ペット保険の特約は必要?「ペット賠償責任特約」についても解説

ペット保険の特約は必要?「ペット賠償責任特約」についても解説
公開日:2023年3月16日

ペット保険の中には、メインとなる契約(主契約)に「特約」をつけられる商品もあります。特約とは、任意で加入できるオプション契約で、代表的なものにペットが第三者をケガさせたときなどに賠償金を補てんする「ペット賠償責任特約」などがあります。特約をつけると補償が充実し、より大きな安心を得られるでしょう。
この記事では、ペット保険の主契約ではどのような補償を得られるのか、また、特約をつけることでどのような補償を得られるのかについてわかりやすく解説します。また、代表的な「ペット賠償責任特約」についても紹介します。

ペット保険ではどんな補償が受けられる?

人間には公的な医療保険制度があるため、医療費を全額支払う必要はなく、自己負担額は一部ですみます。しかし、ペットには人間の医療保険制度のような制度はありません。ペットが病気やケガをしたときは、自由診療で全額自己負担となるため、治療費が高額になる可能性があります。

そこで、治療費の負担を軽減してくれるのがペット保険です。ペット保険とは、ペットの病気やケガの治療にかかる費用を、保険会社が補償するものです。

一般的に、ペット保険に加入すると次の補償を受けられます。

  • 入院費用の補償
  • 手術費用の補償
  • 通院費用の補償

保険商品によって異なりますが、1回あたりの補償の上限額や年間上限額、補償割合などが決められているため、治療にかかる費用全額は補償されないこともあります。

また、ペットの歩行が困難になった場合、車イスなどの装具に対しても補償したり、ペットが亡くなった場合に火葬費用などを補償したりする商品もあります。

獣医師相談サービスなどの付帯サービスを設けている商品もあり、ペットのしつけや食事、病気に関する悩みを獣医師に相談することも可能です。

ペット保険の補償内容

ペット保険の補償内容

ペット保険適用外の補償内容

ペットの病気やケガなどにおいて動物病院で診療を受けたときは、ペット保険が適用されます。
しかし、以下に該当する場合、一般的にペット保険は適用されません。

  • ペット保険への加入前からの病気・ケガ
  • ワクチン接種・健康診断
  • 避妊・去勢手術

ペット保険が適用されない場合は、全額自己負担となります。動物病院に行く前に、念のためペット保険が適用されるか確認しましょう。

ペット保険にはどんな特約がある?

特約とは、主契約の補償内容を充実させるためにセットで加入できるオプション契約のことです。メインの補償に特約をつけることで、より充実した補償内容にすることができます。主契約の補償だけでは不安な方は、検討してみましょう。

ペット保険のおもな特約の例としては、以下があげられます。

  • ペット賠償責任特約
  • ペット火葬費用特約

ペット賠償責任特約

ペット賠償責任特約とは、ペットが誤って人や動物にケガをさせてしまったり、ものを壊してしまったりしたときに備えられる特約です。たとえば、ペット同士がけんかして他の犬をケガさせた、他人に嚙みついた、といった場合にも補償を受けることができます。

なお、保険会社によっては、対象となる事故について、保険会社が本人にかわって示談交渉をしてくれるサービスが付いている場合もあります。

ペット賠償責任特約で補償されるおもなケース

ペット賠償責任特約で補償されるおもなケース
保険会社によって異なることがあります。

ペット火葬費用特約

ペット火葬費用特約は、「葬祭保険金特約」「セレモニー費用特約」などとも呼ばれ、ペットが亡くなったときの火葬費用をサポートする特約です。ペット保険では、基本の補償内容に火葬費用などは含まれていない場合があります。葬儀費用が気になるときは、特約のある保険を検討するとよいでしょう。

なお、ペットの葬儀費用は一般的に利用する設備やプラン、ペットの体重によって変わります。たとえば、家族が立ち会って火葬場で火葬する場合、体重が5㎏程度の猫や小型犬であれば2万円~2.5万円程度、体重が15㎏ほどの中型犬であれば3万円~4万円程度、体重が30㎏を超える大型犬であれば5万~7万円程度のケースなどがあります。ただし、庭に埋葬する場合、葬儀費用は不要です。

どちらの特約も、必要性が高いと思われる場合はぜひ検討してみましょう。

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ペット賠償責任特約は必要?

