チンチラの飼い方や初期費用、注意点を初心者向けに解説
チンチラは、大きな耳と尻尾、細くてやわらかい被毛が特徴のげっ歯類です。げっ歯類は、生涯にわたって歯が伸び続ける動物で、チンチラ以外にハムスターやリスなどが該当します。臆病ですが好奇心旺盛な一面もあるため、少しずつ懐いてくれる動物です。
チンチラを適切な環境でお世話するためには、夜行性であることや高温多湿の環境に弱いこと、砂遊びが欠かせないことなど、チンチラの生態について飼う前に把握しておくことが大切です。また、飼育にかかる費用や飼う際の注意点も把握しておきましょう。
この記事では、チンチラの生態や必要なお世話の内容、飼育にかかる費用、注意点などを解説します。
チンチラを飼うのは大変?知っておきたい生態
チンチラは、夜行性で人が眠っている時間帯(夜中から早朝)に活発になることから、「夜中にケージ内を走り回ったり回し車を動かしたりする音が気になる」「なんでもかじってしまう」といった悩みを抱える方がいます。チンチラと楽しく暮らすためにも、事前に生態を知っておくことが大切です。
ここでは、チンチラの種類や特徴、寿命を解説します。
チンチラの種類
チンチラは、げっ歯目チンチラ科チンチラ属に分類される、体長約25~35cmのげっ歯類です。オスの体重が400~700g、メスの体重が500~700gであり、メスの方がオスよりも大きいのが特徴です。
チンチラの被毛は絹のように美しく、ひとつの毛穴から50~200本の細かい毛が生えています。被毛のカラーによって種類が分類されており、グレーのチンチラが一般的です。ほかにも、ブラック、ベージュ、ブラウン、シルバー、ホワイトなどの種類がいます。
チンチラの特徴
チンチラは夜行性の動物で、ケージや電化製品のコード、布製品をよくかじります。オスは縄張り意識が強く、メスは自身を守ろうとする意識が強い傾向にあります。トイレを覚えるのが苦手なことがほとんどですが、エサ入れから離れたところに排泄する傾向があるため、エサ入れの近く以外にトイレを設置してみましょう。
性格は、臆病でありながら好奇心旺盛な一面もあるため、飼っているうちに懐くことが多くあります。
体臭や排泄物のニオイはほとんどなく、まれに警戒時に大きな声で鳴くことはあるものの、通常は鳴き声も小さいため、飼いやすいといえるでしょう。
ただし、夜行性のため、夜中にケージ内で飛び跳ねるなどの音が、近隣の迷惑になる可能性があります。そのため、マンションに住んでいる方は、ケージの下に防音マットや防振材を敷くなどして騒音対策をしましょう。
チンチラの寿命
チンチラの寿命は約10年ですが、20年近く生きることもあるといわれています。生後1年で人間の12~13歳相当になり、生後2年では人間の20歳相当になります。
生後3年以降は人間の年齢でいう3~4歳ずつ年を取っていき、生後10年以降は老年期になるため、より一層体調の変化に注意が必要です。なお、適切な飼育環境で育てることで20年以上生きたという報告もあります。
また、ほかの小動物と比べてみると比較的長生きする動物であることがわかります。
チンチラとほかの小動物の寿命の違い
区分 | 寿命 |
---|---|
チンチラ | 10年(20年程度の場合もある) |
ハムスター | 2~3年程度 |
フクロモモンガ | 5~10年程度 (飼育下では12~15年程度の場合もある) |
モルモット | 5~15年(平均10年)程度 |
チンチラは神経質で繊細な一面もあり、ストレスが溜まると病気に罹患する場合があります。チンチラが長生きできるように、部屋の温度と湿度を徹底的に管理して、異変を感じたらすぐに病院に連れていきましょう。
チンチラの飼い方
チンチラを適切な環境でお世話するためには、飼い方を把握しておくことが大切です。適した飼育環境やエサの与え方、必要なお世話、スキンシップの取り方を解説します。
チンチラに適した飼育環境
チンチラは暑さに弱い動物で、高温多湿の環境にいると熱中症や熱射病に罹患する恐れがあります。チンチラの適切な飼育環境は室温10~20℃、湿度30~40%程度です。
なお、28~30℃を超えると熱中症に罹患する恐れがあり、32℃以上になると死に至る危険があるため、温湿度計を置いてこまめに温度と湿度をチェックしましょう。
また、直射日光やエアコンの風が直接あたらない場所にケージを設置して、急な温度変化が生じないように注意することも大切です。
チンチラのエサの与え方
チンチラの主食は牧草です。繊維質が多い牧草を与えることで咀嚼回数が増え、奥歯が削られて過長歯や不正咬合を予防したり、腸内に毛やガスが溜まるのを防いだりできます。乾燥した牧草は、いつでも食べられるように床材として敷いておくのがおすすめです。
牧草では足りない栄養素を補うための副食としてペレット(ペットフード)も与えましょう。ただし、ペレットばかりを食べると体調不良になる可能性があるため、牧草9割、ペレット1割を目安に与えるのが理想です。難しい場合は、最低でも牧草7割、ペレット3割の割合で与えるようにしましょう。
ペレットはチンチラが活動する夕方から夜にかけて、1日1回を目安に与えましょう。食器にのこったペレットを放置していると傷んでしまうため、1日1回は新しいペレットに交換することが大切です。
チンチラに必要なお世話
チンチラに必要なお世話は、砂浴びと換毛期のブラッシングです。チンチラの皮膚からはラノリンという油分が分泌されているため、毛玉ができやすい特徴があります。砂浴びは、チンチラの皮膚から分泌されるラノリンという油分を取り除いたり、被毛の汚れを取ったりするために重要です。
また、人間にとっての入浴のような役割があるため、1日5~15分、長くても30分程度、砂浴びの時間を設けます。砂浴び専用の容器を用意して、部屋中に砂が飛び散るのを防ぎましょう。
砂浴びで被毛を清潔に保っているチンチラには、基本的にブラッシングは必要ありません。ただし、換毛期には毛球症に罹患するのを防ぐためにも、優しくブラッシングしてあげましょう。
チンチラとのスキンシップ
チンチラは、抱いたり撫でたりしてスキンシップをはかる動物ではありません。基本的に触られることが嫌いなため、撫で方には注意が必要です。
