医療保険に必要な保障の考え方高額療養費制度と傷病手当金
最終更新日:2025年6月11日
重い病気などで長期の入院をしたり高額な治療を受けたりすると、医療費の自己負担額が高額になってしまいがちです。そういった場合に利用したいのが「高額療養費制度」です。これは、1ヵ月あたりの一定の自己負担限度額を超えた分が健康保険などの公的医療保険から払い戻される制度です。
ただし、たとえば病院に支払う費用であっても、入院時の差額ベッド代や食事代などの公的医療保険の対象外のものは高額療養費制度の対象になりません。
なお、1ヵ月とは1日から月末までの同一月のことです。また、自己負担限度額は所得に応じて決まっています。
- 自己負担上限額(70歳未満の場合)
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年収約1,160万円~ 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1%(4回目からは140,100円) 年収約770~約1,160万円 167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1%(4回目からは93,000円) 年収約370~約770万円 80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%(4回目からは44,400円) ~年収約370万円 57,600円(4回目からは44,400円) 住民税非課税者 35,400円(4回目からは24,600円)
- 出典:
- 厚生労働省ホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf) - ※2025(令和7)年3月現在
- ※「4回目から」は「多数該当」の要件を満たした場合の自己負担限度額。多数該当は、1年間に3回以上の高額療養費の支給を受けた場合に、4回目から自己負担限度額が軽減されるしくみです。
- ※70歳以上の場合の自己負担上限額は上記とは異なります。
<傷病手当金>
傷病手当金とは、業務外による病気やケガで働けずに会社を休んだ場合に、その間の十分な給与が支払われないときに、健康保険から支給されるものです。なお、国民健康保険の場合、傷病手当金はありません。
傷病手当金は、以下の全ての要件を満たした場合に、休業4日目から支給されます。
- 出典:
- 全国健康保険協会 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/) - 全国健康保険協会 傷病手当金について Q2:傷病手当金の支給額は、いくらになりますか?
(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307/#q2)
- (1) 療養中である
- (2) 仕事につくことができない
- (3) 連続する3日間を含んで4日以上仕事につけずに仕事を休んでいる
- (4) 休業期間について十分な給料の支払いがない
(1)「療養中」には、入院しない自宅療養も含まれます。また、(2)「仕事につくことができない」とは、被保険者が現在まで従事している業務ができない状態のことで、業務ができない状態であるか否かは、医師の意見や被保険者の業務内容、その他の諸条件を考慮して判断されます。(4) 給料が支払われていたとしても傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます。
傷病手当金の額は、1日につき標準報酬日額の2/3です。標準報酬日額とは給与1日分にあたる金額のことで、原則として、支給開始日の以前12ヵ月間の標準報酬月額の平均を30日で割ったものです。
傷病手当金が支給される期間は、支給が開始された日から通算した期間が1年6ヵ月に達するまでが限度です(※支給開始日が2020(令和2)年7月2日以降のもの)。
- 出典:
- 厚生労働省 事業主の皆さまへ(従業員の皆さまへもお知らせください) 令和4年1月1日から 健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます
(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000857062.pdf)
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