火災保険と火災共済はなにが違う?補償内容の違いやメリット・注意点を紹介

火災保険と火災共済はなにが違う?補償内容の違いやメリット・注意点を紹介
公開日:2023年6月20日

火災などによる住まいの損害に備える手段として「火災保険」と「火災共済」があります。いずれも建物や家財が火災や自然災害により被害を受けた際に補償される点は同じですが、細かな補償内容や条件などにはさまざまな違いがあります。
この記事では、火災保険と火災共済の違いについてわかりやすく解説します。また、火災保険と火災共済のメリットや注意点、どちらの商品がどんな方におすすめなのかについてもご紹介します。

火災保険と火災共済の違いは?

住まいへの損害に備えるために「火災保険」や「火災共済」への加入を検討されている方も多いことでしょう。どちらも火災や自然災害による建物や家財などへの損害を補償する保険ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

【火災保険と火災共済のおもな違い】

  • 運営元の違い
  • 加入対象者の違い
  • 用語の違い

以下で詳しく見ていきましょう。

運営元の違い

火災保険は、民間企業である保険会社が運営し、利益を追求する営利団体であるのに対して、火災共済は労働組合などの一定の条件のもとに認められた非営利団体が運営しています。
具体的には以下のような違いがあります。

運営元の違い

火災保険 火災共済
運営元 営利団体
(民間の保険会社)
非営利団体
(生活協同組合、労働組合、農業組合など)
しくみ 保険契約者が保険会社に保険料を支払うことにより、損害が発生したときに保険会社から保険金が支払われる。 組合員が一定の金額(掛金)を出し合い、お互いに助け合う。

加入対象者の違い

火災保険は民間企業である保険会社が運営しているため、一般の不特定多数の方が加入することができます。

一方、火災共済は原則として運営団体の組合員またはその家族などに加入が限定されています。たとえば、都道府県民共済であればその特定の地域にお住まいの方しか加入することができません。ただし、火災共済の中には簡単な手続きや数千円程度の出資金で組合員になれる共済もあるため、加入のハードルが高いとはいちがいにはいえません。

加入対象者の違い

火災保険 火災共済
加入対象者 不特定 原則、組合員(またはその家族)に限定

用語の違い

火災保険と火災共済では用いられる言葉が異なります。たとえば、火災保険での「保険金」は火災共済では「共済金」といいます。また、火災保険の「保険料」は火災共済では「掛金」という言葉が用いられます。
さらに、火災保険では「補償」という言葉を使いますが、火災共済では「保障」を使います。

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火災保険のメリット・注意点は?

火災などによる住まいへの損害の備えとなるという点について共通点もある火災保険と火災共済ですが、それぞれのメリット・注意点にはどのようなものがあるのでしょうか?
まずは火災保険についてそのメリットと注意点をみていきましょう。

【メリット】補償内容が充実している

火災保険は、火災による損害のほかにも風災や水災や雪災・雹(ひょう)災をはじめとするさまざまな自然災害による損害も補償対象に含まれ、火災の補償と同水準の保険金を受け取れるケースが一般的です。さらに水濡れや盗難など、住まいへの損害をカバーする幅広い補償の中からご自身に必要なものを選択することが可能です。

一方で、火災共済の場合にも、火災による損害のほか自然災害などによる損害への補償が含まれることもありますが、補償される金額が火災保険よりも低いケースが多く、同等の補償を求める場合には、別途、自然災害共済に加入しなくてはなりません。

そのため、火災保険は火災共済の補償と比較すると、補償範囲が広く、特約の種類なども豊富に設定されており、サービスや補償内容が充実している商品が多いといえるでしょう。

【メリット】補償内容をカスタマイズしやすい

ご自身の住まいに関する補償として、どのような内容が必要であるかは、住まいのある場所や周辺環境など地域によっても異なるでしょう。火災保険の場合には、居住地域やご自身の状況にあわせて補償内容や特約を自由にカスタマイズできるものが多く、不要な補償を外して必要な部分だけ加入することも可能となります。

■【注意点】共済と比べて、保険料が高くなる傾向がある

前述のメリットの項目でご紹介したように、火災保険は火災共済と比べて補償が幅広く、内容が充実しているものが多いという特徴があります。そのため、最低限の範囲をカバーする補償内容やシンプルな商品設計のものが多い火災共済と比べて保険料が高くなることがあります。

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火災共済のメリット・注意点 は?

ここからは、火災共済に加入する際に知っておきたいメリットと注意点をご紹介します。

【メリット】掛金がおさえやすい

火災共済は、最低限必要な保障の確保を目的としシンプルな商品設計となっていることが多いため、火災保険と比較して掛金がおさえやすい点が特徴です。

火災共済は非営利団体が運営しており、利益追求を目的とするのではなくお互いに助け合うという「相互扶助」の考えをもとに組合員がお金を出し合って事故に備えるしくみであることも、火災保険よりも掛金がおさえやすい理由といえるでしょう。

【メリット】割戻金が発生する場合がある

火災共済には、割戻金の制度があります。毎年決算時に余ったお金(剰余金)が出た場合、共済の加入者に還元されます。その還元されるお金のことを割戻金といいます。割戻金が必ず発生するとは限りませんが、掛金が返ってくる可能性があります。

