犬にみかんを食べさせても大丈夫?適切な量や与えるメリット、注意点を解説
みかんは手で簡単に剥いて食べやすく、ビタミンCなどの栄養を摂取できる果物です。冬場はすぐ手に取れるところに置いている家庭も多く、愛犬が興味を示すこともあるでしょう。しかし、犬にみかんを与えて問題ないのでしょうか?犬がみかんを食べるメリットや与えるときの注意点についても疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、犬にみかんを与えるメリット・デメリット、注意点などを解説します。
INDEX
犬はみかんを食べても大丈夫!加工品や量には注意
みかんをはじめとする柑橘類の果物は、犬が食べても問題ないとされているため、水分補給やおやつとして与えることもできます。
しかし、みかんは水分や食物繊維が多く下痢や消化不良の原因となる恐れもあります。食べさせても問題ないとはいえ、与え過ぎないように注意しましょう。
みかんの薄皮や缶詰・ゼリーを与えても大丈夫?
みかん外皮や種は消化に悪く、外皮には農薬が付着している場合もあります。犬にみかんを与える場合は外皮や種を取り除き、果肉部分だけ与えましょう。
また、犬は食物繊維の消化を苦手としているため、食物繊維が多いみかんの薄皮や白いすじ部分も取り除くようにしましょう。
みかんを果肉部分だけにするのは、手間のかかる作業です。缶詰やゼリーに加工されたみかんであれば、取り除く作業を省けて便利だと考える方もいるかもしれません。しかし、缶詰やゼリーなどのみかんを加工した食品は、糖分や香料が添加されています。
犬は糖分を好みますが、過剰摂取は肥満の原因になります。愛犬の健康を考えると、缶詰やゼリーなどに加工されたみかんは、食べさせない方がよいでしょう。
犬が食べても問題ないみかんの量
みかんは犬が食べても問題ない果物ですが、どのくらいの量が適切なのでしょうか。1日に食べても問題ないと考えられる量は、犬の体格や運動量・体調によっても変化します。
【1日に食べて問題ない量の目安(みかん1個を10g、4.9kcalとして算出※」】
- 小型犬...1個未満
- 中型犬...2個未満
- 大型犬...3個程度まで
こちらで紹介した量は、あくまでも目安となる参考値です。問題ないからといって、毎日1日の上限まで与えてはいけません。水分や食物繊維、糖分などの取り過ぎにつながり、犬の健康を損ねる可能性があります。
また、おやつは1日に必要なカロリーの10%程度の量までが理想といわれています。おやつを与えた場合はその分ご飯の量を減らすなど、栄養バランスの取れた食事になるよう考えることも重要です。
犬にみかんを与える3つのメリット
適切な与え方であれば犬にみかんを与えても問題ありませんが、犬がみかんを食べるメリットはあるのでしょうか。
ここでは、おもに以下の3つのメリットについて解説します。
- ①健康によい成分が摂取できる
- ②水分補給にも使える
- ③愛犬とのふれあいの時間になる
①健康によい成分が摂取できる
みかんを食べると、ビタミンCやカリウムなどの健康によい成分が摂取できます。
ビタミンCは抗酸化成分であり人間にも必要な成分ですが、犬にとっても免疫力を高めて病気予防などの効果が期待できます。また、カリウムは余分な塩分の排出を促し、細胞の機能が正常に働くために必要なミネラルです。
ただし、犬はビタミンCを体内で生成できるので、積極的に与える必要はありません。カリウムは過剰摂取すると高カリウム血症の原因となるため注意が必要です。通常のペットフードを問題なく食べられ、健康に問題がなければ不足しない成分です。健康によいからといって、みかんを進んで与える必要はなく、あくまでも嗜好品として考えましょう。
②水分補給にも使える
みかんは、成分の8割以上が水分で占められています。犬が水を飲みたがらないときには、みかんを食べさせることで補助的な水分補給になるでしょう。しかし、水分の代わりにみかんばかりを与えては、かえって健康を損ねる場合もあります。また、水の代わりに甘味のあるみかんばかりを好むようになり、偏食につながる恐れもあるでしょう。
犬に水分補給させる目的でみかんを使うなら、しぼった果汁を水に加えて風味付けするなど、水を飲みやすくするような与え方もおすすめです。
③愛犬とのふれあいの時間になる
皮や種を取り除くため、みかんを一個ずつ剥いて犬に食べさせるのは手間がかかります。しかし、手ずからみかんを与え、愛犬の様子を見ながら過ごすひとときは、貴重なふれあいの時間になります。
愛犬とのコミュニケーションの時間として、一緒にみかんを食べるのもおすすめです。
犬にみかんを与える2つのデメリット(注意点)
みかんは適量であれば犬が食べても問題ない果物ですが、気をつけないと健康を損ねる場合もあり、様子を見ながら適量を与えるのが重要です。
①アレルギーを起こすこともある
犬によってはみかんアレルギーが出る場合もあります。犬が初めてみかんを食べるときは、様子を見ながら少しずつ与えるようにし、問題がでなければ適量に増やすようにしましょう。
