火災保険料の相場はいくら?決まり方は?保険料を抑えるポイントも紹介
火災や自然災害に備えることができる火災保険。加入を検討する際には「火災保険の相場について知りたい」と考える方も多いでしょう。しかし、火災保険の保険料は、一戸建てかマンションか、新築か中古か、どこに所在しているか、建物はどのような構造かなど、さまざまな条件によって変わってきます。
そこでこの記事では、火災保険の保険料が決まるしくみや影響を与える要素をわかりやすく解説。また、保険料を抑えながら必要な補償を受けるためのポイントについてもご紹介します。火災保険の加入を検討している方はぜひ参考にしてください。
火災保険料の相場とは?
「火災保険※」は、火災をはじめ、風災、落雷、雹(ひょう)災などの自然災害などによって生じた建物や家財などの住まいへの損害に備える保険です。これから火災保険に加入しようと検討している方のなかには「火災保険の保険料の相場を知りたい」と思う方もいるでしょう。
火災保険の保険料は、補償範囲や補償内容、建物の構造や所在地、支払方法 、などさまざまな要素によって変わります。そのため、いちがいに「相場はいくら」とお伝えすることはできません。
ご自身が火災保険に加入した場合に火災保険料がいくらになるのかを知るためには、複数の保険会社から見積もりを取るなどして火災保険料を比較する必要がありますが、その前にまずはどのような要素が火災保険料の決まり方に影響するのか知っておくとよいでしょう。
※保険会社が提供する補償は「火災保険」、協同組合が提供する補償は「火災共済」と呼ばれます。また、保険の補償を受けるために支払うお金を「保険料」、補償として受け取るお金を「保険金」と呼びます。一方、火災共済では補償を受けるために支払うお金を「掛金」、補償として受け取るお金を「共済金」と呼び分けます。
火災保険料はどう決まる?
火災保険料がいくらくらいになるのかを知るためには、火災保険料の決まり方を理解する必要があります。火災保険料は次の要素が大きく影響します。
- ①保険金額
- ②建物の構造
- ③建物の所在地や築年数
- ④補償内容
- ⑤保険期間
- ⑥支払方法や割引制度
それぞれについて詳しくみていきましょう。
①保険金額
火災保険料が決まる要素のひとつに「保険金額」があります。保険金額が高いほど保険料も高くなるからです。
保険金額を計算するときには、建物の評価額がもととなりますが、火災保険の契約時に「再調達価額(新価)」をもとに決める方法か「時価」をもとに決める方法のどちらを設定しているのかによって大きく変わります。
たとえば、再調達価額(新価)で保険契約をする場合、新築住宅と中古住宅の保険料にはあまり差が出ませんが、時価で保険契約する場合には、新築の方が中古住宅よりも高くなるなどがあるでしょう。
再調達価額(新価)と時価額の違い
再調達価額(新価) | 損害が生じたものを再築または再取得するのに必要な金額をもとに決める方法。 建物が全焼したときなどは、支払われた保険金で同じ建物を建てることも可能。 |
---|---|
時価 | 同等のものを新規購入するときに必要な金額から経過年数や消耗により減少した価値を差し引いて決める方法。建物が全焼した場合、支払われた保険金だけでは同じ建物を建て直したり買い替えをしたりすることができない可能性がある。 |
なお、再調達価額(新価)は、時価をもとに評価額を決める方法よりも保険料は高くなります。しかし、建物を再築するために十分な補償を受けるためには、再調達価額(新価)での契約がのぞましいでしょう。現在は再調達価額(新価)をもとに決める方法が一般的ですが、建物の再築が不要な場合などを除き、なるべく保険金額は再調達価額(新価)に設定するとよいでしょう。
②建物の構造
火災保険料が決まる要素の2つ目が「建物の構造」です。建物はその構造によって、燃えにくさや壊れにくさが異なります。火災保険では、建物の構造によってリスクが高いほど保険料が高く、リスクが低いほど保険料が安いと定められています。
コンクリート造のマンションは鉄骨造の一戸建てよりも燃えにくく、また、鉄骨造の一戸建ては木造の住宅よりも一般的に燃えにくいとされています。そのため、以下の図のように、コンクリート造のマンション(M構造)などがもっとも火災保険料が安く、木造の住宅がもっとも火災保険料が高くなります。
また、木造住宅でも、柱やはりなどの主要構造部が耐火構造または準耐火構造の建物はT構造に区分され、火災保険料が安くなります。
住宅構造と火災保険料について
③建物の所在地や築年数
火災保険料が決まる要素の3つ目が「建物の所在地」や「建物の築年数」です。
建物の所在地によっても災害リスクが異なり、火災保険料も変わります。たとえば、台風、強風、大雪、大雨が起こりやすい地域は保険料が高くなります。都道府県による較差(保険料の最高値と最低値を比較したもの)は2.11~3.43倍※あり、保険料に大きな影響を与えます。
また、一般的に築年数が経っている住宅は、築年数が浅い住宅に比べて保険金支払額が多いため、火災保険料が高くなる傾向にあります。たとえば、築年数5年未満の住宅に対しては平均33%※の割引、築年数5年以上10年未満に対しては平均25%※の割引が適用されています。
④補償内容
火災保険料が決まる要素の4つ目が「補償内容」です。補償範囲が広いプランを選んだり、特約やオプションをセットしたりすると、その分保険料が高くなる可能性があります。
また、火災保険の対象は「建物」と「家財」に分かれており、建物のみの契約、家財のみの契約は、建物と家財の両方が対象の契約よりも火災保険料は安くなります。
火災保険のおもな補償対象
補償範囲 | 補償対象 |
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建物のみ |
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家財のみ |
|
建物・家財の両方 | 建物のみ、家財のみの補償対象をトータルでカバー |
※補償対象は各保険会社によって異なります。
⑤保険期間
