猫に与えてはいけないものとは?注意したい食べ物一覧も紹介

猫に与えてはいけないものとは?注意したい食べ物一覧も紹介
公開日:2023年11月27日

あたりまえの話ですが、猫は飼い主に与えられたもののみを食べることとなります。猫が勝手に冷蔵庫をあけて食べるということはありません。そのため、飼い主には猫の健康や福祉を考えて猫の食事を選択しなければならない責務があります。しかし、人間にとってはおいしく栄養のある食べ物でも、実は猫にとっては有害になるケースもあります。今回は、「与えてはいけない食べもの」と、「与える際には注意が必要な食べもの」をご紹介し、具体的にどのような症状が引き起こされるのかもわかりやすく解説します。

猫に与えてはいけない食べ物とは?

猫に与えてはいけない食べ物とは?

猫に与えてはいけないおもな食べ物の一覧

食べ物 症状
チョコレート、カフェイン 嘔吐、下痢、興奮、けいれん、高体温、不整脈など
アボカド 嘔吐、下痢、不整脈、心筋への障害など
タマネギ 胃腸炎、貧血など
柑橘系の皮 皮膚炎
アルコール 嘔吐、ふらふらする、ぐったりして動かない、意識が朦朧(もうろう)となるなど
鶏の骨 口の中や、消化管を傷つけるなど
α-リポ酸サプリメント 成分・量によっては死に至ることも

チョコレートとカフェイン

猫は甘味を感じる味覚がないため、チョコレートなどを犬のように好んで食べることは少ないですが、興味本位で舐めたり、包装紙と一緒に飲み込んだりしまうこともあります。

カフェイン・テオブロミンという物質がチョコレートに含まれており、摂取すると、嘔吐、下痢、興奮、けいれん、高体温、不整脈といったさまざまな症状を引き起こします。
テオブロミンの量はチョコレートの種類によっても異なり、ダークチョコレートは、ホワイトチョコレートよりも非常に多くのテオブロミンが含まれているため危険です。

コーヒー、ココア、緑茶、紅茶もカフェインが含まれており、同様に危険なため机の上にカップを置き、目を離さないようにしましょう。

アボカド

アボカドにはペルシンという物質が含まれており、摂取すると、嘔吐、下痢などの消化器の症状だけでなく不整脈や心筋への障害など、心臓へも影響を及ぼすと考えられています。

タマネギ

タマネギには有機硫黄化合物が含まれており、猫が摂取すると、胃腸炎や赤血球を破壊(溶血)し、貧血を引き起こします。極めて少量食べただけでも、症状を引き起こす可能性があります。少量だからといって安心することはできません。

長ネギ、ニンニク、ニラ、らっきょうも同様に危険です。また、加熱しても、中毒物質である有機硫黄化合物がなくなることはありません。

猫が生のまま食べることは珍しいですが、肉など猫の好む食材と一緒に料理した場合、煮汁や肉と一緒に摂取することもあるため、注意が必要です。

柑橘系の皮

みかんの皮などにはリモネンという化合物が含まれており、猫に皮膚炎や中毒を引き起こすといわれています。
猫は新鮮肉食者(新鮮な肉を好む動物)であり、酸っぱいニオイは、肉が腐った臭いに近いため、本来苦手ではありますが、舐めたり食べたり、皮膚に接触させたりしないように注意が必要です。

アルコール

猫がアルコールを摂取すると、人の急性アルコール中毒と同様の症状(嘔吐、ふらふらする、ぐったりして動かない、意識が朦朧(もうろう)となるなど)を引き起こします。

鶏の骨

猫は鶏やネズミを捕まえて、骨など硬いものをガリガリと食べるイメージを持っている方もいらっしゃいます。しかし、実際は口の中や、消化管を傷つける恐れがあります。ひづめや、アキレス腱など硬いものが、市販であたりまえのように売られていますが、与えないほうがよいでしょう。

α-リポ酸サプリメント

α-リポ酸とは、人のダイエットサプリメントとして使用される成分で、「チオクト酸」という脂肪酸の一種です。よかれと思って人のサプリメントを猫にも与える方がいらっしゃいますが、猫に与えても問題ない成分・量なのかを確認しないと、摂取することにより1粒で死に至ることがあります。

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猫が食べてはいけないものを食べてしまったら?

猫が食べてはいけないものを食べてしまったら、気づいたタイミングで、なるべく早く、誤食してしまったものが消化される前に動物病院へ受診しましょう。

受診の際に大切な情報は、「いつ」「なにを」「どの程度の量」摂取したのかが非常に大切です。また、誤食したものの包装紙が胃腸などで詰まることもあるため、パッケージの一部を一緒に食べた場合は、食べたであろうパッケージの数や量も数えることが大切です。実物が残っているようであれば、実際に持っていき、獣医師へ申告しましょう。

自宅の中で猫を捕まえるのに何時間もかかってしまうと、そのうちに状況が悪化する場合もあります。普段からキャリーに入れるトレーニングをしておくことはとても大切です。

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食べてはいけないものを食べたとき動物病院でおこなわれる処置

