リスの性格は?人になつく?特徴やエサ、飼い方のポイントも紹介

リスの性格は?人になつく?特徴やエサ、飼い方のポイントも紹介
公開日:2024年8月29日

「リスを飼いたい」「家族として迎えたい」と思っていても、そもそもリスはペットとして飼いやすいのか、人になつくのか、など気になる方もいるのではないでしょうか。リスは犬や猫ほどポピュラーなペットではないため、リスのかわいらしい姿は思い浮かんでも、家庭で一緒に暮らす様子はなかなかイメージできない方もいるかもしれません。

この記事では、リスの特徴や性格をわかりやすく紹介するとともに、エサや飼育環境など、リスを飼うときにおさえておきたいポイントもあわせて解説します。

リスの性格

リスの性格

リスは警戒心が強く、臆病な性格だとされています。周囲の環境の変化を繊細にキャッチするため、大きな音を立てて驚かせたりすると体調を崩すこともあります。ほかの動物と同じように個体による違いはありますが、このような性格から、飼い主さんになつくまでには時間がかかりやすい傾向があるようです。

また、なわばり意識が強いため、複数のリスをまとめてひとつのケージで飼うとケンカに発展し、ケガを誘発する恐れもあります。リスを複数匹飼う場合は、ひとつのケージに1匹ずつ飼育するほうがよいでしょう。

警戒心の強さから、リスは基本的にほかの大型動物(自分よりも体が大きい動物)との共存も難しいでしょう。とくに猫などは、野生の世界ではリスやハムスター(ネズミ)などを餌とするため、一緒に飼うことはリスにストレスを与え、寿命を短くする可能性があります。

警戒心が強い一方で、リスは好奇心が強く社交性の高い面を持つため、お腹がすくとエサをねだるなど、かわいらしい姿をみせることもあります。また、昼に活動する昼行性の動物であるため、飼い主さんと生活時間が合うのも魅力です。ただ、基本的には、ケージから出して、なでたり抱っこしたりと優しくであっても触れ合うことは難しい動物です。ケージの外からみる、エサを与えるといった飼い方になることを認識しておきましょう。

リスは種類によって性格が違う?

日本ではリスはペットとしてあまりポピュラーではないものの、実はペットとしての歴史は長く、世界中で親しまれている動物です。

リスと一口に言っても、さまざまな種類がいます。たとえば、ペットとしてよく飼われている「シマリス」や、原則として飼育不可とされる「ニホンリス」のほか、特定外来生物(原則飼育禁止)とされる「タイワンリス」、「キタリス(ヨーロッパアカリス)」、「ハイイロリス(トウブハイイロリス)」などです。

種類によって特徴は異なりますが、リスには天敵が複数いるため、どの種類であっても臆病で警戒心の強い性格というのは共通しています。

リスはオス・メスによって性格が違う?

リスの性格は、オスかメスの差よりも個体差が大きいとされます。しかし、発情期を迎えたオスはイライラしやすい傾向がみられるようです。

野生のリスの発情期は3月頃に始まるとされますが、適度な照明や温度を管理された屋内で飼育するペットのリスの場合は12月頃から始まるのが一般的です。それまで飼い主さんに懐いていたリスでも、威嚇したり飛びかかってきたりなど、荒々しい行動をとる場合があります。飼い主さんとしては不安になるかもしれませんが、発情期が終われば自然と落ち着いていくでしょう。

また、オスは気が荒くなることもありますが、イライラも程度の差があり、メスだとほとんど通常期と変わらない個体もいます。性格と同じく発情期の行動にも個体差が大きいようです。

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リスの特徴

リスの特徴

げっ歯目リス科の小動物であるリスはプレーリードッグなどの仲間で、茶色や灰色、赤褐色の毛、ふさふさとした長い尾が特徴です。たとえばシマリスは、体に通常5本のシマ模様があり、野生での暮らしでは保護色の役割を果たします。

エサを貯める頬袋はリスの特徴ですが、ほかにも前歯(切歯)が生涯伸び続ける常生歯である点もリスの特徴のひとつです。

また、リスは昼に活動して夜には巣に戻って眠る昼行性で、日中は木登りや穴掘りをして活動的に行動します。基本は単独行動のため、鳴き声は小さいですが、恐怖や警戒心を感じると大きな声を出す場合もあります。

