生命保険と税金名義変更した場合
最終更新日:2022年11月24日
生命保険を契約するときには「契約者(保険料負担者)」「被保険者」「受取人」が関わりますが、このうち、「契約者(保険料負担者)」と「受取人」は契約期間中に変更することができます。ただし、契約者を変更すると、保険金や解約返戻金などを受け取るときに、かかる税金が変わるので注意しましょう。
<夫から妻へ、親から子への契約者変更の場合>
夫から妻、親から子などへ契約者変更を行った際、ても、変更時には税金はかかりません。
ただし、例えば契約者変更直後に保険契約を解約し解約返戻金を受け取った場合には、変更後の保険契約者はその解約返戻金相当額を元の契約者から贈与されたものとして、贈与税の課税対象となります。
- 出典:
- 国税庁 生命保険契約について契約者変更があった場合 【回答要旨】
(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/14/05.htm)を元に当社にて作成
また、契約者変更を行った後に死亡保険金を受け取った場合、例1.のように変更前と変更後の契約者がそれぞれ負担した保険料分に応じて、かかる税金が異なります。
- 例1.子どもを被保険者として親が契約者となり保険料を支払っていた。子どもの結婚を機に契約者を子ども、受取人を子どもの配偶者に変更した。
-
契約者 被保険者 保険金受取人 死亡保険金に
かかる税金親 子 親 所得税
-
契約者 被保険者 保険金受取人 死亡保険金に
かかる税金親が負担していた
保険料に相当する部分子 子 子の配偶者 贈与税 子が負担して
保険料に相当する部分相続税
変更後の死亡保険金は、親が負担していた保険料に相当する分は贈与税の対象、子が負担して保険料に相当する分は相続税の対象となります。
また、受取人を変更した場合にも課税関係が変化します。契約者と受取人の組み合わせにおける死亡保険金にかかる税金の種類については、「生命保険と税金 受取人の設定には注意」をご覧ください。
<法人から個人への契約者変更の場合>
法人から個人へ契約者変更を行う場合には、契約者変更を行った時点で課税されることがあります。課税の有無は、個人が法人から有償で契約を引き継ぐか、無償で引き継ぐかによって異なります。
有償で引き継ぐ場合、会社に対して解約返戻金相当額※を対価として支払えば、個人には課税されません。一方、無償で引き継ぐ場合には、解約返戻金相当額※が所得となり課税されます。退職時の場合は退職所得、それ以外の場合は給与所得となります。
※2021年7月以降の保険契約で、引き継ぐ時の解約返戻金相当額が法人の資産計上額の70%相当額未満となる場合には、解約返戻金相当額ではなく資産計上額の合計額を支払うこととなります。
- 出典:
- 国税庁ホームページ 保険契約等に関する権利の評価に関する所得税基本通達の解説
(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/210621/pdf/02.pdf)
- 例2.代表取締役が退職時に、退職金3,000万円と、法人から代表取締役個人への契約者変更を行い生命保険(解約返戻金相当額※2,000万円)を無償で引き継いだ場合、以下の図のとおり退職所得となり課税されます。
税制上の取扱いは2022年10月1日現在の税制に基づくもので、全ての情報を網羅するものではありません。将来的に税制の変更により計算方法・税率などが変わる場合がありますのでご注意ください。なお、個別の税務取扱いについては所轄の税務署もしくは税理士などにご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。
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