犬が吐く原因はストレス?嘔吐の原因の見分け方と対処法
犬が吐いてしまったときは、ストレスが原因の場合があります。この記事では、どのような事柄が犬のストレスになるのか、また、ストレス以外に考えられる嘔吐の原因を紹介します。
また、犬が吐いたときに病院に行く判断基準や、飼い主さんが取るべき行動についても説明します。ぜひ参考にしてください。
INDEX
犬が吐いてしまった...!原因はストレス?
愛犬が吐いてしまった場合、まずストレスを疑う方もいるのではないでしょうか。
犬は変化に対して敏感な動物で、身の回りのちょっとした変化や出来事に対してもストレスを感じることがあります。ストレスが強いときは自律神経のバランスを崩し、胃液の分泌量が増えて嘔吐することも少なくありません。
犬がストレスを感じやすいとされるケースについて、みていきましょう。
知らない人に会う
知らない方に会うことは、犬にとってストレスになることがあります。
たとえば、散歩の途中で知人に会って少し話しこんだ場合、初めて会う方のときは注意が必要です。できるだけ話す時間を短くし、犬がストレスを感じにくいように配慮しましょう。
初めての場所に行く
初めての場所に行くことも、犬にとってはストレス因になることがあります。
たとえば、散歩のルートを変えたり、初めてのドッグランやドッグカフェに行ったりすると、犬に強いストレスを与えることがあります。散歩のルートはなるべく固定する、ドッグランやドッグカフェもなるべく決まったところに行くようにすると、犬がストレスを感じることを減らせるかもしれません。
長時間の留守番(分離不安)をしている
家族と離れる恐怖心によりストレスを感じ、吐くことも珍しくありません。長時間の留守番やペットホテルに預けられることなどの分離不安から、ストレスを感じることがあります。
なお、犬は分離不安を感じると、吐くだけでなく遠吠えをしたり、ところかまわず排便・排尿をしたり、ものを壊したりすることもあります。
不安なく過ごせるように配慮することも大切ですが、犬に静かに過ごすことを覚えさせることも大切です。静かに待てたときはご褒美をあげるなどして、留守番ができるように教えていきましょう。
家族構成が変化した
家族構成が変わることも、犬にとってストレスになることがあります。
たとえば、赤ちゃんが生まれて家族の関心が犬に向かないようになると、さびしさや恐怖心が芽生え、ストレスで吐いてしまうかもしれません。家族に変化が生じても、犬に対しては変わらない関心と愛情を注ぎましょう。
病院の待合室に行く
動物病院が苦手な愛犬の場合、動物病院の待合室で強い不安を感じて吐くことがあるかもしれません。
予約できる動物病院なら、予約をすることで待ち時間を減らせることがあります。また、待ち時間が長そうなときは車内で待ち、できるだけ落ち着ける環境にするのもひとつの方法です。
愛犬が吐いてしまったときは、吐く前の行動や状況をよく思い出してみましょう。誤飲や食べ過ぎなどであれば、原因を特定しやすくなります。変化や食べ過ぎなど、ストレスになることが思い当たるなら、ストレス因を取り除いてしばらく様子をみてみましょう。
ストレス以外に考えられる嘔吐の原因
犬が吐く原因は、ストレス以外にも考えられます。よくある原因として、次のものがあげられます。
- 未消化
- 食べ過ぎ・誤飲
- 病気
それぞれの原因と見分け方を紹介します。
未消化
食べ過ぎたときは消化がうまくできず、消化不良で吐くことがあります。また、空腹時間が長かったときも胃酸の逆流が起こり吐くことがあります。いずれも病気ではないため、まずは様子を観察しましょう。
また、愛犬が細菌やウイルスに感染し、消化能力が落ちて消化不良になっている可能性も考えられます。感染により吐いたときは、食欲が減退して元気がなくなることもあります。気になる点がないか、観察してみてください。
食べ過ぎ・誤飲
ドッグフードの食べ過ぎや腐った食べ物を食べたとき、あるいは人間の食べ物などの犬にとって刺激の強いものを食べたときも吐くことがあります。吐いた後も元気にしている場合は、単に食べ過ぎの可能性が考えられます。
また、誤飲によって中毒が起こることもあります。以下でいくつか例を紹介します。
- ポインセチアなどの有毒植物
- 電池などの金属
- 人間の薬などの化学物質
- チョコレート、玉ねぎ、カフェインが含まれるもの
