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お金の知識

資産運用のメリット・デメリットとは?初心者がおさえておきたいポイントも解説

資産運用のメリット・デメリットとは?初心者がおさえておきたいポイントも解説
公開日:2024/9/25

これから資産運用を始める方は、どんなメリットとデメリットがあるのか、ほかの方がどのような資産運用をおこなっているのか気になるのではないでしょうか。
この記事では、資産運用をおこなうメリットとデメリット、資産運用の特徴や種類、アメリカやヨーロッパなど海外ではどのくらいの金額を投資しているのか、日本とどのくらい違いがあるのかなどについてご紹介します。また、投資を始める前におさえておきたいポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

資産運用のメリット

資産運用のメリット

資産運用のメリットとはおもに以下の3つです。

【資産運用のメリット】

  • 将来に備えて資産を増やせる可能性がある
  • 複利の効果を活かせば効率よく資産を増やせる
  • 経済や税金など幅広い知識が身につく

以下でそれぞれのメリットの内容を解説します。

将来に備えて資産を増やせる可能性がある

資産運用はなぜ必要なのでしょうか。
私たちは、生きていると結婚、出産、教育、住宅購入、自動車購入......などなど、さまざまなライフイベントに直面する可能性があります。
どんな仕事をするのか、結婚はするのか、子どもを持つのかなどは人それぞれの選択ではあるものの、ご自身の思い描く人生のためにお金が必要となるシーンは多くあるでしょう。

しかし、現在の日本は、社会保険料や税金の増加、物価の上昇など、日々の費用負担が少しずつ大きくなってきています。
さらに、日本は超低金利で預貯金ではお金が増えにくい状況でもあり、将来に向けて「お金を増やす」ということがより重要になってきているといえるでしょう。

現在では、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などさまざまな税制優遇制度も整備されてきています。税制優遇制度などを上手に活用しながら、資産運用を始めることも検討できるでしょう。

複利効果で効率よく資産を増やせる可能性も

資産運用によってお金を増やし、得た利益を元本に組み入れて資産運用を続ければ、複利の効果によって効率よく資産を増やせる可能性もあります。

複利とは利息の計算方法のひとつです。複利の効果を活かしながら資産運用をおこなえば、単利で運用する場合より資産を早く増やせる可能性があります。また、複利効果は運用を長く続けるほど高まるとされています。

単利と複利の違い

単利と複利はいずれも利子の計算方法ですが、運用で生じた利益(利子)を元本に組み入れるかどうかに違いがあります。
単利の場合は、資産運用を始めた時点の元本のみを運用します。運用で利益が生じても元本には組み入れません。
一方、複利の場合は、資産運用で生じた利益を元本に組み込んで運用します。元本に組み入れた利益も利益を生むことで、単利よりも効率よく利益が増えていく効果が期待できるのです。

たとえば元本100万円、年利回り10%というケースを考えてみましょう。

投資期間と複利効果の関係

投資期間と複利効果の関係

複利効果は運用を長く続けるほど高まるとされており、10年目には、以下のように単利の運用の場合が200万円、複利の運用の場合が259万円となります。その差は59万円ほどとなり、投資期間が長くなるほど複利効果によって資産を効率よく増やせることがわかります。

【投資リターン年10%で10年間投資した場合】
単利の場合:(投資元本)100万円+(投資成果の合計)100万円=200万円
複利の場合:(投資元本)236万円+(投資成果の合計)24万円=259万円

ただし、運用益がマイナスになることによって、複利効果が得られないこともありますのでご注意ください。

経済や税金など幅広い知識が身につく

資産運用をおこなうためには、金融商品の値動きに影響を与える経済や政治、株式市場・為替市場の状況など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

また、資産運用によって利益が出た場合、所得税や住民税をどのように計算して納付するのか、税金に関する知識も必要です。

資産運用をおこなうことで、経済や税金など幅広い知識が身につく点は、資産運用のメリットのひとつといえます。

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資産運用のデメリット

資産運用のデメリット

資産運用のデメリットはおもに以下の3つです。

【資産運用のデメリット】

  • 資産が減るリスクがある
  • お金が増えるまで時間がかかる
  • 手数料や税金などのコストがかかる

以下ではそれぞれのデメリットの内容を解説します。

元本割れのリスクがある

資産運用には、貯めることを重視した「預貯金」と、増やすことを重視した「投資」がありますが、投資の場合には「元本が保証されていない(増えるとは限らない)」「資産を増やすには時間がかかる」など、注意するべきポイントもあります。

