専業主婦(主夫)も保険に加入するべき?おすすめの保険の種類も詳しく解説

専業主婦(主夫)も保険に加入するべき?おすすめの保険の種類も詳しく解説
公開日:2023年5月15日

専業主婦(主夫)の方の場合、基本的に生計を維持しているのは世帯主である配偶者の方であるケースが多いでしょう。そのため、専業主婦(主夫)であるご自身の保険加入について「いらない」「優先度が低い」と考える方もいるかもしれません。しかし、専業主婦(主夫)の方にとって、死亡保険や医療保険、がん保険などの生命保険への加入は本当に必要ないのでしょうか?
この記事では、専業主婦(主夫)の方にとっての保険の必要性や、おすすめの保険種類などをわかりやすく解説します。また、家族構成やライフプランに合わせた保険の選び方についてもご紹介します。

専業主婦(主夫)の保険の必要性は?

専業主婦(主夫)の方が死亡保険や医療保険、がん保険などの生命保険に加入する必要性について、どのように考えればよいのでしょうか?

生命保険文化センターの2021(令和3)年度の調査によると、世帯主のみが就労している世帯での配偶者の生命保険加入率は82.3%という結果が出ています。多くの専業主婦(主夫)の方が、生命保険への加入を必要と考えていることがわかります。

では、専業主婦(主夫)の方が、死亡保険や医療保険、がん保険などの生命保険が必要と考えるのはどのような理由からなのでしょうか?
以下では、保険の必要性について解説します。

出典:公益財団法人「生命保険文化センター2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」

専業主婦(主夫)の病気やケガのリスクに対応できる

生計を維持している世帯主の生命保険や医療保険などなどと比べると、家事や育児に専念している専業主婦(主夫)の方の保険加入の必要性はあまり高くないと考える方もいるかもしれません。

しかし、専業主婦(主夫)かどうかにかかわらず、誰でも病気やケガで通院・入院する可能性はあります。万が一、家事や育児の主たる担い手である専業主婦(主夫)の方がそのような状況に直面すれば、いままでと同じように家事や育児をおこなうことは難しくなるでしょう。

仮に長期間の入院になれば、家事代行や子育てサポートなどを利用する必要性も出てくるかもしれません。病気やケガの治療以外にも費用が発生すれば、家計を圧迫する可能性も高まります。また、これまで専業主婦(主夫)の方が担ってきた家事や育児について、配偶者や同居家族、近くに住む親族、友人などの協力が得られればよいですが、家庭の状況によっては難しいケースもあるでしょう。短期入院であったとしても、入院準備費用が意外とかかるケースなどもあります。

もしも会社員や公務員の方が病気やケガで長期間休むことになった場合には、勤め先の社会保険に加入していれば「傷病手当金」などの社会保障を受けることができますが、専業主婦(主夫)はこうした保障の対象外となり、病気やケガによって普段どおりの家事・育児ができなくても手当金などは受け取れません。

入院やケガによって受け取る給付金は、使途が自由であるため、子育てサポートや家事代行サービス費用に充当することもできます。したがって、専業主婦(主夫)であるご自身の治療費に加え、不在によって起こるサポート費用の負担が厳しいことが想定できるのではあれば、医療保険やがん保険を検討することも必要でしょう。

専業主婦(主夫)の死亡時のリスクに対応できる

前項では、専業主婦(主夫)の方が病気やケガにより入院などをして一定期間、家事や育児ができない状況になれば、経済的に厳しくなるリスクもあることをお伝えしました。

では、専業主婦(主夫)の方が「亡くなってしまった場合」には、そのリスクをどのように考えればよいでしょうか?家計の収入が減ることはないものの、家事や育児の担い手が失われれば、一家の生活により大きな影響が出る可能性があるでしょう。具体的には、子育てサポートや家事代行の利用も長期的にわたり必要となりその費用負担は大きいものになります。また、死亡時の葬儀代などまとまった費用も必要となります。

そのため、家計の状況や家族構成、使える預貯金はいくらあるかなどを踏まえて、保険加入の必要性を検討しましょう。

ただし、日本には遺族が受け取れる「遺族年金」があります。遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなった場合に、被保険者によって生計を立てていた遺族が受け取れる年金です。遺族年金には「基礎遺族年金」と「遺族厚生年金」があり、それぞれ受給要件が異なりますが、専業主婦(主夫)の方が死亡した場合でも、のこされた配偶者や子どもが受給できる可能性があります。

専業主婦(主夫)の方が死亡した場合のこれらの公的な保障がいくら受け取れるのかを踏まえて、生命保険加入の必要性を検討し、死亡保険金がどのくらい必要になるのか検討するとよいでしょう。なお、「基礎遺族年金」と「遺族厚生年金」については後述します。

税金の負担をおさえられる(生命保険料控除)

専業主婦(主夫)が加入する生命保険の保険料は生命保険料控除を受けられ、支払った年の所得から差し引くことができます。生命保険料控除は、所得控除の一種であり、支払った生命保険料の金額に応じて、所得税・住民税の税負担をおさえられます。

