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初心者が不動産投資で資産運用を始めるには?運用方法やメリット・注意点を解説

初心者が不動産投資で資産運用を始めるには?運用方法やメリット・注意点を解説
公開日:2024/9/25

不動産投資は、資産運用のひとつです。不動産投資で一般的なのは、アパート経営や投資物件を購入して家賃収入を得る方法です。

不動産投資は「定期的な収入を得たい」「税金対策をおこないたい」といった目的で始める方も多いことでしょう。しかし、投資はリスクをよく理解したうえで慎重におこなう必要があります。この記事では、不動産投資とは何かについて解説するとともに、始めるための方法、不動産投資のメリットやデメリット(注意点)、リスクなどについてもご紹介します。

目次

不動産投資とは?

不動産投資とは?

不動産投資とは、不動産を購入して家賃収入や売却益を得る投資方法です。不動産投資で得られる利益には、家賃収入などの「インカムゲイン(運用益)」と、不動産を売却することで得られる「キャピタルゲイン(売却益)」があります。

いずれも不動産投資は収益を得ることがおもな目的ですが、その他に所得税・住民税や相続税、贈与税などの税金対策、空き地対策などを目的とすることもあります。目的はさまざまですが、不動産を活用して資産を増やすという点は共通しています。
この記事ではおもに、不動産投資でインカムゲイン(運用益)を得る場合について解説します。

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不動産投資で資産運用をする方法

不動産投資で資産運用をする方法

不動産投資に利用できる土地や建物をすでに所有している場合は、収益物件を建てたりリフォームしたりすることで運用を始められ、家賃収入を得られます。

たとえば、一棟マンションや一棟アパート、ビジネスビルは、家賃収入目的の投資対象となります。物件価格は高額になりがちですが、部屋が複数あるため、空室が生じても家賃収入がゼロにはなりにくく、区分マンションや戸建て住宅による不動産投資に比べれば安定した経営を目指せます。

区分マンションや戸建て住宅は一棟マンション・アパートと比べると少額で購入できますが、一棟マンションや一棟アパート、ビジネスビルに比べると、空室リスクは高まる点に注意が必要です。
なお、駐車場やトランクルームを投資対象とすることもあります。居住用不動産と比べると収益率は低めですが、管理費が少ない点はメリットです。

一方、不動産投資に利用できる土地や建物を保有していない場合は、物件を探して購入するところからスタートします。不動産の購入資金が不足するときは、金融機関から融資を受けることから始めましょう。融資を受けるためには、金融機関の審査を受ける必要があります。審査結果によっては、必要な金額を借りられないことや、融資自体を受けられないこともあります。

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不動産投資で資産運用をするメリット

不動産投資で資産運用をするメリット

不動産投資による資産運用では、以下のようなメリットが期待できます。

【不動産投資のメリット】

  • 安定した収入を得られる可能性がある
  • 元手が少なくても始められる
  • 税金対策として活用できる
  • 日々の手間をかけずに資産運用できる
  • 資産価値が減りにくい

それぞれのメリットについてみていきましょう。

安定した収入を得られる可能性がある

空室がない状態、あるいは空室があってもすぐに入居者が決まる状態の場合は、安定した家賃収入を得られます。家賃は基本的に毎月支払われるため、定期的な収入が期待できます。

家賃収入が安定している理由は、一度入居者が決まると年単位で住み続ける方が多いため、家賃収入が変動しにくいからです。

元手が少なくても始められる

手持ちの資金が少なくても、一般的にローンを利用するなどにより不動産投資を始めることは可能でしょう。

不動産を購入するには、不動産の売買代金のほかに諸費用もかかりますが、金融機関によっては諸費用も含めてローンを組むことも可能です。ただし、通常の融資より審査が厳しくなったり、金利が高くなったりする傾向があり、借入後も返済負担が大きくなります。

元手なしで不動産投資を始められ、手元に資金をのこせる点はメリットですが、審査が厳しくなったり、金利が高くなったりするなどの前提を踏まえると自己資金が少ない状態での利用はあまりおすすめできません。

