犬の熱中症の症状とは?事前に知っておきたい応急処置・対策や予防法も紹介

犬の熱中症の症状とは?事前に知っておきたい応急処置・対策や予防法も紹介
公開日:2023年4月6日

愛犬が突然熱中症になったとき、あなたならどうしますか?熱中症になるのは人間だけではなく、犬にとっても非常に危険な状態です。素早く適切な処置をおこなわなければ、命を落としてしまう可能性もあるため注意しましょう。この記事では、犬の熱中症がどのような症状なのかをわかりやすくご紹介します。また、熱中症の応急処置やその予防法も解説しますので、事前にポイントをおさえて、いざというときに適切に対処ができるようにしましょう。

犬の熱中症の症状とは?【危険度別】

犬は人間と違い、自分の不調を言葉で伝えることができません。飼い主が日頃から愛犬の様子を注意深く気にかける必要があります。そのためには犬の熱中症の症状を正しく知っておかなければなりません。

はじめに、犬の熱中症の症状を「初期症状」「中期症状」「重症状態」 の3つに分けてご紹介します。これらの症状がある場合は、犬が熱中症になっている可能性があるため注意しましょう。

犬の熱中症の「初期症状」

犬の熱中症におけるわかりやすい初期症状は、「身体の熱さ」です。犬の体温はもともと人間よりも高いですが、熱中症になるとより熱くなります。普段から犬の体温に気をつけ「いつもよりも体温が高いな」と感じたときには熱中症を疑ってみましょう。

また、「パンティング」が速いと熱中症の疑いがあります。パンティングとは、犬が大きく口を開き浅くする呼吸のことを指します。ハアハアという浅い呼吸を繰り返すことで犬は体温調節しています。そんなパンティングが通常よりも速くおこなわれている場合も要注意です。喘ぎながらよだれを垂らしている場合も熱中症が疑われます。

犬の熱中症の「中期症状」

熱中症が進行してくると、口の中や目が充血してきます。意識がもうろうとするため、ボーっと一点を見つめたまま動かなかったり、動いても足に力が入らずフラフラと歩行したりするのが中期症状です。

犬の熱中症:重症状態

熱中症が重症になると、痙攣や下痢・嘔吐する場合があります。熱中症が脱水症状や酸欠状態を作り、舌や粘膜が紫色になるチアノーゼという症状が現れます。

また、身体の内部が損傷して吐血、血尿、血便など排泄物に血が混じることが多いです。ここまでくると一刻も早い処置が必要になります。速やかに動物病院に連れていき、獣医師による診断を受けましょう。

犬の熱中症:重症状態

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熱中症になりやすい犬の特徴

熱中症になりやすい犬の特徴

犬種や出身地、年齢などによっては、ほかの犬よりも熱中症になりやすい場合があります。熱中症になりやすい犬の特徴を知っておけば、前もって対策が可能です。ここからは熱中症になりやすい犬の特徴をご紹介します。

短頭種

ひとつ目の特徴は短頭種です。短頭種とは、パグ・フレンチブルドッグ・シーズーなどの鼻が短い犬種のことを指します。短頭種は呼吸の効率が悪いといわれており、ほかの犬種に比べ、パンティングによる体温調節が難しく、熱中症になりやすいとされているため要注意です。

寒冷地出身、毛が厚い犬種

シベリアンハスキー、ゴールデンレトリーバー、ポメラニアンなどは寒冷地が原産国の犬種です。

寒冷地出身の犬種は、被毛がダブルコートとなっています。ダブルコートの場合、暑さに耐性がなく熱の排出効率が悪いため毛が薄い犬種よりも熱中症になりやすい傾向があります。

肥満

肥満は犬種に関わらず、皮下脂肪によって熱がこもりやすいです。そのうえ、首周りの脂肪が気道を圧迫して呼吸しにくくなるため、体温調節が難しくなります。

肥満や運動不足の場合は、飼い主が気にかけて積極的に散歩や運動をさせる必要があります。適正な体重をキープできるように餌の量や散歩の頻度などを調整しましょう。

子犬や高齢犬

子犬や高齢犬は身体の免疫機能が弱く、さまざまな病気になりやすいというリスクがあります。また、心臓病や呼吸器、腎臓などに疾患がある子犬や高齢犬も熱中症が併発しやすいとされています。

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犬が熱中症になってしまったら?応急処置は?

