ペット保険は海外にもある?日本との違いや契約するメリット・デメリットを解説!
ペット保険は犬や猫などのペットを飼う方に広く認識されています。ペット保険の商品数やサービスは年々幅広くなっており、加入を検討中の飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
海外赴任などの理由で、ペットと一緒に海外に引っ越しを検討している方のなかには、日本と海外のペット保険事情にはどのような違いがあるのか気になる方もいるかもしれません。
この記事では、ペット保険とは海外にも存在するのか、そもそもペット保険に加入しているとどのようなメリット・デメリットがあるのかなどを紹介します。
ペット保険とは?海外にもある?
ペットには人間のような公的な医療保険制度がありません。ペットが病気になったり、ケガをした場合には、飼い主さんが医療費を全額支払う必要があります。そのような経済的負担に備えるのがペット保険です。
日本のペット保険の商品数やサービス内容などは、ここ数年で急速に拡充していますが、そもそもペット保険自体の歴史は長く、世界では100年以上にわたって販売されてきました。
ペット保険の始まりは、1890年にスウェーデンで誕生した家畜や馬を対象とした保険といわれています。1924年には、同じスウェーデンの保険会社から犬を対象としたペット保険が世界で初めて販売されました。
一方、日本でペット保険が誕生したのは1995年とされています。
海外でもペット保険に加入できる?
ペットを飼っている方のなかには、仕事で長期出張や駐在になって海外にペットを連れていく方もいるかもしれません。日本のペット保険は国内の動物病院でしか使えないため、海外のペット保険に加入したいという場合には新たに海外のペット保険に加入する必要があります。
海外のペット保険には、日本と同じくオンラインのほか、代理店や動物病院を通じて申込むことができます。ただし、先述のとおり、ペット保険事情は国によりさまざまです。補償内容や補償範囲は滞在国による違いがあることに注意が必要です。
なお、海外にペットを連れていく場合は、渡航手続きの準備が必要です。
犬や猫などのペットは、国外へ連れていくにあたって動物検疫を受けなければなりません。動物検疫は、短期の旅行でも必要です。さらに、マイクロチップ挿入や予防接種など、入国する国ごとにペットの持ち込みのルールが異なるため、ペット保険と共に、出入国に関する事情もリサーチしておきましょう。
海外と日本のペット保険の補償内容の違い
国によってペット保険の補償内容や補償範囲には違いがあります。
日本では、保険会社により詳細は異なりますが、一般的に補償される治療、補償されない治療は以下の通りです。
日本におけるペット保険のおもな補償
補償の対象になるもの | 補償の対象にならないもの |
---|---|
|
|
※1保険期間内かつ日本での診療に限ります。
※2保険会社によっては、治療目的の薬であっても対象にならないケースもあります。
日本のペット保険は、病気やケガの通院、入院、手術の3種類が補償の基本です。
一方、ヨーロッパやアメリカなどのペット保険には、病気やケガの治療のほか、ペットの病気予防や健康維持につながる次のような補償を選択できる商品もあります。
【海外のペット保険の補償の例】
- 通院、入院、手術
- 健康診断
- ノミの駆除やフィラリアの治療
- ワクチン接種マイクロチップの埋め込み
- 鍼治療やリハビリテーション
- 義肢や車いす
なお、日本のペット保険でもペット保険の補償対象外となる避妊手術や去勢手術、歯科治療などが補償対象となる商品もあります。なかには既往症に対応するペット保険も存在します。最近は、高齢のペットの保険料を定額にする、車いすを補償する特約を付けられるなど、さまざまな補償を扱うペット保険も登場しています。
ただし、補償を幅広くするほど保険料は高額になるため、補償内容と保険料のバランスを見極めることが大切です。
ペット保険に加入する理由は?メリットを解説
日本のみならず世界中に広がっているペット保険ですが、そもそもペット保険にはどんなメリットがあるのでしょうか。日本における一般的なペット保険の補償を前提に解説します。
【ペット保険のメリット】
- ペットの治療費の負担を軽減できる
- ペットの高齢化による医療費負担に備えられる
- ペットの病気やケガの早期発見、早期治療につながりやすい
上記3つのメリットを、具体的に解説します。
ペットの治療費の負担を軽減できる
公的な医療保険制度のある日本では、人間が一般的な治療を受けた場合の費用負担は1~3割におさえられます。しかし、ペットは公的な医療保険制度の対象ではなく、治療費は全額が飼い主さんの自己負担となります。人間よりも治療費の負担が大きくなるケースもあり、飼い主さんにとっては大きな負担となります。
ペットの治療費はけっして安価ではない
実際にかかる費用は治療を受ける動物病院や治療内容によって異なります。たとえば、犬は足を骨折するケースも少なくありませんが、手術などを含めると治療にかかる費用はそれぞれ20万円以上となることも多く、意外と治療費の負担は大きくなります。
