フレンチブルドッグの特徴とは?気をつけるべき病気についても解説
独特な顔つき、丸っこい体、それでいて活発で人懐っこい性格。フレンチブルドッグの魅力を語り始めるとキリがなく、唯一無二の魅力のあるこの犬種に心を奪われてしまう人は後を絶ちません。しかし、その独特の見た目を背景に問題を抱えている場合もあるので、今回はフレンチブルドックの魅力と気をつける点について知っていきましょう!
フレンチブルドッグの特徴
フレンチブルドッグの特徴は、何といっても短頭種の中でもペチャットした平らな顔、顔に対して大きな耳、そして筋肉質でギュッと詰まった丸っこい体型。活発で明るく人に対して陽気に甘える愛すべき性格を持つ子が多いです。
「フレンチブルドッグ」という名前の通りフランスで作り出された犬種で、ミニチュア・ブルドッグとパグやテリアとの交配によって生み出されたといわれています。
性格と気質
人間が大好きで友好的、基本的に温和で優しく、社交的でほかの犬とも仲良くすることができ、活発で遊び好き、家族に対する忠誠心も高く、甘えん坊な子が多いです。
時々頑固な一面が問題になることがありますが、きちんとした訓練、しつけによって家庭犬としてとても飼いやすい子になることが多い犬種といえます。
フレンチブルドッグの飼育に必要なこと
フレンチブルドッグは、実は繊細な犬種です。詳しくは後述しますが、とくに皮膚と呼吸器、運動器が弱い子が多いです。
生活環境はできる限り清潔に保ち、皮膚や呼吸器に悪さをするようなちりやほこり、布などに住むイエダニなどには気をつけなければいけません。
また、暑さに非常に弱いために人間が涼しいと思うくらいの温度管理でいたほうが快適に過ごせると思います。
顔がぺちゃっとして扁平であることはフレンチブルドッグの最大のチャームポイントですが、そのせいで呼吸器に無理が起きています。鼻や喉の構造がぎゅーっと詰まっているために、短頭種特有の問題を抱えている子が非常に多いです。顔の皺もまた隠れた病巣を作りやすいので、定期的なケアも大事です。
そういった呼吸器のリスクは、肥満によって跳ね上がります。一般的なイメージが丸っこい体型のフレンチブルドッグですが、ウエストがなくなってしまうような樽のような体型は太り過ぎです。
呼吸器が脂肪によって狭くなり、運動負荷が増えて、体力が低下します。肥満はフレンチブルドッグの天敵なので飼い主様による食事のコントロールはしっかりとおこなっていきましょう。バランスの取れた適切な量の食事が大事です。
骨や関節の問題や、脊椎部位に先天的な異常を抱えることも多いために、肥満は関節系の問題にも悪影響を与えます。適切な運動量も必要ですが、あまり過度な運動は呼吸器の関連から負担になるので、きちんとその子にあった適切な運動を定期的に生活に取り入れる必要があります。
フレンチブルドッグが注意するべき病気
熱中症
フレンチブルドッグは非常に暑さに弱いです。真夏はもちろんのこと、その呼吸様式から、過ごしやすいと感じるくらいの暖かさでも、直射日光があたっていたり、運動に夢中になりすぎて体内に過度な熱がこもったりしてしまうと、うまくその熱が排出できずに熱中症になってしまうこともあります。
犬の温度調節は基本的に呼吸による熱交換によっておこなわれますが、気道が狭いために、うまく熱を排出できなかったり、呼吸数が多くなったりしがちなために、そこで運動エネルギーによる体温上昇がさらに進むという負のサイクルができてしまい、熱中症になっていきます。
フレンチブルドッグの熱中症への対策としては、暑い場所には行かない、過度な運動をさせないなどがあげられますが、万一、体が熱くなっていたりする場合は流水などで体温を下げる努力をしながら動物病院を受診しましょう。
一度ゆで卵になってしまうと生卵には戻せないように、熱中症による熱のダメージがあるラインを超えてしまえば、どんな治療をしても助けることはできません。
体温を下げても、その後に多臓器不全で亡くなることも珍しくないので、「熱中症に絶対にさせない」と、気をつけすぎるくらい気をつけてください。
皮膚病
フレンチブルドックはアレルギーを筆頭に、非常に皮膚に問題を持つ子が多いです。顔周りのシワ、指の間、そして体幹。いろいろな場所に病変を作ります。
アレルギーを持っている子もとても多く、食事に気をつけなければいけなかったり、環境を徹底して清潔にしたり、場合によっては投薬やシャンプーなどの外用治療などを生涯に渡って必要とする子が多くいます。
悪化してから治すには多くの時間と強い治療が必要になるので、異常を感じたら、できる限り早く動物病院を受診して適切な治療と管理方法を知りましょう。定期的なシャンプーによる皮膚の清潔を保つケアは非常に有益です。
