うさぎの飼育費用の目安は?費用に差が出るポイントも解説
うさぎを飼いたいと思ったときに、まず思い浮かべるのは飼育にかかる費用ではないでしょうか。うさぎは鳴き声が小さく、体臭も少ないことから飼いやすく、ペットとして人気がある動物です。
しかし、ペットを飼い始めたら最後まで責任を持って飼い主さんがお世話をしなければならないため、事前に飼育にかかる費用を把握しておく必要があります。
この記事では、うさぎの飼育にかかる費用と医療費の目安や、費用に差が出るポイントを解説します。うさぎを飼おうか迷っている方はぜひ参考にしてください。
うさぎの飼育にかかる費用の目安は?
うさぎを飼いたいと思っている方は、しっかりと健康管理をしながら適切な環境でお世話をするためにも、事前に飼育にかかる費用を把握しておくことが大切です。以下では、うさぎの飼育にかかる初期費用、月間費用、年間費用、生涯費用をそれぞれ紹介します。
うさぎを飼うための「初期費用」
うさぎを飼育する際の初期費用はうさぎの値段に加え、20,000円~30,000円程度が目安です。うさぎを飼い始める前に必要なケージや食器・給水器、トイレ用品、かじり木、ブラシ、移動用バッグなどをひととおり揃えると、合計で20,000円~30,000円程度かかるでしょう。
なお、初期費用はうさぎの値段によっても大きく変わるため注意しましょう。うさぎの値段は4,000円~170,000円程度と幅広く、種類や購入する場所によって大きく異なります。詳しくは後述します。
うさぎを飼うための「月間費用」
うさぎを飼うには、初期費用以外にもエサ代やトイレ砂などの消耗品費、保険料が毎月発生します。初期費用だけでなく、毎月かかるエサ代や消耗品費、保険料も準備しておきましょう。
おもにペレット※や牧草などのエサ、トイレ砂などの消耗品は一般的に毎月購入が必要です。うさぎのエサ代と消耗品代は、あわせて1ヵ月あたり約3,000円〜5,000円かかります。
そのほか、うさぎのペット保険に加入した場合には1ヵ月あたり数千円の保険料がかかります。うさぎには人間のように公的な医療保険がないため、突発的な病気やケガで動物病院の診療を受けると、全額が飼い主さんの自己負担になります。
万一に備えてペット保険に加入しておけば費用負担に備えることができて安心です。保険料は商品やプランによっても異なるため、保険会社や比較サイトなどで確認すると良いでしょう。
※「ペレット」とは、牧草だけでは足らない栄養素を補うための補助食。粉砕したチモシーやアルファルファなどの牧草を主原料に、大豆、小麦粉などを加え栄養バランスを考慮して作られている。
うさぎを飼うための「年間費用」
うさぎの飼育にかかる年間費用の目安は、70,000円~100,000円程度と考えるとよいでしょう。
年間費用の内訳は、以下のとおりです。
うさぎの飼育にかかる年間費用
年間費用の内訳 | 費用の目安 |
---|---|
エサ代と消耗品費 | 36,000円~60,000円 |
健康診断などの病気予防費 | 10,000円~20,000円程度 |
光熱費 | 20,000円程度 |
うさぎの年間飼育費用は、犬や猫に比べると安く済む傾向があります。しかし、うさぎの最適な飼育環境は室温16~25℃、湿度30~70%であるため、湿度を維持するために犬や猫以上に光熱費がかかる点に注意しなければなりません(上記の表に記載のとおり、年間20,000円前後が目安)。
うさぎはとくに暑さに弱く、室温が30℃以上になると熱射病などに罹患する恐れがあるため、夏は飼い主さんの不在時もエアコンで室温を調整する必要があります。寒過ぎる環境もうさぎの体調不良につながるため、冬はエアコンで空気をあたため、局所的にヒーターで保温しましょう。
ただし、エアコンやヒーターを使用する際は、直接風があたらない場所にケージを設置することがポイントです。エアコンやヒーターの風がうさぎに直接あたると、寒くなり過ぎたり暑くなり過ぎたりする可能性があるため注意が必要です。
そのほか、うさぎのペット保険に加入した場合は、加入年齢にもよりますが年間保険料がかかります。月間費用と同様に、かかる年間保険料は商品やプランによっても異なるため、具体的な金額は保険会社や比較サイトなどで確認すると良いでしょう。
生涯費用
