医療保険は必要?入っておくべき理由やポイントを解説

医療保険は必要?入っておくべき理由やポイントを解説
公開日:2022年4月27日

民間の医療保険に加入していると、入院や手術などの際に給付金を受け取ることが可能です。しかし、公的医療保険制度によって医療費の自己負担額は軽減されるため、「わざわざ民間の医療保険に加入する必要はないのでは?」と考える方もいるでしょう。
民間の医療保険に入っていると、公的医療保険制度などでは補いきれない医療費以外の自己負担費用や、療養期間中の収入減にも備えることができます。
この記事では、民間の医療保険の必要性や選び方のポイントについて、わかりやすくご紹介します。民間の医療保険に加入するべきか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

民間の医療保険への加入の必要性が高い人

とくに以下に当てはまる人は、民間の医療保険に加入する必要性が高いと考えられます。

  • 貯蓄が少ない、または貯蓄を取り崩したくない人
  • 自営業者やフリーランスなど、収入減リスクの高い人

貯蓄が少ない、または貯蓄を取り崩したくない人

入院や手術、通院などで医療費がかかる場合、公的医療保険制度による保障を受けることができます。「公的医療保険制度の保障を受けている」という意識をすることはあまりないかもしれませんが、医療機関の窓口などで保険証を提示することで医療費の自己負担額が少なくなるのは、公的医療保険制度による保障です。
ただ、医療費の自己負担額は軽減されますが、負担が0となることはありません。
また、病気やケガにより入院や手術となった場合、医療費などの支払いももちろんですが、働けない期間の収入減についても考えなくてはなりません。

会社員や公務員などが加入する「健康保険」の場合、業務外の理由による病気やケガで『連続した3日を含む4日以上』仕事を休むと「傷病手当金」を受けることができます。傷病手当金の受給額の目安は給与のおよそ3分の2で、受給できる期間は最長1年6ヵ月(途中で仕事復帰した期間があれば、その期間は除く)となります。
そのため、一定の金額は健康保険からの保障を受けることができますが、それでも療養期間中は収入が3分の1ほど減った状態となり、医療費の自己負担費用などの支払いも必要となるため、金銭的負担が大きくなると考えられます。
こういった理由から、貯蓄が少ない、もしくは貯蓄はあるけれど取り崩したくないという人は、医療費などの支払いや働けない期間の収入減に備えて、民間の医療保険に加入する必要性が高いと考えられます。

自営業やフリーランスなど、収入減リスクの高い人

先ほどご紹介した「傷病手当金」は、会社員や公務員など「健康保険」に加入している方を対象とした制度になります。自営業やフリーランスの人が加入する「国民健康保険」では、傷病手当金は原則として支給されません※。そのため、仕事を休むと収入が途絶えてしまう可能性があり、会社員や公務員の方と比べてリスクが高いと考えられます。
「十分な貯蓄がある」「自分が働けなくなっても収入が途切れることはない」といった状況でなければ、自営業やフリーランスの人は医療保険に加入する必要性が高いといえるでしょう。

一部自治体では、国民健康保険加入者も傷病手当金の対象としています。ただし、新型コロナウイルスに感染した場合や、濃厚接触者になった場合などに限られます。

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民間の医療保険に入っておくべき理由について

民間の医療保険に入っておくべき理由について

民間の医療保険に入るべき理由として、おもに次の3点が挙げられます。

  • 短期入院であっても、金銭的な負担が大きくなる場合がある
  • 高額療養費制度でもカバーできないことがある
  • 仕事を休むことで収入が減少、または途絶える

それぞれ、以下で詳しく解説していきます。

短期入院であっても、金銭的な負担が大きくなる場合がある

生命保険文化センターが公表している「令和元年度 生活保障に関する調査」によれば、入院時の1日あたりの自己負担費用と逸失収入※の総額は、平均で28,436円です。
男女別では、男性30,941円、女性26,245円で、職業別では会社員が33,049円、自営業者が29,853円となっています。