ただ、皮膚が弱いためにシャンプー剤やシャンプーの方法なども気をつけなければいけないことも少なくありません。一度動物病院やトリミングショップなどに相談することをおすすめします。
呼吸器疾患
フレンチブルドックは顔周りがギュッと凝縮しているために、空気の通り道に問題を持つ子が多いです。
短頭種症候群と呼ばれるケースが多く、とくに鼻腔狭窄、鼻の穴がとても狭いために呼吸が口呼吸になってしまうことと、軟口蓋下垂(なんこうがいかすい)といって、喉の奥の柔らかい部分が下に垂れ下がって、喉や咽頭部分に覆いかぶさり、吸気、息を吸うときに気道を塞いで呼吸をしづらくさせる状態の子が多いです。
ほかにも咽喉後頭部、喉の気道周りのあたりに異常を持つ子がいます。
これらは場合によっては手術などによって対応しなければいけないことも多く、できる限り若いうちに対応したほうがいいために、避妊手術や去勢手術の際に同時に処置をすることもあります。
動物病院で若い頃からしっかりと診察を受けて、その子に適した方法を獣医師と話し合っていきましょう。そして、喉の作りが狭いために、誤嚥性肺炎や、肺炎なども起こりやすく、呼吸器の問題がクリティカルなことになることが少なくないので、呼吸の異常はできる限り早く受診しましょう。
神経・関節疾患
フレンチブルドックは脊椎分離症などをはじめとする先天的な骨関節異常を持つ子がいます。
太っている子はいろんな神経関節疾患のリスクがより高くなってしまうので、肥満はリスクとなってしまいます。
神経関節疾患は「何かをすれば全部解決!」というような方法が乏しく、一生涯に渡ってお付き合いをしていく必要が出てくることもあります。ひどい状態になってから治療しても、痛みが残ってつらい日々になってしまう可能性があるために、様子がおかしかったらできる限り早く検査や治療をおこなって早期発見、早期治療することが大事になります。
海外では「フレンチブルドッグを飼育することは、高級なスポーツカーを所有するようなものだ」といわれたりします。魅力的ではあるが、その飼育に大変な手間とお金がかかることを表している言葉です。
こういった問題が多い背景には、全体的に血統が狭いことがあげられています。近い血統が狭い中で繁殖しているせいで、同じような問題をずっと引きずってみんなに持たせてしまっていることが危惧されています。
簡単に解決する問題ではありませんが、出産は必ず帝王切開をしなければいけなかったり、人間の手によって作られ野生では生きていけない犬種だったりするために、これ以上増やすことを生命倫理的に疑問視する意見も存在しています。飼育する場合には、人間による手厚い加護が必要な犬種であることは知っておいてください。
まとめ
フレンチブルドッグは愛らしく、室内でも飼いやすい犬種である一方、さまざまな問題を抱えていることが多く、飼い主様がていねいなケアを続ける必要性がある犬種です。
一方で日々のケアを通じて、飼い主様と犬との絆を作り、最高のパートナーになれる愛すべき存在であるフレンチブルドッグ。この記事を通じてフレンチブルドッグのことをより深く知り、興味を持っていただけたら幸いです。
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ライター情報
獣医師東一平
- 所属
- 株式会社 アイエス 代表取締役、アイエス動物病院 院長
- 経歴
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1978年 千葉県に生まれる
1997年 麻布大学獣医学部獣医学科卒業
2003年 同大学卒業
2003年~2004年 アイエス動物病院に勤務
2004年~2005年 東京都内の動物病院に勤務
2005年 千葉県市川市のアイエス動物病院の院長に就任
現在もアイエス動物病院院長として日々診療にあたりながら、YouTubeやX(旧Twitter)、ブログなどで情報発信を続けています。
- 所属学会
- 日本小動物歯科研究会、日本獣医皮膚科学会、比較眼科学会、日本獣医麻酔外科学会所属
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
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(掲載開始日:2023年12月26日)
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