投資の場合、金融商品の価格変動により資産が増えることもあれば減ることもあり、場合によっては元本割れする可能性もあります。たとえば、ハイリスク・ハイリターンな金融商品の場合、大きな利益が得られる可能性もありますが、そのぶん損失も大きくなりやすいため注意が必要です。

金融商品には、ローリスク・ローリターンなものもあれば、ハイリスク・ハイリターンなものもあります。
金融商品ごとにどのようなリスク・リターンの違いがあるのかを知ることは大切です(金融商品の違いなどについて、詳しくは後述します)。

お金が増えるまで時間がかかる

投資で短期的に大きな利益を期待すると、リスク(価格変動)の大きな金融商品を選択したり、大きな金額で投資をしたりする必要があるでしょう。デイトレードのように短期間で売買を繰り返して利益を狙う方法もありますが、日々の値動きを冷静に追いかけ売買タイミングを見極めることは容易ではありません。

そのため、これから資産運用を始める方にとっては、長期投資を基本にした積立投資・分散投資でリスクをおさえながらコツコツと投資をおこなっていくことが基本となるでしょう。ただし、そのぶんお金が増えるまでには時間がかかります。

手数料や税金などのコストがかかる

資産運用の際には手数料や税金などのコストがかかることがあります。せっかく利益が出てもコストが上回ってしまえば、トータルでは損失となってしまうでしょう。

資産運用にともなう手数料としては、おもに株式の購入時や売却時にかかる売買手数料、投資信託の販売手数料、信託報酬、信託財産留保額などがあげられます。

【資産運用にともなうおもな手数料】

  • 株式の売買手数料
  • 投資信託の販売手数料等(販売手数料、信託報酬、信託財産留保額など)

株式の売買手数料

株式の売買手数料は証券会社ごとに異なります。一般的にインターネット専業の証券会社は対面営業主体の総合証券会社よりも安い傾向にあります。

1回の売買ごとに手数料が発生するコースや1日定額制のコースなど、手数料の料金体系は証券会社によってさまざまです。また、国内株式売買手数料が無料の証券会社もあります。

投資信託の販売手数料等

投資信託の取引をおこなう際にかかる費用はおもに以下の3つとなります。

●販売手数料

投資信託の販売手数料は、購入時に購入額の数%を徴収されることが一般的です。ただし、販売手数料が徴収されない投資信託もあり、「ノーロードファンド」と呼ばれます。

●信託報酬

信託報酬とは、保有期間中の運用や資産の保管・管理にかかる費用で、保有する資産の額に応じて運用資産から一定率が徴収されます。

●信託財産留保額

信託財産留保額とは、換金時に換金代金から徴収される費用です。ただし、投資信託の種類によっては、信託財産留保額が徴収されないものもあります。

資産運用をおこなう際は、どんな費用がいつ、いくらかかるのか、目論見書や証券会社の公式サイトなどで事前に確認するようにしましょう。

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資産運用をする人は増えている?

資産運用をする人は増えている?

資産運用とは、お金を預貯金や投資に配分して効率的に増やしていくことですが、大きく預貯金と投資の2種類の運用方法に分けられます。

安全性を重視して資産を増やす(貯める)方法が預貯金、収益性を重視して積極的に資産を増やす方法が投資です。資産運用に利用される金融商品には、預貯金や株式、債券、投資信託など、さまざまな種類があります。

資産運用を始めようと思っている方のなかには、どのような運用方法(金融商品)を選んだらよいのか、どの方法にどのくらいの割合で資産を配分したらよいのか、悩む方もいるのではないでしょうか。
そこで以下では、割合を決めるうえで参考になるデータとして、国別・年代別・世帯別の資産運用状況の割合を紹介します。

