フェレットの種類は?エサは何を食べるの?性格や飼い方なども解説
かわいらしい丸顔とスリムな体つきが魅力のフェレットは、あまり鳴いたり吠えたりせず静かで室内でも飼育しやすいため、ペットとしても人気です。
フェレットには、多くの種類があり、種類ごとに性格や飼育の仕方が異なります。この記事では、種類別の性格やエサ、飼い方、生態についてまとめました。また、フェレットが罹患しやすい病気や治療費の目安についても紹介するため、フェレットに興味がある方や飼ってみたい方はぜひご覧ください。
フェレットってどんな動物?
フェレット(学名:Mustela putorius furo)は食肉目イタチ科の動物です。現在、野生のフェレットは存在しないといわれています。
また、フェレットが人に飼育されるようになったのは2,000年以上前とされています。もともとはウサギの狩りやねずみ駆除などを目的に飼育されていましたが、現在ではペットとして飼育されることが多いです。
フェレットの種類・性格
フェレットは、全般的に好奇心旺盛で探検好きの性格です。個体差はありますが、人になつきやすく、人と一緒に遊ぶのが大好きな動物といわれています。普段は吠えたり鳴いたりしないため、室内で飼育しやすいのもフェレットの特徴です。
また、フェレットは基本的に自分だけで過ごし、ひとりで留守番をしていてもストレスになりにくい傾向があります。寝ている時間も長いため、日中に家を空けることが多い方でも飼いやすい動物です。
フェレットは、種類によって性格に少しずつ違いがありますが、ここからは、種類ごとの特徴を見た目や性格から解説します。なお、フェレットには出身ファーム(フェレットが生まれた繁殖場のこと)や毛の色、柄、毛足の長さなどによってさまざまな通称があります。たとえば、赤っぽい色のフェレットを「シナモン」、キャラメルカラーを「バタースコッチ」と呼ぶなど、一般的な種類の名前ではなく通称で紹介されることもあります。
マーシャルフェレット
マーシャルフェレットは、日本で飼われているフェレットのなかでも、もっとも多いといわれる種類です。アメリカのマーシャルファームで育ち、日本に輸入されています。耳には入れ墨、体にはマイクロチップが入っています。
マーシャルフェレットは、おとなしく温厚な性格が特徴です。噛み癖も少ないため、初心者が飼いやすいフェレットとされています。しかし、個体差があるため、しっかりとしつけておくことが必要です。
オスは1.8㎏程度まで大きくなることがありますが、メスは1.0㎏ほどと小柄です。また、全般的に細身の傾向にあります。
アンゴラフェレット
アンゴラフェレットはデンマーク生まれの種類です。筋肉質で、鼻の形が特徴的といわれています。なかには鼻毛が生えている個体も多く存在します。
また、フェレットの毛は短く柔らかいアンダーコートと呼ばれる毛と、長く固めのオーバーコート(トップコート)と呼ばれる毛で構成されていますが、アンゴラフェレットは5cm~10cmの長めのアンダーコートだけで構成されている点が特徴です。
アンゴラフェレットは、噛み癖があり、フェレットのなかでは気性が荒い傾向にあるため、初心者に飼育は難しいといわれています。また、体格が大きく育つこともあるため、大きめのケージの用意が必要です。
カナディアンフェレット
丸顔が愛らしいカナディアンフェレットは、カナダ・バンクーバーで生まれた種類です。耳に黒い入れ墨があるのが特徴です。ちなみに、オスは2kg程度まで大きくなることがあり、メスは1kg程度まで成長することがあります。また、やんちゃでかみ癖が強い傾向にあるため、きちんとしつけをすることが必要です。
パスバレーフェレット
丸い顔が特徴のパスバレーフェレットはカラーバリエーションが豊富で、フェレットのなかでも人気の種類です。しっかりとした体つきのため比較的丈夫で、長生きする傾向にあり、病気に罹患しにくいといわれています。
ベビー期には噛み癖が目立ち、遊び好きでやんちゃですが、基本は比較的おとなしく、初心者でも飼いやすい種類です。しっかりと遊んであげるのはもちろんのこと、噛み癖を直すようにしつけることも大切です。また、オスは2kg程度まで、メスは1.2㎏ほどにまで成長することがあります。
ニュージーランドフェレット
ニュージーランド生まれのニュージーランドフェレットは、フェレットの中では大柄な方で、2kg程度まで育つことがあります。カナディアンフェレットやパスバレーフェレットと同様に、ニュージーランドフェレットも可愛いらしい丸い顔をしています。
ニュージーランドフェレットは目の周りがパンダのように黒いところが特徴です。ただし、性格は少し狂暴で噛み癖が強いため、フェレット初心者にはあまりおすすめしません。
フェレットの基本情報
