海外旅行保険はいつ入る?タイミングや加入方法を解説
海外旅行の際は、旅行先での万一のトラブルに備えて海外旅行保険に加入しておくと安心です。しかし、旅行の準備に追われて海外旅行保険への加入を忘れてしまったり、後回しにしてしまったり......、という方もいるのではないでしょうか。また、海外旅行保険はいつまでに入るべきか、海外旅行当日に加入できるのかなども気になるでしょう。
この記事では、海外旅行保険に入るタイミングや加入方法についてわかりやすく解説します。海外旅行の予定がある方はぜひ参考にしてください。
INDEX
海外旅行保険とは?
海外旅行保険とは、海外旅⾏中の病気やケガ、持ちものの盗難、破損などのトラブルに対する補償を受けられる保険です。海外旅行中に他人にケガを負わせたり、他人のものを壊してしまったりしたときの賠償責任も補償の範囲に含まれていることがあります。
また、海外旅行保険は、旅行期間中の自宅を出てから帰宅するまでの間を補償対象としているため、補償期間の数え方には日本国内の前泊や後泊も含まれます。最長の保険期間は保険会社や商品によって異なるため、各保険会社に確認しましょう。
なお、海外旅行保険は、旅行の際だけでなく留学やワーキングホリデー、出張、駐在などで海外に行く際も補償対象※1となります。ただし、帰国予定のない場合や海外に永住する場合には、契約できないため注意しましょう。
※1 留学や駐在などの長期滞在向けの海外旅行保険は、旅行時の海外旅行保険と保険期間や補償内容が異なるプランが用意されていることがあります。
海外旅行保険の補償内容
海外旅行保険の補償内容は、以下のとおりです。ただし、商品によって補償範囲は異なるため、契約する前にご自身の求めている補償があるかを確認するようにしましょう。
海外旅行保険のおもな補償内容
補償内容 | 補償の詳細 | |
---|---|---|
病気やケガの補償 | 治療・救援費用 |
|
疾病死亡 |
|
|
事故による後遺障害 | 被保険者が海外旅行中の事故によるケガが原因で、身体に後遺症害がのこった場合 | |
事故による死亡 | 被保険者が海外旅行中の事故によるケガが原因で、亡くなられた場合 | |
緊急歯科治療費用 | 海外旅行中に発生した歯科治療の費用※ | |
他人に対する補償 | 個人賠償責任 | 故意または過失により、他人の身体を傷つけたりものを破損したりなどの損害を与えて、その損害について金銭で賠償しなければならない場合 |
持ちものの補償 | 携行品損害 | 旅行行程中の持ちもの(バッグ、カメラ、時計、衣類、旅券など)が盗まれる、壊れる、火災に遭うなどの偶然な事故により受けた損害 |
航空機寄託手荷物遅延 | 航空機搭乗時に航空会社に預けた荷物の到着が一定の時間を超えて遅れた場合に、目的地に到着後に被保険者が実際に負担した、必要不可欠な生活必需品などの購入費用の補償 | |
そのほかの補償 | テロ等対応費用 | テロなどの理由で旅行の最終目的地への到着が遅延した場合の諸対応のこと |
弁護士費用等 | 旅行中に遭った被害事故の際、弁護士に弁護をしてもらった場合などに発生した費用のこと |
※急激な歯の痛みや苦痛を一時的に除去、緩和するための応急治療や、飲食時の苦痛を一時的に除去、緩和するための義歯や歯科矯正装置の応急修理など
海外旅行保険への加入は必要?