日米欧の比較にみる 資産運用状況

日本銀行が2023年に公表した「資金循環の日米欧比較」によると、家計の金融資産の構成割合は以下のとおりです。

日本・米国・ユーロエリアの金融資産構成

日本 米国 ユーロエリア
現金・預金 54.2% 12.6% 35.5%
債務証券 1.3% 4.9% 2.2%
投資信託 4.4% 11.9% 10.1%
株式等 11% 39.4% 21%
保険・年金・定額保証 26.2% 28.6% 29.1%
その他 2.9% 2.7% 2.1%

日本、米国、ユーロエリアの金融資産合計に占める割合(%)。「その他」は、金融資産合計から「現金・預金」「債務証券」「投資信託」「株式等」「保険・年金・定型保証」を控除した残差。

※出典:日本銀行「資金循環の日米欧比較

日本と比較すると、米国やユーロエリアでは株式や投資信託などリスク資産の割合が高く、投資に積極的であることがわかります。日本と比較した場合、家計の金融資産に占める株式などの割合は米国では3倍以上、ユーロエリアではおよそ2倍です。

なお、資産のうちどのくらいの割合を投資に振り向けるべきかについては、年齢や家族構成などによっても変わるため、ご自身の状況を踏まえて決めると良いでしょう。また、資産の構成割合は一度決めた後もそのままにせず、結婚や出産などご自身の状況の変化にあわせて見直すことも大切です。

NISAやiDeCoを始める人は年々増加

昨今、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者も年々増加しており資産運用を始める方が増えている傾向がみてとれます。

NISAとiDeCoは、税制上の優遇を受けながら投資ができる制度のことです。いずれも政府による公的な制度で、資産形成の支援や福祉の向上に寄与することを目的に設立されました(制度の詳細は後述します)。

「NISA口座数」や「iDeCo加入者数」の推移は以下のとおりです。

NISA口座数の推移

NISA口座数の推移

出典:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」をもとに当社作成

2021年(令和3年)12月末から2022年(令和4年)12月末にかけて、マイナンバー導入前に開設された口座で非課税保有期間が終了したものがみなし廃止された影響により、一般NISA口座数が減少している。

2024年データのみ、3月時点までの口座数。

iDeCo加入者数の推移

iDeCo加入者数の推移

出典:厚生労働省「iDeCoの加入者が300万人を突破しました!」をもとに当社作成

「NISA口座数」や「iDeCo加入者数」の推移から、NISAやiDeCoを始めて資産運用している方が増えていることがわかります。とくにiDeCoの加入者数は加入者範囲の拡大がおこなわれた2017年(平成29年)以降大きく伸びており、2023年(令和5年)7月時点では300万人を突破しています。

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初心者におすすめの資産運用の金融商品5つ

初心者におすすめの資産運用の金融商品5つ

初心者が資産運用を始めるときの代表的な金融商品として、以下の5つをご紹介します。

【初心者におすすめの金融商品】

  • 預貯金
  • 株式
  • 投資信託
  • 債券
  • 外貨預金

以下では各金融商品の概要や特徴を詳しく解説します。

預貯金

預貯金は、金融機関にお金を預けて受け取ることができる利子で資産を増やす運用方法です。

預貯金による資産運用は、原則として元本割れはなく元本1,000万円までとその利子は保護されます。そのため、なるべくリスクを取りたくない方や、確実に準備したい資金の運用に適しています。

ただし安全性が高い反面、収益性はほとんどありません。資産を積極的に増やす目的で運用に取り組むなら、後述する株式や投資信託など、ある程度リターンの期待できる金融商品への投資を検討する必要があるでしょう。

株式

株式とは、株式会社が資金を調達するために発行する証券のことです。
株式投資は、株式を購入しておこなう資産運用であり、購入時と売却時の価格差で売却益を得たり、配当金を受け取ったりして資産を増やすことができます。

国内株式は通常100株単位で取引されますが、証券会社によっては「単元未満株取引」や「株式ミニ投資」などが用意されていることもあり、これらを利用すれば1株単位での取引や通常の10分の1の株数で投資することも可能です。1株であればほとんどの銘柄が数百円から数千円程度で購入できることが多く、少額から資産運用を始めることができるため、資産運用初心者にもおすすめです。

なお、株式投資は、売却時の価格が購入時の価格より値下がりするおそれもあります。また、投資した会社が破綻すれば株式の価値がゼロになってしまう可能性もあります。これらのリスクに対応するためには、一度に買わずタイミングを何度かに分けて買う、複数の会社や業種に分散してバランスよく買う、短期的ではなく長期的な成長に期待するなどの方法があります(詳しくは後述します)。