不動産投資にかかる諸費用には、おもに以下のようなものがあります。

【購入時にかかる諸費用の例】

  • 不動産仲介手数料
  • 登記費用(登録免許税、司法書士報酬など)
  • 収入印紙代
  • 不動産取得税
  • ローン事務手数料

【保有中にかかる諸費用の例】

  • 修繕積立金
  • 火災保険料
  • 管理費
  • 固定資産税、都市計画税

【売却時にかかる諸費用の例】

  • 不動産仲介手数料
  • 収入印紙代
  • 譲渡所得税
  • ローン返済手数料(ローン返済中の場合のみ)
  • 登記費用

実際にどのくらいの金額が金融機関から借りられるのかは人によって異なり、また審査結果次第では借りられないケースもあります。また、住宅ローンの審査よりも不動産投資のローン審査の方が厳しい傾向がある点にも注意しましょう。

なお、住宅ローンはマイホーム購入のためのローンです。不動産投資用のローンと比べると金利が低く、借りられる金額は低めです。不動産投資用の物件や土地を購入するときは、住宅ローンは利用できないため注意が必要です。

税金対策として活用できる

不動産投資により、所得税や住民税、贈与税、相続税をおさえられることがあります。
不動産所得の金額は、その年中の不動産所得の総収入金額から必要経費を差し引いて計算しますが、その結果、不動産所得の損失(赤字)が発生したときは、他の黒字の所得金額から差し引くことができます。

たとえば不動産投資で減価償却費や修繕費などが発生し赤字になった場合には、課税所得額が減ります。課税所得額が減ると、課税所得額によって決まる所得税・住民税も減ります。給与所得などの「益」に不動産投資などで生じた「損」を合算して、課税所得額を減らすことができますが、これを「損益通算」といいます。

また、贈与や相続で現金を取得すると、その金額に応じて贈与税や相続税がかかります。一方、不動産として贈与・相続すると、土地は相続税評価額、建物は固定資産税評価額をベースに贈与税・相続税が計算されます。相続税評価額は実際の不動産価格(時価)の8割程度、固定資産税評価額は7割程度のため、贈与税・相続税もその分おさえることが可能です。

法人化によって税金対策をする方法もあります。法人税率は最大23.2%ですが個人の所得税は最大45%のため、課税所得額によっては法人の方が、適用税率が低くなることもあります。また、法人化すると、会計上の赤字を最大10年繰り越して翌年以降の課税所得額を減らしたり、減価償却費を任意の金額に設定して所得額を調整したりできるため、より柔軟な運営が可能になります。

日々の手間をかけずに資産運用できる

不動産の管理を管理会社に任せるなどにより、日々の手間をあまりかけずに不動産投資ができます。日々株価が変動する株式投資はこまめに株価をチェックしたり、売却益を出すために売買する必要がありますが、不動産投資は比較的手間がかかりにくい資産運用のひとつです。

また、確定申告や固定資産税の納税などの税務も、税理士などに任せれば、手間をかけずにおこなえます。時間がない方や手間がかかる作業を避けたい方にもおすすめです。ただし、管理会社や税理士などに依頼するにはコストがかかり、リターンは低下します。

資産価値が減りにくい

実物資産である不動産(とくに土地)は、インフレによって価格が上昇する傾向にあるため、預貯金(金融資産)よりも資産価値が減りにくいとされています。2024年4月時点でインフレ傾向は続いているため、現金だけでは将来的な資産を守れない可能性があります。資産が現金のみに偏っている方は、不動産も含めた複数の資産に分散することを考えた方が良いでしょう。

建物は時間が経過すると老朽化していきますが、土地は変化しません。立地にもよりますが、いつまでも活用でき、永続的な価値を持つ資産といえます。子の世代、孫の世代に資産をのこしたいと考えている方には、不動産(土地)への投資(保有)も選択肢になります(資産価値の高い土地であることが条件です)。

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不動産投資で資産運用をするデメリット(注意点)

不動産投資で資産運用をするデメリット(注意点)

不動産投資による資産運用には、デメリット(注意点)もあります。おもなデメリット(注意点)は、次のようなものです。

【不動産投資のデメリット(注意点)】

  • 物件の維持・管理に費用がかかる
  • 現金化に時間がかかる
  • 各種税金がかかる

それぞれのデメリット(注意点)についてみていきましょう。

物件の維持・管理に費用がかかる

賃貸物件は時間が経つにつれ老朽化していくため、適宜補修や修繕が必要になり、数万円から数十万円程度の費用がかかります。

建物全体では12〜18年ごとに外壁や屋上(屋根)の塗装・防水など大規模修繕が必要で、数百万円程度の出費が想定されます(金額は建物規模や修繕内容により異なります)。それとは別に、設備の修繕や交換、リフォームなどが必要になることもあります。