火災保険料が決まる要素の5つ目が「保険期間」です。保険期間を長期に設定すると、1年あたりの保険料は安くなります。2年・5年・10年など、各保険会社によって定められた期間によって保険料も変動するため、保険料を抑えたいときは保険期間を長くするとよいでしょう。
なお、2022年10月の火災保険の参考純率改定により10年契約は廃止され、参考純率が適用できる期間は最長5年となりました。そのため、火災保険の契約は最長でも5年ごとの契約更新が必要になります。
その際、そのままの契約内容で更新するということでもよいですが、保険会社や補償内容の見直しをするのもおすすめです。必要な補償は時期によっても異なるため、ご自身の状況に応じた保険を契約しましょう。
⑥支払方法や割引制度
火災保険料が決まる要素の6つ目が「保険料の支払方法 」や「割引制度」です。
保険料の支払方法は、一般的に「一括払い」「年払い」「月払い」などから選択できます。まとめて支払うと保険料が安くなることもあるため、どの程度保険料が変わるのか確認してみましょう。
また、各保険会社ではさまざまな割引制度を提供しています。たとえば水災リスクが低い立地の建物、築浅物件、オール電化、居住者がタバコを吸わないなどの条件に当てはまると、保険料が安くなることもあります。契約する前に適用できる割引制度があるか確認しておきましょう。
火災保険料を抑えるためのポイント
ここまで、火災保険料に影響するさまざまな要素や条件をみてきました。ここからは、それらを踏まえたうえで、火災保険料を抑えるために留意したいポイントをご紹介します。
- 必要な補償に絞って選ぶ
- 割引のある火災保険を選ぶ
- 家財の保険金額を適正額に設定する
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
必要な補償に絞って選ぶ
補償範囲を幅広く設定すれば安心ですが、そのぶん保険料も高くなってしまいます。そのため、ご自身の必要な補償を絞り、適切な補償範囲を設定する必要があります。
たとえば水災補償の必要性を考える際に、居住地域の水災リスクを確認して決めるなども適切な補償範囲を設定するためのひとつの方法です。具体的にはハザードマップ※で確認したうえで、ご自身の住宅が洪水や床上浸水のリスクが高いときに水災補償を付けるなどもひとつの方法です。
また、火災保険にセットで加入できる地震保険についてもその必要性を検討することがあるでしょう。地震保険は、地震や津波、噴火などによる損害に対して補償を得ることができます。しかし、地震が起こりやすいとされる都道府県の保険料は高めに設定されているため、負担は大きくなる傾向があります。住宅ローンが残っていたり、新築住宅を購入したりしたなど人によって状況も異なります。保険料と補償のバランスを考慮して、適切な補償内容を選びましょう。
さらに、ご自身がすでに加入している損害保険でカバーしている部分と、同じ補償内容の保険に加入していないか確認することも大切です。火災保険以外の保険も同時に見直してみましょう。
割引のある火災保険を選ぶ
割引制度が適用されることで、保険料が抑えられるケースがあります。たとえば、保険料をまとめて支払う、保険期間を長く設定する、契約書類をペーパーレスにすることなどでも割引を受けられることがあるため確認してみましょう。
先述のとおり、割引制度は保険会社によって異なります。新築割引や築浅割引、ノンスモーカー割引など、該当する割引制度を探し、契約時に申請しましょう。
家財の保険金額を適正額に設定する
家財の保険金額をいくらにするかによっても、保険料は変わります。保険会社のウェブサイトや火災保険のパンフレットには、家族構成や年齢などに応じた家財の保険金額の目安が記載されているため、保険金額を設定する際の参考になります。
たとえば、家財が少ない方であれば、実際に保有している家財の評価額を足しあわせて適正な保険金額を設定することで、保険料を抑えられる可能性があります。また、子どもがいる場合は破損・汚損の補償もセットする、マンションであれば家財だけの補償にするなど、必要な補償だけを選択することも大切です。
ただし、保険金額を低く設定し過ぎて補償が不足しては本末転倒です。生活を立て直すために必要な補償の確保が目的であることを忘れないようにしましょう。
まとめ
この記事では、火災保険の保険料が所在地や、保険金額、建物の構造、建物の所在地や築年数、補償内容、保険期間、支払方法や割引制度など、さまざまな条件によって変わることをご説明しました。そのため、保険料の相場をいちがいにいくら、とお伝えすることはできません。
しかし、火災保険への加入を検討している方の多くは「必要な補償は欲しいができるだけ保険料は抑えたい」とお考えでしょう。そこで、火災保険料をなるべく抑えるためのポイントについてもご紹介しました。ただし、保険料だけに着目して火災保険を選んでしまうと、結果的に必要な補償を得られないということにもなりかねません。保険料を抑えることも大切ですが、補償内容や補償範囲にも注目してバランスよく火災保険を選びましょう。
なお、補償内容や保険料、割引サービスの種類、割引率は保険会社によって異なるため、複数の火災保険の情報を一覧で比べられる比較サイトなどを活用することをおすすめします。複数の保険会社の保険料や補償内容をまとめて比較でき、ご自身に適した保険を探しやすくなるでしょう。
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なお、ご自身で調べたもののよくわからない、という場合には保険アドバイザーに相談することもできます。
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監修者情報
ファイナンシャルプランナー竹国弘城
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。趣味はサウナ(サウナ・スパプロフェッショナル)。
- 資格情報
- 1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2023年5月15日)
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