うさぎを生涯飼育するためにかかる費用は、寿命やうさぎの健康状態によって異なるため、いちがいに「いくら」ということは難しいですが、エサ代と消耗品費、高熱費、病気予防費などを合計すると、トータルで数十万円から100万円近くかかる場合もあります。
うさぎの寿命は、5~8歳程度で、人間でいうと52~75歳程度です。ただし、健康的な食事や適度な運動、病気の早期発見、適切な治療により、近年では10年程度、人間の80~92歳相当まで生きるケースもあります。10年程度は責任を持ってお世話する覚悟をしてから飼い始めましょう。
また、病気やケガで治療したり、入院や手術をしたりする可能性を考えると、治療内容によっては、数十万近い費用がかかる場合があります。そのほかにも、うさぎのペット保険に加入した場合は、保険料もかかるため注意しましょう。具体的な保険料は、それぞれのうさぎによっても異なるため、保険会社や比較サイトなどで確認すると良いでしょう。
なお、うさぎのペット保険によっては、年齢に比例して保険料が上がるもの、生涯保険料が一律で変わらないものもあります。さまざまな費用を考慮して、うさぎが少しでも長生きできるようにお世話しましょう。
うさぎの寿命を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
うさぎの値段相場は?値段の違いも解説
うさぎの値段は4,000円~170,000円程度と幅広く、その種類や購入する場所などによって相場が異なります。以下、うさぎの値段が異なるポイントを紹介します。
うさぎの種類
うさぎには、さまざまな種類があり、人気がある品種ほど値段が高い傾向があります。うさぎの種類ごとの値段の目安は以下のとおりです。
うさぎの種類と値段の目安
うさぎの種類 | 特徴 | 値段の目安 |
---|---|---|
ミニウサギ |
|
4,000円~30,000円程度 |
ネザーランドドワーフ |
|
4,000円~80,000円程度 |
ミニレッキス |
|
8,000円~90,000円程度 |
ホーランドロップ |
|
6,000円~170,000円程度 |
なお、小柄な雑種のミニウサギは、ほかの種類に比べて値段がお手頃な傾向があります。
うさぎの月齢
うさぎも犬や猫と同じように、月齢が若いほど値段が高くなる傾向があります。
うさぎは人間よりも早いスピードで成長するため、子どもから大人になるまでの成長の過程を楽しみながら、長い時間を一緒に過ごしたいという方は、子うさぎを選んで幼い頃から飼い始めると良いでしょう。
うさぎの血統書
うさぎの血統書とは、そのうさぎが純血種であることを証明するもので、ARBA※公式のうさぎの種類であれば一般的にARBAの血統書の書式で作成されます。購入先によっては発行に条件が設けられていたり、発行をおこなっていなかったりする場合があるため確認すると良いでしょう。
ただし、純血種とミックスで寿命や健康状態に差があるわけではないため、純血種の保証が必要でなければ血統書の有無を気にする必要はありません。純血種の繁殖や、ラビットショーへの出展をする可能性がある場合は、血統書付きのうさぎを選ぶ必要がありますが、ペットとして飼うだけなら血統書は不要です。
ラビットショーで優勝経験があるうさぎが血縁にいる血統書付きのうさぎほど値段が高くなる傾向があるため、少しでも値段をおさえたい場合は、血統書なしや雑種のうさぎを選びましょう。
※ARBAとは、「American Rabbit Breeders Association」の略で、アメリカのうさぎブリーダー協会のこと。
うさぎの購入場所
うさぎは購入する場所によっても値段が異なります。ペットショップやホームセンターの方がうさぎ専門店よりも比較的お手頃な値段である傾向があります。
ただし、値段がお手頃なところで購入すれば良いとは限りません。うさぎ専門店の値段は高いものの、うさぎに詳しいスタッフに飼育の相談ができたり、うさぎ用品を多数取り揃えていたりするなどの特徴があります。
そのため、うさぎの値段だけでなく、購入前や購入後の相談ができるかなども含めて購入先を選びましょう。
うさぎの飼育時に医療費が発生することもある
うさぎは神経質なため、飼育環境の変化でストレスを感じやすく、食欲をなくしたり下痢になったりします。そのため、うさぎの飼育にかかる費用とは別に通院や手術などの医療費が発生することがあります。
