおすすめです。
参加費無料で、初心者の方が資産運用について学べるセミナーなどもありますので、ぜひ活用してみるとよいでしょう。
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まとめ
投資のしくみを理解すると、資産運用のハードルは大きく下がります。まずは基本となる運用方法・金融商品のしくみを理解して、少額から運用を始めてみましょう。
リスクのある金融商品への投資には、長期・積立・分散投資がリスクの軽減に有効です。また、資産運用の目的にあわせて、税制優遇を受けられるNISAやiDeCoもうまく活用しましょう。ご自身に適した運用方法がよくわからない場合は、ぜひ専門家への相談も検討してください。
監修者情報
ファイナンシャルプランナー 竹国 弘城
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。趣味はサウナ(サウナ・スパプロフェッショナル)。
- 資格情報
- 1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの最終更新日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年8月29日)
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