野生下のシマリスやエゾシマリスなどのリスは冬眠しても問題ありませんが、家庭で飼育しているリスは冬眠するとそのまま目覚めなかったり弱ったりしてしまう可能性があるため注意しましょう。なお、冬眠させないように冬も一定の温度(18〜28℃)を保って暖かくしてあげることが大切です。

リスの寿命

リスの寿命はおおむね3~10年ほどと少し幅があります。シマリスは5~10年、ニホンリスは4~7年など種類によって違いがあるほか、個体差も影響します。体の大きさが同じくらいのネズミ(ラット)の寿命が約2~4年のため、いずれにせよネズミ(ラット)に比べるとやや長めでしょう。

しかし、適切な飼育環境を整えられるようになったことや医療技術が進歩したことなどから、最近では10年を超えて長生きするリスもいます。

リスの大きさ

先述のとおり、リスにはさまざまな種類がいて、しま模様で知られるシマリスや日本固有のニホンリスなどの小型種と、エゾリスなどの大型種の、大きく2種類に分けられます。

小型種のリス

小型種のリス

小型種のリスには、家庭で飼われるペットとしてポピュラーなシマリス、ニホンリスがおり、その体長や体重の目安はそれぞれ以下のとおりです。

小型種のリスの体長・体重の目安

体長 体重
シマリス 約15cm 約70~120g
ニホンリス 約16~22cm 約250~320g

大型種のリス

大型種のリス

大型種のリスは、小型種よりひとまわり大きいサイズです。タイワンリス、日本固有のエゾリス、ヨーロッパなどに生息するキタリス(ヨーロッパアカリス)、ハイイロリス(トウブハイイロリス)などがおり、それぞれの体長と体重の目安は下表のとおりです。

大型リスの体長・体重の目安

体長 体重
タイワンリス 約20~22cm 約300~500g
エゾリス 約22~23cm 約300~470g
キタリス(ヨーロッパアカリス) 約22~27cm 約300~400g
ハイイロリス(トウブハイイロリス) 約43~50cm 約330~750g

なお、シマリス以外のリスは、原則としてペットとして飼育することはできません。

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リスの飼い方

リスの飼い方

ペットとして家庭にリスを迎え入れるとき、リスの性格や特徴にあわせた飼い方をしてあげることが大切です。そこで、リスを飼いたいときのポイントを解説します。

前述のとおり、ニホンリス、エゾリスのほか、特定外来生物とされるタイワンリス、キタリス(ヨーロッパアカリス)、ハイイロリス(トウブハイイロリス)などは、飼育できません。
飼育が可能なシマリスも野外に定着すると、もともとその地域に住んでいる生物に影響を与える可能性があるため、野外への遺棄・逸出には注意が必要です。そのため、安易に飼育をはじめず、最後まで責任を持って飼育することが大切です。

リスのエサ

リスのエサは市販のペレット(リス専用フード)や種子類が基本です。さらに、野菜や果物、ナッツ類などを副菜やおやつとしてプラスしましょう。動物性たんぱく質を補うために、無塩のチーズやヨーグルト、ゆで卵などをときどき与えるのもおすすめです。

また、アボカドやネギ類、じゃがいもの芽、生の豆、人間のおやつ(チョコレート・クッキーなど)、牛乳、チューリップ、スイセンなどの植物は与えないようにしてください。ヒマワリの種は脂肪分が高い反面、栄養価が低いため、あげ過ぎに注意しましょう。

リスの飼育グッズ

次に、リスを飼うときに必要となるおもなグッズを紹介します。

飼育グッズ①ケージ

リスは木に登ったり穴を掘ったりと運動量が多い動物です。体の大きさだけではなく、運動量も考えた広くて高さのあるケージを選びましょう。上下に動くことを想定した大きめのケージがおすすめで、1匹につき幅20~60cm、奥行き20~30cm、高さ60cm程度を目安にします。

また、掃除の手間を省くために床を金網などにする方もいますが、リスが足を引っかけてケガをする恐れがあるため、メッシュ状の床は避けて牧草などの床材を敷き詰めましょう。