また、管理会社に管理を任せる場合は、管理費用も必要です。

このような支出があるため、家賃収入がすべて利益としてのこるわけではありません。

現金化に時間がかかる

不動産は、手放したいときにすぐに手放せるとは限りません。

一般的に売却には3~6ヵ月程度の時間がかかるため、急な支出に備えて、現金資産をある程度持っておくことが必要です。また、立地や建物の状態によっては、時間をかけても希望する価格で売却できないこともあります。

各種税金がかかる

不動産を購入したときは、不動産取得税がかかります。不動産所得税とは、土地や建物の購入、贈与、建物の建築などで不動産を取得したときに課される税金で、取得した方が負担します。課税は購入時の1回のみです。

一方、固定資産税・都市計画税は不動産を所有している間、毎年かかります。都心部などでは土地の価格が高いため、固定資産税・都市計画税も高額になりがちです。滞納しないよう計画的に準備しておきましょう。

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不動産投資が向いている人は?

不動産投資が向いている人は?

不動産投資は、以下のような方に向いているといえるでしょう。

【不動産投資が向いている人とは】

  • 不動産投資に適した不動産を持っている人
  • 融資を受けやすい属性の人(医師、士業、公務員・上場企業の会社員など安定した収入を得られる職業に就いている人、勤続年数が長い人など)
  • まとまった資金を長期で運用したい人
  • 不動産に興味があり学び続けられる人、行動できる人

不動産投資に適した不動産を持っている人は、不動産投資に向いていますが、適切な不動産を持っていない場合でも、金融機関の融資を受けやすい人なら、不動産投資を始めやすいでしょう。
たとえば、医師や士業、公務員、大企業の会社員など、毎月安定した収入を得られる職業に就いている人、勤続年数が長い人などは、審査にとおりやすい傾向にあります。また、収入も多い人は審査に通過しやすいと考えられます。
一般的に年収が高いほど税負担は大きく、減価償却などで不動産所得がマイナスとなった場合の所得税や住民税の軽減効果が大きくなります。

また、不動産投資はまとまった資金を長期で運用したい人にも向いている投資といえるでしょう。
不動産に興味があり、学び続けられるかどうかも大切です。不動産投資でなにより重要なのは、投資する物件選びです。投資の成功は、投資に適さない物件を避け、優良物件を購入できるかにかかっています。優良物件の情報がインターネットは掲載されないこともあります。そのため、実際に不動産業者に出向いて物件を紹介してもらうなど、ご自身で主体的に行動できるかも成否を分けるポイントになります。

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不動産投資で考えられるリスク

不動産投資で考えられるリスク

不動産投資を始める前に、起こりうるリスクも理解しておきましょう。おもなリスクとしては、次のものがあげられます。

【不動産投資で考えられるリスク】

  • 空室リスク・家賃滞納リスク
  • 災害リスク
  • 修繕リスク
  • 金利上昇リスク
  • 不動産価格の下落リスク
  • 家賃下落のリスク

それぞれのリスクと、回避策についてみていきましょう。

空室リスク・家賃滞納リスク

マンションやアパートなど、賃貸物件を所有していても、それだけでは収入は得られません。入居者がいて初めて家賃収入が得られるため、空室にならないようにニーズの高い物件・立地選びが大切です。

また、入居者がいても家賃を約束どおりに払ってくれるとは限らず、滞納されるリスクがあります。入居者は借地借家法によって保護されているため、家賃の滞納を理由に入居者を即退去させることはできず、退去までに少なくとも3ヵ月は必要です。入居者との交渉がうまくいかず強制退去となれば、手続きにさらに手間を取られることになります。

このような事態を回避するには、入居前にしっかりと入居者の審査をおこない、家賃をしっかりと支払う人物であるかを確認することが大切です。

災害リスク

地震や火災などの災害により、建物の建て直しや大規模修繕が必要になることがあります。災害リスクの低い場所を選ぶのはもちろんのこと、建物の耐震基準を確認すること、火災保険・地震保険に加入して備えることが大切です。

