ミニチュア・シュナウザーを飼う前に!特徴やかかりやすい病気について知っておこう

ミニチュア・シュナウザーを飼う前に!特徴やかかりやすい病気について知っておこう
公開日:2023年12月12日

おじいちゃんのような立派な口ひげや眉毛、垂れ耳がチャームポイントのミニチュア・シュナウザー。可愛らしいビジュアルと明るく好奇心旺盛、賢い性格が人気の犬種です。これから飼う予定の方も、すでに飼っている方も、その特徴やかかりやすい病気について知っておきましょう。

ミニチュア・シュナウザーの歴史

ミニチュア・シュナウザーの歴史

ミニチュア・シュナウザーはドイツ原産の小型犬。シュナウザーは、体の大きさによりミニチュア、スタンダード、ジャイアントの3つに分類されます。祖先であるスタンダード・シュナウザーは、農家で使役犬として活躍し、ミニチュア・シュナウザーは小動物やネズミの駆除をする使役犬としてだけでなく愛玩犬として活躍しています。

ミニチュア・シュナウザーは、アーフェン・ピンシャーという現存する犬種と交配してドイツのフランクフルトで誕生した後、アメリカに渡って小型化が進み、現在の形に固定化されました。
以前は、美的観点から子犬のうちに耳としっぽを切断していましたが、近年は切らない傾向にあります。

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ミニチュア・シュナウザーの特徴と性格

ミニチュア・シュナウザーの特徴と性格

ミニチュア・シュナウザーはどのような性格なのでしょうか?また、身体的な特徴にはどのような点があるのでしょうか?

ミニチュア・シュナウザーの特徴

おもな特徴は以下のとおりです。

ミニチュア・シュナウザーのおもな特徴

体重 約4.5kg~7kg前後
体高 30cm~35cm
体格 体高と体長がほぼ同じサイズのスクエア形の体型で、がっしりした体格。
老いた仙人の眉毛やひげのような顔面部の毛が特徴的。「シュナウツ」はドイツ語で口ひげという意味で、犬種名は外見に由来している。
ジャパンケネルクラブ(JKC:日本で血統書を発行する機関)では、ブラックのアンダーコートで漆黒、ソルト&ペッパー(シルバー)、ブラック&シルバー、ホワイトのアンダーコートで純白の4色を標準としている。一般的によくみる色はソルト&ペッパー。
被毛 硬い毛と柔らかい毛に覆われたダブルコート。柔らかく体温を保つアンダーコートと、皮膚などを守るための硬いオーバーコートが生えている。
一般的にダブルコートを持つ犬は換毛期の抜け毛の量がとても多いが、ミニチュア・シュナウザーは比較的少ない。伸びて絡まりやすいため、毎日のこまめなブラッシングが必要。また、口ひげや眉毛などを美しく整えるためにも月に1回はシャンプーをおこない、2〜3ヵ月に1回程度のトリミングをしてあげるとよい。
平均寿命 12〜15歳前後

ミニチュア・シュナウザーの性格

ミニチュア・シュナウザーは明るく好奇心旺盛で、散歩やボール遊びなど、遊ぶのを好む活発な性格です。知能も高く、飼い主さんに従順であり、愛情深く親しみやすいため、飼い主さんとコミュニケーションを取りやすいといわれています。

家族と一緒に過ごすことを好み、しつけも比較的すぐに覚えてくれやすいでしょう。飼い主さんに対しては忠実な反面、見知らぬ人や信頼関係が築けていない人に対しては、警戒心が強いことがあります。番犬気質で、刺激への反応性が⾼く、吠えやすい性質を持っています。

都市部で飼育するにあたっては、飼い主さんの指⽰に従って吠えをコントロールし、落ち着かせられるよう、しっかりトレーニングすることが⼤切です。子犬のうちから社会化トレーニングをして、さまざまな犬や人とふれ合うようにすると良いでしょう。

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ミニチュア・シュナウザーのかかりやすい病気

ミニチュア・シュナウザーのかかりやすい病気

ミニチュア・シュナウザーのかかりやすい病気はおもに以下のとおりです。

高脂血症

血液中の中性脂肪やコレステロールが多い状態をいいます。

原因として、先天性の代謝異常などの原発性のものと、何らかの病気(内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、膵炎、糖尿病など)が引き金となっている続発性のものがありますが、ミニチュア・シュナウザーは原発性による高脂血症であることが一般的です。

症状がなく問題とならないことも多いですが、重度の場合には膵炎や網膜脂血症、痙攣発作、末梢性神経麻痺、無気力、ぶどう膜炎などの合併症につながります。まずは食事療法から始め、必要に応じてサプリメントや薬物療法がおこなわれます。

胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)

胆嚢内に粘性の高い粘液が過剰に蓄積することで胆嚢が拡張してしまう病気です。高齢での発症が多いです。

この粘液が溜まり続けると胆嚢が破裂してしまう場合があり、その際には症状が重篤化しやすくなります。

発生機序についてははっきりと分かっていませんが、発症素因として内分泌疾患(副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症)、高脂血症、胆嚢の運動性の低下などがあげられます。元気や食欲がなくなり、嘔吐、腹部の痛み、黄疸等がみられます。

急性膵炎

急性と慢性に分類され、急性膵炎は消化酵素が膵臓内で活性化されてしまうことで、膵臓に炎症が起こる病気です。幅広い年齢でみられます。オスよりもメス、避妊/去勢しているほうが発症しやすいといわれています。

手術歴や肥満、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症)、糖尿病、ゴミ漁りなどの不適切な食生活などもリスクとなります。症状は食欲不振、活動性の低下、嘔吐、下痢、激しい腹痛など。重症になると多臓器不全になり死亡することもあります。

点滴や吐き気止め、消炎鎮痛剤、抗炎症薬などで治療します。脂肪を制限した食事療法も必要になります。

乾性角結膜炎

涙の産生量が少なくなることで、目が乾燥したり炎症を引き起こしたりする病気です。

光に過敏になるほか、目が傷つきやすくなったり、痛みを生じたりします。結膜が充血したり、油っぽい目やにが発生したりする場合もあります。涙液量の回復や症状の改善、二次的な角膜の変化を防ぐために治療がおこなわれます。

洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)

心臓にある洞房結節という場所が電気的な刺激を送ることで、心臓は一定のリズムで拍動することができます。洞不戦症候群は、この洞房結節に機能障害が発生することによって、心臓が正常に拍動しなくなってしまい(不整脈)、失神や疲れやすいなどの症状を起こす病気です。

無症状の場合には治療せず様子をみることがありますが、症状がある場合には、ペースメーカーの植込みや内科療法が必要になります。

シュナウザー面皰症候群(めんぽうしょうこうぐん)

皮膚の角化異常により、分泌された皮脂が毛穴に詰まり、炎症を起こしてニキビのように腫れてしまう皮膚病です。シュナウザーに多く、背中にできることが多いです。

一般的には痛みや痒みを伴いませんが、舐めたりかくことで、二次感染を起こし、かさぶたができたり痒くなったりします。シャンプー療法が重要で、角質溶解性のシャンプーを使います。

シャンプーにより毛穴をしっかり洗浄して皮脂を洗い流すことで皮膚の状態を改善することが大切です。治癒する病気ではないため、長期間のケアが必要になります。

外耳炎

外耳炎は、鼓膜より外側の耳道の炎症により発症し、赤く腫れたり痒みを引き起こしたりします。

原因として、アレルギー性疾によるもの多いですが、その他細菌感染やマラセチア(真菌)の増殖、耳ヒゼンダニ(寄生虫)の感染、異物、腫瘤(しゅりゅう)、角化異常、内分泌性疾患、自己免疫性疾患などがあげられます。

ミニチュア・シュナウザーは垂れ耳で耳の中の通気性が悪いため、外耳炎を発症しやすい犬種です。犬は不快に感じ、耳の後ろをかいたり床にこすりつけたり、頭を振ったりします。

そのような行動が増えたり、褐色や黄色の臭いのあるベトベトとした耳垢がみられたりしたら、すぐに病院を受診しましょう。

アレルギー性疾患など基礎疾患がある場合にはその治療に並行して外耳炎の治療をおこないます。耳の洗浄液や生理食塩水で洗浄し、抗生剤や点耳薬を用いるのが一般的です。

耳ダニの場合は駆虫薬を使用します。耳掃除やシャンプー方法が間違っていると、それもまた発症の原因となるため要注意です。不安な場合には獣医師やトリマーに正しい方法を相談しましょう。

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ライター情報

獣医師/ペット栄養管理士森井もりい知里ちさと

森井 知里
所属
yourmother合同会社
略歴
1992年 三重県に生まれる
2011年 麻布大学獣医学部動物応用科学科に入学
2013年 麻布大学獣医学部獣医学科に転学科、在学中、料理教室で講師を務める
2018年 獣医師国家資格取得
2018年 東京都内動物病院に勤務
2019年~2021年 千葉県内動物病院に勤務
2022年~2023年 東京大学附属動物医療センターで内科系研修医として勤務
2023年4月~ yourmother合同会社に勤務
所属学会
日本ペット栄養学会

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(掲載開始日:2023年12月12日)
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