ただし、家事や育児に専念していたり、パート勤務などで年収が一定以下であったりする方は、所得税・住民税の負担がなく、専業主婦(主夫)本人が生命保険料控除を受けるメリットがありません。

しかし、配偶者などが専業主婦(主夫)の保険料を支払っている場合は、配偶者の生命保険控除として所得控除を受けることができます。必ずしも配偶者が契約者である必要はなく、契約者が専業主婦(主夫)であっても、保険料の支払いを配偶者が負担しているならば、配偶者が生命保険料控除を申請することができます。

保険料の支払いを専業主婦(主夫)がご自身の預貯金などでまかなっていた場合、配偶者が生命保険料控除を受けることはできませんので、加入する際は誰が保険料を負担するのかも検討しておくと良いでしょう。

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専業主婦(主夫)におすすめの保険の種類

専業主婦(主夫)におすすめの保険の種類

生命保険商品には、病気やケガの治療にかかる費用を保障する「医療保険」や、がん治療に特化した「がん保険」、万が一死亡したときの備えとして加入する「死亡保険」など、さまざまな種類があります。

専業主婦(主夫)の方が保険商品を選ぶ場合、万が一のときに発生する費用負担がおさえられることができることが大切ですが、具体的にどのようなポイントをおさえておく必要があるのでしょうか?以下でご紹介した3つの保険について、それぞれみていきましょう。

  • 医療保険
  • がん保険
  • 死亡保険

入院や手術を保障する「医療保険」

医療保険に加入すると、一般的に病気やケガによる手術や、入院が必要になった場合の費用が保障され、手術を受ければ「手術給付金」、入院すると「入院給付金」が受け取れます。専業主婦(主夫)かどうかにかかわらず、病気やケガのリスクがある以上は加入の検討をしておきたい保険です。

病気やケガで入院・手術などを受けることになった場合、公的医療保険制度での保障を受けることができます。そのため、窓口での自己負担は医療費の3割、さらにその金額が所得に応じた上限額を超えている場合は、超えた金額が高額療養費制度によって還付されます。

たとえば、会社員で年収約370~約770万円の配偶者の扶養に入っている専業主婦(主夫)の場合、高額療養費を利用すると1ヵ月の医療費の自己負担額上限は約8万円~9万円程度となることが一般的です。

長期間、専業主婦(主夫)が入院するとなれば、家事・育児は各種代行サービスに頼らなければならない場面もあるかもしれません。そんなとき医療保険による保障を受けることができれば、医療費面での心配をせず、治療に集中できます。

とはいえ、保障内容を手厚くするほど、保険料の負担も大きくなります。給付金の受け取り回数や金額も保険商品ごとによって異なるため、家計の状況に合ったものを選ぶことが重要です。

がん治療を安心して受けるための「がん保険」

医療保険でもがんに罹患した場合の入院や手術などの治療に備えられますが、「がん保険」ではがんに関する保障がさらに手厚く用意されています。

医療保険では「入院」や「手術」などを事由に保障されるのに対し、がん保険では「がんと診断されたとき」や「一定のがん治療を受けた月ごとに」など、よりがんへの保障に特化した内容が保障の中心となっています。また、保険商品によっては、がんが再発・転移した際の保障や、がん治療に関するセカンドオピニオンななどの相談サービスを用意している場合もあります。

詳細な保障内容は、保険会社・保険商品ごとに異なります。

がんは、性別にかかわらず罹患する可能性のある病気です。しかし、女性は、胃がんや肺がん、大腸がんといったがんの他にも、乳がんや、子宮頸がん、子宮体がんなど女性特有のがんのリスクもあります。女性特有のがん罹患率は、乳がんの場合は、20代後半から30代にかけて罹患率が上昇しはじめて、40代後半から50代でさらに大きく上がり、60代後半で再びピークを迎えます。子育て世代の女性にとっては、決して無関係な病気ではありません。

専業主婦(主夫)の方も、いざというときにご自身や家族の不安を取り除き、費用の心配なくがん治療ができるよう、医療保険とあわせて加入を検討するとよいでしょう。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)

万が一のことがあったときに備える「死亡保険」

専業主婦(主夫)の方が、万が一死亡した場合に「死亡保険」に加入していれば、保険金を葬儀代にあてたり、のこされた家族の当面の生活費やサポート費用として使ったりすることができます。

もし配偶者の収入によって生活費がまかなわれていた場合、専業主婦(主夫)に高額な死亡保険金をかける必要はないものの、家庭内の状況が大きく変化するのは避けられません。とくに子どもが幼い場合には、ひとり親になった保護者が働いている間の家事・育児を誰がやるのかという問題もあるでしょう。育児サポートや家事代行の利用を検討している場合、その費用も葬儀代とあわせて考える必要があります。

