犬がご飯を食べないのはなぜ?おもな理由や対処法、考えられる病気を解説

犬がご飯を食べないのはなぜ?おもな理由や対処法、考えられる病気を解説
公開日:2024年6月27日

愛犬が突然ご飯を食べなくなったときは、「病気かもしれない」と心配になってしまうものです。病気は犬がご飯を食べなくなる原因のひとつではありますが、ほかにもストレスや運動不足、老化などさまざまな理由が考えられます。

この記事では、犬がご飯を食べない理由やその対処法、ご飯を食べない場合に考えられる病気について詳しく解説します。

犬がご飯を食べないのはなぜ?

犬がご飯を食べないのはなぜ?

子犬から飼っている犬がごはんを食べなくなった場合、成長にともなう自然現象の可能性が考えられます。

一般的に、成犬になる1歳までの子犬は食欲旺盛です。しかし、犬は成長のピーク(生後4〜5ヵ月頃)を過ぎると、自然に食べる量が落ち着いてきます。成長のピークを過ぎた後、ごはんの量が減っても元気に過ごしているのであれば、それほど心配する必要はないでしょう。

また、避妊手術を受けていないメス犬の場合は、生後6~9ヵ月頃からはじまる生理(ヒート)が原因で食欲が減るケースがあります。

生理(ヒート)による食欲低下は自然現象であるため、ほかに体調不良がみられなければ心配する必要はありません。メス犬の生理(ヒート)期間は1週間〜1ヵ月程度で、生理(ヒート)の時期を過ぎれば普段のようにごはんを食べてくれるようになります。

このほか、病気や好き嫌い、ストレス、老化などの理由で、ご飯が食べられなくなっている可能性も考えられます。具体的な原因や対処法は、後述する内容を参考にしてください。

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ご飯を食べない犬を病院に連れて行くかどうかの判断目安

ご飯を食べない犬を病院に連れて行くかどうかの判断目安

ご飯を食べない愛犬を病院に連れて行くかどうかは、食欲不振以外の症状の有無がひとつの判断目安となります。

たとえば、嘔吐や下痢、水を飲まない、震えている、体重の減少などの症状がある場合は何らかの病気に罹患している可能性が考えられるため、早めに病院に連れて行くことが重要です。

また、口の中に赤みや腫れ、出血などがないかも確認してください。口の中に異常がある場合は、歯周病や口腔内腫瘍を罹患している場合があります。

なお、ご飯を食べない原因を特定するためには、日頃から愛犬の様子をしっかり観察することも大切です。以下の項目をチェックし、原因特定や病気の早期発見に努めましょう。

病院に連れて行くかどうかの判断目安

病院に連れて行くかどうかの判断目安

症状が食欲不振のみの場合は単純にご飯の好き嫌いをしている可能性も考えられるため、少し様子をみた方が良いかもしれません。食欲不振の理由がよくわからない場合は、以下でご紹介している犬がご飯を食べないおもな原因と対処法を参考にしてください。

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犬がご飯を食べないおもな原因と対処法①病気

犬がご飯を食べないおもな原因と対処法①病気

食欲不振は必ずしも深刻な病気が原因とはいえませんが、さまざまな病気の初期症状としてあらわれる場合もあります。病気を罹患している場合は放置すると悪化する可能性も考えられるため、普段から愛犬の様子をよく観察しておきましょう。

とくに水を全く飲まない、元気がない、ぐったりしているなど、愛犬の様子がいつもと違う場合は注意が必要です。また、病気の場合は、食欲不振のほかに嘔吐や下痢、便秘などの症状があらわれることもあります。

犬がご飯を食べないときの一番の対処法は、病院を受診することです。病気でないことが判明すれば安心できますし、食欲不振の原因や対処法を教えてもらえるため、より適切に対応できるようになります。

今すぐに病院に連れて行けない場合は愛犬がご飯を食べない原因を考え、ご飯の内容やご飯のあげ方を変える、ストレス要因を減らすなど、可能な範囲で対処しましょう。

以下では、犬の食欲不振につながる病気を解説します。

胃腸炎

内蔵系の病気にはさまざまな種類がありますが、その中でも胃や腸の粘膜が炎症を起こす胃腸炎は、犬によくみられる病気です。胃腸炎のおもな原因や症状、治療法は以下のとおりです。

胃腸炎の原因・症状・治療法

胃腸炎の原因
  • 異物誤飲
  • 膵炎
  • 腸閉塞
  • 悪性腫瘍
  • アレルギー
  • 食事の変化
  • ストレス
おもな症状
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
治療法
  • 整腸剤や胃粘膜保護剤、下痢止めや吐き気止めの処方