海外旅行をする際に、「保険料がもったいない」「手続きが面倒」といった理由で、海外旅行保険に入らない方もいるかもしれません。しかし、旅行先での万が一のトラブルに備えて海外旅行保険に加入しておくと安心です。
では、実際にどのようなトラブルが起きているのでしょうか。
海外での事故やトラブルにはどんな特長があるか
とくに事故発生割合が高い海外旅行保険の項目として、「治療・救援費用」があります。これは、ケガや病気による治療費用や、救急車等の交通費、入院した際に家族が現地に駆け付ける場合の渡航費用、日本や第三国までの医療搬送費用等などが該当します。
次いで、パスポート、スーツケースやカメラ、携帯電話等の手荷物の盗難や破損を補償する「携行品損害」、航空機の遅延や欠航、航空会社に預けた手荷物が現地に届かないといった事故により負担を余儀なくされた費用「旅行事故緊急費用」などがあります。
海外でのトラブルで注意しなければいけないのは、海外で病気やケガをすると、日本に比べて高額な医療費を払わなければならないケースがあることです。しかし、海外旅行保険に加入していれば、病気やケガの治療費が補償されます。また、旅行中の所持品の盗難や飛行機の事故などの予期せぬトラブルも補償される可能性があります。
トラブル時に助かる海外旅行保険の付帯サービス
海外旅行保険によっては、トラブル時に助かる付帯サービスを準備しているものがあり、具体的には、以下のようなものがあります。
たとえば、前述で紹介したようなトラブルが起きたときに、24時間・365日、年中無休で日本語による相談対応やサポートを受けられたり、現地の病院の窓口でご自身で支払う必要がなく(キャッシュレスで)治療を受けられるサービスを提供する保険会社もあります。
海外旅行保険の付帯サービスの例
サービス名 | 内容 |
---|---|
24時間日本語サポート | 保険事故の連絡や、現地の最寄りの病院・日本語が通じる病院の案内や手配、トラブルの相談などのサービス |
病院窓口での支払いなし (キャッシュレス・メディカルサービス) |
海外旅行中に病院で治療を受けても、ご自身で治療費を支払うことなく、保険会社が保険金として病院に治療費を支払うサービス |
キャッシュレス・リペアサービス | 海外旅行先で病院や日本への緊急移送が必要なときに、保険会社と提携している国際的アシスタンス会社がサポートする |
旅行かばんの修理サービス | 海外旅行中に破損したスーツケースの修理代金を保険会社が保険金として修理業者へ支払うサービス |
カメラ・ビデオカメラの修理代金の立て替え | 海外旅行中に破損したカメラ・ビデオカメラの修理代金を保険会社が保険金として修理業者へ支払うサービス |
このような付帯サービスにも注目しながら、ご自身にとって役立つ海外旅行保険を選ぶとよいでしょう。
補償範囲は商品によって異なるため、保険会社ごとのプラン内容をよく確認しましょう。
海外旅行保険はいつまでに入るべき?
海外旅行保険への加入は、旅行当日に自宅を出る前までに済ませておくことをおすすめします。ただし、旅行当日に自宅を出た後でも空港やインターネットから申込みできる場合もあります。
以下では、海外旅行保険に入るタイミングを紹介します。
①旅行の出発日(自宅を出発する前)まで
前述のとおり、海外旅行保険は自宅を出発してから自宅に帰るまでの期間が補償対象となります。そのため、自宅を出発したタイミングで補償を開始するには、自宅を出る前までに保険に入っておく必要があります。
旅行の何日前から申込めるかは保険会社によって異なるものの、1~3ヵ月ほど前から申込みができる場合が一般的なため、事前に余裕を持って手続きしましょう。
また、契約後に送られてくる旅行保険に関する冊子は、旅行中トラブルが起きたときの対応方法や保険金の請求先が記載されているため、旅先で携帯することをおすすめします。
冊子が送られてくるタイミングは契約後から1週間前後が目安ですが、保険会社によって異なります。間に合わない場合はインターネットからダウンロードできる海外旅行保険もあるため、確認しておきましょう。
②旅行の出発当日
海外旅行保険のなかには、出発当日の加入が可能なものもあります。自宅を出発していても飛行機に乗る前までに空港やインターネットから手続きをすれば旅行当日から補償対象期間に含まれます。
ただし、保険会社によって以下のような注意点があります。
【旅行当日に保険に加入する場合の注意点】
- 空港で海外旅行保険に加入した場合、自宅から空港までに起きた事故は補償されない
- 海外から加入することはできない
- 補償内容が限定される場合がある(航空機の遅延時の補償を選択できないなど)
- 保険料の支払い方法が制限される場合がある
このようにさまざまな注意点があるうえに、旅行当日は慌ただしく補償内容をじっくり検討する時間を取れない可能性があるため、旅行当日までに余裕を持って加入することをおすすめします。
海外旅行保険の加入方法は?