子どものいない夫婦や子どもが十分に成長している場合など、葬儀費用程度の保障でよい場合は、一般的には100~200万円程度が目安になるでしょう。加えて、育児サポートや家事代行などのサービスにかかる費用も保険金で用意したいのであれば「毎月いくらかかって、この先いくらお金が必要になるか?」と考えて必要額を追加しましょう。さらに、配偶者や子ども、両親などにもお金をのこしたい場合は、必要額を追加します。

このように、「何に対して必要か」「どこまでの家族に必要か」を見極めて、適切な保障額を選択しましょう。

また、必要となる保障はライフプランやライフステージによって変化します。保険に加入した後であっても、状況に合わせた見直しは大切です。今は専業主婦(主夫)であっても、将来的にパート勤務や正社員に復帰する予定があるなら、家計の収支も変化しますし、子どもの成長によっても、必要な保障額が変わってくるでしょう。その時々の状況に合った保険へ加入しておくことが重要です。

なお、この記事の冒頭で少し触れましたが、日本には遺族が受け取れる「遺族年金」もあります。遺族年金には「基礎遺族年金」と「遺族厚生年金」の2つがあり、それぞれ異なる受給要件があるものの、専業主婦(主夫)の方が死亡した場合でも、のこされた配偶者や子どもが受給できる可能性があります。

これらの公的な保障がいくら受け取れるのかを踏まえて、専業主婦(主夫)の方が死亡した場合の保険や死亡保険金の金額を検討するとよいでしょう。以下で、「基礎遺族年金」と「遺族厚生年金」についてご説明します。

遺族年金の受給条件と受給対象者

遺族基礎年金 遺族厚生年金
受給対象者

死亡した被保険者の

  • 子のある配偶者
  • ※1

死亡した被保険者の

  • ※2
  • ※1
  • 55歳以上の夫※3
  • 55歳以上の父母※4
  • 55歳以上の祖父母※4
受給条件
  • 国民年金の被保険者が死亡したとき※5
  • 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき※5
  • 老齢基礎年金※7の受給権のある方が死亡したとき※6
  • 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき※6
  • 厚生年金保険の被保険者が死亡したとき※1
  • 厚生年金の被保険者期間に初診がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき※2
  • 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給権のある方が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

※118歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。

※2子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給可能。

※3受給開始は60歳以降。ただし遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給可能。

※4受給開始は60歳以降。

※5死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要。ただし、死亡日が2026年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっている。

※6保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る。

※7老齢基礎年金とは、国民年金や厚生年金保険などに加入して、保険料を納めた方が原則65歳から受け取ることができる年金。

■遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者などであった方が、受給要件を満たしている場合、亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が、遺族基礎年金を受け取れる制度です。ここでの「子」とは、18歳になった年度の末日(3月31日)を経過していない子、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の障害者となります。

なお、「生計を維持」というのは経済的な支えになっていたという意味だけでなく、「同居していること」あるいは「受給対象者の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5千円未満であること」などの要件を満たす場合を指しています。したがって、子どものいる専業主婦(主夫)ならば、家事や育児によって家族の生活を支えていたことになり、死亡時に「子のある配偶者」または「子」が遺族基礎年金を受給できる可能性があります。

別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族であるなどの事項があれば認められます。

■遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者などであった方が受給要件を満たしている場合、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族が、遺族厚生年金を受け取ることができます。専業主婦(主夫)が死亡した際にのこされた家族が受け取れるケースも存在しますが、前述の遺族基礎年金よりも要件は複雑であり、受け取れるのはまれです。

遺族厚生年金を受け取る遺族の条件では、30歳未満の子のない妻は5年間のみに限定されますが、年齢は問われません。一方、夫は配偶者死亡時に55歳以上である場合のみとなっており、同じ家族構成や世帯年収であったとしても、受給要件にあてはまるかは男女で差があります。

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まとめ

専業主婦(主夫)の方でも、さまざまなリスクを考慮して、保険への加入を検討しておくことは重要です。「保険料がもったいないから」「専業主婦(主夫)は家計に直接影響がないから」と考えてしまう方もいるかもしれませんが、万が一のときに家族の生活への影響が最小限におさえられるよう、一度は保険加入について検討するとよいでしょう。

専業主婦(主夫)の方が、いつ病気やケガによって、家事・育児ができない状態になるかは誰にもわからないですし、突然亡くなるリスクもゼロではありません。病気やケガ、死亡時のリスクに備えられる保険に加入することで入院費用や治療費だけでなく家事や育児のサポート費用などさまざまな経済的リスクをカバーできる可能性があります。

なお、保険選びに困ったら、比較サイトを検討するとよいでしょう。複数の保険商品から、保険料や保障内容を比較して、ご自身にあった保険を選ぶことがます。

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監修者情報

ファイナンシャルプランナー竹下たけした昌成あきなり

竹下昌成 写真

竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。兵庫県西宮市在住。立教大学卒後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家としてスタートした不動産賃貸業歴20年。大家業をメインに講師や執筆活動、相談業務などをおこなう。

保有資格
日本FP協会会員(CFP®)、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、スカラシップアドバイザー
HP
https://fptakeshita.jimdofree.com/

CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2023年5月15日)
2304259-2404