散歩に出かけるときだけでなく、家の中でも誤飲が生じないように目を配りましょう。
病気
病気が原因で、吐くことも考えられます。たとえば、温度の高いところで長時間過ごすと、体温をうまく調節できなくなり、体温が高いまま下がらなくなる「熱中症」になることがあります。
熱中症になると、嘔吐や下痢、脈拍が速くなる、呼吸が浅くなる、体温が40度を超えるなどのさまざまな症状が見受けられます。冷たい水を飲ませるなどの応急処置をした後で、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
熱中症以外にも、次の病気によって吐くこともあります。
- 消化器系の感染症
- 内臓疾患
- 脳疾患
- 胃腸病
それぞれ考えられる病気や症状についてみていきましょう。
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消化器系の感染症
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消化器が細菌(サルモネラ菌、大腸菌など)やウイルス(パルボウイルス、ジステンパーウイルスなど)に感染し、吐くことがあります。
細菌に感染したときは、吐くだけでなく下痢の症状がみられることもあります。また、ウイルス感染はワクチン接種をしていない成犬や子犬にみられる傾向があるため、ワクチン接種をおこなっていない場合は注意してください。
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内臓疾患
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肝臓や腎臓、膵臓などの内臓に、腫瘍や炎症などの病気がある可能性もあります。悪性腫瘍だけでなく、良性腫瘍であっても発生した部位や腫瘍の大きさによっては嘔吐を引き起こすことがあります。
内臓疾患による嘔吐は1週間以上続くこともあるため、早めに動物病院に連れて行きましょう。とくに、嘔吐物に血が混ざっている場合は要注意です。
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脳疾患
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脳腫瘍や前庭疾患などの脳疾患により、嘔吐が続くこともあります。脳疾患が原因のときは、吐く以外にも、ふらつきや旋回、失禁などの症状がみられることがあります。
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胃腸病
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胃拡張・胃捻転症候群や腸閉そくなどの胃腸病によって、嘔吐の症状がみられている可能性もあります。
胃捻転(胃拡張・胃捻転症候群)とは、胃がねじれることで臓器や周辺組織に血流障害が起こる病気です。大型犬によくみられる病気で、命に関わることもあるため早急に動物病院に連れて行きましょう。
そのほか、腸閉そくや胃腸に生じた腫瘍により、嘔吐が引き起こされることもあります。
犬が吐いたときに飼い主さんが実施すべき対処法
2足歩行の人間とは異なり、犬は4足歩行で、胃が地面に平行しているため吐きやすい動物です。犬が吐いたときは動物病院に連れて行く必要がありますが、その前にまずは次のような内容を確認しましょう。
- 内容物を確認する
- 元気があるか、食欲があるかを確認する
- 絶食と水分補給をおこなう
それぞれの方法を具体的にみていきます。
内容物を確認する
愛犬が吐いたときは、嘔吐物を確認しましょう。嘔吐物が黄色い液体や白いネバネバした泡の場合は胃液や腸液のため、空腹が原因と考えられます。消化されていない食べ物や草などをそのまま吐いたときも、元気であればとくに問題ない場合もあります。
一方、嘔吐物に血が混ざっているときは、食道からの出血や、細菌・ウイルス感染のおそれがあります。茶色や赤色の液体は、血の可能性があります。
また、飲み込んだ異物を吐いたときも注意が必要です。震えなどの中毒症状が生じているときは、早急に動物病院に連れて行きましょう。
嘔吐物に緑色の液体が混ざっているときや便のにおいがするときは、腸閉そくの可能性があります。この場合も、早急に動物病院に連れて行くことが必要です。
