ミニチュアダックスフンドの特徴とは?必要な運動やかかりやすい病気も解説
その愛くるしい姿、人懐っこい性格、小型犬の中でも発達した運動量などが特徴のミニチュアダックスフンド。長い時代、人気の犬種であり続けています。
この記事では、そんなミニチュアダックスフンドの性格や性質、必要な運動やトレーニング、かかりやすく注意が必要な病気、健康管理の方法などについてお話していきます。
INDEX
ミニチュアダックスフンドの人気と魅力
なんといっても特徴的なのが短い手足と長い胴体。そのアンバランスさが、なんともいえないかわいらしさを生み出しています。
もともとは狩猟のために品種改良をされた犬種ですが、そのような時代背景があるために人間好きな性格や賢さを兼ね備えていて、意思疎通がしやすく、固い絆が生まれる点が魅力です。
ミニチュアダックスフンドの特徴とは?
短い脚と長い胴体の特徴的な体型
ミニチュアダックスフンドは、もともとは狩猟犬として品種改良され、穴の中にいる獲物を追いやすくするために作られました。その体型の特徴が、現在ではペットとしてかわいい外観の魅力へと変化しています。
ミニチュアダックスフンドの大きさには幅があり、体重でいうと10㎏くらいのガッシリとした体型の子から、3㎏ぐらいの小さな子までいるので、多彩な魅力を持っています。
さまざまな毛色があることが知られており、それによっても魅力が変わります。
比較的長いミニチュアダックスフンドの平均寿命
かつて、ミニチュアダックスフンドが大ブームだった頃は、大量生産による弊害も多かった印象がありますが、今は落ち着いていて、健康で長生きする子も多くなっています。
平均寿命は15歳くらいだと思いますが、長寿な子は20歳近くまで生きてくれることも少なくありません。
賢く忠実な性格で家族への忠誠心が強い
狩猟犬であるために飼い主に忠実で、またコマンド(犬に行動を促すときに出す指示)などのしつけも行いやすい犬種といえます。基本的に人間が大好きな陽気な性格も人気のひとつです。人間との間には強い絆を築くことができるでしょう。
ただし、他の小動物との相性は注意が必要かもしれません。まれにご家族への忠誠心が強く、家族以外の人や動物が苦手な子もいます。狩猟犬であるために、本能的に狩りの面が出てしまうためです。とはいえ、最近は狩猟犬環境から子犬を迎えることも減ってきており、すでに優しく温和な家庭犬としての面が強化され、誰とでも仲良くできる子が増えている傾向はあります。
一般的には小さい個体の犬のほうが人懐っこく陽気な性格が多く、大きい犬は穏やかでおとなしい性格が多い印象を持ちますが、犬によって違いはあるため、「必ずこうである」という先入観は持ちすぎないことが大事です。例外も多いので、あくまでもひとつの説としてとどめておいてください。
ミニチュアダックスフンドに必要な運動とは?
適度な運動量が重要
ミニチュアダックスフンドの運動量は非常に豊富な点が特徴です。
もともとは狩猟犬として飼われていたこともあり運動要求量が多い犬種と考えられていますが、室内での快適な生活を受け入れて、穏やかに過ごす子も多く存在します。必ず毎日のハードな運動が必要かといわれると、そうとは限らないので、ご自身の愛犬の行動や性格を理解して適切な運動をさせてあげるようにしてください。
なお、ミニチュアダックスフンドのアンバランスな体型が問題となることもあるので、よく注意しましょう。体系的に肥満は大きなリスクとなります。
腰に負担がかかりすぎないよう要注意
もともと狩猟犬だったこともあり、物を追うような運動は好むと思います。ミニチュアダックスフンドは持久力にも優れているのですが、運動に夢中になりすぎて無理をさせないようにコントロールしてください。
とくにミニチュアダックスフンドは腰に問題を起こす子が多いので注意が必要です。キャンと痛みを訴えたり、動かなくなったり、後ろ足を引きずったりするなど、異常を感じた場合はすぐにかかりつけの動物病院で相談してください。
ミニチュアダックスフンドに注意するべき病気とは?
背骨と脊椎の病気
短い手足と長い胴体の弊害として運動器の問題を抱えていたり、後に問題が起きたりすることが考えられます。
とくに有名なのが「椎間板ヘルニア」です。椎体、背骨の間のクッションである椎間板が外に飛び出して神経を圧迫し、下半身不随などの症状を引き起こすことがあります。肥満はハイリスクになります。過度な体重になることを防ぎましょう。
目の遺伝性疾患
人気犬種について回るのが遺伝性疾患です。ミニチュアダックスフンドでは目に関わる遺伝性の問題が知られています。
「突発性後天性網膜変性症候群」は、ミニチュアダックスフンドで起きる遺伝性疾患のひとつで、突然の失明を起こします。残念ながら有効な治療方法もなく、回復することもない病気です。予防する方法もなく、この疾患を抱える個体を繁殖から避けていくなどするしかないと考えられています。
視力低下の有無や目の外観などを日々よくチェックして、異常を感じたらすぐに動物病院に、時には眼科の専門医にみてもらうことも大事です。
歯石と歯周病のリスク
ミニチュアダックスフンドは身体に対して頭が大きく、歯が大きいため、歯のトラブルも多いといえます。
身体に対して大きな歯に歯垢がついて歯石、歯周病を引き起こし、とくに重い歯周病を起こしてしまうことがあります。巨大な歯石の下は歯茎も歯もぐちゃぐちゃになっていて、すでに歯がグラグラしていることもよくみます。
そんな状態でも普通に食事をしていたりすることもあり、動物の強さを感じます。しかし、隠れて進行する歯周病は最終的には心臓病や肝臓病などの全身疾患に繋がっていくので、きちんとしたケアが非常に大事です。
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定期的に歯をケアする方法
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幼少期より歯磨きをしっかりと習慣化することが一番の対策になります。口臭がある、見た目が赤い、食事時に痛がる、顔が腫れる、などさまざまな形で歯周病は影響を出すので、定期的な検診で早く発見して早く対処することが一番です。
困るのは、なんの症状も出さずに病態が進んでいくことなので、ぜひ動物病院で定期検診などを受けてチェックしてもらってください。
ミニチュアダックスフンドの健康管理・病気の予防法とは?