症状が軽度の場合は、数日程度で改善することもありますが、重度の場合は、別の病気を罹患している可能性も考えられます。いずれにしても、早めの治療が必要です。

膵炎

膵炎は、食べ物を分解する役割を持つ膵酵素が膵臓の中で活性化し、膵臓が自己消化されて炎症が生じることで罹患する病気です。膵炎のおもな原因や症状、治療法は以下のとおりです。

膵炎の原因・症状・治療法

膵炎の原因
  • 高脂肪食
  • 誤食
  • 肥満
  • 高脂血症
おもな症状
  • 嘔吐や下痢
  • 食欲不振
  • 腹痛
治療法
  • 循環血液量の確保
  • 下痢止めや吐き気止め、抗炎症薬や鎮痛薬の処方

犬がお尻だけを上げた「ヨガの祈りのポーズ」をとっている場合は、強い腹痛があらわれているサインです。お腹を痛めている様子があるなら、早めに病院を受診しましょう。

膀胱炎

膀胱炎は、膀胱に炎症が起こっている状態を指します。膀胱炎のおもな原因や症状、治療法は以下のとおりです。

膀胱炎の原因・症状・治療法

膀胱炎の原因
  • 尿道からの細菌感染
  • 結石
  • ストレス
おもな症状
  • 排尿時の痛み
  • 頻尿や血尿
  • 発熱
  • 食欲不振
治療法
  • 抗菌薬の処方
  • 食事療法

膀胱炎が悪化すると、前立腺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)を引き起こす可能性があります。症状に少しでも思いあたる点がある場合は、まず病院に相談しましょう。

慢性腎臓病

慢性腎臓病は、腎臓の機能が徐々に落ちていく病気で、高齢の犬がよく罹患するといわれています。慢性腎臓病のおもな原因や症状、治療法は以下のとおりです。

慢性腎臓病の原因・症状・治療法

慢性腎臓病の原因
  • 加齢や疾患による腎臓機能の低下
おもな症状
  • 水を飲む量、尿の量が増える
  • 嘔吐
  • 脱水
  • 体重の減少
  • 口内炎
  • 食欲不振
治療法
  • 投薬治療
  • 食事療法
  • 輸液

慢性腎臓病を治療しても、基本的に腎臓機能は元に戻りません。しかし、病気の進行を遅らせることは可能です。

そのため、慢性腎臓病は早期発見をしたうえで、適切な治療を受けることが重要となります。定期的な検診を受ける、普段から体重や飲水量をこまめに確認するなど、愛犬の異変にすぐ気づけるように意識しましょう。

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犬がご飯を食べないおもな原因と対処法②好き嫌い・わがまま

犬がご飯を食べないおもな原因と対処法②好き嫌い・わがまま

犬がご飯を食べなくなったときは、シンプルに好き嫌いをしている可能性も考えられます。人間と同じように、犬も食べ物の好き嫌いがある生き物です。ご飯を変えてから急に食べなくなったり、特定の食べ物だけ食べなかったりするときは食べ物の好き嫌いを疑いましょう。

以下ではより具体的な原因、対処法を解説します。

飼い主にかまってもらうためにご飯を食べない

犬がご飯を食べない原因は、飼い主さんとのコミュニケーション不足にあるかもしれません。コミュニケーションが不足すると犬は「かまってほしい」という気持ちが高まり、飼い主さんの気を引くためご飯を食べずに遊び始める場合があります。

コミュニケーション不足に原因がある場合は、ご飯を食べるまで見守りましょう。また、「ご飯はいつでも食べられるためすぐに食べる必要はない」と判断されないよう、犬がご飯を食べなくても10分間は器を下げるようにしてください。

また、日頃から愛犬とのコミュニケーションを大切にし、寂しい思いをさせないようにすることも重要です。コミュニケーション不足に心あたりがある方は、愛犬と遊ぶ時間を増やすことを心がけましょう。

なにかしらのストレスでご飯を食べない

犬はストレスに弱い繊細な生き物です。ストレスが溜まると、ご飯を食べなくなることがあります。「キョロキョロしている」「よだれが増えた」「耳が後ろや下側に下がっている」などは、ストレスを感じているときにみられるサインです。犬は言葉の代わりに身体を使って飼い主さんにメッセージを送る場合があるため、愛犬に普段と違う様子や行動がみられるときは注意しましょう。

ストレスによる食欲不振が考えられる場合は、まず犬のストレスの原因を取り除くことが重要です。犬のストレスの原因はさまざまですが、よくある例として以下の5つがあげられます。

