愛猫が吐いた!あわてず飼い主さんに確認して欲しいことを解説

愛猫が吐いた!あわてず飼い主さんに確認して欲しいことを解説
公開日:2023年11月27日

猫の嘔吐する姿はとても苦しそうなので、とても心配になりますよね。飼い主さんもパニックになってしまうことが多いです。しかし、動物病院で症状をお話しするのは飼い主さんです。どんなときに何回吐いたのかなど情報をきちんと獣医師に伝えることが早期治療につながります。受診した際に「そっか、それも必要な情報だったのか!」とならないように、どんな情報が必要なのかイメージしてみながらいざというときに備えましょう。

猫が嘔吐したらまず確認する

猫が嘔吐したらまず確認する

愛猫が嘔吐したとき、あわてて片付けてしまう飼い主さんが多いのですが、どんなものを吐いたのかは診断材料になることがあります。ティッシュでふき取ってしまうと量がわかりにくくなることもあります。写真を撮影しておくとどんなものをどのくらいの量を吐いたのか伝えやすいのでおすすめです。
片付けながら、内容を確認できれば理想的です。

フードだけ吐いているようにみえても、実は毛玉がびっしり詰まっていたり、寄生虫が紛れ込んでいたりすることもあります。輪ゴムやジョイントマットのかけら、ビニール袋など異物が出てくることもあります。

いつ、どんなときに何回吐いたのか記録を

受診前に、メモを作成していくと受診がスムーズです。「仕事から帰ってきたときに吐いたあとがあって、片付けて私がお風呂から出たら吐いたからそのときが21時...?その前にも吐いていた...あれ?」と診察室で話しているとあせって思い出せなくなることも多いです。

時間ごとに記録をしていきながら、合計何回吐いたのか、続けて吐いたのか、少し時間がたってから吐いたのか、どんなときに吐いたのかなど、具体的にメモできると理想的です。

たとえば、朝の食事前に1回吐いたのであれば「食事の間隔があきすぎたのか?」と考えられる場合がありますし、嘔吐の回数が多ければ膵炎や誤飲を疑って診察を進めていくことができます。「【20:00】食後15分後に2回続けて吐いて、その10分後に1回吐いた」というような記録だとわかりやすいです。

動物病院スタッフは1日の嘔吐回数を数えるときは、複数個所に続けて吐いたときは1回としてカウントします。嘔吐の頻度が多い状態なのか少ない状態なのか、正確に伝わるように話しましょう。

もちろん、食欲の様子や排泄がどうかも重要な情報です。数日遡った記録が必要なこともありますので、日頃からカレンダーに記入するなどして、実施しやすい方法でいいのでメモしておくと、それをそのまま持って受診すればよいのでおすすめです。

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猫の嘔吐の原因はさまざま

猫の嘔吐の原因はさまざま

もしかすると猫は吐きやすい生き物なので「様子見してもよい」と、他の猫の飼い主さんからアドバイスをもらうこともあるかと思います。しかし、全身状態を確認しながら、さまざまな検査が必要になる場合もあります。そのときそのときの状態を獣医師に確認してもらっておくことも大切なので、異変がみられたら受診することが基本です。

以下で嘔吐の原因となりうるものをお話ししていきます。

誤飲

猫の口は構造上、口に入った獲物が飲み込みやすいようになっています。猫自身が飲み込もうと思っていなくても、遊んでいたら飲み込んでしまった!と誤飲してしまうことはとても多いです。
玩具をはじめ、ビニールや紐、ゴムなどに執着してしまう猫もいますので、愛猫の様子をみながら、執着するようなものは徹底的に片付けましょう。好奇心旺盛の若い猫はとくに、なんでも遊びに使うので誤飲しやすいです。

異物が消化管内にあると、食べ物が通過する際に邪魔するため嘔吐してしまうのですが、完全に消化管内で詰まってしまうまで元気に過ごす猫もいます。また、だんだん食欲がなくなる猫もいます。消化管内に異物が詰まった場合は開腹手術が必要です。

繰り返し吐く、涎が出る、血色が悪い(歯肉などピンク色の所が白っぽくなる)、ぐったりしている場合は緊急手術が必要です。

嘔吐した内容物の中に異物があった場合は、他にも飲み込んでしまっていている可能性を考えましょう。家の中で同じものがなくなっていないか、破損しているものがないかを確認します。なくなっているものがあれば、素材や大きさがわかるとレントゲン撮影や超音波検査によって疑わしい影が見つかったときに参考にすることができます。