元気があるか、食欲があるかを確認する
ドッグフードを吐いた場合でも、元気であればまずはそのまま様子を観察しましょう。単に食べ過ぎの可能性もあるため、様子を観察しつつ、落ち着いたら動物病院に連れて行きましょう。
絶食と水分補給をおこなう
嘔吐が続いたときは、半日ほど食事を与えないで過ごしてみてください。また、脱水症状にならないか心配になりますが、吐いたときにすぐに水分を与えるとさらに吐く可能性があるため、症状が落ち着いてから少量ずつ水を舐めさせ、症状が落ち着いた後は動物病院に連れて行きましょう。
愛犬を病院に連れて行くべき嘔吐の症状
次の症状がみられているときは、動物病院に連れて行く方が良いと考えられます。
- 何度も吐く、痰を吐く
- 水を飲むと吐く
- 元気がない
- 下痢をしている
- 吐こうとしているのに吐き出せない
それぞれの症状がみられるときに考えられる嘔吐の原因を紹介します。
何度も吐く、痰を吐く
何度も吐くときは、異物を誤飲した可能性があります。また、腎臓や胃腸などの臓器の病気、感染症、アレルギーも考えられます。いずれも命に関わる可能性があるため、早めに動物病院に連れて行きましょう。
痰を吐くときは、気管支の炎症が考えられます。痰が出なくても痰を吐くような仕草をするときは、気管がつぶれる気管虚脱の可能性もあります。
水を飲むと吐く
嘔吐を繰り返すと脱水症状になるため、水分補給が必要です。吐き気が治まったことを確認してから、常温の水を少しずつ舐めさせましょう。そのまま水を与えるのではなく、フードをふやかして水分を補給する方法もあります。
しかし、水を飲んでも吐く場合は重症の可能性があるため、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
元気がない
吐いたことで疲れている可能性もあるため、吐いた後に少し待ってから元気があるかを観察してください。明らかにぐったりと元気がないときは、動物病院で診てもらいましょう。
下痢をしている
吐くだけでなく、下痢や激しい腹痛がみられる場合も、動物病院に連れて行きましょう。最初は症状が軽くても、時間の経過と共に重症化したり、難治性の下痢になってしまったりすることがあります。また、下痢症状が短時間で悪化する場合もあるため注意が必要です。
吐こうとしているのに吐き出せない
吐こうとしているのに吐き出せない、お腹がふくらんでいる、苦しそうといった症状の場合も、動物病院に連れて行きましょう。この場合は、胃拡張・胃捻転症候群が疑われます。命に関わる病気のため、躊躇(ちゅうちょ)せずに動物病院で診察を受けましょう。
愛犬の病気に備えてペット保険への加入も検討しよう
愛犬が吐くときは、慣れない場所に行ったり、長時間留守番をしたりといったストレスが生じている可能性が考えられます。思い当たるストレス因があるなら、すぐに取り除いてあげましょう。
また、ストレスではなく病気が原因で吐くこともあります。病気によっては治療が長引いたり、手術が必要になったりすることもあるでしょう。ペット保険に加入し、万が一のときに備えてみてはいかがでしょうか。
ペット保険を選ぶときは、保険料や補償内容、使いやすさなどを比較することが大切です。ぜひ愛犬に合った保険をみつけてみてください。
まとめ
犬は、繊細でストレスを感じやすい動物です。環境が少し変化しただけでもストレスを感じて吐いてしまうことがあります。ストレス因が思い当たるときは、早めに取り除いてあげましょう。
また、ストレスだけではなく、病気が原因で吐くこともあります。紹介した情報を参考に、愛犬の様子をしっかりと観察して、必要に応じて早めに病院に連れて行くことが大切です。
ペット保険で万が一に備えることも、大切なポイントです。愛犬の健康状態や罹患しやすい病気を把握し、適切な補償を得られるペット保険を選びましょう。複数のペット保険を比較すると、ご自身とペットにあった保険をみつけやすくなりますのでペット保険の比較サイトなどを活用するとよいでしょう。
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監修者情報
丸田香緒里
Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年7月30日)
2024253-2406