飼育グッズ②ケージの中に設置するアイテム

リスにとって、ケージは運動するだけの空間ではなく「家」でもあります。日々の暮らしで快適に過ごせるように、次のアイテムを設置しましょう。

ケージの中に設置するもの

用意するもの 注意点
巣箱
  • シマリスは樹洞や地中に巣穴を作るため、登り木やケージ底面や上部にも巣箱を設置するとよい(リス専用の巣箱や木製などの通気の良い鳥用の巣箱がおすすめ)。
  • リスはみつけたエサを隠す習性があるためエサを隠せるアイテムがあると行動の幅が広がる。
床材
  • 床材には小動物用の広葉樹チップを使うが、アレルギーを起こす場合はペット用の砂を活用するとよい。
  • シマリスには砂浴びの習慣があるため、床材にチップなどを使っている場合には砂浴びの場所を用意してあげると喜ぶ。
水入れ
  • 床置きタイプだとリスが容器内に入り込む可能性があるため、ケージに取り付けられる給水ボトルやオウム用のステンレス製が便利(給水ボトルや吸い口をリスにかじられてしまうこともあるため、なるべく丈夫な素材を選ぶとよい)。
かじり木
  • リスは樹木をかじる習性があるため、かじり木も用意する。ただし、そのほかのグッズもすぐにかじる。飼育グッズは消耗品と捉えて、定期的に交換する。

飼育グッズ③そのほか必要アイテム

ケージを清潔に保つには日々の掃除が欠かせません。ケージ内を掃除するときにリスの移動先となる小型のケージがあると便利です。キャリータイプであれば病院への通院にも使えます。

リスが好む飼育環境

リスは樹上や木に登ったり下りたりの生活をしており、活発に動き回りながら排泄を済ませます。そのため、ペットとして飼育していてもトイレを覚えられません。ケージを清潔に保つには、床の掃除をこまめにおこなうことが大切です。

また、リスは夏の暑さに弱いため、夏場はエアコンなどを利用して温度管理には気を付けましょう。リスに適した環境の目安は、室温20~28度、湿度40~80%です。

リスとのスキンシップ

先述のとおり、リスはケージから出して触れ合うことは難しいため、ケージから出さずにスキンシップを取りましょう。飼い主さんになつくまでに時間がかかる傾向にありますが、リスは基本的に好奇心旺盛な動物です。そのため、人の手からエサを与え続けるなどするうちに、手に乗るようになることもあります。

幼い頃から育てるほど人慣れする可能性が高いため、ペットとして飼う場合は幼いリスがおすすめです。ただし、リスはとてもすばやく、万が一ケージから逃げだすと捕まえるのが大変なため脱走には注意が必要です。

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リスを飼育するときのポイント

リスを飼育するときのポイント

リスの飼育は犬や猫に比べるとそれほどポピュラーではないので、飼育方法が難しいと思っている方もいるのではないでしょうか。そこで、これからリスを飼育しようと考えている方に向けて、ぜひ覚えておきたい飼育のポイントを紹介します。

【リスを飼育するときのポイント】

  • 無理に冬眠させる必要はない
  • 適切なかじり木を与える
  • 大きな音に注意する
  • しっぽをつかまない
  • 屋外に逃がさない

それぞれ詳しくみていきましょう。

無理に冬眠させる必要はない

ペットとして人気のシマリスは野生下では冬眠しますが、飼育環境では冬眠させる必要はありません。むしろ野生下より免疫が下がっているため、冬眠させないようにしましょう。

もしもペットのリスが冬眠するとそのまま目覚めなかったり弱ったりすることがあるため、年間を通して適温を保ちましょう。

適切なかじり木を与える

リスの歯は一生伸び続けるため、固いものをかじってみずから長さを調整します。ケージなどケガにつながるアイテムをかじらないように、適切なかじり木を与えるのがおすすめです。

大きな音に注意する

また、リスを飼うときに注意したいのが大きな音です。リスは繊細で、驚かせる・怖がらせると体調が悪くなるほか、気絶やショック死することがあります。

なるべく大きな音を立てないように注意しましょう。

しっぽをつかまない

さらに、リスの長くふさふさのしっぽはつい触りたくなりますが、ギュッとつかむとしっぽの毛や皮膚がごっそり抜けてしまい、二度と元に戻りません。繊細な性格やしっぽの特性を理解しておきましょう。

野外に逃がさない

そして近年、日本の生態系を乱す原因として問題視されているのが、ペットから野生化したリスです。最後まで責任を持って飼い、屋外に放さないようにしてください。そのため、リスの安易な飼育は控えましょう。