投資信託

投資信託とは、複数の投資家から集めたお金を資産運用の専門家がまとめて投資・運用し、運用で生じた利益を投資家に還元する金融商品です。

購入時手数料や運用管理費用などのコストはかかりますが、100円〜1万円程度の少額から投資でき、投資のプロに運用を任せることができるため、投資初心者でも利用しやすい資産運用の方法です。

なお、投資信託はそもそも株式や債券など複数の金融商品、あるいはさまざまな地域に資金を分散して投資します。投資先を分散することで、個々の投資先の価格変動の影響を受けにくくなり、資産運用にともなうリスクが軽減される点は投資信託の大きなメリットでしょう。

ただし、長期・積立・分散をめざした投資によってできるだけリスクをおさえる工夫はできますが、元本保証ではありません。また、投資信託ごとに投資対象や運用方針、運用にかかるコストが異なります。投資するかどうかの判断は、目論見書などをよく読みしっかり検討しておこないましょう。

債券

債券とは、国や地方公共団体、企業などが発行している借用証書のようなもので、国や企業などの発行体が投資家から資金の借入れをおこなうために発行するものです。

債券を購入すると、定期的に利子を受け取ることができ、満期日を迎えれば額面金額を受け取ることができます。
債券には政府が発行する「個人向け国債」や民間企業が発行する「社債」など、さまざまな種類があります。債券によって利率や満期日までの期間は異なり、複数の債券を組みあわせて運用することも可能です。

債券が初心者に向いている理由は、安定した収益が得られ、満期日を迎えると額面どおりの金額を受け取ることができるためです。ただし、債券の発行元が倒産したり財務状態が悪化したりすると、利払いが遅れたり、約束どおりに返済されなかったりする可能性があります。

国が発行元である国債であれば比較的安全性は高いといえますが、企業が発行する社債の場合は、発行元企業によって安全性が左右されます。

外貨預金

外貨預金とは、外国の通貨でおこなう預金で、円預金と同様、受け取る利子で資産を増やす運用方法です。円預金よりも金利が高い外貨預金を利用すれば、より多くの利子を受け取ることができます。

外貨預金は円預金と違い、為替レートの変動でリターンが影響を受ける点が特徴です。為替レートとは、2国間の通貨を交換する際の比率(レート)のことで、預入時と払戻時の為替レートに差が生じていると、外貨を日本円に戻した際の金額が変わってきます。

預け入れたときよりも払い戻すときの為替レートが円安になっていると為替差益が生じてリターンは大きくなり、円高になっていると為替差損が生じてリターンは小さくなります。為替差損が大きいと、受け取った利子を考慮しても円換算したときに損失が出るおそれもあります。

また、日本円を外貨にして預金することで、円の価値が下がる「円安」リスクへの備えにもなります。ただし、為替レートは円高方向に振れると資産は目減りします。外貨預金では外貨と日本円を交換する際に為替手数料がかかる点にも注意しましょう。

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知っておきたい投資の税制優遇制度

知っておきたい投資の税制優遇制度

NISA(少額投資非課税制度)とiDeCo(個人型確定拠出年金)は税制上の優遇を受けながら投資ができる制度のことです。いずれも政府による公的な制度で、資産形成の支援や福祉の向上に寄与することを目的に設立されました。前述したようにNISA、iDeCoの加入者数は増加傾向にあり、資産運用の重要性が広まっている昨今では、それぞれの制度に、より注目が集まっています。

以下ではNISAとiDeCo、それぞれの概要やおすすめの理由を紹介します。

NISAとiDeCoの違いと特徴

NISA(2024年~) iDeCo
つみたて投資枠 成長投資枠
対象年齢 18歳以上 原則20~65歳未満
年間投資枠 120万円 240万円 14.4~81.6万円
非課税保有限度額 1,800万円
(うち成長投資枠は1,200万円まで)
制限なし
対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託など 投資信託・保険・預貯金など
税制メリット 積立時 全額所得控除の対象
運用時 運用益は非課税 運用益は非課税
受取時 上場株式の配当金等は非課税(株式数比例配分方式を選択している場合) 退職所得控除・公的年金等控除の対象
引出制限 制限なし 原則60歳到達まで引出不可

