愛犬が骨折しているかも?見分け方や治療方法、費用について解説

愛犬が骨折しているかも?見分け方や治療方法、費用について解説
公開日:2023年3月16日

愛犬が足をかばうような歩き方をしていたり、触られるのを嫌がったりするなら「骨折」を疑う必要があるかもしれません。骨折は外見からは判断できないケースもあるため、不自然な動きがあれば注意する必要があります。
この記事では、犬が骨折する原因と見分け方、治療方法や治療期間、いくらくらい費用がかかるかについても解説します。犬の骨折について事前に知識をもっていれば、いざ愛犬が骨折してしまった際にも慌てることなく対処できます。大切な愛犬が元気に過ごせるようぜひ参考にしてください。

犬が骨折する原因と見分け方は?

「犬の骨折」と聞くと、高所からの転落や交通事故などを思い浮かべる方がいるかもしれません。しかし、実は日常生活でもふだんから気をつけておかないと骨折してしまう場面があります。

犬が骨折する原因

たとえば、ソファや椅子の上からジャンプして落ちたり、フローリングですべって転んだりしただけでも、骨折してしまう場合があります。ほかにも「階段からの転落」「ドアに挟まれた」「抱っこ中に誤って落とす」といったことも骨折につながります。

犬の骨折の見分け方は?

そもそも、落下時は足からの着地が多いため、犬の前肢(前足)は骨折しやすい箇所です。ふだんの様子と異なり、不自然な動きがある場合には注意しましょう。

足を骨折した犬は、折れた足をかばうように上げたまま歩いたり、足を引きずったり......、といった動きを見せることがあります。足以外の箇所の骨折のときには、触ると嫌がったり痛がったりする反応を見せたり、抱こうとすると怒ることもあるでしょう。また、骨折した箇所を気にして、しきりに舐める様子を見せることもあります。このような様子が見られれば、患部の添え木をあてるなど応急処置をしたうえで、動物病院を受診する必要があります。

骨折に早く気づくことができれば早期に治療もできるため、回復が早まる可能性もあります。ふだんから愛犬の様子を観察し、触れあって様子をみておくことが大切です。

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犬が骨折した場合の治療方法は?

犬が骨折した場合の治療方法は?

犬が骨折した場合の治療方法には、「手術をする場合」「手術をしない場合」があり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。最適な治療方法は骨折箇所や犬の年齢・状態によって異なりますので、獣医師の判断を仰ぎながら、治療方法を理解して選択することが大切です。
具体的には、おもに以下の方法があります。

代表的な骨折の治療方法

治療の種類 治療方法の特徴
ギプス固定
  • 折れた箇所をギプスで固定する治療
  • 手術できない骨折箇所や、手術日までの処置として使うこともある
  • 軽度の骨折ならギプス固定だけで治せる場合もあり、犬の負担も軽い
  • 完全に元の形には戻らない
プレート固定
  • 手術により折れた骨を金属プレートとネジで固定し、元の形状に戻す治療
  • 完治してからプレートを取り出す再手術が不要な素材でできたものもある
  • しっかり固定できるため、手術後、動けるようになるのが早い
  • 手術が必要なため、犬に負担がかかる
創外固定
  • 皮膚のうえからピンによって骨を固定する治療
  • 切開しないため犬への負担を抑えられる
  • 折れた箇所全体に新しい骨が作られ、早く・強く骨折を治せる
  • 固定している間はピンが露出してしまう
  • しっかり取り付けるには、高い技術が必要
髄内ピン
  • 骨内の空洞部分(骨髄)にピンを通して固定する治療
  • 切開する場合としない場合があり、切開せずに済めば手術も早く済む
  • 固定強度は弱いためギプスと併用することが多い

「プレート固定法」の例

手術前
手術前
手術後
手術後
嘉本 浩之

獣医師"嘉本先生"
アドバイス

骨折の場合、必要に応じて速やかに手術がおこなわれます。犬同士のケンカによる骨折や複雑骨折(折れた骨が皮膚の外に出ている状態)は、細菌感染に注意しながら進められ、交通事故による骨折は全身の状態をみながら慎重に治療が進められます。

骨折の治療の目的は、骨折した骨を元の位置に戻し、安定化させ機能を回復させることです。治療法には、金属製のプレート(板)、スクリュー(ねじ)、ワイヤー(鋼線)、ピンなどで骨折部を固定する内固定法や、皮膚の外側から器具で固定する創外固定法などがあります。また、四肢の骨折に対しては、ギブス固定をおこなう場合もあります。

退院後は、定期的にレントゲンを撮影し、骨の癒合(ゆごう)や固定器具のずれや皮膚の状態を確認していくこととなります。

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犬が骨折した場合の治療期間と費用は?