海外旅行保険への加入は、おもに以下の3つの場所でおこなうことができます。それぞれの場所での加入方法を解説するため、ご自身にあった方法を選びましょう。
【海外旅行保険に加入できる場所】
- 保険会社
- 旅行代理店
- 空港の海外旅行保険カウンター
保険会社
海外旅行保険は、保険会社の窓口やウェブサイトから加入できます。インターネット申込み専用の商品もあり、インターネット環境が整っていればパソコンやスマートフォン、タブレットなどを利用して時間や場所を問わずに加入できます。
ご自身に合う保険を選ぶためには、複数の保険会社の商品のなかから補償内容やプランなどを比較して決める必要があります。各保険会社の商品を確認するのは手間がかかりますが、比較サイトでは、渡航先や日数、加入人数などの条件を入力することで、条件に適した複数の保険会社を比較でき、ご自身に合った商品を手軽に見つけやすいでしょう。
旅行代理店
旅行の申込みをした旅行代理店が海外旅行保険を取扱っている場合は、旅行の申込みと同時に保険にも申込める場合があります。なかには旅行プランと保険がセットになっている商品もあるため便利です。
空港の海外旅行保険カウンター
海外旅行保険は、旅行当日に空港で申込むこともできます。空港で申込む場合は、飛行機に乗る前に海外旅行保険カウンターで加入手続きをしましょう。加入手続き時に保険料を支払うことになるため、クレジットカードや現金などを用意すると良いです。
また、保険期間によってはパスポートの提示を求められることがあるため、パスポートも手元に用意しておきましょう。
空港の海外旅行保険カウンターでも、海外旅行保険に詳しいスタッフに対面で相談しながら必要な補償を選べますが、飛行機の出発便が多くなる朝や夕方、繁忙期はカウンターが混雑して手続きに時間がかかる可能性があります。事前に保険カウンターの場所と営業時間を確認し、時間に余裕を持って行くことが大切です。
なかには、海外旅行保険の自動販売機が設置されている空港もあるため、あわせて確認すると良いでしょう。
クレジットカードに付帯されている保険でも大丈夫?
手持ちのクレジットカードに海外旅行保険が付帯されているケースがあります。ただし、クレジットカードによって保険が適用される条件が異なる場合があります。
【クレジットカードに付帯されている海外旅行保険の適用条件】
- 自動付帯···クレジットカードを所持していれば自動的に適用
- 利用付帯···旅費などをクレジットカードで支払うことにより適用
クレジットカード付帯の海外旅行保険における適用条件はおもに上記2パターンですが、とくに利用付帯のクレジットカードは、旅行代金をそのクレジットカードで支払わないと保険が適用されないため注意が必要です。
また、クレジットカードに付帯されている保険は補償内容に、病気や死亡の補償や空港での手荷物遅延・航空機遅延時の補償が付いていないなど、別途保険会社に申込んで個人で加入する海外旅行保険に比べて補償が不足している可能性があります。
そのため、海外で事故やトラブルにあった際に、しっかりとカバーしてくれる内容になっているかを確認しておきましょう。
新井FPからの
ワンポイントアドバイス
クレジットカードの規定が変更されているケースもあるので注意!
クレジットカードに付帯されている海外旅行保険には本文で紹介されているとおり、自動付帯と利用付帯がありますが、最近では各クレジットカード会社が規定を見直し、自動付帯から利用付帯へ変更しているケースが多くみられます。
クレジットカードを作った当初は自動付帯だったとしても、途中で規定が変更されている可能性があるため、必ず最新の規定をチェックすることを忘れないようにしてください。
最新の規定がどうなっているかわからない状態で、クレジットカードに付帯している保険の利用を考えている場合は、まずは規定を確認することが大切です。規定を確認したうえで海外旅行費用の支払いをクレジットカードでおこなえば、「規定の変更で保険が利用できなかった」というトラブルを回避できる可能性があります。
海外旅行保険に加入できないケースとは?