上記のNISAは2024年1月から開始した制度の概要です。

NISA

NISA(少額投資非課税制度)とは、NISA口座(非課税口座)内で毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。2024年から始った新しいNISAでは、2023年までのNISAから制度内容が一部変更され、年間非課税枠が拡大しています。つみたて投資枠では年間120万円、成長投資枠では年間240万円まで投資できるようになりました。

また、2023年までの制度では、非課税保有期間や口座開設期間に制限がありましたが、2024年から始まった新制度では、非課税保有期間、口座開設期間共に期限がなくなりました。

NISAのメリット

通常であれば、株式や投資信託などの金融商品に投資をしたとき、これらを売却して受け取った利益や配当について約20%の税金(所得税15.315%、住民税5%、計20.315% )がかかりますが、NISA口座で購入した金融商品から得た運用益は非課税になります。無理のない金額から始めることができるため、資産運用の初心者にもおすすめです。

ただし、NISAで投資できる金融商品は、全て元本保証のないリスク商品のため、損失が生じるリスクもあります。NISAで損失を出すと非課税メリットが受けられないだけでなく、ほかの投資で得た利益との損益通算や損失の繰越控除などが使えない点には注意が必要です。

>金融庁 NISA特設ウェブサイト

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自助努力による老後資金準備を目的に、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度です。加入は任意で、運営管理機関が選定する運用商品のなかからご自身で運用商品を選んで掛金を拠出します。掛金は65歳になるまで拠出でき、原則60歳以降に給付金を受け取ることが可能です。

NISAとは異なり、iDeCoでは原則60歳まで運用資産(元本+運用益)を引き出すことができません。それまでにお金が必要になっても、積み立てた資金を引き出したり使ったりできない点には注意が必要です。

iDeCoのメリット

iDeCoのメリットは、税制優遇措置により税負担が軽減され、拠出した掛金は全額が所得控除の対象になる点です。また、通常、金融商品を運用すると運用益に課税されますが(所得税15.315%、住民税5%、計20.315%)、iDeCoの運用益は非課税で再投資されます。さらに、一般的に老後に受け取る年金や一時金は課税対象になりますが、iDeCoを年金として受け取る場合には「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合には「退職所得控除」によって税負担は軽減されます。

iDeCoは月々5,000円からと無理のない金額で始めることができる点もメリットです。ただし、運用中は毎月手数料がかかるため、拠出する掛金や運用資産額が少ないと、相対的にコスト負担が大きくなります。

iDeCoの運用資産に対して本来は課税停止中・2024年7月現在

>iDeCo公式サイト

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始める前におさえておきたい!資産運用のポイント

始める前におさえておきたい!資産運用のポイント

資産運用を始める前におさえておきたいポイントは以下の4つです。

【資産運用をする際のポイント】

  • 資産運用をする目的・理由を明確にする
  • 余剰資金を使って少額から始める
  • 長期投資・積立投資・分散投資によってリスクをおさえる
  • 資産運用の種類ごとのリスクや特徴の理解を深める

以下では各ポイントの内容を解説します。

資産運用をする目的・理由を明確にする

目的や理由を明確にせず漠然と資産運用を始めてしまうと、「儲けたい」「すぐに利益を出したい」などの欲が先行して、リスクや売買のタイミングを冷静に判断できず、大きな損失を出す可能性が高まります。

そうならないためにも、運用の目的や理由は明確にしておきましょう。目的や理由が明確になっていれば、必要な利回りや投資額をイメージしやすくなり、適切なリスク管理のもとで資産運用をおこなうことができます。

資産運用をする目的の設定の仕方としては、たとえば、「子どもの教育費のために10年後までに500万円を貯めたい」「老後の生活資金として65歳までに1,000万円を用意したい」といった内容が考えられます。ご自身やご家族のライフプランを考えて資産運用の目標を設定すると良いでしょう。

余裕(余剰)資金を使って少額から始める

資産運用は余裕(余剰)資金を使って少額から始めることが大切です。理由は、手持ち資金全てを投資に使うと、損失が出たときに生活に困るリスクがあるためです。

余裕資金とは、当面使う予定のないお金のことです。病気になったり事故に巻き込まれたりしてかかる治療費や入院費など、万が一に備える資金は、資産運用にまわさずにのこしておく必要があります。