犬が熱中症になってしまったら?応急処置は?

犬が熱中症になってしまっても、迅速に適切な処置をおこなえば重症化を防ぎやすくなります。しかし治療が遅れてしまうと命の危険にさらされてしまいます。

ここからは飼い主の皆さんが落ち着いて対応できるように、愛犬が熱中症になってしまった場合の応急処置をご紹介します。

日陰や室内の涼しい場所に移動させる

熱中症は身体の中の熱が発散できずに起きてしまう症状です。

まずは体内の熱を発散できるような涼しい場所に移動させましょう 。少しでも熱中症の疑いがある場合は、外であれば日陰に、室内であればクーラーや扇風機などがある涼しい部屋に早めに移動させることが大切です。

体を冷やす

体温を効率よく下げるため、太い血管が通っている部分を重点的に冷やします。脇の下(前足の付け根の内側)や頭部喉側から首(頸動脈)、そけい部(後ろ足の付け根の内側)に太い血管があり、そこを水で濡らしたタオルで包みます。そうすることで、体内の熱が発散しやすくなります。

熱中症になった場合に冷やす場所

熱中症になった場合に冷やす場所

水を飲ませる

熱中症が進行すると体内からどんどん水分が失われます。そうなると先ほどご紹介した脱水症状を併発し、より危険な状態に陥る可能性があります。

脱水症状がひどくなると重症化してしまうため、できる限り水分を摂取させることが熱中症の応急処置として大切です。

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犬が熱中症になったときの注意点は?

犬が熱中症になった際にやってはいけない3つのことをご紹介します。

間違った行動をとることで愛犬が苦しんでしまうことがあるため、次にご紹介することはしないように心がけてください。

症状を勝手に判断してそのままにしない

犬の熱中症の症状を見て、大丈夫そうだと放置してはいけません。あまりしんどそうに見えない時でも、体内が熱中症による損傷を受けている場合があります。

放置してしまうと症状が改善されることなく、どんどん悪化してしまいます。熱中症かもと少しでも思ったらご自身で判断せずに、まずは動物病院に連絡しましょう。応急処置の指示を受けたら迅速に行動することが大切です。

水や氷で冷やし過ぎない

応急処置として、身体を冷やすという対処法をご紹介しました。しかし急激に体温を下げてしまうことも危険な行動のひとつです。熱中症になる犬は体温調節機能に異常があることも多いです。

体温の上げ下げを自分で調節することが難しい犬は、身体を冷やし過ぎると、かえって低体温症に陥ってしまうこともあります。早く体温を下げようと氷や保冷剤を使用すると、深部の体温まで冷えずに熱が発散しにくくなります。

応急処置をしたら必ず病院で受診する

家や散歩道中などでできる限りの処置をおこなった後は、症状が緩和されても速やかに動物病院を受診しましょう。応急処置で少し回復したとしても、犬は弱っている状態です。また悪化する可能性があるほか、熱中症とは違う病気である可能性もあります。

熱中症で内蔵にダメージを負っていたり、回復後に慢性的な腎不全を発症したりすることがあるため、気を抜いてしまうと大変なことになるかもしれません。応急処置をおこなったら、必ず動物病院を受診して適切な治療を受けましょう。

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犬の熱中症対策と予防法

犬の熱中症対策と予防法

ここまで、熱中症になった場合の対処法をご紹介してきましたが、なによりも熱中症にならないことが大切です。熱中症はある程度予防ができるため、愛犬が苦しむことがないように、日頃から簡単におこなえる予防法をご紹介します。