■【注意点】火災以外の補償は少なめ

火災保険では、火災を原因とする損害ではない風災や水害などの自然災害についても火災と同程度の保険金が出る商品が多くなります。火災共済にも火災以外の自然災害についての保障がある商品もありますが、火災で支払われる共済金よりも低いケースが多いでしょう。

また、地震に対する備えについて、火災保険の場合には地震保険を付帯することができますが、火災共済の場合には地震保険を付帯することはできません。

ただし、火災共済でも付帯できる特約がある場合もありますので、確認するとよいでしょう。たとえば「類焼損害保障特約」などの特約をつければ、自宅から発生した火災が隣家に延焼したとしても重過失でない場合は損害賠償責任を負うことはありません。

火災保険と火災共済のおもなメリットと注意点

火災保険 火災共済
メリット
  • 補償内容が充実している
  • カスタマイズしやすい
  • 掛金がお手頃
  • 割戻金が発生する場合がある
デメリット
  • 保険料が比較的高い
  • 火災以外の保障は少なめ

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火災保険と火災共済のどっちがおすすめ?

火災保険と火災共済のどっちがおすすめ?

火災保険と火災共済について、それぞれのメリットや注意点をご紹介しました。ここからは、火災保険に加入するのがおすすめの方、火災共済に加入するのがおすすめの方についてそれぞれ解説します。

火災保険がおすすめの方

火災保険は、火災だけでなく、自然災害などによる住まいの損害にもしっかり備えておきたい方におすすめです。火災保険は、一般的に火災だけでなく風水災などの自然災害から盗難まで幅広く補償する商品が多いため、総合的に住まいの損害をカバーしやすい商品といえるでしょう。また、保険金についても火災による損害も自然災害による損害も同程度の補償がされるケースが多いでしょう。

また、火災保険は基本補償や特約が自由に選択できる商品も多くありますので、ご自身にとって必要性が高くない補償は外して重要度の高い補償にしっかりと備えるなどカスタマイズ性を重視したい方にもおすすめです。

「自然災害など火災以外の補償にもしっかり備えたい」「カスタマイズ性の高さを重視したい」という方は、火災保険に加入して備えるとよいでしょう。

火災共済がおすすめの方

火災共済は、火災による住まいの損害に特化している商品も多く、シンプルな商品設計となっています。そのため、火災保険に比べると掛金がおさえやすい商品といえるでしょう。

「火災のみの補償で十分」と考える方や、「支払う掛金をなるべくおさえたい」、「最低限の補償を備えておければよい」という方は火災共済を検討するということもよいかもしれません。

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火災保険と火災共済は重複(二重加入)してもよい?

最後に、同じ建物や家財に2つ以上の火災保険や火災共済を掛けることを、「重複契約」や「重複加入」、「二重加入」などともいいますが、このケースについてご説明します。

「できるだけ手厚い補償がほしい」と考えて複数の火災保険や共済保険を重複して契約したいと考える方がいるかもしれませんが、どちらか一方のみに加入する場合と比較すると、あまりメリットはないでしょう。火災保険は、実際に受けた損害額までしか保険金が支払われないからです。

たとえば生命保険などは、事前に決めておいた保険金が支払われる「定額払い」のため、複数の生命保険に重複加入すると受け取れる保険金なども増えます。しかし、火災保険は実際に損害を負った部分を補償する「実損払い」の商品が中心です。そのため、複数の火災保険に重複加入しても実損額以上の保険金が支払われることはありません。

それは火災保険と火災共済を重複して加入する場合でも同様です。重複加入しても受け取れる金額が2倍になるわけではなく、損害額を超える保険金や共済金は受け取れません。

なお、火災保険や火災共済に重複して加入すること自体は可能な場合はあります。ただし、新たに契約しようとする保険会社に、他の保険会社と契約していることを告知する必要があります。

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まとめ

本記事では、火災や自然災害などによる住まいの損害に備えるという点で共通点のある「火災保険」と「火災共済」の違いについてご説明しました。

火災保険は補償が幅広い商品が多く、ご自身のニーズにあわせて必要な補償だけをカスタマイズして契約しやすい点が大きなメリットです。一方で火災共済はシンプルな商品設計で火災による損害に特化した商品が多い傾向がありますが、掛金が火災保険と比較するとおさえやすい傾向があります。

火災以外の自然災害などにも広く備えたいという方は火災保険、火災に特化した最低限の補償でよいと考える方は火災共済、という選び方もひとつの考え方です。

火災保険や火災共済はご自身にあった商品選びが大切ですが、火災保険を選びたいという場合には、比較サイトを利用するとさまざまな商品を比較しながら、ご自身にあった商品を選びやすいでしょう。

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また、ご自身ではなかなか決められないという場合でも、保険アドバイザーに相談しながら決めることも可能です。

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監修者情報

ファイナンシャルプランナー生川なるかわ奈美子なみこ

生川 奈美子

株式会社アスト 代表取締役

日本FP協会会員(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、相続診断士、終活カウンセラー、住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター。大手生命保険会社に12年勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。2007年に株式会社アストを設立。現在、「わくわくの明日と共に」をモットーに、子育て世代、リタイア世代のライフプラン作成や家計相談、相続相談などのコンサルタントとして活動中。また、各種マネー講座の講師や執筆も担当。2015年度金融知識普及功労者として金融庁・日本銀行から表彰を受ける。

資格情報
日本FP協会会員(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、相続診断士、終活カウンセラー、住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
HP
http://www.asut.jp/

CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2023年6月20日)
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