火災保険は途中解約できる?解約返戻金や解約時の注意点を解説
「火災保険を見直したい」「引っ越しをすることになった」など、さまざまな理由ですでに加入している火災保険を途中で解約したいこともあるでしょう。しかし「火災保険は途中で解約できるの?」と思う方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、火災保険が解約できるタイミングや、具体的な手続きの方法、途中解約の注意点についてわかりやすく解説します。万が一、解約時の取り扱いについてよくわからないまま解約をしてしまうと解約返戻金(残りの保険期間に応じて返還される保険料)を受け取れない、保険の空白期間ができるなどのリスクがあります。注意点もしっかり理解しておきましょう。
火災保険は途中解約できる?
火災保険は日々新しい商品が販売されており、補償を見直して現在の火災保険から別の火災保険に変更したいという方もいるかもしれません。また、引越しをすることになって火災保険を解約せざるを得なくなった、という方もいるでしょう。
結論からいうと、火災保険を契約の途中(満期以外のタイミング)で解約することは可能です。しかし、途中解約の際には「解約返戻金」として火災保険ののこりの保険期間に応じて保険料返還されるケースもあることや、解約時期によっては保険の「空白期間」が生じてしまう可能性もあることなど、おさえておきたいポイントがいくつかあります。
とくに空白期間については注意する必要があります。現在の火災保険を途中解約して別の火災保険に新たに加入する際には、現在の火災保険の契約満了日と新たに加入する火災保険の契約開始日に間が空いてしまうと、その期間に保険金の支払事由が発生しても補償されません。火災保険に未加入の期間が発生しないように十分注意しましょう。
火災保険を解約したら解約返戻金を受け取ることができる?
「解約返戻金」とは、保険契約を解約した際に契約者に戻るお金のことをいいます。火災保険においても、途中解約した場合には契約の条件によりのこりの保険期間に応じた保険料を解約返戻金として返還され、受け取ることができます。
なお、火災保険は一般的に掛け捨て型が多くなりますが、積立型の火災保険も存在します。積立型の場合は、保険期間が満了し、保険料が全額支払い終えている場合に満期返戻金を受け取ることができます。しかし途中で解約した場合、解約返戻金は受け取ることができますが満期返戻金は受け取ることができません。
解約返戻金の条件は保険商品によって異なるため解約するときに確認しましょう。
火災保険を解約する際の注意点
ここからは火災保険を解約する前に知っておきたい注意点をご紹介します。知らないまま火災保険を途中で解約して、後悔することのないようにあらかじめ確認しましょう。
解約返戻金はのこりの保険期間の保険料総額よりも低い金額で支払われることが多い
前述のとおり、火災保険を途中解約した場合には、解約返戻金として火災保険ののこりの保険期間に応じて保険料が契約者に返還されます。しかし、原則としてのこりの保険期間分の保険料がすべて返還されるとは限りません。計算方法は保険会社によって異なりますが、多くの場合、解約返戻金はのこりの保険期間分の保険料よりも少ない金額で支払われます。また、なかには解約返戻金がない商品もありますので、途中解約をするにあたっては注意をしましょう。
のこりの契約期間が1ヵ月の場合、解約返戻金がない場合がある
保険会社によっては、のこりの契約期間が1ヵ月未満の場合、解約返戻金を支払わないとしている会社もあります。たとえば5年契約の場合、4年11ヵ月と1日で解約した場合でも解約返戻金はありません。
このような場合には、やむを得ない事情でない限り途中解約をせずに満期まで契約を続けたほうがよいでしょう。
火災保険の解約に関するQ&A
続いては、解約するにあたってよくある質問にお答えしていきます。
Q:賃貸物件から引っ越しをする際の火災保険の解約タイミングは?
火災保険の解約日は、賃貸契約の終了日と合わせるのが一般的です。火災保険は解約日を選べるため、賃貸契約に合わせると空白期間が生まれることはありません。
しかし、引っ越しをする日が決まり、退去日の何ヵ月も前に火災保険を解約すると、火災保険の解約日から引っ越しをする日までの未加入期間に火災などが発生したとしても、保険金は支払われません。火災保険の解約は、最後まで補償を受けられるように、引っ越し当日(退去日)に行いましょう。
Q:引っ越しの際に火災保険の解約を忘れていた場合は?
引っ越しをして新しく火災保険に加入した際に、前の火災保険を解約しないまま生活している、というケースもあるかもしれません。そのような場合、保険料二重で発生してしまうため、以前から加入していた火災保険はすぐに解約しましょう。
火災保険は実際に居住しているかにかかわらず、保険に加入している間は保険料を支払い続けている状態です。原則として、過去に遡って(さかのぼって)解約し、二重で支払っていた分の保険料を返還することはできません。引っ越しをする日が決まった段階ですぐに解約の連絡をして、解約日を退去日に設定しましょう。
Q:火災保険は引っ越し先にも引き継ぎできる?