フェレットは全般的におとなしくて飼いやすいといわれていますが、フェレットならではの生態や罹患しやすい病気もあるため、飼う前にフェレットについて詳しく知ることが大切です。
【知っておきたいフェレットの基本情報】
- 生態
- サイズ
- エサ
- 寿命
- 罹患しやすい病気
- 値段
以下で、フェレットを飼う前に知っておきたい生態やサイズ、エサ、寿命、罹患しやすい病気、治療費をまとめました。これからフェレットを飼おうと思っている方やフェレットに興味のある方はぜひ、参考にしてみてください。
フェレットの生態
フェレットは、1日の大半を寝て過ごします。なかには飼い主さんの生活とあわせるために飼い主さんが不在のときは寝て過ごすフェレットもいます。基本的には、夜行性だと考えておきましょう。
また、フェレットは好奇心旺盛な性格で、誤飲が多いのも特徴です。フェレットの行動範囲には、小さなものを置かないように注意してください。
フェレットのサイズ
フェレットは胴体が長く脚が短い点が特徴で、流線型のフォルムは小さな穴に潜り込むのに適しています。また、脊椎の可動域が広いため、体が柔らかいところも特徴です。
体格は種類によっても異なりますが、オスで50cm、メスで40cm程度にまで成長することがあります。また、体重はオスが1~3㎏、メスは0.6~1㎏が平均とされていて、一般的に細身の体格です。
フェレットのエサ
フェレットは完全肉食の動物ですが、ペットとして飼う場合はドライタイプのフェレット用のフードを与えましょう。フェレット用のフードは高脂肪・高たんぱく質で、炭水化物と食物繊維が少なめになるように調整されています。
また、生後3ヵ月頃までは、フェレット用のフードが上手に消化できないことがあります。フェレット用のフードを水やぬるま湯で軟らかくしてから、1日に3~4回に分けて与えてください。
生後3ヵ月を過ぎるころからは、フェレット用のフードをそのまま食べられるようになりますが、いきなり切り替えるのではなく、少し水分を加えて、硬さを調整してから与えましょう。
フェレットは食べものの消化時間が短く、ため食いができないので1日に複数回に分けてエサを食べます。たとえば成体のフェレットの場合、1日に5~6回ほどエサを食べます。いつでも食べられるように、エサ入れの中に常にフェレット用のフードが入っている状態を維持しましょう。
フェレット用のフード以外におやつをあげることもあります。しかし、高脂肪のおやつを与え過ぎてしまうと、肥満になるため注意が必要です。次のものを参考に、少量のみ与えるようにしてください。
フェレットのおやつとして与えてよいもの・いけないもの
与えて良いもの | 与えてはいけないもの |
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フェレットの寿命
10年以上生きるフェレットもいますが、寿命は6~10年位です。フェレットは人間に比べると成長速度が速く、すぐ高齢期に突入します。高齢期のフェレットは生存期間が短い傾向にあるため、結果として寿命を迎えるのが早くなります。
フェレットが健康で長生きするためには、快適な生活環境を整えてあげることと、病気を早期発見・早期治療することが重要になります。大切にお世話をするのは当然のことなので、異常が見られるときは早めに病院に連れていきましょう。なお、フェレットの年齢換算表は次のとおりです。
フェレットと人間の年齢換算表
フェレットの月齢 | 人間に換算した年齢の目安 |
---|---|
1ヵ月 | 3歳 |
1年 | 26歳 |
2年 | 36歳 |
3年 | 46歳 |
4年 | 56歳 |
5年 | 66歳 |
フェレットが罹患しやすい病気
フェレットが罹患しやすい病気と症状を下表にまとめました。
フェレットが罹患しやすい病気
病気名 | おもな原因 | おもな症状 | 治療法 |
---|---|---|---|
インスリノーマ | 膵臓の腫瘍からインスリンが過剰分泌される病気の一種 | ぐったりする、後肢がふらつくといった低血糖症状を引き起こすこともある。口の周りを前肢で引っかくなどの症状が見られることがある | 内服薬、食餌療法、手術 |
フィラリア症 | 蚊によって感染し、心臓にフィラリアが寄生することで引き起こされる病気 | 元気がなくなる、食欲がなくなる、咳が出る、呼吸困難になるなどの症状が見られることがある | 駆虫薬での治療が一般的だが、駆虫薬により極度の炎症が起こることもあるため、予防が大切 |
副腎腫瘍 | 副腎が腫瘍化、もしくは肥大化する病気 | 脱毛が見られることがある。メスは外陰部、去勢手術が済んだオスは前立腺に疾患が生じることもある | 内服薬、注射による治療、副腎切除手術 |
リンパ腫 | 環境や遺伝的な関与が要因とされる病気 | リンパ節の腫れ、体重の減少、食欲の低下、呼吸困難、慢性の下痢、後ろ足の力がなくなる | 投薬、脾臓が腫れている場合は摘出 |