うさぎが罹患しやすいおもな病気やケガは、以下のとおりです。
うさぎが罹患しやすい病気やケガ
病名 | 症状 |
---|---|
不正咬合 | うさぎの歯は一生伸び続けることから、伸び過ぎた歯によって嚙み合わせが悪くなり、舌や頬の粘膜を傷つけてしまう。口の痛みによる食欲不振や元気消失などになりやすい。 |
毛球症 | 毛繕いするときに飲み込んだ毛や誤飲したものが胃の中に溜まって胃腸の働きが低下する。 |
耳ダニ症 | 耳にダニが寄生して、外耳道の内側にかさぶたのような茶褐色のカビがたまる。 |
エンセファリトゾーン症 | 微胞子虫が脳や眼の水晶体などに感染して、首をかしげる斜頚、痙攣(けいれん)、眼振、眼球内炎症、運動失調などの症状を起こす。 |
スナッフル | パスツレラ菌に感染して引き起こされる。くしゃみや膿性の鼻汁が出るといった風邪に似た症状が特徴で、悪化すると肺炎や呼吸困難になり、死に至る危険性もある。 |
子宮疾患 | 避妊をしていない5歳以上のうさぎに多く、子宮内膜炎、子宮腺がん、子宮水腫、子宮蓄膿症などがある。初期は一過性の血尿の症状がよくみられる。 |
皮膚病 | 皮膚の赤み、フケ、かさぶた、脱毛、痒みの症状が出る。細菌や寄生虫などの感染、ストレス、アレルギーなど原因はさまざまある。 |
尿路結石 | 尿道や膀胱に尿路結石ができることで、尿路へ影響を及ぼす。血尿や頻尿、排尿時に痛がるなど排尿障害が起こる。 |
下痢 | 腸内細菌が不安定な子ウサギは、環境や食事の変化によって下痢を引き起こしやすい。命に関わることもあるため、水分の多い便が出ていたら早急に受診する必要がある。 |
骨折 | 犬・猫と比べて骨が脆いため、高いところからのジャンプや、抵抗による脚の蹴り上げで、骨折しやすい。足を浮かせて歩く、食欲の低下、下半身の麻痺や排便・排尿障害が生じることもある。 |
病気に罹患したり、ケガをしたりしないように注意してお世話をしていても、いつ通院や手術が必要になるかわかりません。そのため、突発的に医療費の負担が発生しても、余裕を持って対応できるように備えておくことが大切です。
万一に備えてうさぎのペット保険に加入しよう
大切に飼っているうさぎが病気やケガをした場合、病院で診療することもあります。どれだけ健康に配慮して育てていても、いつ病気に罹患し、ケガをするかはわかりません。
うさぎには、人間と異なり公的医療保険制度がないため、病気やケガの診療費は全額飼い主さんの自己負担となります。必要な治療をしっかりと受けさせてあげるためにも、ペット保険に加入して備えておくことをおすすめします。
うさぎのペット保険は、猫や犬と比べると数が限られていますが、どのペット保険にするか悩んだ場合は比較サイトの利用がおすすめです。比較サイトでは、うさぎの年齢や必要な補償などの条件設定でご希望の条件を入力すると複数のペット保険を比較することができます。補償内容や保険料などを一覧で確認できるため、ご自身にあった保険を見つけやすいでしょう。
まとめ
うさぎは鳴き声が小さく、体臭も少ないため飼いやすく、ペットとして人気があります。うさぎの種類はさまざまありますが、どこで購入するか、どの月齢のうさぎを選ぶか、血統書つきのうさぎを選ぶかなどで、その値段が大きく変わります。
また、うさぎの値段以外にも初期費用に数万円~十数万円の費用が必要であったり、飼い始めてからもエサ代や消耗費、光熱費などで年間70,000円~100,000円程度かかったりします。病気やケガをしたときの診療費も負担しながら最後まで飼い主さんが責任を持ってお世話しなければならないことも前提に検討しましょう。
なお、健康に配慮してうさぎのお世話をしていても、病気に罹患したりケガをしたりする可能性はあります。医療費の負担を減らして十分な治療を受けさせてあげるためにも、ペット保険に加入して備えておくとよいでしょう。
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監修者情報
丸田香緒里
Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年7月30日)
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