チワワについて深掘り!その特徴やなりやすい病気は?

チワワについて深掘り!その特徴やなりやすい病気は?
公開日:2023年11月8日

世界で一番小さい犬とされるチワワ。かつてはテレビCMで起用されたこともあって人気が爆発しました。クリっとした大きな目など、その愛くるしい姿から今もなお人気の高い犬種ですが、どういった特徴があり、なりやすい病気などはどのようなものがあるのでしょうか。これからチワワをペットとしてお迎えする方にも、すでに一緒に暮らしている方にも知っていただきたい情報をお届けします。

チワワの歴史と特徴

チワワの歴史と特徴

チワワの祖先は、9世紀にメキシコ周辺を支配していたトルテック族という民族が飼っていた、「テチチ」という犬だとされています。テチチはトルテック族にとってペットであると同時に宗教的な存在でもあったとされ、人間の墓の中にテチチの化石がみつかっています。

チワワはテチチに改良が加えられて誕生した犬種であり、一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)で公認されている犬種の中では最小の犬種です。被毛はロングの子とスムースの子がいて、毛色のバリエーションはとても豊富です。

サイズは、一般社団法人ジャパンケンルクラブ(JKC)の犬種標準では体重は1kg~3kg程度とされています。

性格は勇敢・活発・陽気・注意深い子が多く、飼い主さんに対する忠誠心が強くてなつきやすい反面、飼い主さんを独占したがる傾向もあります。平均寿命はおよそ14歳前後で、運動量はそれほど多くなくてもよいでしょう。

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チワワがなりやすい病気①僧帽弁閉鎖不全症

チワワがなりやすい病気①僧帽弁閉鎖不全症

心臓は大きく4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)にわかれており、全身に血液を送り出すポンプのような役割を果たしています。血液の流れは常に一方通行となっていますが、これは心臓の各部位に弁があり、血液が流れていった後に弁が閉じることで、血液の逆流を防いでいるためです。

チワワのような小型犬では、中高齢になると左心房と左心室の間にある僧帽弁という弁が閉じ切らなくなることで、血液が一部逆流するという病態に陥りやすく、これを「僧帽弁閉鎖(そうぼうべんへいさ)不全症(MR)」と呼びます。

弁が閉じ切らなくなってしまう原因は、弁自体が変性して分厚くなってしまうことなどにより、初期は症状がなく、普段の診察や健康診断で心雑音が聴取されてみつかることが多いです。診断にはレントゲン検査や超音波検査が必要になってきます。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)が進行してくると活動性が低下したり、咳が出たりするようになったりしてきます。また、血液の逆流量が増えることで、心臓の肥大や、肺に水がたまって呼吸が苦しくなる(肺水腫)という命に関わる状態になってしまうこともあります。

僧帽弁閉鎖不全症(MR)の進行は一般的にはゆっくりで、全員が肺水腫まで進行するというわけではありませんが、予測はできないので、一度僧帽弁閉鎖不全症(MR)だと診断されたら症状がなくても定期的な検診に通うようにしましょう。

ACVIM(米国獣医内科学会)より僧帽弁閉鎖不全症の治療に対するガイドラインが発表されており、それに則って治療をしていきます。

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チワワがなりやすい病気②膝蓋骨脱臼

チワワがなりやすい病気②膝蓋骨脱臼

「膝蓋骨(しつがいこつ)」とは、いわゆる膝のお皿の骨ともいう板状の骨で、膝関節を守るためにあります。「パテラ」とも呼ばれています。

膝蓋骨は大腿骨(太ももの骨)の溝にはまっていますが、チワワのような小型犬ではこの溝が浅く、膝蓋骨が外れる(脱臼)してしまうことが多いです。膝の内側に脱臼するのを「内方脱臼」、外側に脱臼するのを「外方脱臼」と呼び、小型犬では内方脱臼の方が起こりやすいです。脱臼は片側のことも両側のこともあり、脱臼すると足を引きずるようになります。

診断はおもに触診により、膝蓋骨と大腿骨・脛骨(脛の骨)との位置関係の異常や、動作時の異常音、痛みの程度を触知することによります。

膝蓋骨脱臼は以下の4段階のグレードに分類され、グレードⅠ・Ⅱでは脱臼しても膝蓋骨が戻り、普通にまた歩くようになりますが、グレードⅢ以上では脱臼しっぱなしのために日常生活に支障が出てきます。