熱中症予防情報サイトを事前にチェックする

愛犬の散歩に行く前には、熱中症予報や予防情報サイトなどを確認しましょう。たとえば、環境省の「熱中症予防情報サイト」 では、「暑さ指数(WBGT)」を基に、日常生活や運動に関する指針が公開されています※1。「警戒(積極的に休憩)」「厳重警戒(激しい運動は中止)」「運動は原則中止」など、熱中症を予防するための目安が確認できます。

散歩に出かける前に熱中症予防情報サイトを確認し、熱中症警戒アラートなどを目安にすることで、暑ければ散歩自体を中止したり保冷グッズを持っていったりという対応がとれるため、熱中症を未然に防ぎやすくなります。

※1 参考:環境省「熱中症予防情報サイト

散歩の時間帯をずらす

日中は太陽の日差しが強いため、気温やアスファルトの温度が高温になってしまうことが多いかもしれません。熱中症に罹患するリスクが増えるだけでなく、アスファルトの温度で犬の足が火傷を負ってしまうという危険性も高まります。

環境省によると、地面から高さ150cmの位置の気温が32.3℃のとき、地面から高さ5cmの低い場所の気温は36℃以上になったという調査結果があります。また、炎天下ではアスファルトの路面は60℃近く になることも※2

気温が高く、アスファルトも高温になりやすい夏場は、比較的涼しい早朝や日が落ちた夕方以降に散歩の時間を変えてみることをおすすめします。

※2 出典:環境省「熱中症環境保全マニュアル2022

水分補給をこまめに行う

たとえ短い時間の散歩だったとしても、犬の体調によっては熱中症になることも珍しくありません。夏場の散歩時には、適度に水分を与えられるように水を必ず 持っていき、犬にこまめに水分を与えることで、熱中症を予防できます。また散歩時にできることとして、日陰で休憩したり、冷たいタオルで身体を冷やしたりすることも熱中症予防に有効です。

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犬の病気に備える場合はペット保険への加入がおすすめ

犬が病気になると、治療にかかる費用が高額になることがあります。人間には公的医療制度があり、病気になり病院を受診した場合、年齢や所得状況により異なるものの、自己負担は1割から3割ほどで済みます。 しかし、犬には公的医療保険がないため、全額を飼い主が負担することになるのです。

楽天インサイトが2022年1月に実施した「ペットに関する調査」によると、1ヵ月に動物病院に支払った金額の平均は犬が2,404円というデータ があります※3。この数値は平均値であるため、病気が長期化したり、手術をともなう入院をしたりすると、更に高額な治療費がかかります。

そこでペット保険に加入していると、ペット保険適用の病気であれば、費用負担を抑えることが可能です。大切な愛犬の病気にしっかりと備えておきたいという方には、ぜひペット保険の加入をおすすめします。

※3出典:楽天インサイト「ペットに関する調査(2022年1月)

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まとめ

この記事では、犬の熱中症の症状や応急処置などをご紹介しました。熱中症は飼い主の準備である程度は防ぐことができます。たとえば、こまめに水分補給を取る、散歩は気温や時間帯などに気を付ける、熱中症予防情報サイトを確認するなど、熱中症の対策や予防をおこないましょう。

犬は言葉を話せないため、飼い主が異変にいち早く察知しなければなりません。もしも犬が熱中症になり、症状が悪化して入院や手術をおこなった場合や後遺症がのこり長期的な治療が必要になる場合には、治療費によって家計が圧迫されるなどのリスクもあります。

そうした心配から解放されるためにも、ぜひ一度ペット保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。
各保険会社のウェブサイトや比較サイトを利用すれば、補償内容や保険料、対応しているサービスなどを確認することができます。とくに比較サイトを活用すると、複数のペット保険の情報を一覧で比べることができるので、大切なペットに必要な補償を選びやすいでしょう。

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監修者情報

獣医師嘉本よしもと浩之ひろゆき

嘉本 浩之

さいたま動物病院の院長。麻布大学卒業後、獣医師免許を取得。ペッツネクスト株式会社代表取締役ほか、獣医神経病学会、日本獣医皮膚科学会など複数の学会に所属。メディアにも多数出演。

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2023年4月6日)
2302092-2402