愛犬が骨折した場合、治療期間はどのくらいかかるのかという点についても飼い主としては気になるところでしょう。また、骨折箇所や治療方法によってどのくらいの治療期間の差があるのでしょうか?以下で治療期間や治療による費用、リハビリの必要なケースなどについてみていきましょう。

骨折が治るまでの期間は早くて約2週間、数ヵ月かかる場合も

自己治癒能力によって骨折箇所の修復が促されるのは、骨折してから2週間ほどの期間です。軽度の骨折であれば、治療することでこの期間内に治る可能性もあるでしょう。

しかし、手術をともなう治療が必要な場合は、入院や術後の経過を見るための通院に時間がかかり、2~3ヵ月の時間を要するケースも珍しくありません。また、犬も老化によって骨がもろくなり、回復力は衰えます。老犬の骨折は治りも遅く、完治までに半年かかる場合もあるでしょう。

治療期間が長引けば、動物病院で支払う費用が増えるほか、通院回数が増えることによって愛犬をケアする時間も必要になります。仕事やプライベートの時間が削られてしまうなど飼い主の負担も大きくなります。

犬の骨折の治療後はリハビリが必要な場合も

骨折箇所によっては、術後の経過を見ながらリハビリが必要な場合もあります。たとえば足の骨折であれば、術後1~2週間あたりをめどに着地訓練をはじめ、ギプスが取れた頃には固定していた関節のストレッチをするなど、様子を見ながら段階的におこないます。また、骨折を治すためには、固定するだけではなく折れた部分に新しい骨が生成された後に元の形状に癒合(ゆごう)しないといけません。

さらに、折れた箇所がくっつくよう、新しい骨の生成には物理的な刺激も欠かせません。小型犬は術後の骨折箇所に負荷をかけるのをためらうケースが多く見られます。そのため、適度な刺激を与えて癒合(ゆごう)を促すよう、積極的なリハビリを必要とする場合もあるでしょう。

骨折での治療費は20万円以上かかることが多い

犬が骨折した場合、治療法によっても費用が異なりますが、一般的に20万円以上かかるケースが多いと考えておきましょう。

ギプス固定の処置だけであれば費用は数万円ですが、レントゲン撮影や、経過を見るための通院費用も必要となります。手術をおこなう場合は、さらに麻酔や入院費用など加算されます。場合によっては、30万円以上かかることもあるでしょう。

このように、治療費の意外と高額になるものです。もしものときに治療費負担で困ることがないよう準備しておくとよいでしょう。

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愛犬の骨折に備えにペット保険への加入がおすすめ

愛犬の骨折に備えにペット保険への加入がおすすめ

若くて元気な犬であれば病気の心配も少なく、ケガをしてもすぐに治るのでは......、と考える方もいるかもしれません。そのため「ペットにも保険は必要なの?」と、ペット保険への加入について悩むこともあるでしょう。しかし、犬が骨折する危険は特別な状況だけとは限りません。日常生活にも危険は潜んでいるため注意が必要なのです。

嘉本 浩之

獣医師"嘉本先生"
アドバイス

骨折は、成長期の小型犬の四肢に起きるケースが多いのですが、とくに人間の不注意による骨折が多いようです。たとえば、高所や抱っこからの落下(とくに小学生以下の子どもの抱っこからの落下が多い)などがあげられます。また、愛犬を誤って踏んでしまったり、ドアやケージで挟んでしまったりする事象もあります。成長途中の子犬は骨も発達段階で柔らかく成犬よりも骨折リスクが高い点も骨折しやすい理由といえます。

骨折にともなって手術が必要になった場合、数万円から数十万円の費用が発生するため、あらかじめ保険に加入しておくと安心できるでしょう。

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まとめ

愛犬が骨折する危険性は、日常生活にも多くあります。たとえ過ごしなれた自宅であっても、ソファや椅子の上からのジャンプで骨折したり、フローリングで滑って転ぶことで骨折したりとさまざまです。

骨折した犬は折れた足をかばうような動きを見せ、足を上げたまま歩いたり、引きずったりすることがあります。また、触ると痛がる、抱き上げようとすると怒る、折れているところを気にしてよく舐めるといったしぐさがみられることも。このような様子が見られた場合には骨折を疑う必要があるかもしれません。

骨折の場合、動物病院での早めの治療が重要です。骨折の治療方法には、ギプス固定・プレート固定・創外固定・髄内ピンといったものがあります。軽い骨折であれば2週間程度で治るケースもありますが、入院や手術を必要とし、経過を見るための通院で完治まで2~3ヵ月かかる場合も珍しくありません。治療には20万円以上かかるケースも多いため、早いうちからペット保険に加入し、高額な治療費負担に備えておくのもよいでしょう。

ペット保険の選び方がよくわからないという場合には、各保険会社のウェブサイトや比較サイトを利用すれば、補償内容や保険料、対応しているサービスなどを確認することができます。とくに比較サイトを活用すると、複数のペット保険の情報を一覧で比べることができるので、自分のペットにあった保険を選びやすいでしょう。

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監修者情報

獣医師嘉本よしもと浩之ひろゆき

嘉本 浩之

さいたま動物病院の院長。麻布大学卒業後、獣医師免許を取得。ペッツネクスト株式会社代表取締役ほか、獣医神経病学会、日本獣医皮膚科学会など複数の学会に所属。メディアにも多数出演。

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2023年3月16日)
2302091-2402