ジャックラッセルテリアの特徴とは？なりやすい病気についても解説

ジャックラッセルテリアの性格

ジャックラッセルテリアは、陽気で好奇心旺盛な犬種です。勇敢で物怖じしない性格のため番犬にも向いています。
活動的なだけではなく、物覚えがよく飼い主に忠実なので一緒にゲームやドッグスポーツを楽しめる犬種です。

しかし、運動量が不足してストレスがたまると物を壊すなど攻撃的になるケースがあり、甘やかしすぎると反抗的になる場合もあります。
本来は賢く飼い主に忠実な性格なので、思う存分運動させてストレスを発散させることと、基本的なしつけ、一緒に暮らす上でのルールを教えることが大切です。

小動物や動くものを追いかける習性があるため、小動物との同居は十分注意が必要です。

ジャックラッセルテリアのルーツ

ジャックラッセルテリアは、19世紀後半にイギリスケネルクラブの会員で、狩猟愛好家のジョン・ラッセル牧師が、キツネ狩りの猟犬として作出した犬がルーツです。
その後、このときに作られた犬をもとに体高や体長などスタイルに違いのある「ジャックラッセルテリア」と「パーソンラッセルテリア」の２犬種に発展しています。

なお、「ジャック」は、「ジョン」のあだ名で、「パーソン」は牧師という意味です。

関節疾患

関節疾患の原因はさまざまですがジャックラッセルテリアに多くみられるのは、膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂です。

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼とは、本来は大腿骨の溝（滑車溝）におさまっているはずの膝蓋骨が脱臼する疾病で、遺伝的な要因が関わっています。
小型犬に多くみられ、内側に外れる「内方脱臼」と外側に外れる「外方脱臼」があり、脱臼の状態や外れやすさによって４つのグレードに分類されます。

膝蓋骨脱臼の症状は、スキップするような歩き方をする、後肢の跛行や挙上（足を上げる）、痛がるなどですが、脱臼の程度と症状が一致しないこともあります。

膝蓋骨脱臼の治療方法は、グレードと歩行の状態、痛みや跛行などの症状の有無、年齢や体重などを総合的に判断し内科的または外科的に治療をします。

内科治療は、運動制限や体重管理、必要に応じて鎮痛剤やサプリメントの投薬をおこないます。
外科的に手術が必要な場合は、痛みや跛行（はこう）などの症状がひどい、グレードが進行している、グレードⅢ以上の場合、靭帯の断裂が疑われる場合などです。

前十字靭帯断裂

前十字靭帯とは、後肢の膝関節の中にある靭帯で、膝関節が安定して動かせるような働きを担っている組織です。

外傷など何らかの原因で、前十字靭帯が部分的や完全に切れることを、前十字靭帯断裂といいます。
前十字靭帯が損傷を受けると、膝関節の炎症と痛み、跛行などの症状がみられます。
少し歩き方が気になる程度の軽いものから足をあげて全く負重できないほどの強い痛みがみられる場合など、損傷の程度によって症状は異なります。

治療は、レントゲン・触診で診断し、症状と体重など個々の状態によって鎮痛剤の投薬・体重コントロール・運動制限などの内科療法か、外科手術のどちらかを選択します。

目の疾患

ジャックラッセルテリアは遺伝的に水晶体脱臼が起こりやすく、さらに他犬種に比べて白内障になりやすいというデータもあります。

水晶体脱臼

水晶体脱臼とは水晶体の位置が変位することで、前方に脱臼する前方脱臼と、後方に脱臼する後方脱臼があります。前方脱臼の場合は、眼圧上昇が起きて強い痛みが起こり緊急疾患になる可能性があるため注意が必要です。

水晶体脱臼は、水晶体を吊っているチン小帯という線維の断裂によって起こります。
外傷や先天的なものが原因である原発性の水晶体脱臼と、緑内障や腫瘍、炎症、白内障などに伴って二次的に起こる続発性の水晶体脱臼があり、症状は、無症状の場合、目の痛みや結膜炎、視力低下等さまざまです。

治療は点眼薬、内服薬を投薬する内科療法と、合併症を防ぐ目的で水晶体を取り除く手術をおこなう外科療法があります。

白内障

白内障とは水晶体が変性して白く濁る病気で、具体的には水晶体を構成しているたんぱく質が変化して濁り、もとに戻らなくなる疾病です。

原因は遺伝によるものが最も多く、糖尿病などの内分泌疾患や外傷、ブドウ膜炎などで二次的に発生する場合や加齢によるものなどが考えられます。
白内障は、徐々に視力が喪失するだけでなく、緑内障やブドウ膜炎、網膜剥離、水晶体脱臼などの合併症を引き起こすといわれています。

白内障には治療薬がありません。しかし、早期に発見した場合には進行を遅らせる目的で、点眼薬や抗酸化作用があるサプリメントを使用します。

治療方法は外科手術のみですが、外科手術を行っても合併症のリスクがあり、白内障の進行状態と目の状態によっては視力の回復が望めない場合もあります。

遺伝性消化管ポリポーシスとは

岐阜大学の動物病院では、消化管に腫瘍性のポリープがみられるジャックラッセルテリアの症例が増えていることに着目して研究を進めました（ポリポーシスとは消化管に多発したポリープのこと）。

この研究により、ポリープの数や好発部位が人間とは違うものの、人間の家族性ポリポーシスの類似疾患であること、APC （adenomatous polyposis coli：腺腫性ポリポーシス大腸菌）遺伝子という特定の遺伝子の変異が原因であること、犬にみられる新しい遺伝病であることなどがわかりました。

論文によると、嘔吐や下痢、食欲不振などの消化器症状がおもな症状で、治療内容の詳細は不明ですが、外科手術や内視鏡を用いた治療後の１年間の生存率は100％でした。
この研究結果を受け、現在は動物の遺伝子検査等をおこなう検査機関（現在のところケーナインラボのみ）で遺伝性消化管ポリポーシスの遺伝子検査が可能となりました。