どの病気も、原因や症状はさまざまです。日頃から定期的に通院して、健康状態をチェックしてもらいましょう。
フェレットの治療費
治療費は、病院や治療法によってさまざまです。目安を紹介するため、ぜひ参考にしてください。
【フェレットの治療費の目安】
- 初診料:1,100円~2,400円
- 入院費:3,000円~9,000円/日
- フェレット2種ワクチン:3,000円~5,000円
- フィラリア予防:500円~2,000円
フェレットの値段
種類によって価格が異なることもありますが、フェレットは4万円~15万円程度で販売されていることが多いです。
フェレットの値段はほかの小動物と比べて高めに設定されていますが、それは避妊・去勢手術が済んでいることが多いためです。しかし、避妊・去勢手術が済んでいないこともあるため、飼うときに販売店に確認しましょう。
フェレットの飼い方
フェレットにとって、快適な環境で生活することは長生きにつながる可能性があります。フェレットを飼ううえで知っておきたいことや準備したいことをまとめました。ぜひ参考にして、適切な環境を整えましょう。
飼育グッズを揃える
フェレットを飼育するためには、次のグッズを揃えておきましょう。
【フェレットに必要な飼育グッズ】
- ケージ
- 運動用のトンネル・遊び道具
- 寝床
- 給水ボトルと食事のボウル
- トイレ(リターボックス)
- トイレを清潔に保つための掃除用品
以下で詳しく説明します。
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ケージ
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種類によっては大きく成長することもあるため、余裕のある大きさのケージを準備してください。水槽タイプのケージは湿気がこもるため、ワイヤーケージがおすすめです。ケージ内で遊ぶため、70cm×50cm程度の広さがあると良いでしょう。高さは45cmほどあると遊びやすいです。
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運動用のトンネル・遊び道具
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ケージの中にいると運動不足になってしまいます。そのため、運動用のトンネルや遊び道具も準備しておきましょう。なお、運動不足解消のために外でお散歩することは可能ですが、フェレットは定着予防外来種(定着を予防する外来種)であるため、逃げないように注意する必要があります。
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寝床
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フェレットはやわらかい感触を好むため、寝床はハンモックやタオルなどのやわらかいものにしてください。ただし、寝床の内部に布を敷くのはおすすめできません。誤って食べてしまったり喉に詰まったりすることもあるため、寝床には何も敷かないでおきましょう。
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給水ボトルと食事のボウル
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ケージの中には飲み水と食事のボウルを入れ、いつでも食事ができるようにしておくことも大切です。ただし、誤ってこぼしてしまうこともあるため、飲み水は給水ボトルに入れておくほうが良いでしょう。また、食事のボウルはひっくり返さないように、ステンレスや陶器などのある程度重さがあるものがおすすめです。
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トイレ(リターボックス)
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トイレはケージの隅に設置し、清潔に保つようにしてください。フェレットは後ずさりをして排便するため、前方が低くなった形状のトイレが適しています。トイレを覚えさせることは可能なため、いつでも同じ場所で排便するようにしつけましょう。
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トイレを清潔に保つための掃除用品
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猫用のトイレ砂やペットシーツを入れるとにおいをある程度は防げます。清潔さを保つために、専用のスコップを使って便をするたびに捨てるようにしてください。また、トイレがずれるときは、クリップを使ってしっかりとケージに留めておきましょう。