無理に撫でようとすると噛まれる可能性があるため、時間をかけて距離を縮めることが大切です。距離を縮める方法として、ケージ越しに乾燥野菜やドライフルーツ、ヒマワリの種などのおやつを与える方法があります。
ただし、おやつを与え過ぎると、牧草を食べなくなってしまう可能性があるため、1日2~3つを目安に与えるのがポイントです。手でおやつを与えて慣れさせ、信頼関係が築けたタイミングで優しく撫でましょう。
チンチラを飼う前に準備するもの
チンチラを飼うときに必要なものは、おもに以下の9つです。
チンチラを飼うときに必要なもの
飼う前に準備するもの | 選び方 |
---|---|
ケージ |
|
床材 |
|
巣箱 |
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食器 |
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給水器 |
|
砂浴び容器 |
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おもちゃ (回し車や齧り木など) |
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トイレ |
|
温度湿度計 |
|
チンチラの飼育にかかる費用の目安
チンチラの値段は、カラーによって異なります。メジャーなグレーのチンチラは、約20,000~60,000円です。ホワイトやバイオレット、ブラックベルベットなどペットショップで取扱いが少ない希少品種は、約40,000~500,000円と価格幅が広く、グレーのチンチラよりも高い傾向があります。
チンチラを飼育するときに準備した方が良いケージや食器、トイレ用品などのトータル費用は、20,000~50,000円程度です。そのほかに、フードや消耗品などが毎月数千円かかります。
チンチラを飼育する際の注意点
チンチラを飼育する際の注意点を大きく2つ解説します。
チンチラを診てくれる動物病院を探しておく
チンチラはエキゾチックアニマルとも呼ばれ、犬や猫と異なり特別な健康管理が必要です。医療環境が未発達であるため犬や猫に比べると診てくれる動物病院が限られており、近所に病院がない可能性があります。
病気になったときにスムーズに対応できるように、自宅から通える距離にチンチラを診てもらえる動物病院があるかを確認しておきましょう。
チンチラの噛む対策をする
チンチラはものをよく噛むため、木製ではなく金属製のステンレスメッシュのケージが適しています。賃貸物件では壁や柱をかじってしまいトラブルになるケースもあるため、ペット可の物件であることを前提に家のどこで飼育をするべきかしっかり確認しましょう。
ケージの外で遊ばせるときは電源コードをかじって感電する恐れがあるため、ケーブルボックスに入れて隠したり、コードカバーを取り付けたりして対策することが大切です。コード類を保護するだけでなく、サークルを使用してチンチラが安全に遊べる環境を整えましょう。
チンチラが罹患しやすい病気やケガ
チンチラが罹患しやすい病気やケガは以下のとおりです。
チンチラが罹患しやすい病気やケガ
病名 | 症状・原因 |
---|---|
不正咬合 |
|
皮膚糸状菌症 |
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下痢 |
|
熱中症・熱射病 |
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ほかにも、毛球症や脱毛症、カルシウム欠乏症、生殖器疾患、呼吸器疾患などに罹患する可能性があるため、異変を感じたら病院で診察してもらいましょう。
チンチラのペット保険に加入して万一に備えよう
チンチラは暑さに弱く、部屋の温度と湿度が適切でなければ、熱中症などの病気に罹患する可能性があります。健康に配慮して育てていても、いつどんな病気に罹患するかわかりません。
チンチラが加入できるペット保険は犬・猫に比べて少ないものの、もしものときに備えてペット保険に加入すれば、かかった治療費の自己負担をおさえられ、治療の選択肢も広がります。
数あるペット保険の中からどれを選べば良いかわからないなど、保険選びに悩んだ場合は比較サイトを利用してみましょう。各比較サイトでは、そのサイトから紹介可能なペット保険の中から比較することができます。
複数のペット保険の補償内容や保険料などを一覧で確認できるため、ご自身にあった保険を見つけやすいでしょう。
まとめ
チンチラを飼う際は、事前に生態を知って責任を持ってお世話をすることが大切です。チンチラは夜行性であるため、夜中にケージ内を走り回ったり、回し車を動かしたりする音が気になる、電化製品のコードやケージをかじってしまうといった悩みを抱える可能性があります。
また、適切な環境で育てれば約10~20年と長く生きますが、温度変化やストレスに弱いため、お世話に注意が必要です。
飼育環境の温度調整や体調の変化に配慮して育てていても病気に罹患する可能性があるため、ペット保険に加入して万一に備えると安心です。チンチラを飼うことを検討している方は、最後までお世話をし続けられるかを考慮して飼い始めましょう。
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監修者情報
井上ひとみ
獣医師。住之江公園南トート動物病院副院長。幼少期から動物が好きだったため小学校では飼育委員をし、自宅では犬や猫、ハムスター、フェレット、うさぎ、ラットなどたくさんの動物たちと暮らす。大学在学時には一時的にタヌキを保護していた経験もある。大阪府立大学農学部獣医学科(現:大阪公立大学獣医学部・獣医学研究科)を卒業後は大阪府内の動物病院に勤務した後に友人と動物病院を開業。現在は保護犬5匹、保護猫2匹と一緒に暮らす。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年7月30日)
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