火災保険の契約期間中に引っ越しをする場合、火災保険の契約先住所を変更することで新居でも引き続き同じ火災保険に加入できる場合があります。
しかし、どのようなケースでも火災保険が引き継げるわけではありません。引っ越し先の住所や建物の構造などが大きく異なる場合や、保険会社の条件によっては、火災保険を引き継いで契約できないこともあるため注意してください。また、引っ越しを機に以前より保険料をおさえて契約を継続できることもあるため、引っ越しをしても現在の保険会社で引き続き契約をしたい方は、各保険会社のウェブサイトなどで確認しましょう。
Q:満期のタイミングでほかの保険に乗り換える場合、解約手続きは必要?
自動継続特約※に加入していない場合には、満期を迎えると契約が終了となるため、契約の更新をする、しないにかかわらず保険会社に連絡をして、手続きをする必要があります。
※自動継続特約とは保険契約が満了する日と同じ契約内容で自動的に保険契約を継続することができる特約のことをいいます。
満期のお知らせについては、おおむね契約期間終了の2ヵ月前くらいに保険会社、または保険代理店の担当者から契約更新の案内が届きます。保険会社によっては、満期日までに更新しない旨の連絡がなければ、更新前の契約と同じ内容で自動更新されることもあります。ほかの保険会社への乗り換えを検討している場合は、契約更新の案内が届いたタイミングで解約の意向を伝えたほうが良いでしょう。
火災保険の解約手続きの方法と流れ
最後に、具体的な火災保険の解約方法についてみていきましょう。火災保険には、「対面販売型(対面型)」と「通販型(ダイレクト型)」のと呼ばれるタイプがあります。
対面販売型(対面型)は代理店などに行って契約する方法で、代理店の担当者から対面で直接アドバイスやサポートを受けることができます。一方の通販型(ダイレクト型)は、申込みや契約、保険請求などのすべてのやりとりをインターネットなどでご自身がおこなう方法で、代理店を通さずにやり取りをすることから対面販売型(対面型)に比べて保険料がおさえられているという特徴があります。
対面販売型(対面型)、通販型(ダイレクト型)どちらの場合でも、火災保険を解約するためには、まず保険代理店か保険会社に解約の意向を伝えましょう。電話やチャット、ウェブサイトの申請フォームから解約手続きをおこなえるようにしている保険会社もありますが、解約方法は保険会社によって異なります。取扱代理店または保険会社からの案内に従い、解約手続きをすすめましょう。
また、保険会社によっては解約時に保険証券が必要になる場合があるため、手元に用意しておきましょう。
まとめ
火災保険とは、おもに火災や自然災害などで物や家財が損害を負った場合に保険会社から一定額の保険金が支払われる保険のことです。火災保険は契約の途中で解約をおこなうことができないのではないか、と思われる方もいるかもしれませんが、解約することは可能です。
途中で解約した場合には、契約の条件によっては、のこりの保険期間に応じた保険料が解約返戻金として返還されることがあります。ただし、一般的に今まで払い込んだ保険料の総額よりは低くなります。また、契約期間がのこり1ヵ月の場合には解約返戻金がない場合があったり、解約のタイミングによっては保険の空白期間ができてしまったりするなど、解約に際してはおさえておきたい注意点があります。今回ご紹介した注意点を確認して、賢く解約手続きを進めましょう。
なお、解約の手続きは、対面販売型(対面型)の場合は、取扱代理店に連絡をすると、解約手続きの説明や必要な書類について案内があるでしょう。通販型(ダイレクト型)の場合は、各保険会社のウェブサイトなどから解約の手続きをおこないましょう。
住まいやライフスタイルの変化は、火災保険の見直しを考えるきっかけになるでしょう。火災保険の見直しをする際は、複数の保険会社を比較して選ぶことが大切です。同じ条件であっても保険会社によっては、保険料や補償内容が異なります。比較サイトを活用すると、複数の保険商品から、保険料や保障内容を比較して、ご自身にあった保険を選ぶことができます。
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なお、ご自身で調べたもののよくわからない、という場合には保険アドバイザーに相談することもできます。
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監修者情報
ファイナンシャルプランナー 生川 奈美子
株式会社アスト 代表取締役
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、相続診断士、終活カウンセラー、住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター。大手生命保険会社に12年勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。2007年に株式会社アストを設立。現在、「わくわくの明日と共に」をモットーに、子育て世代、リタイア世代のライフプラン作成や家計相談、相続相談などのコンサルタントとして活動中。また、各種マネー講座の講師や執筆も担当。2015年度金融知識普及功労者として金融庁・日本銀行から表彰を受ける。
- 資格情報
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士、相続診断士、終活カウンセラー、住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2023年6月20日)
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