大切なペットのいざというときの備えとしてペット保険に加入すると、経済的負担を気にせずに治療に専念できるため安心です。
ペットの高齢化による医療費負担に備えられる
ペットの飼い方への理解が深まって飼育環境が整ったことや、動物医療の技術が向上したことなどにより、ペットの高齢化が進んでいます。ペットの寿命の目安は、下表のとおりです。
ペットの寿命の目安
種類 | 寿命の目安 |
---|---|
犬 | 12~20年程度 |
猫 | 15~20年程度 |
ウサギ | 5~15年程度 |
セキセイインコ | 7~10年程度 |
オカメインコ | 15~25年程度 |
ミドリガメ | 20年程度 |
リクガメ | 100年以上生きることも |
※上の表に記載の内容は平均的な寿命であり、品種や飼育環境によりさらに長生きする場合もあります。
ペットの長生きは飼い主さんにとって喜ばしいことですが、高齢化にともない、治療が必要となる期間が延びる可能性もあります。ペットも人間と同じように病気やケガのリスクは高まり、食欲が落ちた、足腰が弱くなってきた、元気がないなどの症状も出てくるでしょう。ペット保険によって高齢のペットの健康を保つために費用的な不安に備えることができるのは大きなメリットといえるでしょう。
ペットの病気やケガの早期発見、早期治療につながりやすい
日常の小さな変化に病気やケガが隠されている場合もあるため、かかりつけ医へのこまめな相談が大切です。動物病院で受診する機会が増えれば、それだけ経済的な負担も大きくなりますが、ペット保険に加入していれば医療費の負担が軽減され、費用の負担を心配せずにペットに適切なケアを施すことができるでしょう。ペット保険に加入して治療費の不安が軽減されることで、ペットの具合が悪いときにすぐに受診しやすくなる点もメリットです。
受診がスムーズであれば、病気やケガの早期発見、早期治療につながります。結果として通院日数や治療費が少なくおさえられ、ペットと飼い主さん双方の負担が軽減されます。
また、ペット保険によっては24時間相談できる電話サービスや医師への健康相談などのサービスもあり、受診すべきか悩んだとき、飼い主さんの判断をサポートしてもらえる場合が多いです。
なお、犬に保険が必要かどうかより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ペット保険加入時におさえておきたいデメリット(注意点)を解説
ペット保険は、ペットの治療費の負担を軽減できる、治療に関するサービスの提供があるなど、メリットが豊富です。しかし、ペット保険には、以下のようなデメリット(注意点)もあります。
【ペット保険のデメリット(注意点)】
- 全ての治療が補償対象になるとは限らない
- 治療費の全額が補償されるとは限らない
- 健康状態によっては加入できない・補償されないこともある
これらのデメリット(注意点)を、具体的に解説します。
全ての治療が補償対象になるとは限らない
前述したとおり、ペット保険のおもな補償としてあげられるのは、病気やケガの治療にかかる通院・入院・手術の費用のほか、ペットの損害賠償責任費用などです。
例外として、ワクチンなどで予防できる病気でも、罹患日が予防措置の有効期間内であった場合や、ペットの健康状態などの理由で予防措置を講じられないと獣医師が判断したと認められる場合には、補償対象となる場合もあります。ほかにも、ワクチン接種を原因とした病気やケガ、動物病院で必要な処置とされるシャンプーや爪切りなどが補償されるペット保険もあります。
ペット保険へ加入する前に、どのようなケースで補償対象外となるのかあらかじめ確認しましょう。
治療費の全額が補償されるとは限らない
商品によって違いはありますが、ペット保険の多くは、免責金額(自己負担金額)や補償割合を設けており、治療費の全額が補償されるとは限りません。
補償割合とは、実際にかかった治療費のうち保険会社が保険金を支払う割合です。補償割合は50%、70%、90%のように設定されていますが、たとえば、補償割合が50%のペット保険の場合、対象の治療に1万円かかると、その半分の5,000円が保険金として支払われます。
またペット保険では、通院・入院1日あたり、手術1回あたりの支払限度額に加え、それぞれの支払限度日数が定められている商品が一般的です。通院や手術の費用がかさむと支払限度額や支払限度日数を超えてしまい、補償から外れる可能性もあります。商品による違いが大きいとはいえ、治療費の全額が補償されるわけではない点に注意が必要です。
また、免責金額とは、補償の対象となる診療費に対して、ご自身が自己負担する金額のことです。たとえば、免責金額が1万円のペット保険の場合、治療費のうち1万円を超えた部分かつ、支払い限度額の範囲内の金額が保険金として支払われます。この商品の場合、治療費が3万円かかったときは、免責金額を除いた2万円が保険金として支払われます。
健康状態によっては加入できない・補償されないこともある