  • 環境の変化
  • 留守番が多くて不安
  • 退屈
  • 騒音がする
  • 運動不足

ストレスになり得る要素は早めに排除し、愛犬がリラックスしてご飯を食べられる環境を整えてあげてください。

たとえば、ブラッシングを通して愛犬の身体全体に触れるなど、コミュニケーションを取ることで、リラックスして食事をしやすくなることがあります。

おやつは食べるけどご飯は食べない

犬がおやつを食べ過ぎてお腹がいっぱいになると、ご飯を食べなくなる場合があります。また、「おやつは好んで食べるものの、メインのご飯を食べてくれない」といったケースでは、食べ物の好き嫌いをしている可能性もあります。

対処法としては、おやつを与えすぎないことが重要です。おやつをあげる量や回数を決める、あげるものを限定するなど、おやつに関するルールをしっかり決めておきましょう。

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犬がご飯を食べないおもな原因と対処法③老犬になった

犬がご飯を食べないおもな原因と対処法③老犬になった

犬がご飯を急に食べなくなった場合は、老化に原因がある可能性が考えられます。たとえば、加齢にともなう消化機能や代謝機能の低下は、食欲が減る要因のひとつです。また、味覚や嗅覚が以前に比べて衰えている場合も、食欲低下の原因となります。

このほか、加齢による筋力の低下が原因で、ご飯を食べる姿勢を維持するのがつらくなっている可能性も考えられるでしょう。以下では、老化による食欲不振にどう対処するべきか、おもな原因ごとに詳しい内容を解説します。

運動量・消化機能の低下によりご飯を食べる量が少なくなっている

犬は歳をとると運動量や消化機能が低下し、食が細くなることがあります。また、味覚や嗅覚の低下によって食の嗜好が変わり、これまで食べていたご飯を食べなくなる可能性も考えられます。

老犬がご飯を食べないときは、ご飯の内容を変えてみてください。食の嗜好が変わったことに原因がある場合は、普段と違うご飯を与えると食べてくれる可能性があります。なお、消化機能が低下した老犬は嘔吐や下痢を引き起こす場合があるため、消化吸収しやすいご飯を与えましょう。

このほか、無理のない姿勢でご飯を食べられる食器を用意してあげることも大切です。座る・首を曲げるなどの動作をせず、自然に食べられる高さの食器が良いとされています。

口の中のトラブルによってご飯が食べられなくなっている

犬がご飯を食べない場合、口に関するトラブルが生じている可能性も考えられます。

とくに犬は歯周病を罹患しやすいといわれています。犬の歯周病は、軽度のものから重度のものまで症状はさまざまです。歯茎の腫れや赤み、歯がぐらぐらするなどの症状により歯の状態が安定しなくなると、食事に支障が出ることもあります。

また、加齢にともなって噛む力が弱まったり歯が抜けたりすると、固いご飯を食べなくなる傾向にあります。

口の中のトラブルに原因がある場合は、与えるご飯を食べやすいものに変えてみましょう。たとえば、ふやかしたドライフードやドライフードよりも水分を多く含んだ半生フードに変える、ウエットフードと混ぜて食べやすいご飯を与えるなどすれば、ご飯を食べてくれるようになるかもしれません。

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愛犬の病気に備えたいならペット保険への加入を検討しよう

愛犬の病気に備えたいならペット保険への加入を検討しよう

愛犬を病院へ連れて行く機会が多いのであれば、ペット保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。ペット保険とは、ペットの医療費を補償してくれる保険のことです。ペット保険に加入すると、各保険が定める補償割合に応じた医療費の自己負担額を減らせる可能性があります。

この先も愛犬と一緒に暮らしていくうえで、病気や体調不良を理由に医療費が発生する可能性は十分考えられます。経済的な負担を少しでも減らすためにも、ペット保険の検討を検討してみましょう。

ペット保険の補償内容や金額は各保険で異なるため、愛犬の状態やご自身の経済的な負担を考えて選ぶことが大切です。気になる保険を比較し、一番適していると思えるものを選んでください。

ペット保険の適切な選び方がわからない方には、比較サイトが役立ちます。補償割合や保険料、付帯サービスなどを一覧で確認でき、愛犬に適した保険を選びやすいでしょう。

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まとめ

まとめ

犬がご飯を食べない原因は、ご飯の好き嫌い、ストレス、老化などさまざまです。

愛犬がおいしくご飯を食べるにはどうしたら良いか考え、食事を工夫して様子をみる、普段からしっかりコミュニケーションをとるなど、愛犬の身体や心の様子を確認するよう心がけましょう。

また、食欲不振は病気が原因の可能性も考えられます。食欲不振以外にも体の不調があらわれている場合は病気の可能性が高いため、早めに病院へ相談してください。

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監修者情報

丸田まるた香緒里かおり

丸田香緒里

Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2024年6月27日)
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