収入保障保険の保険金に税金はかかる?受取人別に課税対象や内容を詳しく解説

収入保障保険の保険金に税金はかかる?受取人別に課税対象や内容を詳しく解説
公開日:2023年6月5日

ご自身やご家族が、万が一亡くなったときや高度障害状態になったときのことを考え、のこされる配偶者や子どものために収入保障保険への加入を検討することがあるかもしれません。収入保障保険で受け取れる保険金には税金が課せられる場合があり、契約者・被保険者・受取人の組み合わせや受け取り方法によって対象となる税金が異なります。この記事では、そんな収入保障保険の保険金にかかる税金の種類などを詳しく解説してます。
収入保障保険に加入する際は、どのような保険であるかだけではなく、保険金受け取り時にどのような税金がかかるのかも理解しておきましょう。

収入保障保険の保険金には税金が課せられる場合がある

収入保障保険とは死亡保険の一種で、保険に加入している方が死亡したときや所定の高度障害状態になった際に、あらかじめ設定した保険金を受け取ることができます。
保険期間中に被保険者が亡くなった場合は死亡保険金を、所定の高度障害状態になった場合は高度障害保険金を、保険金受取人が受け取ることができます。

収入保障保険とその他の一般的な死亡保険との大きな違いは、「保険金の受け取り方法」です。
終身保険や定期保険などの生命保険は、被保険者の死亡時や所定の高度障害状態の場合に、一括で保険金を受け取ることがほとんどです。
収入保障保険では、保険金受け取りを一括にできる商品もありますが、毎月のお給料のように年金形式での受け取りが一般的です。

なお、毎月給付が受けられ、収入保障保険と混同されがちな保険として、「就業不能保険」や「所得補償保険」という保険商品も存在します。これらの保険は病気やケガによって働けない状態であると診断された際に給付金を受けられる保険です。被保険者が死亡したときや所定の高度障害状態になったときではなく、就業不能状態にあるときに支払われるため、収入保障保険とは性質が異なります。

収入保障保険で受け取ることができる死亡保険金は課税対象

収入保障保険によって受け取った死亡保険金は、原則課税対象となるため、所定の税金を納めなければなりません。課税される税金には所得税・贈与税・相続税があり、契約者(保険の契約をする方。この記事では保険料を負担する方をイコールと考えます)・被保険者(保障の対象となる方)・受取人(保険金を受け取る方)の関係性・組み合わせによってどの税金が課されるかが変わります。

対して、被保険者が所定の高度障害状態になった場合に受け取れる高度障害保険金は非課税で受け取ることができます。ただし、高度障害保険金として保険金を受け取っていても、保険期間満了までに受取人が死亡して保険金を受け取る権利が相続された場合などは、受取人からの相続財産となるため課税対象です。

なお、所得補償保険で受け取れる給付金は死亡保険金とは異なるため、課税対象になりません。

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収入保障保険に課税される税金の種類

収入保障保険に課税される税金の種類

収入保障保険によって受け取れる死亡保険金には、相続税・所得税・贈与税のいずれかが課せられます。
課税される税金の種類は、契約者・被保険者・受取人の関係性と、保険金の受け取り方法によって変化します。

収入保障保険に課せられる税金の種類
契約者 被保険者 受取人 保険金を
一括で受け取る場合
保険金を
年金形式で受け取る場合
夫 A 夫 A 子 C 相続税 相続時に相続税、2年目以降は所得税(雑所得)・住民税
夫 A 妻 B 夫 A 所得税(一時所得)・住民税 所得税(雑所得)・住民税
夫 A 妻 B 子 C 贈与税 初回贈与時に贈与税、2年目以降は所得税(雑所得)・住民税

契約者(夫 A)・被保険者(夫 A)・受取人(妻B)の場合は「相続税」の課税対象

契約者と被保険者が同じ人物である場合、死亡保険金は「相続税」の課税対象です。たとえば、夫が契約者となって自分自身を被保険者とする収入保障保険に加入し、妻が死亡保険金を受け取れるようにしている場合がこれにあたります。

また、死亡保険金には非課税枠があるため、保険金から所定の非課税限度額を差し引いた金額が、相続税の課税対象となります。

非課税限度額の計算方法は次のとおりです。

【非課税限度額の計算方法】

非課税限度額

=

500万円

×

法定相続人の数

法定相続人とは、民法で定められている相続人のことです。被相続人(死亡によって財産を相続される方)の配偶者と血縁者が該当し、配偶者は常に法定相続人になります。血縁者の法定相続人は、被相続人に子どもがいるならばその子どもが、子どもがいなければ両親が、子どもも両親もいなければ兄弟姉妹が該当します。

もし、死亡保険金が2,000万円で、被保険者(この場合の被相続人)に配偶者と子どもが3人いた場合、法定相続人は4人です。したがって、非課税限度額が死亡保険金と同額になり、相続税の課税対象となる死亡保険金はありません。

なお、同性パートナーや内縁の夫婦関係など、法定相続人には該当しない間柄であっても、契約者と被保険者が同一であれば相続税の課税対象です。ただし、この場合、法定相続人でないため、非課税枠が適用されません。兄弟姉妹が保険金の受取人になっていた場合も、法定相続人であるならば生命保険の非課税枠が適用されます。