ペットの年齢や過去の病歴、健康状態などによってはペット保険に加入できないケースもあります。ペットの状態や傷病の内容次第では、特定の病気や体の部位を対象外とする条件付きの加入になったり、そもそもペット保険に加入できなかったりする恐れがあります。ペット保険に加入できるかできないかは各保険会社によって異なるため、事前に調べておきましょう。
なお、先天性疾患は必ずしも補償対象外となるわけではなく、補償開始後に獣医師により初めて発見された先天性疾患は補償対象とする商品もあります。補償される場合とされない場合については、契約前にペット保険の重要事項説明書や約款などでよく確認しておきましょう。
なお、ペット保険の加入前に知っておきたいことは、以下の記事でも紹介しています。
海外へ行く方によくあるペット保険Q&A
日本のペット保険を利用するにあたって、海外での事情や諸外国との違いに関する疑問をクリアにしておきましょう。
Q:海外に引っ越した場合でも日本のペット保険は使えますか?
日本のペット保険は、基本的に海外では使えません。一般的に、ペット保険の約款には「日本国内の動物病院での診療を受けた際」の治療費を補償すると定められています。
そのため、仕事で海外赴任するなどの事情から、ペットと一緒に外国に引っ越してしばらく暮らす場合には、現地のペット保険に加入し直す必要があります。
また、海外へのペットの持ち込みに際して、検疫のためのマイクロチップ挿入、狂犬病や猫白血病の予防接種、寄生虫や血清検査などを義務づけている国が多数あるため、ペット保険とあわせて現地の事情を確認しておくことが大切です。
Q:日本と海外ではペット保険の補償範囲にどんな違いがありますか?
日本のペット保険は一般的に、通院、入院、手術の3種類の補償が基本の商品が多いです。保険商品によってペットの損害賠償責任補償などを付けることができる場合もあります。
一方、海外のペット保険は、通院・入院・手術の基本的な補償のほか、日本では補償対象外となる費用がペット保険でカバーできるケースもあります。たとえば、定期健診やノミ・ダニの駆除、歯科治療、往診治療、ドッグトレーニングなどにかかる費用、迷子時や死亡時の補償などが対象となるケースがあります。
万が一に備えてペット保険へ加入すると安心
犬や猫などのペットは古くから日本人にとってなじみ深いものですが、いまやペットは生活に喜びを与えてくれる大切な存在であり、大切な家族の一員と感じる方も多いのではないでしょうか。
万が一、大切な家族がケガをしたり病気になったりしたら、しっかりと治療をしてあげたいものです。経済的な不安を抱えて適切な治療を選べないことがないよう、ペット保険へ加入しておくことがおすすめです。
いくつかのペット保険を比較・検討して選びたい場合は、比較サイトの活用がおすすめです。「ペット保険の選び方がよくわからない」という場合でも、比較サイトで希望する補償内容やサービスをなどの条件を一度入力すれば、複数のペット保険の情報を一覧で比べることができ、ご自身にあった保険を効率的に選びやすいでしょう。ぜひご活用ください。
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まとめ
ペット保険は、世界で初めて販売が始まったスウェーデンを中心に、ペット先進国として知られるイギリスなど、ヨーロッパでとくに認知度が高いとされています。
アメリカやカナダ、日本を含むアジア諸国は、ヨーロッパに比べるとペット保険の歴史は浅いですが、ペットリテラシーは高まりつつあります。
大切な家族としてペットに健康で長生きしてもらうには、病気やケガの兆候を見逃さず、適切なケアや治療をおこなうことが大切です。いざというときに経済的負担が心配で治療をためらうことがないように、ペット保険への加入を検討しましょう。
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監修者情報
ファイナンシャルプランナー竹国弘城
RAPPORT Consulting Office (ラポール・コンサルティング・オフィス)代表。名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。証券会社、生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関する相談や記事の執筆・監修を通じ、自身のお金の問題について自ら考え、行動できるようになってもらうための活動を行う。ミニマリストでもあり、ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。趣味はサウナ(サウナ・スパプロフェッショナル)。
- 資格情報
- 1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本FP協会会員(CFP®)
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年8月8日)
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