獣医師との定期的な相談が重要
愛犬に健康で長生きしてもらうためにも、飼い主が適切な体重維持を行い、口腔内環境を整え、目の異常がないかなど、さまざまな変化を見逃さないことが大切です。できる限り早く気がつくためにも、定期検診で早期発見早期治療に努めましょう。
かかりつけの動物病院に定期的に通うことで普段の変化に気がつきやすくもなりますし、獣医師とのコミュニケーションも取りやすくなります。相性のいい獣医師、動物病院と良い関係を築くことがペットの健康には大きく寄与します。
ワクチン接種やフィラリア・ノミやダニ予防が重要
定期的な予防のための通院時に健康状態を把握してもらい、たとえばフィラリアの検査の時に血液で全身的な異常をみるなど、定期的な受診は健康維持に役立つと思います。
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狂犬病ワクチン
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狂犬病ワクチンは法律によって義務付けられています。日本で犬を飼うのであれば必ず接種しなければなりません。罰則もありますので注意しましょう。
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混合ワクチン
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混合ワクチンはパルボやジステンパーなど伝染性が高く重篤な症状を出す病気を予防できるので、自分のためにも回りのためにもしっかりと実施してあげてください。
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フィラリア症
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フィラリア症は蚊が感染させる伝染病で、心臓に異常を起こす怖い病気です。月に一度の投薬か、年に一度の注射など、いろいろな予防でほぼ完全に予防できる病気ですので、病気になって苦しい思いをさせないようにきちんと計画的に予防をしましょう。
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ノミやダニ予防
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ノミやダニ予防の重要性は最近上がっています。ダニが媒介する人獣共通感染症、人も犬もかかる病気の中でもとくにSFTS(重症熱性血小板減少症候群)は人間の死亡例も起きている恐ろしい病気です。
獣医師や動物病院スタッフにも発症した人間もいます。予防をしっかりしていないとご自身だけでなく動物病院スタッフも危険にさらすことになってしまいますので、予防をお願いいたします。
ミニチュアダックスフンドの正しい食事管理とは?
過度な肥満の防止
ミニチュアダックスフンドは肥満がリスクになる犬種なために、体重管理の必要がありますが、最も大事なことは食事の量のコントロールです。
ペットフードを与えるときには、記載されている量を適正体重に合わせてしっかりと把握し、おやつなどを与える場合にはそのカロリーを食事から減らして、1日の総摂取カロリーをきちんと把握していきましょう。家族がこっそりおやつを与えてしまったりすると愛犬のダイエットはうまくいきません。家族全員が同じ目標を持つようにしましょう。
なお、運動で痩せることもできますが、運動量としては1日2時間ぐらいしないと体重が変化しないので、大変かもしれません。体型などをみて、適切な体重を知ったうえで管理をする必要があります。そのためにも、かかりつけの動物病院と二人三脚で頑張ることが一番の近道だと思います。
栄養バランスを考えた健康的な食事を
人間も犬も身体は食べたものでできています。飼い主が愛犬にきちんとした栄養バランスの食事を与えることが、健康で強い体作りの助けになります。
最近の食事は質の高いペットフードが増えてきています。一般的には、しっかりとした食事の考えを持つ古くから続くメーカーのペットフード、大きなメーカーのペットフードは、間違いが少ないと考えられます。
なかには、宣伝文句ばかりが目立つペットフードもありますが、栄養学的な裏付けがなかったり高価だったりすることもあるので、しっかり見極めましょう。
まとめ
見た目も愛くるしく、優しく人懐っこい性格もかわいいミニチュアダックスフンド。いつまでも一緒に楽しく過ごすためにも、愛犬の変化にいち早く気がついて、かかりつけの動物病院にすぐに相談したり診察をしてもらえたりするようにしていきましょう。
ご家庭での日々のケアも大事です。目や口の中、耳の中、爪の長さ、食事量、飲水量、排便排尿など、健康を捉えるサインはたくさんあります。日常の中でそういったサインを見過ごさないようにしてください。大切な家族と幸せな時間をたくさん過ごせることを心から祈っています。
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ライター情報
獣医師東一平
- 所属
- 株式会社 アイエス 代表取締役、アイエス動物病院 院長
- 経歴
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1978年 千葉県に生まれる
1997年 麻布大学獣医学部獣医学科卒業
2003年 同大学卒業
2003年~2004年 アイエス動物病院に勤務
2004年~2005年 東京都内の動物病院に勤務
2005年 千葉県市川市のアイエス動物病院の院長に就任
現在もアイエス動物病院院長として日々診療にあたりながら、YouTubeやX(旧Twitter)、ブログなどで情報発信を続けています。
- 所属学会
- 日本小動物歯科研究会、日本獣医皮膚科学会、比較眼科学会、日本獣医麻酔外科学会所属
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2023年11月8日)
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