被相続人の兄弟姉妹が相続した場合、相続税の2割加算の対象である点にも注意が必要です。2割加算とは、相続された方が、被相続人の一親等の血族および配偶者以外の方である場合には、その方の相続税額はその相続税額の2割に相当する金額を加算した金額になることです。
また、保険金を一括で受け取ると相続税の納税のみで終了しますが、年金で受け取る場合は2年目以降、「雑所得」として扱われ、所得税・住民税が課せられます。

このとき、1年目には相続税が課せられているため、受け取り初年は非課税です。また、2年目以降課税されるのは、相続税が課税されなかった部分の金額に対してであるため、二重課税になる心配はありません。

相続税の対象となる例
契約者(夫 A) 被保険者(夫 A) 受取人(妻 B)
(夫 A)が保険料を支払い (夫 A)の死亡時に (妻 B)が保険金を受け取る

契約者(夫 A)・被保険者(妻 B)・受取人(夫 A)の場合は「所得税」の課税対象

保険の契約者と保険金の受取人が同じ人物である場合は、「所得税」の課税対象となります。たとえば、夫が契約者として保険料を支払い、被保険者である妻が死亡した際、夫が保険金を受け取るという場合です。

このとき、受け取り方法を一時金にするならば一時所得として、年金形式にするならば雑所得として、それぞれ所得税が課税されます。

【収入保障保険を一時所得として受け取る際の計算式】

一時所得

=

受け取った保険金

-

払い込んだ保険料

-

特別控除50万円

求められた一時所得の金額の、2分の1が所得税の課税対象となります。

また、年金形式で受け取る場合は、その年に受け取った額から、その金額に対応する払込保険料を差し引いた額を雑所得として所得税が課税されます。

所得税の対象となる例
契約者(夫 A) 被保険者(妻 B) 受取人(夫 A)
(夫 A)が保険料を支払い (妻 B)の死亡時に (夫 A)が保険金を受け取る

契約者(夫 A)・被保険者(妻 B)・受取人(子 C)の場合は「贈与税」の課税対象

収入保障保険の契約者・被保険者・受取人の3者が、それぞれ違う人物であれば「贈与税」の課税対象となります。
たとえば、契約者として夫が保険料を支払い、被保険者である妻が死亡した際、子どもが保険金を受け取れるようにする場合です。

もし一時金として一括で受け取る場合は、贈与税の納税のみで税金の支払いは終了です。このとき、110万円の基礎控除があるため、そのほかの贈与とあわせて1年間に受け取った金額が110万円以内であれば贈与税がかかりません。

また、年金として受け取るならば、2年目以降の受け取り分は雑所得となり、所得税・住民税の課税対象です。

保険金を受け取る初年は贈与税を支払っているため、所得税・住民税は非課税となり、2年目以降に課税されるは贈与税の対象とならなかった部分の金額に対してとなります。このように贈与税の対象となる場合も、相続税と同様、二重課税にならないようになっています。なお、2023 年4 月時点で、110万円の基礎控除は縮小や廃止の議論がされています。今後の動向に注意してみておきましょう。

贈与税の対象となるケース
契約者(夫 A) 被保険者(妻 B) 受取人(子 C)
(夫 A)が保険料を支払い (妻 B)の死亡時に (子 C)が保険金を受け取る

高度障害保険金で受け取る場合は非課税

高度障害保険金は、被保険者が所定の高度障害状態になると、死亡保険金と同額の高度障害保険金が受け取れます。
死亡保険金については、相続税・所得税・贈与税のいずれかの税金が課せられますが、高度障害保険金は、身体の障害に起因して受け取る保険金に該当するため、原則として非課税となります。これは契約者・被保険者・受取人の関係や受け取り方法によって変化することはありません。

心身の障害に起因して支払いを受ける給付金・保険金については、課税しないと所得税法で定められているため、このようになっています。

ただし、高度障害保険金の受け取り途中で受取人が死亡した場合、保険満了期間まで保険金を受け取れる権利は、死亡した受取人の法定相続人へうつります。この場合、新しく受取人になる人は心身の障害に起因して保険金を受け取れるようになったわけではありません。よって、高度障害保険金であっても相続税の対象となります。

また、高度障害保険金を一括で受け取っていても、受取人の死亡時に保険金がのこっていると相続財産となるため相続税の対象です。

なお、どのような状態が所定の高度障害状態にあたり、保険金を受け取れるかについては保険商品によって異なります。更に、被保険者が所定の高度障害状態になって高度障害保険金を受け取ると、保険契約は終了となり、被保険者の死亡時には死亡保険金が受け取れません。収入保障保険で受け取れるのは、高度障害保険金または死亡保険金のいずれかであることも覚えておきましょう。

保険金が支払われる条件を確認し、どのような選択肢があるのかを事前に考えておくことも重要です。

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まとめ

収入保障保険は、自分自身や家族にもしものことがあったとき、生活の支えとなるよう年金形式で保険金が受け取れます。
しかし、受け取れる保険金は相続税・所得税・贈与税のいずれかが課せられるため、設定した保険金が全額そのまま受け取れるとは限りません。
どの税金が課せられるかは、保険の契約者・被保険者・受取人の関係によって異なるため、加入する際は受け取り時の税負担も考えておきましょう。

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監修者情報

ファイナンシャルプランナー竹下たけした昌成あきなり

竹下昌成 写真

竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。兵庫県西宮市在住。立教大学卒後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家としてスタートした不動産賃貸業歴20年。大家業をメインに講師や執筆活動、相談業務などをおこなう。

保有資格
日本FP協会会員(CFP®)、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、スカラシップアドバイザー
HP
https://fptakeshita.jimdofree.com/

CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2023年6月5日)
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