もし、みかんを与えた際に下痢や嘔吐、消化不良、体をかゆがる様子が見られれば、アレルギーを起こしている可能性があります。すぐに獣医師に相談し、適切な対処をしてもらいましょう。
②偏食の原因になる
おやつにみかんを与え過ぎるとお腹がいっぱいになり、主食となるペットフードを食べなくなる可能性があります。また、糖分の多いみかんばかりを食べたがり、偏食につながる場合もあります。
犬の健康を考えると、栄養バランスの取れた食事も欠かせません。みかんは主食ではなく、おやつとなる補助的な果物です。主食が食べられないほど与えることはせず、あくまでもおやつの一種として少量に留めておきましょう。
犬にみかんを与えるときのポイント
先述のとおり、犬にみかんを与えるメリットはいくつかありますが、注意しなくてはならない点もあります。おもな注意点として、以下があげられます。
- 犬が体調不良のときはみかんを与えない
- 熟していないみかんは与えない
- みかんを丸ごと与えない
- 子犬や老犬には多く食べさせない
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
犬が体調不良のときはみかんを与えない
みかんは、水分や食物繊維が多い果物です。犬の体調が優れないときに食べさせると、悪影響を与える可能性があります。
水分の多い食べ物は体を冷やす作用があり、犬が下痢をする原因になることもあります。また、みかんの果実部分にも含まれる食物繊維は、体調不良のときに与えると消化不良につながりかねません。
また、薬を服用している場合、みかんに含まれる成分「フラノクマリン」が薬の効果や副作用を強くしてしまうこともあるため、投薬中の犬にみかんを与える場合は事前に獣医に相談することをおすすめします。
熟していないみかんは与えない
熟していないみかんや早摘みした青みかんなどは、「アルカロイド」という成分を多く含んでいます。アルカロイドは植物由来の成分で医薬品やサプリメントとして活用されていますが、植物毒が含まれています。この植物毒は犬にとっては有毒で、犬が食べると中毒を引き起こす可能性があります。
犬に与えるみかんは、しっかり熟したものを選びましょう。
みかんを丸ごと与えない
犬にみかんを与えるときは、丸ごと与えてはいけません。必ず皮を剥いて、種やすじ・薄皮を取り除き、果実だけの状態にしてから与えましょう。
また、犬が取りやすい場所にみかんを置いていると、目を離したときに犬が食べてしまう可能性もあります。犬がみかんを取っておもちゃとして遊んでいると誤飲事故につながるほか、丸かじりする恐れもあります。みかんの置き場所に注意し、犬が勝手に取っていかないようにしましょう。
子犬や老犬には多く食べさせない
先述のとおり、適量であれば犬はみかんを食べても問題ありません。しかし、とくに子犬や老犬の場合、与える量にはより気を付けなければなりません。食物繊維が豊富なみかんは、消化器官が未熟または機能低下している犬には向いていないためです。
体格や体質による個体差はあるものの、1歳未満の子犬は体が発達しきっておらず消化器官も未熟です。また、老犬も消化機能の衰えが考えられます。
みかんを食べさせる場合は犬の年齢を考え、子犬や老犬はごく少量にして体調に異常がないか確認しましょう。
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ペット保険のなかには、獣医師に相談できるサービスが用意された商品もあるため、愛犬がみかんを食べた際に体調に異変があっても、すぐに獣医師へ相談できる状態であれば安心です。
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まとめ
みかんは犬に与えても問題ありませんが、外皮や種、薄皮を取り除いて果肉だけを食べさせましょう。しかし、みかんの缶詰やゼリーなどの加工品は糖分が添加されているので、犬に与えるべきではありません。また、みかんは水分・食物繊維が多く、下痢や消化不良の原因になる恐れもあります。与えるときは、おやつの1種として適量にとどめ、過剰な摂取に注意しましょう。
犬にみかんを与えるメリットは、ビタミンCやカリウムなどの摂取や、水分補給になる点です。しかし、アレルギーを引き起こしたり、偏食につながる可能性があったりと注意すべき点もあります。
犬にみかんを与えるときは、体調や量、どのようにして与えるべきかを理解しましょう。
監修者情報
獣医師嘉本浩之
さいたま動物病院の院長。麻布大学卒業後、獣医師免許を取得。ペッツネクスト株式会社代表取締役ほか、獣医神経病学会、日本獣医皮膚科学会など複数の学会に所属。メディアにも多数出演。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2023年6月20日)
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