中毒

猫の身体に良くないものを口にしたことが原因で吐いている場合もあります。
直接口にせずとも、猫は身体全身をグルーミングするため、身体に付着したものはいずれ口に入ってしまうことを考えましょう。

アロマディフューザーはとくに危険です。他にも洗剤や消臭スプレーなど家の中で使用しているものが猫の体表についてしまうこと考えて猫の生活空間での使用は避けましょう。
植物は研究データがそろっていないものばかりです。愛猫が最初の事例とならないように、猫の生活エリアには植物を置かないことをおすすめします。

腎機能低下など何かしらの病気によるもの

嘔吐はさまざまな疾患によっておこる症状のため、原因を突き止めるまでに経過を観察していく必要がある場合があります。

これは緊急事態ですが尿道が詰まっていて長時間排尿できずに腎臓に負担がかかったことで嘔吐しているなど、全身状態の診察から原因を特定していきます。

血液検査をはじめ、レントゲン検査や超音波検査によって膵炎や胃腸障害、腫瘍、腎機能の低下などといった疑わしいものについて調べます。このとき、定期的な健康診断の結果と比較することでより診断がつきやすいこともあります。症状のないときに実施する健康診断は早期発見のみならず、こうして役に立ってきます。

早く食べすぎている

食事をあせって一気に食べることで、吐いてしまう猫もいます。
少量を頻回に与えてあげたり、時間をかけて食べるように工夫されたお皿を利用したりすると改善することがあります。

与えているフードがその猫にあわない場合もあるので、切り替えを丁寧にしながら他のメーカーのフードを試すことも可能であれば検討してみましょう。

毛玉

毛玉が消化管内で詰まって、嘔吐の原因になっていることもあります。異物と同様に消化管を詰まらせてしまうこともあるのでお腹の様子をしっかり診察してもらいましょう。便と一緒に毛玉をスムーズに出させるためのサプリメントや、食物繊維の多い食事を利用することで改善することもあります。かかりつけの先生と相談しながら取り入れてみてください。

猫草は嗜好品です。必ずしも毛玉を吐かせるために食べさせる必要はありません。猫草に刺激されて吐くことにより胃液で食道が荒れてしまい、食道炎になってしまうことがあります。

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症状が出たらまず受診を

症状が出たらまず受診を

病院が苦手なこともあって、猫は受診することを控えることがあるため、診察を受けたころには緊急事態になっていることも少なくありません。様子をみる場合でも、どんな状態でどう変化していくのかを獣医師に診てもらうことで一緒に経過観察ができます。

体調が悪くなったときにさっと受診ができるように、元気なときに病院でおやつをもらうだけで帰るなどしながら、受診時のストレスを軽減できるように練習しておくことが理想的です。

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まとめ

猫はいろんな原因によって嘔吐します。どのような様子だったのか、どんなものを吐いたのか、普段何を食べているのか、最近の排泄(便も尿も)の様子はどうだったのかなど、日常生活の情報が診断にとっても必要になってきます。受診しようと思った際にあわてなくてよいように、日々の記録をとっておくことが大切です。

また、夜間に緊急受診ができる病院は限られています。
誤飲によって緊急手術が必要な場合などに備えて、かかりつけの先生に夜間診療の提携先などを確認しておくといざというときに心強いです。

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ライター情報

獣医師笹尾ささお美香みか(旧姓:濵口)

濵口 美香
所属
猫の診療室モモ 勤務医
略歴
1988年 鹿児島県に生まれる 牛舎と鶏舎がご近所で動物に囲まれて育つ
1991年~2007年 長崎に引っ越し 猫との生活を始める
2007年~2013年 麻布大学獣医学部獣医学科卒 在学中ツシマヤマネコの普及啓発活動に取り組む
2013年~2016年 千葉県の犬猫動物病院にて勤務
2016年 動物保険会社へ転職 動物病院での診察業務・ペットショップの子犬子猫の往診・イベントでの健康相談業務・動物看護専門学校での講師を務める
2017年 子育てに専念
2018年~現在 品川区の猫の診療室モモにて勤務
2022年~Luna spay clinic 開業
資格
獣医師免許、JSFM CATvocate認定プログラム修了

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(掲載開始日:2023年11月27日)
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