ペット賠償責任特約は必要?

ペット保険の代表的な特約として、前述のとおり、ペット賠償責任特約があげられます。ここでは、具体的な利用事例をご紹介します。

(例)飼い犬を散歩中に、近所の人が犬の頭をなでようとしたところ、驚いた犬が反射的に近所の人の手を咬んでケガをさせてしまった。

上のようなケースでは、ペットの監督者に対して賠償責任が問われることがあります。しかし、ペット賠償責任特約を付帯している場合はペット保険から賠償金が支払われる可能性があります。

犬による噛みつき事故は、日常的に起こりやすい事故です。飼い主が注意していても避けられない場合もあるため、ペット賠償責任特約で備えておくと安心です。なお、犬だけでなく、猫もペット賠償責任特約の対象となります。たとえば、猫がひっかいてほかの方を傷つけたり、他人の所有物を壊して損害を与えたりする可能性もあります。

万が一、ペットが周囲の方や動物に被害を与えたときのためにも、ペット賠償責任特約を付帯することを検討するとよいでしょう。

ペット賠償責任特約の補償対象外のケースも

ペット賠償責任特約に加入していても、ペットによるすべての損害がカバーされるわけではありません。
特約の補償内容にもよりますが、以下の状況に該当するときは補償対象外となることが一般的です。

  • ドッグラン参加中の犬同士の衝突
  • ペットをほかの人に預けているときに起きた事故
  • 飼い犬が同居する親族にケガを負わせた場合

普段からドッグランを利用する方や、ペットを他人に預けることが多い方は、とくに注意しておいたほうがよいでしょう。

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ペット保険の特約を選ぶときのポイント

ペット保険に特約を付帯するかどうか迷ったときには、次のポイントを確認してみましょう。

  • 特約の補償はどこまでか
  • 特約が適用されないケースがあるか
  • 保険の重複がないか
  • 保険料と補償のバランスは問題ないか

特約の補償はどこまでか

たとえばペット賠償責任特約をつけるのであれば、保険金はどの程度まで支払われるのか、「免責金額はあるのか」などをあらかじめ確認しておきましょう。

「免責金額」とは、診療費の一定額部分について、契約者などが自己負担するものとして契約時に設定する金額のことです。保険会社が保険金支払うケースでも、契約者が一定額を自己負担しなければなりません。

たとえば、契約時に免責金額を「1万円」と設定していたとしましょう。そのようなケースでは、仮に診療費として10万円がかかった場合には、保険会社から支払われる保険金は、10万円から1万円を差し引いた「9万円」となります。

免責金額を設定しているペット保険は、保険適用となるケースが減り、免責金額以外は同じプランの保険と比較した際に、保険料が抑えやすくなります。そのため、保険料をできる限り抑えたい方は、免責金額を設定できるペット保険を選ぶとよいでしょう。免責金額を超えた場合には補償を受けられるため、診療費が高額なときに安心です。

保険金があまりにも少ない場合は、自己負担額が高額になる可能性があり、特約で備えるメリットが少ないかもしれません。また、免責金額が高い場合は、ほとんどのケースにおいて保険金を受け取れない可能性があるため注意が必要です。また、賠償金が免責金額以下のときは、補償を受けられないこともあります。

特約が適用されないケースがあるか

特約が適用されないケースについても確認が必要です。頻繁に起こるケースなのに特約が適用されないのであれば、特約に加入する意味がありません。前述のとおり、一般的にペット賠償責任特約が適用されないケースとして「ドッグラン参加中の犬同士の衝突」「ペットをほかの人に預けているときに起きた事故」「飼い犬が同居する親族にケガを負わせた場合」などがあります。