ちなみに、万が一に備える資金を「緊急予備資金」といいます。一般的な会社員の場合、緊急予備資金は生活費の3〜6ヵ月分が目安とされています。理由は、一般的に3〜6ヵ月程度あれば、仕事復帰や転職、起業など、生活の立て直しに目途が立つと考えられているためです。

また、「翌年に子どもの受験を控え、受験費用や入学費用は確実に用意しておく必要がある」というケースでは、運用がうまくいかず資産が減ってしまうと、支払いができず困ることにもなりかねません。

長期投資・積立投資・分散投資によってリスクをおさえる

初心者がいきなりハイリスク・ハイリターンな投資手法に手を出してしまうと、リスクをコントロールできず大きな損失を出す可能性が高くなります。これから資産運用を始める方は、長期投資・積立投資・分散投資を基本に、リスクをおさえた運用を心がけましょう。

長期投資・積立投資・分散投資とは?

長期投資 すぐに売ったり買ったりせず、長期にわたり金融商品を保有し続ける投資方法です。投資期間が長くなるほどリターンは安定する傾向があり、複利効果も期待できます。
積立投資 ご自身が決めたタイミング・金額で定期的に金融商品を購入する投資方法です。一定金額を定期的に購入していくこの投資法は「ドル・コスト平均法」と呼ばれ、購入価格を平準化する効果があります。無理のない金額で投資でき、値動きをみて投資するタイミングを判断する必要もないため、初心者にも向いています。
分散投資 投資先や購入する時期を分散させる投資方法のことです。いずれかひとつが極端に値下がりしても、資産を全て失うことはありません。価格の変動をおさえ、安定したリターンになりやすいという特徴があります。値動きの異なる金融商品を組み合わせることがポイントです。

長期投資・積立投資・分散投資を組み合わせることで、できるだけリスクをおさえながらあわてずコツコツと資産運用を続けていくことが可能になります。

長期投資・積立投資・分散投資を組み合わせた資産運用の方法の代表例はiDeCoやNISAです。iDeCoもNISAも、毎月決まった額の掛金を拠出することで、リスクをおさえながら長期的にコツコツと積み立てることができます。

金融商品の特徴やリスクの理解を深める

資産運用をおこなうときには、ある程度の金融知識が必要です。資産運用をおこないながら少しずつ経験を積み、知識を増やしていくこともできますが、知識があれば防げる失敗はしないに越したことはありません。

資産運用を始めるにあたっては、金融商品の種類やそれぞれの特徴、リスクを理解し、運用目的にあわせて利用する商品の選択や売買のタイミングの判断を適切におこなうための知識を身につけましょう。書籍やセミナーなどを利用して勉強するのもよいでしょう。

なお、資産運用に関するセミナーにはさまざまな種類があり、初心者向けのセミナーから上級者向けのセミナーまであるので、ご自身の知識や投資スキルのレベルにあったセミナーを選択するようにしましょう。資産運用のセミナーのなかには無料のものもあり、資産運用の種類や特徴についてじっくりとプロから学べるものも豊富にあります。

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まとめ

資産運用とは、ご自身が保有する資産を預貯金や投資に配分し効率的に増やすことです。将来に向けて資産を増やしていくことだけでなく、インフレによる資産の目減りを防ぐ効果や、経済や税金をはじめとした幅広い知識が身につくメリットがなどあります。

資産運用を始める場合は、余裕資金を使って少額から始め、長期投資・積立投資・分散投資によってリスクをおさえることが大切です。

また、知識もないまま資産運用を始めると、購入する金融商品の選択や購入・売買するタイミングの判断の基準が曖昧になってしまい、大きな損失を出してしまうことにもなりかねません。資産運用を始める際には、金融商品の特徴やリスクの理解を深めるようにしてください。書籍やセミナーなどを活用するのもよいでしょう。

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監修者情報

竹国弘城

ファイナンシャルプランナー 竹国 たけくに 弘城 ひろき

RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。趣味はサウナ(サウナ・スパプロフェッショナル)。

資格情報
1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)
HP
https://www.rapportco.com

CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの最終更新日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2024年9月25日)
2407382-2407

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