「逸失収入」とは、本来であれば得られたはずなのに、病気やケガなどで得られなかった(得る機会を逸した)収入のことをいいます

この金額を見て、「思ったよりも高額だ」と感じた方もいるのではないでしょうか?
病気やケガで入院すると、医療費だけでなく入院中の食事代や、個室を希望する場合は差額ベッド代、病院によってはパジャマのレンタル費用やクリーニング代など、さまざまな費用がかかります。それに加えて収入も減少すれば、「思ったよりも経済的な負担になった」となるのは決して珍しいことではありません。

高額療養費制度でもカバーできないことがある

高額療養費制度とは、医療機関の窓口などで支払う自己負担額が1ヵ月あたりの上限額を超えたときに、負担を軽減する制度です。
上限額は、年齢などの条件によって異なります。

69歳以下の人の上限額

区分 1ヵ月の上限額(世帯ごと) 多数回該当
年収約1,160万円~
健保:標準報酬月額83万円以上
国保:旧ただし書き所得※901万円超
252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円
年収約770~約1,160万円
健保:標準報酬月額53~79万円
国保:旧ただし書き所得※600万~901万円
167,400円+(医療費-558,000円)×1% 93,000円
年収約370~約770万円
健保:標準報酬月額28~50万円
国保:旧ただし書き所得※210万~600万円
80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
~年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下
国保:旧ただし書き所得※210万円以下
57,600円 44,400円
住民税非課税者 35,400円 24,600円

旧ただし書き所得とは、前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額などの合計から基礎控除額を差し引いた金額をいいます(雑損失の繰越控除額は控除しません)。

70歳以上の人の上限額

区分 1ヵ月の上限額
(外来(個人ごと))
1ヵ月の上限額
(世帯ごと)
多数回該当
年収約1,160万円~
標準報酬月額83万円以上/
課税所得690万円以上
252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円
年収約770~約1,160万円
標準報酬月額53万円以上/
課税所得380万円以上
167,400円+(医療費-558,000円)×1% 93,000円
年収約370~約770万円
標準報酬月額28万円以上/
課税所得145万円以上
80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
年収156万~約370万円
標準報酬月額26万円以上/
課税所得145万円未満等
18,000円
(年間の上限額は144,000円)
57,600円 44,400円
Ⅱ 住民税非課税世帯
(Ⅰ以外の方)
8,000円 24,600円 -
Ⅰ 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
15,000円

たとえば、69歳以下で年収約370~約770万円の人であれば、1ヵ月の上限額は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」 です。

また、1人1回分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、「世帯合算」として医療保険上の同じ世帯の家族が払った医療費の自己負担額を1ヵ月単位で合算することが可能です。さらに、過去12ヵ月以内に3回以上、上限額に達した場合は、「多数回該当」として4回目から上限額が下がります。

ただし、高額療養費制度で保障されるのは公的医療保険制度の対象となる費用に限られます。入院で個室を希望する場合の「差額ベッド代」や「入院中の食事代」、「パジャマのレンタル費用やクリーニング代」、「先進医療※を受けた場合の技術料」などは対象外となります。

「先進医療」とは、厚生労働大臣が定める最新の医療機器や薬を使った治療や、高度な医療技術を用いた治療です。

民間の医療保険に加入していることで、高額療養費ではカバーされない費用に備えることも可能になります。

仕事を休むことで収入が減少、または途絶える

前述のとおり、会社員の場合は仕事を休むと傷病手当金を受け取れますが、金額は給与のおよそ3分の2となります。たとえば、月収30万円の場合受け取れる金額は約20万円と、収入が減少します。
また、自営業者やフリーランスが加入する国民健康保険では、傷病手当金が支給されません。病気やケガで仕事を休むと収入が途絶えてしまい、就業不能による影響が大きくなります。

このように、収入が減少したり途絶えたりした上で、医療費の支払いが負担になる事態は避けたいところです。
そこで、民間の医療保険に加入し、入院給付金や手術給付金、通院給付金などを受け取れるようにしておけば、各種費用の支払いや減少した収入の補てんにあてることができます。