火災保険や地震保険の補償内容が幅広くなれば、それだけ保険料が高くなり、収支を圧迫してしまいます。補償内容と保険料のバランスを考え、いざというときに過不足のない補償内容で火災保険・地震保険に加入しましょう。

修繕リスク

建物は時間経過と共に古くなるため、修繕が必要になります。古いまま放置すると空室リスクが高まるため注意が必要です。

修繕計画を立てて、定期的な補修で建物・設備を良好な状態に保つこと、修繕費用を貯めておくことで、修繕リスクはある程度軽減できます。また、大切な不動産の資産価値を守るためにも、管理に定評のある管理会社に依頼することも大切です。

金利上昇リスク

ローンには、最初から完済時まで同じ金利が適用される「固定金利型」と、途中で適用金利が変わる可能性がある「変動金利型」があります。変動金利型のローンを借りている場合は、金利上昇の可能性があり、予定したよりも利息が増えることもあるため注意が必要です。

適用金利が変わらない場合でも、何らかの事情で返済が長引くと利息が増えます。利息が増えると、その分、収益が減るため、無理なく返済できる返済額に設定することも大切です。

また、投資用物件の購入に利用できる不動産投資ローンの金利は、自宅購入用の住宅ローンに比べて高めに設定されています。事前に総利息額などをしっかりとシミュレーションして確認しましょう。

竹国 弘城

竹国FPからの
ワンポイントアドバイス

金利上昇リスクについてどう考える?

ローン金利の変動要因は固定金利と変動金利で異なり、固定金利は長期金利(市場金利)、変動金利は短期金利(短期プライムレート:金融機関が最優良企業に対する1年以内の短期貸出で適用する金利)に連動するものが一般的です。

2022年以降、海外金利や物価の上昇、日銀の金融政策変更(イールドカーブコントロールの柔軟化)などによって、長期金利(市場金利)は上昇傾向にあり、固定金利ではすでに上昇が見られています。また、短期金利(無担保コールレート=政策金利)に対する日銀のマイナス金利政策解除を受けて、変動金利の上昇リスクも高まっています。金利が急激に上昇する可能性は低いといえますが、これまでよりも上昇しやすい状況にあることは認識しておくべきでしょう。

不動産価格の下落リスク

将来的に不動産を手放すこともあるでしょう。不動産価格は比較的安定しているとはいえ、大都市への人口流出などにより下落することもある点に注意が必要です。とくに新築建物は、使用や期間の経過に伴って価値が低下していきます。

購入価格よりも大幅に売却価格が低くなったときは、最終的な収支が赤字となるリスクも想定されます。不動産価格の下落による損失を回避するためにも、こまめに不動産の価格を確認し、適切なタイミングで売却する判断が必要です。

家賃下落のリスク

築年数が経過するにつれ、入居者が集まりにくくなる傾向にあります。家賃を下げることで入居者を確保できる可能性もありますが、家賃が下がると収益も減るため、運用開始時と同程度の利回りを維持できなくなってしまいます。

家賃下落のリスクを回避するためには、定期的に設備や内装・外装を修繕して住みやすさを維持する必要があります。また、常に供給よりも需要が上回る人気エリアの物件を選べば、築年数が経過しても家賃を下げずに済む可能性が高くなります。

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まとめ

不動産投資は注意点もありますが、メリットも多い資産運用です。管理会社や税理士などの専門家に依頼すれば、あまり手間をかけずにおこなえるため、本業が忙しい方にも取り組みやすいでしょう。
空室リスクや災害リスクなど注意しておきたい点はいくつかありますが、立地選びや入居者の審査、火災保険・地震保険への加入など適切な対策を取ることで、ある程度リスクを軽減することができます。今回紹介した対策も参考にしてください。

不動産投資の成功のためには、まずは正しい知識と情報の入手が大切です。本や雑誌でも学べますが、実態に即した最新の情報を取得するようにしてください。

なお、保険募集代理店 楽天インシュアランスプランニング株式会社では、「お金のセミナー」を開催しています。セミナーなら最新の情報を得られるため、ぜひお気軽にご参加ください。

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監修者情報

竹国弘城

ファイナンシャルプランナー 竹国 たけくに 弘城 ひろき

RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。趣味はサウナ(サウナ・スパプロフェッショナル)。

資格情報
1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)
HP
https://www.rapportco.com

CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの最終更新日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2024年9月25日)
2407384-2407

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