海外旅行保険に加入しようと思っても加入できないケースがあります。
【海外旅行保険に加入できないおもなケース】
- 持病や既往症がある場合
- 旅行中に危険なスポーツをする予定がある場合
- 戦争や内乱などの危険地域へ渡航する場合
- 渡航目的が居住の場合
- 旅行中に危険な仕事をする場合
- 年齢制限がある場合
以下では、海外旅行保険に加入できないおもなケースについてそれぞれ解説します。
持病や既往症がある場合
海外旅行保険の申込み時点で病気やケガの治療中であったり、医師の指示で薬を服用していたりする場合は加入できないケースがあるため、注意しましょう。保険会社によっては加入することができる場合もありますが、持病や既往症がある状態で加入できたとしても、旅先で持病が悪化して治療を受けた場合、補償されないことがあるため注意が必要です。
なお、「疾病に関する応急治療・救援費用補償」の特約を付けておけば、旅行中に持病が悪化して治療を受けたときにも補償を受けられる可能性があります。持病や既往症がある方は、契約したい商品に特約を付けることができるか確認しておきましょう。
旅行中に危険なスポーツをする予定がある場合
海外旅行中に危険をともなうスポーツをする予定がある場合は、海外旅行保険に加入できないことがあります。たとえば、スカイダイビングやロッククライミング、ピッケルやアイゼンを使用した本格的な山岳登はんなどが危険なスポーツに該当します。
海外旅行保険に加入する際に予定がなかった場合でも、危険なスポーツでケガをした場合は保険金が支払われません。ただし、保険会社によっては「特別危険担保(補償)」といった特約の付帯や保険料の割増し、あるいは保険金の削減によって危険なスポーツによるケガも補償を受けられる場合があります。
戦争や内乱などの危険地域へ渡航する場合
戦争や内乱などの影響により、危険情報が発出されている地域へ渡航する場合は加入できない、または保険金の支払い対象外になる可能性があります。
危険情報が発出されている地域は、外務省のウェブサイト(海外安全ホームページ)※2で確認できるため、事前に目を通しておきましょう。
※2 出典:外務省 海外安全ホームページ
渡航目的が居住の場合
海外旅行保険は、観光や留学、ワーキングホリデー、出張、駐在などの目的で日本の住居を出て海外に行き、再び日本の住居に帰着する方を対象としています。そのため、海外への居住などを目的とする以下の方は加入できません。
【海外居住などで加入ができないケース】
- 帰国の予定がない方
- 国際結婚をして海外に居住する方
- 海外で永住権を取得して居住する方
旅行中に危険な仕事をする場合
海外旅行中に危険な仕事をする場合は、保険料が割増しされる、または保険金が削減されて支払われる、海外旅行保険への加入を断られるなどの可能性があります。
たとえば、自動車・自転車・モーターボートの競争、猛獣の取扱い、航空機の操縦などが危険な仕事に該当するため注意しましょう。
年齢制限がある場合
保険会社によっては、海外旅行保険に加入できる年齢を69歳までに制限していることがあります。この場合、70歳以上は契約できません。
ただし、加入年齢に制限を設けていない保険会社もあります。年齢制限が心配な方は、事前に申込み条件を確認しておきましょう。
まとめ
海外旅行保険は、自宅を出発したときから補償が開始されるため、旅行当日、自宅を出発する前に余裕を持って加入しておくことが大切です。とくに、補償内容をよく考えて決めたい方やカスタマイズしたい方は、事前に時間を作って加入すると良いでしょう。
ただし、旅行の準備が忙しくて海外旅行保険に加入するのを忘れてしまった方は、インターネットや空港の海外旅行保険カウンターから当日に加入することもできます。海外旅行を不安なく楽しむためには、当日であっても万一に備えて海外旅行保険に加入するのがおすすめです。
海外旅行保険は、商品ごとに補償内容や保険金額、保険料などが異なります。渡航先や旅行期間によって強みや魅力など商品ごとの特徴が異なる場合もあるため、複数の商品を比較・検討すると希望に沿った海外旅行保険を見つけやすいでしょう。
海外旅行保険をまとめて比較したい場合は、比較サイトを利用すると便利です。渡航先や旅行期間、加入人数などを入力するだけで、複数の保険会社の補償内容や保険料はもちろん、申込み期限、各種割引きの有無などを見比べることができます。ご自身にぴったりな海外旅行保険を効率的に選びたいという方におすすめです。
- 海外旅行保険
-
海外旅行保険の無料見積・比較
詳しく見る
監修者情報
ファイナンシャルプランナー新井智美
ファイナンシャルプランナー。2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定※を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。2017年10月 独立。主に個人を相手にお金に関する相談および提案設計業務を行う。個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。これまでの執筆・監修実績は3,000本以上。
- 資格情報
- 日本FP協会会員(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
※CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。
- ※このページの内容は、一般的な情報を掲載したものであり、個別の保険商品の補償/保障内容とは関係がありません。ご契約中の保険商品の補償/保障内容につきましては、ご契約中の保険会社にお問い合わせください。
- ※税制上・社会保険制度の取扱いは、このページの掲載開始日時点の税制・社会保険制度にもとづくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが、また、社会保険制度が変わる場合もありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署または税理士などに、社会保険制度の個別の取扱いについては年金事務所または社会保険労務士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
(掲載開始日:2024年10月29日)
2409448-2509