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最適な医療保険を選ぶために押さえるべきポイント3つ

最適な医療保険を選ぶために押さえるべきポイント3つ

家族構成や貯蓄額など、個人の状況によって重視すべき保障内容は異なります。
ご自身にとって最適な医療保険を選ぶために、とくに次の3点を意識しましょう。

  • 何のために備えるのか、医療保険に入る目的や必要性を明確にする
  • 変化するご自身や家族のライフステージに合わせる
  • 医療保険の保障内容と保険料のバランスを意識する

何のために備えるのか、医療保険に入る目的や必要性を明確にする

日本では「国民皆保険制度」がとられているため、原則としてすべての人が公的医療保険制度に加入しています。それに対し、保険会社が提供する「民間の医療保険」は、加入するかしないかをご自身で判断することになります。民間の医療保険には、公的医療保険による保障を補完する面もありますので、加入するべきか、加入するのであればどのような保障を選べばよいかを検討するには、これまでにご紹介してきた公的医療保険の保障内容を知っておくことも非常に重要です。

民間の医療保険のベースの保障は、「入院」と「手術」です。しかし、さまざまな保障を備えた保険商品が数多くあり、保険に加入する目的によって必要と考えられる保障が異なります。
たとえば、子どもが成長して独立するまでの間だけ備えたいのであれば、一生涯保障を受けられる終身型の医療保険ではなく、一定期間保障を受けられる定期型の医療保険がおすすめです。逆に、一生涯保障が欲しいと考える方であれば、終身型の医療保険に加入しておくと安心でしょう。
また、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や女性特有の病気など、特定の病気にさらに手厚く備えたいのであれば、特約の付帯を検討しましょう。

変化するご自身や家族のライフステージに合わせる

ライフステージが変化するにつれて必要な保障内容は変化するので、ご自身や家族の状況にあわせて保険を選ぶことが大切です。独身か既婚か、子どもがいるか、子どもは小さいかなどによって、必要な保障の手厚さは変わってきます。家族がいる場合には、配偶者や子どものことも考えて備えなければいけません。

医療保険の保障内容と保険料のバランスを意識する

最後に、保障内容と保険料のバランスも考慮しながら、加入する保険を検討してください。
「保障を手厚くすれば安心」と考えて、複数の医療保険に加入したり、給付金の金額を必要以上に高額にしたりすると、保険料が高くなり、負担が重くなる可能性があります。将来のリスクに備えることはもちろん大切ですが、保険料が生活費を圧迫するなど、現在の生活に支障が出てしまうことは避けるべきでしょう。
保障内容と保険料の適度なバランスを保てるように心がけましょう。

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医療保険選びに悩んだら、プロに相談しよう

生命保険会社のウェブサイトや比較サイトを利用すれば、ご自身で保険商品の比較検討ができます。
しかし、保険にはさまざまな種類があるため、ご自身にあう保険選びに迷ってしまうこともあるでしょう。そんなときには、保険のプロに相談することも方法のひとつです。

保険選びだけでなく、保険の基本的な知識やお金の悩みなど、些細なことでもご相談可能です。

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まとめ

病気やケガになったとき、公的医療保険制度や傷病手当金などの公的保障制度による経済的なサポートを受けることができますが、それだけではカバーしきれない部分もあります。
そこで、民間の医療保険に加入しておけば、病気やケガで入院や手術、通院などが必要になった際、給付金を受け取ることができ、給付金は医療費の支払いにあてられるほか、病気やケガで働けない期間の収入減をカバーすることも可能です。
特に、傷病手当金を受け取ることができない自営業やフリーランスの人は、病気やケガで仕事を休むと収入が途絶えて生活費を確保できない可能性があります。そのような万が一に備え、民間の医療保険加入を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修者情報

ファイナンシャルプランナー竹下たけした昌成あきなり

竹下昌成 写真

竹下FP事務所代表、㈱メディエス代表取締役、TAC専任講師。兵庫県西宮市在住。立教大学卒後、池田泉州銀行、日本GE、タマホームなどを経て現職。タマホームFPとして600件超のFP相談実績あり。サラリーマン投資家としてスタートした不動産賃貸業歴20年。大家業をメインに講師や執筆活動、相談業務などをおこなう。

保有資格
日本FP協会会員(CFP®)、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、スカラシップアドバイザー
HP
https://fptakeshita.jimdofree.com/

CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2022年4月27日)
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