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リスが罹患しやすい病気

リスが罹患しやすい病気

体が小さくあまり鳴かないリスは、異変があっても、飼い主さんがすぐに気づいてあげられない可能性があります。そこで、いざというときにすばやく対応できるように、リスが罹患しやすい病気を紹介します。

リスが罹患しやすいおもな病気

疾病名 おもな原因 おもな症状 治療法
肺炎 温度や湿度などが不適切な飼育環境、換気が悪い、細菌やウイルスへの感染 鼻づまりからやがて鼻水やくしゃみが出始め、咳や呼吸困難、重症化すると食欲不振もあり 抗生物質や食欲増進剤の投与、食欲不振の場合は強制的な給餌もあり
不正咬合 やわらかいフードの与え過ぎによる噛み合わせ悪化、メッシュケージなどによる歯の破損、栄養不足(カルシウム)、遺伝性 食欲不振、口のまわりの腫れや出血、歯肉炎、よだれを垂らす、体重減少 前歯(切歯)の研磨や抜歯、重症化して感染症にかかった場合は抗生物質の投与
消化器官の病気(細菌性の下痢や寄生虫) 不適切なエサの与え方による食べ過ぎや飲み過ぎ、栄養の偏り、不衛生な環境、細菌や寄生虫への感染 便秘や下痢、嘔吐、脱水、おしりまわりのただれ、重症化すると脱毛や脱腸、体重減少もあり 原因を取り除き、脱水症状や腸内環境の改善に向けた投薬や注射、脱腸があれば手術もあり
皮膚病(脱毛) 温度や湿度、日照時間などが不適切または不衛生な飼育環境、栄養不足(タンパク質)、代謝異常 脱毛、皮膚の色素沈着、赤み、かゆみ 飼育環境やエサの見直しを行ったうえで原因に応じたホルモン治療や抗生物質の投与

どの病気も原因はさまざまですが、飼育環境やエサの与え方が原因になる場合も珍しくありません。リスの健康を保つためには、温度や湿度の管理、こまめな清掃、栄養バランスのとれたエサなど、飼育の基本をしっかり守ることが大切です。

また、不正咬合など家庭でのケアが難しい病気もあるため、動物病院で定期的に健康状態をチェックしてもらうと安心です。なお、リスを扱っている動物病院は少ないため、万が一の病気やケガに備えて、リスを飼い始めたらなるべく早めに相談できる動物病院を探しましょう。

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万が一に備えてリスのペット保険を

万が一に備えてリスのペット保険を

リスは、犬や猫のように鳴き声やしぐさで自分の気持ちをアピールすることはありません。そのため、飼い主さんが気づいたときには病気やケガが重症化している可能性もあります。もし異変に気づいたら、すみやかに動物病院を受診しましょう。

しかし、動物病院でのリスの治療費は想像しづらく、費用面で不安を抱く方もいるかもしれません。
そこで、いざというときにお金の心配をせずに必要な治療を受けられるように、リスも補償対象となるペット保険に加入しておけば安心です。リスの病気やケガを補償するペット保険は、猫や犬と比べると数は限られていますが、ご自身の希望をにあったペット保険を選ぶことが大切です。
ペット保険選びに悩んだら、保険の比較サイトを利用してみるとよいでしょう。

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まとめ

まとめ

リスは臆病で警戒心の強い性格ですが、好奇心旺盛な一面もあり、飼い主さんの手に乗るほど人になつくこともあります。木に登ったり穴を掘ったりと活発に動く動物のため、ペットとして飼育する場合は大きめのケージを用意しましょう。温度や湿度を適切に管理する、トイレを覚えるのは苦手なため、こまめに掃除するなど、リスにあった飼育方法を理解しておくことが大切です。

リスは肺炎や不正咬合、消化器官の病気、皮膚病などに罹患する可能性があります。毎日のように様子をみていても、小さな体、鳴き声の少なさなどから異変に気づきにくく、飼い主さんの知らないうちに病気やケガが重症化する恐れもあります。リスを飼う際には、リスに対応している動物病院を探しておくようにして、いざというときにすみやかな治療を心がけましょう。

動物病院への通院や治療にかかる経済的な負担に備えるなら、リスに対応するペット保険に入っておくと安心です。

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監修者情報

丸田まるた香緒里かおり

丸田香緒里

Animal Life Partner院長、往診獣医師協会代表。獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。獣医中医師、ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、病院での診療のほか、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療をおこなう。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)

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  • このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
  • 税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

(掲載開始日:2024年8月29日)
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