ご自身が飼っているペットの場合に、上の例に該当するケースが多いか、また上の例以外にも適用されないケースがあるかどうか事前に確認しておきましょう。

保険の重複がないか

飼い犬による事故に備えるには、ペット保険以外に一般的に以下の3種類もあります。なお、具体的な補償内容は保険会社によって、それぞれ異なります。

  • 個人賠償責任保険
  • 火災保険や自動車保険の個人賠償責任特約
  • クレジットカードの付帯保険

たとえば、自動車保険や火災保険に加入している場合、すでに個人賠償責任特約などを契約している可能性があります。クレジットカードに付帯している個人賠償責任保険でも、ペットの噛みつきによる賠償事故に備えられる場合があります。

注意しなければならないのは、個人賠償保険は、実際の損害額以上に保険金が支払われることがないという点です。たとえば、他人を大けがさせて100万円の賠償が必要になったとします。2社の保険会社で個人賠償保険特約をつけていたとしても各社から100万円ずつ支払われることはないため、各保険会社の保険金額から按分して合計100万円支払われることになるのです。

したがって、これらの特約にペットによる損害賠償も含まれている場合、別途ペット賠償責任特約をつける必要はありません。補償の重複がないか、確認するとよいでしょう。

保険料と補償のバランスは問題ないか

特約をつければその分、保険料は高くなります。ご自身にとって高額だと感じる場合は一度保険内容を見直してみてはいかがでしょうか。特約の加入に必要な保険料と、実際に補償を受けるときに得られる保険金額を比較し、バランスを検討してみてください。保険料を抑えたい場合は、別のペット保険も検討するとよいでしょう。

保険商品ごとに特約の内容や保険金が支払われる条件、保険料が異なります。いくつかの保険商品を比較し、もっとも利用しやすいと感じられるもの、また、もっとも保険料と補償内容のバランスが取れているものを選びましょう。

まとめ

ペット保険の主契約で補償されない内容に関しては、特約を付帯することでカバーできるかもしれません。特約をつけるときには、適用条件や補償上限額などを確認し、補償内容に保険料が見合っているか確認しましょう。ただし、すでに自動車保険や火災保険に加入している場合は、ペット賠償責任特約が付帯されている場合もありますので事前に確認するようにしましょう。

また、ペット賠償責任特約という名前でなくても、ペットが原因で損害賠償に発展したときに活用できる特約がついているかもしれません。その場合は「特約の重複」となり、ペット保険で同様の特約に加入していても、保険金を受け取れない可能性があります。支払う保険料が無駄にならないためにも、ペット保険で特約をつけるときは、重複するものがないか確認しておきましょう。

ペット保険にはさまざまな商品があり、保険会社ごとに保障内容やセットできる特約の内容が異なります。各保険会社のウェブサイトや比較サイトを利用すれば、補償内容や保険料、対応しているサービスなどを確認することができます。とくに比較サイトを活用すると、複数のペット保険の情報を一覧で比べることができるので、大切なペットに必要な補償を選びやすいでしょう。

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監修者情報

ファイナンシャルプランナー稲村いなむら優貴子ゆきこ

苗字 名前

大手損害保険会社に事務職で入社後、お客さまに直接会って人生に関わるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2001年FP資格を取得し独立。2006年から6年間日本FP協会鳥取支部長。現在LifeForYou代表として年間500件の相談・講演・執筆・メディア出演業務をおこなっている。得意分野はライフプラン、保険、iDeCo、年金、家計節約、不動産。

資格情報
日本FP協会会員(CFP®)、ヨガインストラクター(全米ヨガアライアンスRYT200)野菜ソムリエ、アスリートフードマイスター®)
HP
https://snowcake2013.wixsite.com/fp-yukiko

CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2023年3月16日)
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