食べてはいけないものを食べたとき動物病院でおこなわれる処置

催吐

吐かせることができる時間・モノであれば、薬によって、吐かせる処置をおこないます。古くは食塩を大量に飲ませて嘔吐を誘発していましたが、食塩中毒になるリスクがあるため、現在ではおこなわれません。

内視鏡検査

吐かせることができない、吐かせてはいけないものは、全身麻酔をして内視鏡を使って摘出することがあります。

胃切開・腸切開

麻酔をかけて、胃や腸を切開して、摘出します。吐かせたり、内視鏡で摘出したりすることが困難な場合に、選択肢となります。

対症療法

すでに、消化されてしまい、物理的に除去することが難しい場合は、点滴をしたり、薬を投与したりすることで、中毒症状をおさえたり、中毒症状から回復させたりしようと試みます。

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猫が注意したい食べ物

猫が注意したい食べ物

猫が大量摂取や長期間摂取することで問題を起こす可能性のある食べ物も知っておきましょう。

シュウ酸の多い食べ物

シュウ酸の多い食べ物は尿石症(膀胱や腎臓に結石ができる病気)になる可能性があります。ほうれん草、つるむらさき、ルバーブ、スイバなど。茹でることで、シュウ酸量を減らすことができますがこれらの食べ物は、常食は避けたおいたほうが良いでしょう。とくにシュウ酸カルシウム尿石症の猫は避けておいたほうが無難です。

生の魚介類

ビタミンB1(チアミン)を分解するチアミナーゼと呼ばれる酵素が含まれる魚介類があります。ビタミンB1は体に不可欠なビタミンのため、不足すると「脚気(かっけ)」を発症し、歩行困難や視力障害、発作などさまざまな症状を引き起こします。
「猫はイカを食べると腰を抜かす」といわれているのは、このチアミナーゼによるものです。
加熱することで、チアミナーゼは活性を失うため、魚介類を与える際は、加熱をしてから与えましょう。
ただし、イカについては血液検査において、偽の高値を示してしまうことがあるため、加熱されたものであっても与えないほうが無難です。

生の卵白

生の卵白には、「アビジン」という、ビオチンとくっついて吸収阻害を引き起こすたんぱく質が含まれます。ビオチンは、皮膚や被毛の健康を維持するための栄養素であり、不足すると、脱毛や全身性のフケを引き起こしたりします。猫は犬とは異なり、ビオチンを食事から必ず摂取する必要があります。

生肉

生肉には、大量の病原菌が付着しています。生で食べることで体内に病原菌を摂取することとなり嘔吐や下痢といった消化器症状だけでなく、場合によっては命の危険にさらされることも。病原菌が犬の体内で繁殖し、排便し環境にまき散らされることで、飼い主さんや病院のスタッフなどの健康のリスクにもなります。必ず加熱して与えましょう。

牛乳

牛乳には乳糖が含まれています。猫は基本的に乳糖を分解するのが苦手で、大量に摂取すると、消化することができずに、下痢を引き起こします。どの程度なら問題なく与えることができるかは、個体によって大きく幅があるため、与えるにしても極めて少量、様子をみながら与えてください。

脱脂粉乳は、ほとんどが乳糖でできているため、与えることは難しいです。ヨーグルトの上清(上澄み液)にも多く含まれています。チーズは製造過程で、乳糖が大幅に減っているため食べられる猫が多いです。ただし、リコッタチーズには、例外的に乳糖が多く含まれます。

炭水化物

猫は肉食動物で、大量の炭水化物を消化するのが苦手です。一定量は消化できる能力を持ちますが、一度に大量に与えると、消化能力を超えてしまうため、下痢をしてしまいます。

青魚

イワシ・サバなどの青魚には酸化しやすい不飽和脂肪酸(EPA:エイコサペンタ塩酸・DHA:ドコサヘキサエン酸)が豊富です。摂取しすぎると、脂肪に炎症が起きる「黄色脂肪症」になります。

ビタミンEと一緒に摂取することで酸化を防止し、病気を予防することができるため、青魚ばかり与えず、バランスの取れた総合栄養食を中心とした食生活をこころがけましょう。

ドッグフード

キャットフードの代わりにドッグフードを与えるのは避けましょう。犬と猫では必要な栄養素が異なるため、ドッグフードのみを与え続けると栄養素が欠乏してしまいます。

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まとめ

猫は犬と異なり、高いところへ飛び乗ることができる3次元で動く生き物です。そのため、猫がいる空間に、猫が摂取してはいけないものを置かないことが誤食の一番の予防です。

ゴミ箱や流しの三角コーナー、調理後のフライパン、食べ物のにおいがついたものなどにも気を配り人も猫も安心できる空間を作りましょう。

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ライター情報

獣医師成田なりた有輝ゆうき

成田 有輝
所属
yourmother合同会社 代表
略歴
1988年 埼玉県に生まれる
2007年 麻布大学獣医学部獣医学科に入学
2011年~ウサギのハート公開
2013年 獣医師国家資格取得
2013年~2019年 東京都内動物病院に勤務
2018年~DC one dish 設立
2019年 フードメーカー勤務
2020年~yourmother合同会社 設立
2023年 日本獣医腎泌尿器学会認定医取得
所属学会
日本獣医腎泌尿器学会、日本獣医エキゾチック動物学会

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(掲載開始日:2023年11月27日)
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