膝蓋骨脱臼の4段階のグレード

グレードⅠ 膝蓋骨は手で押すと脱臼するが、手を離せば正常位に戻る
グレードⅡ 膝蓋骨は膝を屈曲するか手で押せば脱臼し、膝を伸展するか手で押せば整復する
グレードⅢ 膝蓋骨は常時脱臼したままで、徒手整復可能だが手を離せば再び脱臼する
グレードⅣ 膝蓋骨は常時脱臼したままで、徒手整復されない

軽症例ではサプリや抗炎症薬で内科的に管理することもできますが、重症例では大腿骨の溝を深くするなどの手術が必要になることもあります。

いずれのグレードでも膝に負担をかけないことが大事になってくるので、膝蓋骨脱臼と診断されたら、もしくは診断されていなくても、不必要にジャンプさせない・階段の昇り降りをなるべく避ける・床がフローリングやタイルなどの滑りやすい素材の場合はカーペットを敷く・太らせないなどの対策をするようにしましょう。

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チワワがなりやすい病気③本態性脂漏症

チワワがなりやすい病気③本態性脂漏症

先天的に皮膚の角化亢進や皮脂の分泌が過剰な犬に起きる、皮膚のコンディション異常のことを本態性脂漏(しろう)症と呼びます。ウエストハイランドホワイトテリアや、シーズーにとくに多いですが、チワワでもみられます。

本態性脂漏症には、以下の3つの症状があります。

  • 皮膚が乾燥してフケがたくさん出る「乾性脂漏症」
  • 皮膚や毛がべたつき、独特の臭気を放つ「油性脂漏症」
  • ワキや股などの擦れるところ(間擦部)に油性脂漏と皮膚炎をともなう「脂漏性皮膚炎」

日常生活にもっとも支障を来たすのは脂漏性皮膚炎になります。

脂漏性皮膚炎では、マラセチアという真菌(カビの仲間)の増殖が起きることで、皮膚炎が悪化することが多いです。マラセチアは健康な犬の皮膚にも存在する常在菌ですが、脂を好むため、皮膚がべたべたしている犬では増加する傾向にあり、増加したマラセチアによりさらに脂の分泌が促進され、皮膚炎が悪化するという負のスパイラルが起きてしまいます。
また、ブドウ球菌という細菌による感染症も合併することが多いです。

本態性脂漏症には継続的なスキンケアが必要

本態性脂漏症はいずれも先天的なもので、根治的な原因治療は困難です。若齢から発症し、加齢とともに範囲が広がっていきます。一般に乾性脂漏症は冬に、油性脂漏症と脂漏性皮膚炎は夏に悪化する傾向にあり、良好な皮膚の状態を保っていくには、季節にあわせたシャンプーなどによるスキンケア、場合によっては内服薬の投与が必要になります。適切なスキンケアができていれば、生活の質を充分に保つことができるでしょう。

逆にいうと、放置して慢性化してしまうと、綺麗な皮膚にするのに時間がかかったり難しくなったりしてしまうので、変だなと思ったら早めに病院で相談するようにしましょう。場合によっては、皮膚科の得意な先生にセカンドオピニオンを求めてもよいかもしれません。

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まとめ

いかがだったでしょうか。チワワは超小型犬ということで、大型犬に比べて散歩はそれほど行かなくてもよいし、フィラリアなどの予防費用もそこまでかからないため「飼いやすそう」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、若いうちから膝の手術や継続的なシャンプーが必要になる場合もありますし、大型犬に比べて長生きなので、心臓病に対する薬を長年飲ませることになるなど、決してお金や手間がかからないわけではないということを充分に理解する必要があります。
その上でお迎えすることを決めた方、すでに一緒に暮らしている方は、チワワの特徴を知って、楽しい同居生活を送っていただければと思います。

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ライター情報

獣医師長尾ながお大喜だいき

長尾 大喜
所属
ラパン動物病院
略歴
1994年 静岡に生まれる
2012年 北里大学獣医学部獣医学科に入学
2018年 獣医師国家資格取得
2018年よりラパン動物病院に勤務
所属学会
日本獣医エキゾチック動物学会、日本獣医がん学会
資格
獣医師免許、ロイヤルカナン栄養管理アドバイザー、ヒルズフードアドバイザー

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(掲載開始日:2023年11月8日)
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