飼育環境を整える
フェレットは、室温15~24℃、湿度45~55%の環境が適切とされています。汗腺が未発達で30℃以上になると熱中症になることもあるため、家を空けるときも温度調整をきちんとおこなうようにしてください。フェレットは暑さに弱い生きもののため、直射日光があたらない風通しの良い場所にケージを置きましょう。
また、フェレットは多頭飼いが可能な動物です。しかし、稀に攻撃的なフェレットもいるため、飼い始めはしっかりと観察し、相性を見極めましょう。
しっかりとケアをする
低刺激のフェレット用シャンプーを使用して、清潔さを保ちましょう。なお、シャンプーはフェレット専用のものでなくても問題はありませんが、低刺激で、洗浄力が強くないものを選ぶようにしてください。
フェレットには特有のにおいがあり、においの原因は、体全身に分布する皮脂線です。しかし、頻繁にシャンプーをするのはおすすめしません。かえって分泌される皮脂量が増えてしまい、においが強まることがあるためです。
また、2週間に1回はシャンプーや爪切り、耳掃除をすることも大切です。においが気にならないときはシャンプーは月1回程度が良いでしょう。フェレットの換毛期は春と秋の年に2回あります。フェレットは自分で毛づくろいをしますが、飲み込んだ毛をうまく吐き出せないため、普段よりも多めにブラッシングをしてあげてください。
歯磨きは週に1回でも問題ありませんが、歯茎から出血しなければ毎日でも磨くようにしてください。フェレットが歯磨きを嫌がる場合は、歯磨きシートを活用してみましょう。
スキンシップを取る
フェレットは遊ぶことや抱っこが好きな動物です。ペットショップで売られているおもちゃで遊んであげたり、毎日ブラッシングや抱っこなどのスキンシップを取ったりするようにしましょう。ただし、ゴム製やシリコン製、発泡スチロール製のおもちゃは、かじったり誤飲したりする可能性があるため使わないでください。
ただし、臆病で警戒心が強いため、慣れるまでは無理にスキンシップを取らないことが大切です。時間をかけて信頼関係を築いた後で、スキンシップを取るようにしてください。
フェレットを飼う際はペット保険への加入を検討しよう
フェレットの寿命は環境、ブラッシングや歯磨きといったケアによっても変わる可能性があります。健康で長生きするためにも、必要に応じて動物病院に連れていくようにしましょう。
前述のように、フェレットにはインスリノーマやフィラリア症、副腎腫瘍、リンパ腫などの罹患しやすい病気がありますが、ペットには人間のような医療保険制度がなく、病気やケガをしたときの治療費は全額自己負担となります。しかしペット保険に加入していると治療費が高額になるときも負担を軽減できるため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、フェレットを対象としたペット保険は、猫や犬を対象とした保険と比べると数が限られています。ペット保険に加入するときは、フェレットを対象としているのか確認し、その後で補償内容や保険料を比較してみてください。
数あるペット保険の中からどれを選べば良いのかわからないときは、比較サイトを利用するのもおすすめです。「ペット保険の比較」では、簡単に複数のペット保険の補償内容や保険料を比較できるため、ぜひご活用ください。
まとめ
フェレットは大切な家族です。健康で長生きするためにも、フェレットの生態を知り、フェレットにとって暮らしやすい環境を準備し、しっかりとお世話をしてあげましょう。
ペット保険に加入することも、フェレットが長く健康で暮らすために必要なことのひとつです。また、いざというときにすぐに動物病院に連れて行けるよう、お住いの近くでフェレットを対象としている動物病院を探しておきましょう。
フェレットは罹患しやすい病気がいくつかあるため、ペット保険に加入すると治療費の負担を軽減できることがあります。フェレットを対象とした保険を見つけ、万が一に備えるようにしてください。また、病院で定期的に健診を受けると早めに病気を見つけることができて、すぐに治療を開始できることがあります。ぜひフェレットを飼育するときは、病院とペット保険についても考えてみてください。
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監修者情報
丸田香緒里
Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年7月30日)
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